ヨシムラが全日本選手権から撤退し、活躍の場を世界の移す事になったのは既報の通りだが、その活動計画が明らかになった。
スーパーバイク世界選手権に3戦と国内耐久レースに2戦の参戦計画である。
ヨシムラが国内に見切りをつけたのは、昨年のレギュレーション解釈の相違に端を発するのだが、グローバル化が当たり前になった昨今においては、世界のマーケットを相手にするヨシムラにとっても必然的な流れだったのかもしれない。
とは言っても、国内のロードレース界にとって、ヨシムラ撤退は大きな痛手だ。
国内ロードレースの衰退は、これからを担う人材育成にも影を落とすだろうし、周辺産業の縮小を余儀なくされ、ヨシムラにも当然痛みが伴ってくる。
もちろん、国内と世界の両方に参戦していければベストなのだろうが、今は、それを許せる状況ではない。
それでも、あえて今回の決定をしたヨシムラの気持ちも分からなくもない。
MFJは、過去にも恣意的にルールを解釈してきた歴史がある。
いや、恣意的ではないのかもしれないが、結論を出さなかったり、あいまいな判断を残し、結果的に一方に有利な解釈がまかり通ってしまった。
FIMと擦り合わせをしているようにも思えない。
MFJが、わざと一部を利する運営をしているとは考えていないが、優柔不断な体質が、不満と不信を抱かせているのだ。
私がレースを始めた頃は、予選が何組にも分けられ数百台のエントリーをあった。
そのような隆盛な時代を取り戻す事は難しいだろうが、国内レースの総元締めであるMFJのかじ取り如何によっては、今の様な寒々しい状況から脱する事は出来るのではないだろうか。
組織(ロードレース界の意味を含めて)というのは、トップの方針次第で、どのようにも変わる事が出来るのだ。
ヨシムラの話から脱線してしまったが、世界選手権に打って出る心意気は大いに賛同したい。
2011年はフル参戦するかもしれないが、まだ決定事項でなく今年の結果次第であろう。
フル参戦となると、スズキのファクトリー体制をどちらが担うのかも興味深い。
日本企業の義理堅さから判断すると、今までの既得権益という事でアルスターがそのままファクトリー体制を維持し、ヨシムラが独自の体制になりそうな気がするが、どうなるのかアルスターのチームオーナー、フランシス・バッタは、戦々恐々としているかもしれない。
昨年のスズキは、新型熟成過程だったので空回りする事が多く苦しんでいたが、今年のスズキGSX-Rは、昨年のデータをもとに開発が進んでいるはずだ。
しかし、先日のテスト結果を見てみるとライバル達がさらに一歩先んじている。
ここにヨシムラが、ゴッドパワーで一矢報いてくれるか期待は大きい。
ヨシムラ(2010年活動計画)
4月25日 スーパーバイク世界選手権 第4戦 オランダ(アッセン) 加賀山 就臣
6月13日 鈴鹿300Km耐久ロードレース 加賀山 就臣 ・ 酒井大作
7月25日 鈴鹿8時間耐久ロードレース 加賀山 就臣 ・ 酒井大作 ・ 青木宣篤
9月26日 スーパーバイク世界選手権 第12戦 イタリア(イモラ) 酒井 大作
10月3日 スーパーバイク世界選手権 最終戦 フランス(マニクール) 加賀山 就臣
http://www.yoshimura-jp.com/race/schedule/index.html