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乙女高原ファンクラブ活動ブログ

「乙女高原の自然を次の世代に!」を合言葉に2001年から活動を始めた乙女高原ファンクラブの,2011年秋からの活動記録。

訪花昆虫調査6月

2024年06月15日 | モニタリング調査
 今年2回目の訪花昆虫調査は賑やかでした。参加者は11人。プラスアルファ山梨CATVの取材がありました。

 みんなで自己紹介をした後、高槻さんから調査方法の説明がありました。説明が終わったと思ったら、高槻さんがバッグから何か取り出しました。まずは女性が頭に付けるカチューシャ・・・から2本の針金?が伸び、その先にかわいいポンポンが付いています。「これは・・・井上さんがいいなあ」と井上さんに付けていただきました。井上さんには、ピロピロ笛も渡しました。ピロピロ笛は吹くと伸び、吹くのを止めるとクルクルッと巻き戻りますよね。これはチョウチョを表しています。

高槻さんご自身は、マスク・・・に何か仕掛けてあるものを取り出し、付けました。「私はハエです」。マスクに付いていたのは、ハエの口(の手作り模型)。人間の魂がハエに転送してしまうというSFホラー映画「ハエ男の恐怖(原題The Fly)」がありましたが、そんな感じです。コロナウィルス流行時に多用されたフェイスガードにマジックペンで「サングラス」が描かれたものも装着。ハエの目です。

さらに、紙皿で作った「浅い花」とペットボトルで作った「深い花」も取り出しました。もうわかりましたね。ハエの口では「浅い花」からは蜜が吸えても、「深い花」では口が届きません。一方、チョウチョの「ピロピロ笛」細長い口だと「深い花」でも蜜が吸えます。そのような花と昆虫の関係が、この調査からわかってくる・・・という説明のための小道具だったわけです。楽しかったですよ。


 その後、5チームに分かれ、それぞれ巻き尺・ペグ・折り尺・記録用紙・調査マニュアルなどを持って、担当の遊歩道を歩きながら、花を訪れる昆虫を探し、記録していきました。遊歩道に沿って巻き尺を伸ばし、往路で遊歩道の右側2mの訪花の様子を記録し、復路は遊歩道の反対側を調べます。それが終わると、巻き尺を巻き取り、次の区間に進みます。
 2023年の記録を見ると、6月90データ、7月299データ、8月2,268データ、9月1,297データですから、8月とその前後の調査は大変になりそうですが、6月は「楽勝」です。案の定、今回は調査員も多かったこともあって、午前中で終わってしまいました。次回からは記録するデータも多くなります。ぜひご参加ご協力ください。

訪花昆虫ではありませんが、こんなシーンも。

アヤメが咲き始めていました。


なお、乙女高原ファンクラブで行っている2018~2023年の訪花昆虫調査ですが、調査日のべ21日、参加人数のべ103人です。

訪花昆虫調査 5月

2024年05月18日 | モニタリング調査
 参加された渡辺さんがレポートを書いてくださいました。
 指導してくださった高槻さん、ありがとうございました。この日、高槻さんに乙女高原フェロー認定書をお渡ししました。

 花と昆虫の関係を知るために、乙女高原では定期的に花に来る昆虫の調査をしています。結果、シカ柵設置後に花の増加と連動して昆虫も増加したことなど、多くの貴重なデータを得ることができました。データの取得は手間と時間がかかる作業なので調査の参加に二の足を踏んでいましたが、乙女高原の生物多様性を維持するためには必要な活動だと考え、今回初めて参加することにしました。

 今回の調査の参加者は6名です。ロッジ前であいさつをして2名ずつのグループに分かれ、それぞれ、森、草原、ツツジの各コースを担当します。私は初めての参加なので、ベテランの植原さんと一緒に、記録方法を教えてもらいながら、草原のコースで活動することにしました。ロッジ前の気温は10時時点で17℃、日差しは強く感じることはないので作業は快適に進められそうです。

 草原のコースの調査範囲はシカ柵のゲートから草原の斜面の最上部までの約350mの区間です。距離の測定で使用する巻き尺が100mなので、草原のコースを下部、中間部、上部に区分し、区分した各遊歩道の左右2m以内の範囲を観察し、花を訪れていた虫がいた場合には、「測定起点からの距離」「花の種類」「虫の種類と頭数」を記録します。虫の種類までの判別が難しい場合には、例えば「甲虫」などわかる範囲で記載します。植原さんが観察係、私が記録係を分担し作業を進めることにしました。

