ブレンド日記

世の中の出来事・木馬での出来事・映画の感想・本の感想・観るスポーツ等々ブレンドして書いてみました。

「無理」を読む・・奥田英朗著(文藝春秋)・・10/14日読了

2009年10月19日 | 本の事
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 500ページ以上のどっしりとした長編。
あれよあれよという間に読み終えた。それほど面白いと言えば語弊があるかもしれないが、しっかりとした内容筋書きの群像劇なのだ。次から次へと話がつながるので本を閉じられなかったのだと思う。ただサゲ(落語じゃない。)が 思っていたよりどんでん返しがなかったのが少し不満。

中野翠がサンデー毎日で絶賛していたのもうなずける。(というか、自分の今おける立場とダブり、感情移入してしまった。)
ロバートアルトマン監督の「ザ・プレイヤー」や「ショート・カッツ」を連想させると書いてあったけど、私も本当にそう思った。
提供者のトンボに「これは面白かったよ。どうもありがとう。」とお礼を言ったら「辛口のあんたに喜んでもらって 見せてあげたかいがある。」と皮肉って笑っていたけど、これはお勧め。

物語の主人公は人物ではなくて、市町村合併して出来上がったばかりの「ゆめの市」だと思う。そしてさびれた田舎の町が脇役になっている。昭和の40年代に繁栄した駅前商店街は、見る影もなく、人気もない。
バイパス道路などで人の流れを変え その幹線道路には車でしか行けず、それだから とにかく「目立つ」それだけを使命とした建物や、看板、ノボリの数々。
「ゆめの市」はまさにそんな町なのだ。読みながらわが町と重なる。
こんな町に住んでいるから、「弱り目に祟り目」というか、人生すべて土壺にはってしまうんだぁ~と思える。

で、小説の内容について詳しく書くと、後から読む方ががっかりされるから述べないけれど、そんな限界集落の中で 一生懸命生きている5人の物語になっている。

★弱者を主張する身勝手な市民に嫌気がさしている市役所のケースワーカー。
★東京の大学に進学し、こんな町を一刻も早く出たいと思っている女子高校生。
★スーパーの保安員をしながら新興宗教にすがるさみしい48歳の女性。
★暴走族上がりで詐欺まがいの商品を売りつけてるセールスマン。
★もっと大きな仕事がしたいからと、県議に出るとこを決めている市会議員。

この物語が面白かったのは、常日頃私が謎のように感じていた不思議を、解き明かしてくれてたというところもある。
とりわけ 生活保護をめぐる話はためになるというか、考えさせられた。年金が少ないからって じゃ生活保護をなんてそう簡単にはいかないぞ!という意味で。
そして世の中の弱者という言葉の中身はこういう部分も確かにある、そう思った。

同時進行していたこれらの話がどのように収まるのか、楽しみに読んでいたら、最初に記したように、くんずほつれずおさまってしまったのでした。

奥田英朗の本が続けて読みたくなり、アマゾンで購入したのですが、まだ読んでいませんので、それはまた後日。(最悪という題名)です・・

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