オレンジな日々

広島在住のシンガーソングライター&ピアニスト
三輪真理(マリ)のブログです。
音楽大好きな日常を綴っています。

ホンキの作曲術(基礎編)~(3)歌詞を作る

2014-10-05 | 作曲術

毎度『ホンキの作曲術』におつきあいいただいてありがとうございます。
毎日1回分ずつ記事をUPしていますが、UPしたあとで「あ、これも書いておくんだった」と思うことも多いです。
どうしても気になる場合は追記をしていますので、一度読んだ記事も振り返って読んでみてもらうとありがたいです。
宜しくお願いします。


今日は基礎編のその(3)「歌詞を作る」です。
人によって作曲が得意な人、作詞が得意な人それぞれだと思いますが、ソングライターなら「詞先」「曲先」どちらでも曲が作れた方が断然いいわけです。
多くの人に愛され続ける歌はやっぱり優れた歌詞になっています。
作詞のために大切なことを書いてみたいと思います。


まず、テーマを持つ。
やっぱり作詞に大切なことも「骨格」です。
何の歌を作るのか。それはとっても大切。
恋愛ソングなのか応援ソングなのか感謝の歌なのか社会批判なのか・・。
何のメッセージを伝えたいのかがはっきりしてないと聴く人にもしっかり届きません。もちろんナンセンスソングなんてのもそれはそれでアリですけどね。


例えば恋愛ソングならどういう関係の2人がいてどんな恋愛をしているのか主人公の性格、相手の性格など、物語の背景などをある程度想像しやすいことは大事です。


何歳くらいなのか、ネアカなのかネクラなのか、片思いなのか、恋愛まっただ中なのか、別れそうなのか、失恋した後なのか・・etc。
そうやって、できるだけ聴く人が感情移入しやすいようにしてあげることです。
自分と重ね合わせて「わかる~」「私もそう思う」になると、それはまた聴きたい曲になります。


「序破急」や「起承転結」を意識する。
やっぱり物語には流れが必要。
1番では何を歌い、2番では何を歌い、そして結論はどうなるのか、どう盛り上げるのか。
そしてもちろん曲の骨格と歌詞の骨格がちゃんとかみ合っていることが大事です。
物語の盛り上がりとメロディの盛り上がりがちぐはぐな印象にならないように気をつけたいところですね。


小道具をうまく使う。
小説でも映画でもそうですが、印象に残る曲には必ずカギになる小道具が出てきます。
目に見えない音楽や言葉の世界を目に見える物にしてくれるのが小道具です。
歌詞の中にできれば誰もが「イメージできる具体的なモノ」を入れましょう。
それによってその人の心にぐっと迫る曲になります。


「坂道」「空」「ひこうき雲」(荒井由実『ひこうき雲』)
「かぶとむし」「メリーゴーランド」(aiko『カブトムシ』)
「やかん」「紅茶」「歯ブラシ」(槙原敬之『もう恋なんてしない』)
「茅ヶ崎」「波」「湘南」(サザンオールスターズ『勝手にシンドバッド』)
「踏み切り」「ベルト」「ラジオ」「望遠鏡」(BUMP OB CHIKEN『天体観測』)


いかがですか?
歌詞にどんな小道具が入ってるかがアーティストのキャラクターを決めていると言ってもいいくらいですよね。


目的を明確にする。
このメッセージを伝える目的は何か?これがあるとないとでは曲の訴求力が違います。信念がある歌は何かをちゃんと曲が訴えてきます。
「一体何が言いたいの?」がよくわかることが大事です。


余韻を残す。
ここまではっきりさせておきながらわざと物語に余白を残す。
「このあと二人は一体どうなるんだろう?」
と、未知なる部分を残すのも1つのテクニックです。
これは聴く人にその物語の続きを考える想像の自由を残し、聴く人の記憶にひっかかる曲になります。そうするとその曲は聴く人自身の歌、「聴きたい歌」から「歌いたい歌」になっていきますね。


以上、歌詞を作る際のポイントを書いてみました。
あなただけの世界観が表現された極上の歌詞が作れたらいいですね。


そして次回はいよいよ基礎編の最後です。
あなたの曲を美しくする最終段階(4)整形(シェイプアップ)です。





ホンキの作曲術(基礎編)~(2)メロディを作る

2014-10-04 | 作曲術

ホンキの作曲術(基礎編)その(2)は「メロディを作る」です。
巷にあふれた曲にはたくさんのメロディがあります。
そんな中でもパッと聴いただけで耳を奪われる印象的なメロディってありますよね。