 まずは下部から調査を始めます。5月中旬なので、まだ草原に咲く花の数や種類は少ないのですが、それでも花の蜜を求めて虫が集まってきます。「キジムシロ」「ミツバツチグリ」には「甲虫」が多く集まり、「ハエ」「ハチ」「アブ」「ガ」は少数派です。

甲虫の種類では、ほとんどが「モモブトカミキリモドキ」または「ルリマルノミハムシ」でした。せっかくの機会なので、甲虫の特徴を後でじっくり観察するために数頭だけ捕獲しました。

今回は花や虫が少ない時期なので記録頻度が高くなく、作業としては忙しくなかったのですが、虫が多い夏場は大変だろうなと思いました。実際、植原さんは夏場に観察と記録を一人でやったことがあるそうで、その時の感想を「居残りで宿題をやらされている感じ」と表現していましたが、まさにそうかもしれません。

 中間部の調査でも、虫が訪れる花は「キジムシロ」「ミツバツチグリ」のみで、虫も「甲虫」「ハチ」「アブ」「ガ」と下部と似たような傾向です。花には「クモ」もいましたが、目的は花ではなく、花に近づく虫の捕食が目的の可能性が高いと判断し、記録には入れませんでした。記録には残りませんが、「クモも生きるためにいろいろと知恵を絞っている」ことは記憶に残ることでしょう。中間部での調査が終わる頃になるとおなかがすいてきました。時計を見ると間もなく12時になります。一生懸命だったので昼食のことを忘れていたのですが、体の反応は正直です。上部の調査を残して、昼食のため一旦ロッジへ戻ることにしました。

 他のメンバーもロッジに戻ってきたので、日陰のテーブルで昼食にしました。昼食後はいつものようにお菓子やフルーツの差し入れを口に運びながらのおしゃべりタイムです。植原さんが、調査中に捕獲した「甲虫」をテーブルに出し、「モモブトカミキリモドキのオスは足の付け根が太い」とか「ルリマルノミハムシのジャンプ力がすごい」など興味深い話をしてくれました。ロッジ前に「シカの頭骨」が放置されていました。おそらくキツネなどの動物が運んできたものでしょう。興味のない人にとっては「無理っ」と目をそむけたくなる光景でも乙女高原ではごく当たり前のことなのでだれも驚きません。早速、植原さんと高槻先生は、頭骨を前にして座り込み、検視官の如く調べていました。あまり長く休憩すると残りの調査に影響が出そうなので、話の区切りの良いところで腰を上げ、各々のコースへ向かいました。

 草原のコースの上部では、「ミヤマニガイチゴ」「キジムシロ」「ミツバツチグリ」に「甲虫」が訪れていました。その他に「フデリンドウ」「サクラスミレ」も咲いていたので虫が来ないか期待していたのですが、叶いませんでした。草原のコースの上部の調査は14時前に終了しました。

 ロッジに戻る前に展望台へ一人で富士山を見に行きました。富士山はやや霞んではいましたが良く見えました。森のコースを下り、植原さん、井上さんと合流し、初春から観察継続中の「植物の芽」を観察しました。芽や葉が大きくなるにつれ、植物の種類の判別に自信が持てるようになってきましたが、依然としてわからないものも多くあり、花が咲くまで楽しみは尽きそうにありません。観察を終えロッジに戻って機材の片づけた後、記念写真を撮って解散しました。

 今回の調査では、花や虫の数が少なかったので、6名の人数でも当日だけで調査を終えることができましたが、夏の調査では、さらに多くの人と時間が必要だと感じました。花と虫の関係を知るだけでなく、虫の営みを直接見たり知ったりすることができる絶好の機会なので、ぜひ多くの人に調査に参加してもらいたいと思います。

草原に出て来た草の芽はどう生長する?プロジェクト

2024年05月05日 | モニタリング調査
4月、みんなで草原を観察していて、「この芽はだれかなあ」「うーん、わからん」ということが多くて、「札でも付けて、継続観察すればいいよねー」というアイデアが生まれました。そこで、出て来た芽に札を付けて、継続的に写真を撮り、記録することにしました。「 札付きの植物」たちです!! でも、悪い子たちじゃないですよ。

こんな感じです。全部で21の「札付き植物」。一つ目が4/25、二つ目が5/5の写真です。5/5には各植物の草高(植物を引っ張ったりしないで、そのまま自然の状態で地面からの高さを測る)も測定しました。


No.1


 草高9cm
植原の予想・・・ホタルサイコ

No.2

 草高17cm
植原の予想 タムラソウ

No.3

 草高7cm
植原の予想・・・? ? ?

