アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

「見た目健常者」の憂鬱

2024年06月09日 | Weblog
 中途障害者歴1年半。今だから「感じること」「見えてきたもの」もあります。そのほとんどが人権に係わるのですがね。
 入手できる情報のほぼ100%が、マスメディアから。暮らしの中で、「家族、医療関係者以外の人」と会話することは、ほぼ皆無です。五十年来の旧友はおりますが、新しい友達はおりません。悲しいかな、友達をつくろうとも思わない。億劫なのです。これって、高齢障害者の典型なんじゃないかなぁ?
 おっと、自分が億劫だから「ほかの人も同じだろう」と考える。これこそが「老害」の一典型かな。

 私など、「外見で障害者だと分かっていただける(両方の下肢がない。義足もつけていない)のですが、障害者が、「障害者であることに気づいてもらえないこと」がよくあるようです。どれくらいよくあるか、統計などとりようもありませんがね。
 外見からは障害者だと気づかれず「心ない言葉をかけられてしまう」。あってはならないことだとは思いますが…。

 事故で右手と両足を失った31歳の男性。障害等級は、1種1級。外出時には義足を使っておられる。会社員で、電車通勤。
スーツ姿で電車の優先席に座っていたこの男性に、女性の乗客が声をかけた。
「ここはあなたが座る席じゃない。違う席に移りなさい」
 義足に気づかなかったため、健常者が優先席に座っていると勘違いしたわけ。男性が障害者手帳を見せたところ、女性は、電車内に響き渡る大きな声で謝ったという。この女性、間違いに気づき即座に謝った。この点は評価できます。だけどその前に、右手と両足…気づいてほしかったですがね。謝ったので、「人権を守る姿勢が身についた人」とは思いますが。

 難病(マルファン症候群 障害2級)で、障害者手帳を交付されている青年。外見は、2mちかくもある高身長というだけで、障害者とはわからない。その青年がタクシーに乗りました。料金支払いの時、市から交付された「障害者用タクシー券」を使おうとしました。運転手は突如気色ばみ、怒りを込めて言いましたねえ!
「この券は障害者でなければ使えないんだ!」
 前後の状況が分からないので、運転手に一方的に非があるとは言えませんが、青年になんの罪もないことだけはたしか。「見た目健常者」の障害者は、どこに伏兵がいるかにも注意を払わなければなりません。
 実はその青年、私どもの親戚筋の人。一枚も使用していないタクシー券の束を、「使って下さい、もうこりごり。ボク使いませんから」と、私にくれました。


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