印象的なメロディ、これも「シンプル」が基本。
シンプルなメロディは譜面にした時に「きれい」な形をしています。
それは1つのリズムやフレーズのパターンを繰り返すものが多いです。
1つのフレーズが思い浮かんだらそれをリズムでも音程でも「繰り返す」ことをやってみましょう。
繰り返すことで1つのメロディはその印象を強めます。


次に重要なのはコード進行。
これはメロディと一緒に思いつくことが多いと思います。
ブルース進行、II-V-I-VI 進行、クリシェ進行、IV−I 進行、V-I 進行、VI-II-V-I 進行、I-V-VI-III(カノン進行)・・・などなど名前のついたコード進行も多いですね。


人によってはこういう決まったコード進行をループしながらメロディを作る人も多いはず。
だけど「あれもあり」「これもあり」のうちは「いいメロディ」とは言えません。
「これしかない」というメロディが浮かんだらそれがホンモノです。

調性を考える。
曲作りの上で欠かせないのはコード進行ですが、同じくらい大事なのは調性(キー)です。
全体の調性は、歌ものの場合は歌いやすさ楽器の弾きやすさもありますが、それぞれの調の持つ特性を少し意識すると曲の印象をさらに強めることが出来ます。
そしてAメロ、Bメロ、Cメロを長調で作るか短調で作るかでも曲の印象はかなり変わってきます。


A(長調)−B(短調)−A(長調)「さとうきび畑」(森山良子(寺島尚彦作詞・作曲))
A(短調)−B(長調)−C(短調)「異邦人」(久保田早紀)
A(長調)−B(短調)−C(短調)「ロビンソン」(スピッツ)


このように長調と短調をうまく組み合わせることによって曲の印象をカラフルにすることができます。
単調になって聴く人を退屈させないことは大切なことです。


余談ですが、私が昨年から取り組んでいるタンゴの曲は必ずといっていいほど1曲の中にどんどん同主転調が出てきます。2分くらいの曲なのに長調になったり短調になったりめまぐるしく曲が展開します。
タンゴの生まれた国のお国柄。
アルゼンチンの人は気が変わりやすいのかな~と思います。


コード進行についてもっと知りたい人に以下に参考ページを載せます。
 コードについて学ぶ(YAMAHA)  
 コード進行パターン集
 コードの基本パターン集


自分の好きな曲のメロディやコード進行のパターンそして調性を書き出してみましょう。自分なりの「好み」がわかってくるかもしれませんね。

昨日はベーシストの西本さんとお話ししたのですが、そんな中に西本さんの1つの名言がありました。
「ベースがコードを支配する」
おお!!まさにその通りかもー。曲作りで大事なのは「コード」<「ベース」かもしれませんね。


上のIIとかIとかはカデンツで使われる和音記号ですが、Iをド、IIをレ、IIIをミ、IVをファ、と置き換えてメトロノームをならしながらベースラインを弾いてみましょう。
メロディが浮かんできませんか?


あなたの中からたった1つのあなただけのメロディが浮かび上がってくる。
リズムやベースやコード進行はその「呼び水」です。 


作曲本~メロディーが歌になる~
野口 義修
シンコーミュージック


この本は私がYAMAHAのソングライター養成通信講座でお世話になった野口義修(のぐちよしのぶ)先生の書かれた作曲のためのノウハウ本です。とってもわかりやすく書かれています。
これから曲作りをしてみたいと思ってる方におすすめです。ぜひ読んでみて下さい。


最後に余談ですが、歌い出しのメロディで1小節目に休符がくると弱気な印象、1小節目よりも前にくると(アウフタクト)、強気な印象を与えます。私の曲はこのアウフタクトが圧倒的に多いです。つまり強気です(笑)。


アウフタクトの曲はメロディがコードを支配して、休符から始まる曲はリズム(コード)がメロディを支配している感じをがしますね。1小節目の1拍目からジャストで始まるか、アウフタクトで(1小節目より前から)始まるか、休符から始まるか、メロディのスタートをいろいろ変えてみると雰囲気が変わるので試してみましょう。



ホンキの作曲術(基礎編)~(1)骨格を意識する

2014-10-03 | 作曲術

昨日の予告通り「ホンキの作曲術」さっそくスタートしますね。
まずはその(1)骨格を意識するです。


まず世の中に流れる曲をいろいろ聴いていると、人に覚えられる曲とすぐに忘れられてしまう曲がありますね。
人に覚えられる曲とは人に伝えやすい曲。
つまり基本的にシンプルな曲です。