No.4

 草高4cm
植原の予想・・・ツリガネニンジン

No.5

 草高7cm
植原の予想・・・? ? ?

No.6

 草高2cm
植原の予想・・・アザミの仲間 ?

No.7

 草高14cm
植原の予想・・・クガイソウ

No.8

 草高9cm
植原の予想・・・スミレ

No.9

 草高11cm
植原の予想・・・シシウド

No.10

 草高5cm
植原の予想・・・マルバダケブキ

No.11


 草高17cm
植原の予想・・・???

No.12

 草高5cm
植原の予想・・・???

No.13

 草高6cm
植原の予想・・・???

No.14

 草高10cm
植原の予想・・・カラマツソウ

No.15

 草高5cm
植原の予想・・・ヤマラッキョウ 細長い方です。

No.16

 草高6cm
植原の予想・・・キリンソウ

No.17

 草高5cm
植原の予想・・・メマツヨイグサ

No.18

 草高9cm
植原の予想・・・アザミの仲間?

No.19

 草高6cm
植原の予想・・・アザミの仲間?

No.20

 草高12cm
植原の予想・・・オトギリソウ

No.21

 草高13cm
植原の予想・・・キオン

ヤマアカガエル産卵調査

2024年04月21日 | モニタリング調査
 4/21午前9時、道の駅「花かげの郷まきおか」集合。もうさっそく自然観察です。電柱のてっぺんに、聞き慣れない声の鳥。見てみたら、イソヒヨドリのオスでした。その子が飛んで行った先に、2羽イソヒヨドリがいて、そこに突っ込んでいきました。瞬間的なことだったので、その2羽の性別はわかりませんでした。
 集まったのは5人。さっそく乙女高原に向かいました。林道脇ではヤマブキがきれいでした。センダイムシクイ、オオルリ、キビタキと夏鳥たちの声が車窓から飛び込んできます。「今年も来てくれたか―」とうれしくなりました。

 周囲にハシリドコロが咲いている通称「カエル池」は、卵は以前のままですが、だいぶ干上がってしまい、水は底にちょっぴりあるだけ。そんな中、おたまじゃくしがうねうねと動いていて、可哀そうです。

 帰ってからカエル池でのヤマアカガエル産卵記録を整理してみました。2010年からカエル類の産卵調査を始めたのですが、毎年、たくさんの卵が見られました。2010年から2020年までで、一番多かった年は2014年の26腹、一番少なかった年は2013年の8腹、平均で14腹です。ところが、2020年8月、カエル池のすぐ脇で山梨県がボーリング調査を行って以降、水が抜けてしまうようになりました。2021年は7腹、2022年も7腹、2023年は9腹と、少なくなった水にもカエルは産卵のために来ていましたが、いずれも卵またはオタマジャクシは干上がってしまいました。今年も4/15に3腹を初認しましたが、おそらく今年も干上がってしまうのではないかと思います。

 みんなで「カツラ・ポイント」に寄りました。ここはきれいな沢が流れていて、そこにおっきなカツラの木があり、いろいろな野草に出会える、とても魅力的な場所です。

 個人的には、ここで、しばらくヤマエンゴサクに夢中になってしまいました。メルマガ前号で「ヤマエンゴサクは、ヘビの口みたいに上下に大きく開く」ことを紹介しましたが、それをスケッチしたかったのです。まず、花に目を近づけてよく見ると、あれ、花のお尻に穴が開いています。しかも全部!! 前回4/15には見られなかったことで、おそらくその間に「誰か」がここから蜜を盗んだに違いありません。犯人は誰(たぶん虫)なのでしょうか。
 一つだけ花を失敬し、フィールドノートの上に置いてスケッチしました。次に、「へびの口を開けた」状態でスケッチしようと、口を開けさせようとして、2度目のびっくり。なんと、開いた口の上の部分も、上下に開くのです!!ちょうどヘビの鼻あたりに、もう一つの口があるイメージです。しかも、この「第2の口」が開くと、口に連動して垂直だったカバー(?)も一緒に下がり、中から雄しべの葯らしきものが出てきたのです。もうびっくりです。
 「これは、もう、ヤマエンゴサクに虫が訪れている現場を絶対に見てみたいな」と思いました。


 さて、調査ポイントになっている乙女高原の3つの湿地を順番に訪ねました。
 湿地Aでは、新しい卵塊を1腹見つけました。4/2に見つけた5腹は行方不明です。順調であればオタマジャクシになっているころです。4/7に見つけた1腹はオタマジャクシになって、元気に泳いでいました。

