ペトロとカタリナの旅を重ねて

あの日、あの時、あの場所で
カタリナと歩いた街、優しい人たちとの折々の出会い・・・
それは、想い出という名の心の糧 

ポポロ教会

2009年11月22日 | イタリア

 ボルゲーゼ美術館からポポロ教会に向かった。
 美術館から真直ぐ南に伸びる公園内の緩やかな坂道を下って暫く、アウレリアヌスの城壁と出会う辺りがピンチアーナ門。

 近くにガイドブックには載っていない地下鉄の標識が見える。
 ところがこの出入口、地下鉄A線のスパーニャ駅へ続く地下通路だが、呆れるほど長い。

 Photoラッシュ時間でもない昼下がり、殆ど利用する人も見えず、黙々?とエスカレータと動く歩道を何度か乗り継ぐ。
 で、10分ほども歩かされて漸くスパーニャ駅に着いた。

 落書きだらけのチケット自販機、動かないので悪戦苦闘していたら、近くのお巡りさんが自販機を蹴飛ばしていうことをきかしてくれた。

 地下鉄フラミニオ駅から城壁の一部のポポロ門を潜ると直ぐ左に、サンタ・マリア・デル・ポポロ教会(上)がある。
 ポポロ = ローマ市民が聖マリアに捧げた教会という意味でこの名がついたとか。

 Photo_3正午から16時までシエスタ、昼寝?に入るので先を急ぐ。
 何年か前、門扉が固く閉ざされていて、以来、無念な思いを残してきた。

 中央祭壇左手の礼拝堂が、カラヴァッジョの礼拝堂とも呼ばれるチェラージ礼拝堂である。
 正面にアンニバレ・カラッチの 「聖母被昇天」、右手にカラヴァッジョの 「聖パウロの回心」(中)が架かる。

 使徒言行録に拠れば、熱心なユダヤ教徒だったサウロはキリストたちを弾圧する側にいた。
 ダマスカスへ赴く途上でキリストの、“ サウロ、サウロ、なぜ私を迫害するのか という声を耳にし、目もくらむ光に射すくめられ落馬、一時的に視力を失ってしまう。

 Photoカラヴァッジョは、その瞬間を鋭く切り取っている。 
 馬の白いまだらの部分に射す神の光、目が眩み地に落ち目を閉ざすパウロ、その傍らにはパウロのアトリビュートの剣が打ち棄てられたように描かれている。

 この出来事を神の啓示と受け止めたサウロはキリスト教に回心、名もパウロと改める。

 当時、この絵には、“ まったく動きがない ” と評する向きもあったそうだが、“ カラヴァッジョは、サウロの心の内にある葛藤を静止させた瞬間に塗り込めた ” と、解釈されているようだ。

 ところで、入って直ぐ右側のロヴェーレ家の礼拝堂に、ルネッサンスの画家ピントゥリッキオの傑作 「幼子キリストの礼拝」(下)がある。
 目的のカラヴァッジョの後、
閉堂までゆっくり鑑賞したのは言うまでもない。 (続く)

コメント
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