ブレンド日記

世の中の出来事・木馬での出来事・映画の感想・本の感想・観るスポーツ等々ブレンドして書いてみました。

あの事件・・・

2008年03月23日 | 本の事
 この本を目にしたのは随分昔だったような。
図書館の最初の部屋の突き当たりに置いてあった。何度も読んでみようかな?と思ったけれど、なんか、読む前に大きく深呼吸をするような気持ちになるのではと思い、借りしぶっていた。
が、先日『昭和タイムズの1972(S46年)』にでていたので、借りてみることにした。そうあの連合赤軍の一連の事件の、女首謀者の本だ。

やはり サクサクと読める本ではなかった。多分そんなことだろうと思い、気持ちが揺さぶられた時に 同時平行に読もうと思って借りた 江國 香織の「きらきらひかる」

先にこの本のレビューを。
好き嫌いの別れる本だと思う。
新婦・笑子はアル中で情緒不安定、新郎・睦月は紺という名の恋人(彼氏)がいるホモの勤務医。そんな有り得ない設定の新婚生活が、笑子と睦月それぞれの視点で交互に一人称形式で綴られている。
誰もがみんな不完全でみんな痛々しくて 自分もぎりぎりなくせに、横にいる誰かを放っておけなくて 必死に支えようとしたり、不器用に手を伸ばしたり。
家族という一番小さな共同体の中で起こる、 普通じゃないけど身近な人間愛。
なんか、ここに来て 私がグッと年をとったせいか、すぐさま読むのが勿体ない、ゆっくり味わって読みたいと思えるような小説に出会えない。読み終わったあと、しばらく抱きしめていたいような本に出会えない。

でも「氷解」の合い間に読んでよかった。この本だけならきっと斜め読みして返却したかもしれない。

そしてこの永田洋子の本の事件は、もう30年以上も前のことだから、細かい事実関係については忘れているけど、それでもリンチ殺人事件で、14名の犠牲者を出した事に 私は同世代だったので、大袈裟でなく身を引き裂かれるようにショックだった。

 当時国民がみな札幌オリンピックをテレビ三昧していて、日の丸飛行隊、笠谷、金野、青地のメダル独占を楽しんだ後、引き続いてテレビ中継されたこれらの残虐な事件は、あまりに衝撃的でいまもって受け止め方がわからずにいたのだ。ひとごとではないというような気持ちかもしれない。
そのひとごとでないというような感じは、多分その後、様々な身の毛もよだつような世間を騒がせる事件が起きるたび、その首謀者と同年代のものが、感じると同じような気持ちだと思う。

今更ながら この本を読んで感じたこと。
彼らが自分達の私利私欲を求めてこれらの行動を起こしたのではなく、彼らを突き動かしていたものは、大人社会に反抗するための、ただの口実に過ぎなかったのではないか、そして自分たちがどこかで寄りすがっていたイデオロギーが駄目だから、それなら やはり世間から常識的に受け止められるように生きてゆこう、などと考えるほと、素直でなく、我々が事を起こさねば世の中は変わらない、というような若さゆえの驕りがあったのではないか。

私は思う。
今も昔も、テロにより、世直ししようという考え方は、人々に受け容れられないばかりか、世の中の崩壊や混乱や、人類滅亡を導くだけだという事を。

しかし この世の中である意味 一番残酷なものは「時」というものではないだろうか?やはり同世代でカリスマ女指導者だった日本赤軍の重信房子、年取ったね、美貌が自慢だったけど、逮捕された時の姿はすっかり変わり果てていた。年齢よりずっとおばあさんに見えた。

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