物語に「起承転結」「序破急」など形があるように、音楽にも形があります。
ポップスの楽曲の多くはだいたい「二部形式」か「三部形式」になっています。
二部形式は、Aメロ−Bメロ(サビ)
三部形式は、Aメロ−Bメロ−Cメロ(サビ) または
      Aメロ-Bメロ(サビ)-Aメロ ですね。 
これを基本にしてそこにメロを入れていくと自然に曲がまとまります。


作りやすいパターン【その1】
イントロ−1番(A-A-B)−2番(A−A−B-B)−間奏−ソロ(A-A)−B−3番(A−A−B)−B−B−B−エンディング
例えばこれはビートルズの「Let it be」。


作りやすいパターン【その2】 
イントロ−1番(A−B−C)−間奏−2番(A−B−C)−D(ブリッジ)−C
そしてあの有名な「アナ雪」の「Let it go」の骨格はこれです。


このように基本の骨格を意識して曲を作ると文字通り「ホネのある曲」が作れます。
こういう曲はどのようなアレンジを施しても聴く人にわかりやすい印象を与えることができます。


皆さんもご自分の曲をこのパターンに当てはめてみて下さい。
Aメロ、Bメロ、Cメロ、Dメロ、・・とメロディが次から次に出てくる曲は「わかりにくい」印象を与えてしまいます。
「わかりやすく覚えやすい。」
キャッチーなオリジナル曲を作る時の第一歩です。


今回は以上です。いかがでしょうか?
読んでもらったらおわかりの通り記事の中にはたまに音楽の専門用語が出てきます。いわゆる「シーメー」とか「ツェーマン」とかいう業界用語ではないですよ(笑)。
ググってもらえばわかる範囲ですが、もしわからなかったらどしどしご質問くださいね。


「ホンキの作曲術」は基礎編、応用編それぞれ1~4回と最後のまとめの全9回で終了予定です。

基礎編
(1)骨格を意識する
(2)メロディを作る
(3)歌詞を作る
(4)整形(シェイプアップ)する
応用編
(1)組み合わせる
(2)アクセントをつける
(3)転調する
(4)イントロ、間奏、エンディングにひと工夫
まとめ

UPしてるうちに補足記事も載せていくかもしれませんね。
次回は基礎編その(2)メロディを作るです。どうぞお楽しみに。


そして、ここから追記です。
「ホンキの作曲術」の内容を実際に音を聴きながら解説する「ホンキの作曲術~実践セミナー&ワークショップ」を11月16日(日)にオクトパスで開催しようということになりました。
曲作りに悩んでる方、もう一段階次のステージに自分の曲を持ち上げてみたい方、あるいはこれから曲を作ってみたい方のためにQ&Aを交えながらベーシストの西本さんと私が解説します。
中高生から大人の皆さんまで、どうぞご参加ください。
プログラムは追ってご紹介しますね。どうぞお楽しみに。




ホンキの作曲術

2014-10-02 | 作曲術

作曲歴はそろそろ40年を越えます。
生まれて初めて作曲したのは確か幼稚園の年長の時だったので5歳ですよね。
その時の曲、今も覚えてます(笑)。


作曲についてはあまり語ったり教えたりしたことはなかったんですが、これまでに自分が会得してきたノウハウをたまには人に教えてみてもいいかなと思うようになりました。こういう話を聴いて1人でも曲作りに興味を持ったり、これまでの悩みが晴れる人がいたらいいかなと。


「思い出の写真をムービーでスライドショーにして、自作の曲をつけたい」
「自分の感動を歌にして残したい」
「学校や幼稚園、クラスでみんなで歌える歌を作りたい」
「自分のメッセージを誰かに歌で伝えたい」
「死ぬまでに1曲は、自分の代表曲と言える曲を作りたい」


基本的に作曲なんて自由ですが、これくらいのことを知ってたら「ちょっと印象に残るカッコイイ曲が作れるかもしれません」というヒントも合わせて伝えたいと思っています。
まあ「カッコイイ」の基準もひとそれぞれですけどね。
ジャンルに関係なく「骨格」のしっかりした曲作りをしたい人にそのコツのようなものを伝えたいと思っています。


とりあえず明日からちょっとずつ曲作りについて書いてみたいと思います。
お楽しみに。