乙女高原ファンクラブ活動ブログ

「乙女高原の自然を次の世代に!」を合言葉に2001年から活動を始めた乙女高原ファンクラブの,2011年秋からの活動記録。

黄色いスミレハイキング

2021年06月05日 | 観察会

井上さんがレポートを書いてくださいました。

 

06月05日の観察交流会は乙女高原を離れ、大弛峠へ向かう途中の鶏冠山西林道を歩いて、黄色いスミレ、キバナノコマノツメの観察です。

 牧丘の道の駅に集まったのは13名。初めて参加される方も何人かいらっしゃったので、自己紹介をしてから、各自、車に乗り込み、出発しました。途中でガスってきて、視界が50mくらいになり、これはガスの中を歩かなくてはならないかなと心配しながら登っていくと柳平でガスは晴れてきました。そしてレンゲツツジが鮮やかに咲いています。林道では白い木の花が目につきました。トチノキやガマズミ、アイヅシモツケ、ウワミズザクラなどです。

 鶏冠山西林道ゲート前に到着。車を降りると、カッコウやウグイスのさえずりと新緑が初夏を感じさせます。ゲート前にはミヤマハンショウヅルが咲いていました。

 

 ゲートをくぐって、道端のシロバナヘビイチゴや背の高く伸びたセイヨウタンポポを見ながら歩き出すと、大株のミヤマハンショウヅルが花をたくさんつけていて、皆で写真撮影。オオルリやヒガラ、ウグイスなどの鳥のさえずりに耳をかたむけつつ、道端の植物(白花のクリンソウ、ヤマハタザオ、ミヤマハコベ、ミヤマスミレ、ズダヤクシュなど)に足を止めたりしながら、カラマツの植林地やミズナラなどの落葉樹林、モミなどの針葉樹林の中を歩いていきます。青空と木々の新緑がとても美しく、コロナ禍も忘れ、新鮮な空気をたっぷり吸いました。エゾハルゼミも鳴きはじめました。

 途中、キシャヤスデを発見。この虫は落葉や腐植層を食べて土を作り、森を豊かにしてくれます。8年ごとに出現するのですが、昨年秋に乙女高原や、その他いろいろなところでも出現したのを見ました。そして大発生の翌年5、6月頃に交尾のためにもう一度現れると聞いていたのが、ここで見られたのでちょっと嬉しかったです。これから産卵して、新しい世代が土の中で成長し、7年後に現れてくれることでしょう。

 金峰山修験道の名残の祠があるちょっと平らになった所で小休止。スミレの葉を食べているヒョウモンチョウの幼虫がいました。黒くて枝分かれしたトゲトゲがいっぱい。(帰宅後調べたら、ミドリヒョウモンのようです)

林の中にマムシグサの仲間が5本まとまって咲いています。黄緑色で葉は対生で2本つき、掌状に5列していて、普通のマムシグサとは違うようです。(家に帰って調べたら、ユモトマムシグサのようでした)植原さんがマムシグサの仲間の不思議な生態をレクチャーしてくれました。雌雄異株ですが、栄養状態によって性転換することもある、雄株から花粉を運んだ虫は雌株に受精するとそのまま花の中から出られないなど、おもしろいけどちょっと怖い。

 その先では、メボソムシクイのさえずりも聞こえ、亜高山帯に来たことが感じられます。苔むした斜面にツバメオモト、イワセントウソウ、イチヨウラン、タケシマラン、オサバグサなどの花が咲いていました。今年はイチヨウランやツバメオモトがたくさん見られました。

木の間ごしに八ヶ岳や金峰山の五丈岩が見えました。双眼鏡で覗くと金峰山の頂上に人がいるのも見え、盛り上がりました。道端にアミガサタケが数本でているのも見ました。見た目はグロテスクだけど、おいしいのだとか。

 昼過ぎにキバナノコマノツメが群生する標高2000m近い渓流に到着。昨年よりも少ないという声もありましたが、たくさん咲いていました。林道の下の方にも咲いています。種子が流れて広がっているようです。ここで昼食。雲で富士山は見えませんが、近くの山はよく見えます。今年は春が異常に早く、花なども早く咲いてしまいましたが、この場所も例年より少しだけ季節が早いようです。近くに見える山のダケカンバ、昨年は芽吹き前で白い幹が目立ちましたが、今年は新緑でした。ホトトギスやジュウイチの声も聞こえてきました。キバナノコマノツメをアップで、望遠でと、各自思い思いに写真撮影をしたり、眺めたりして、帰路に向かいました。

 行きに見た花をもう一度見たりしながら下りました。途中でまだ開いていないミヤマハンショウヅルがあり、丸いつぼみに触ってみると意外と硬く弾力があってびっくり。行きには気づかなかったツリバナの花も。帰り道は長く感じられましたが、3時前にゲートの所に到着し、解散となりました。

 気持ちのよい新緑の中、たくさんの鳥のさえずりを聞きながら、いろいろな花やたくさんのキバナノコマノツメ、チョウなどの虫もいくつか見ることができた楽しい観察会でしたが、気になったのは、笹が枯れ始めていること、シカによるモミなどの皮はぎの食害。この先、森はどうなっていくのか、心配です。今後も継続して観察をしていきたいです。

 

(追記 植原) 帰り道、あまりにもプラスチックゴミが目に付くので、ゴミ拾いをしながら歩きました。林業の施業で使ったと思われる赤と青のビニールテープが一番多く、そのほか、食べ物の包装に使われたビニールや空き缶がありました。つぶれたペットボトルも2つ。井上さんも一緒に拾ってくださり、結局、ゴミはレジ袋(この言葉ももうすぐ死語になりそうですね)3袋分になりました。ゴミは1個拾えば、必ず1個自然の中からなくなります。一番簡単な自然保護活動です。

 

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