 湿地Bでは、新しい卵はありませんでした。以前見つけた卵の中には藻に囲まれて(?)緑色になっているのもありました。もうすぐオタマジャクシになりそうくらいに育っていました。
 湿地Cでは4/15にかたまって4腹見つかった地点から少し離れたところで、新たに1腹見つかりました。以前の卵はだいぶ発生が進んでいました。


 お昼を食べて、さあ、草原の中を歩き回ろう・・・というタイミングで冷たい雨が降り出したので、やむなく観察を終了させ、たくさんの卵塊が見られる焼山峠の湿地に寄って、今日の調査を終了しました。

ヤマアカガエル産卵調査

2024年04月21日 | モニタリング調査
 4/21午前9時、道の駅「花かげの郷まきおか」集合。もうさっそく自然観察です。電柱のてっぺんに、聞き慣れない声の鳥。見てみたら、イソヒヨドリのオスでした。その子が飛んで行った先に、2羽イソヒヨドリがいて、そこに突っ込んでいきました。瞬間的なことだったので、その2羽の性別はわかりませんでした。
 集まったのは5人。さっそく乙女高原に向かいました。林道脇ではヤマブキがきれいでした。センダイムシクイ、オオルリ、キビタキと夏鳥たちの声が車窓から飛び込んできます。「今年も来てくれたか―」とうれしくなりました。

 周囲にハシリドコロが咲いている通称「カエル池」は、卵は以前のままですが、だいぶ干上がってしまい、水は底にちょっぴりあるだけ。そんな中、おたまじゃくしがうねうねと動いていて、可哀そうです。

 帰ってからカエル池でのヤマアカガエル産卵記録を整理してみました。2010年からカエル類の産卵調査を始めたのですが、毎年、たくさんの卵が見られました。2010年から2020年までで、一番多かった年は2014年の26腹、一番少なかった年は2013年の8腹、平均で14腹です。ところが、2020年8月、カエル池のすぐ脇で山梨県がボーリング調査を行って以降、水が抜けてしまうようになりました。2021年は7腹、2022年も7腹、2023年は9腹と、少なくなった水にもカエルは産卵のために来ていましたが、いずれも卵またはオタマジャクシは干上がってしまいました。今年も4/15に3腹を初認しましたが、おそらく今年も干上がってしまうのではないかと思います。

 みんなで「カツラ・ポイント」に寄りました。ここはきれいな沢が流れていて、そこにおっきなカツラの木があり、いろいろな野草に出会える、とても魅力的な場所です。

 個人的には、ここで、しばらくヤマエンゴサクに夢中になってしまいました。メルマガ前号で「ヤマエンゴサクは、ヘビの口みたいに上下に大きく開く」ことを紹介しましたが、それをスケッチしたかったのです。まず、花に目を近づけてよく見ると、あれ、花のお尻に穴が開いています。しかも全部!! 前回4/15には見られなかったことで、おそらくその間に「誰か」がここから蜜を盗んだに違いありません。犯人は誰(たぶん虫)なのでしょうか。
 一つだけ花を失敬し、フィールドノートの上に置いてスケッチしました。次に、「へびの口を開けた」状態でスケッチしようと、口を開けさせようとして、2度目のびっくり。なんと、開いた口の上の部分も、上下に開くのです!!ちょうどヘビの鼻あたりに、もう一つの口があるイメージです。しかも、この「第2の口」が開くと、口に連動して垂直だったカバー(?)も一緒に下がり、中から雄しべの葯らしきものが出てきたのです。もうびっくりです。
 「これは、もう、ヤマエンゴサクに虫が訪れている現場を絶対に見てみたいな」と思いました。


 さて、調査ポイントになっている乙女高原の3つの湿地を順番に訪ねました。
 湿地Aでは、新しい卵塊を1腹見つけました。4/2に見つけた5腹は行方不明です。順調であればオタマジャクシになっているころです。4/7に見つけた1腹はオタマジャクシになって、元気に泳いでいました。

 湿地Bでは、新しい卵はありませんでした。以前見つけた卵の中には藻に囲まれて(?)緑色になっているのもありました。もうすぐオタマジャクシになりそうくらいに育っていました。
 湿地Cでは4/15にかたまって4腹見つかった地点から少し離れたところで、新たに1腹見つかりました。以前の卵はだいぶ発生が進んでいました。


 お昼を食べて、さあ、草原の中を歩き回ろう・・・というタイミングで冷たい雨が降り出したので、やむなく観察を終了させ、たくさんの卵塊が見られる焼山峠の湿地に寄って、今日の調査を終了しました。