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愛知13区(安城市・刈谷市・碧南市、知立市、高浜市)
衆議院議員 おおにし健介

「<スピリチュアル>はなぜ流行るのか」

2007年04月25日 | 書評
「<スピリチュアル>はなぜ流行るのか」 PHP新書 磯村健太郎

 先日、友人の一人が「江原さんの本を読んで心洗われた」と言うのを聞いてびっくりしました。というのも、その友人はどう考えてもそういうタイプではなかったからです。
 世は空前のスピリチュアル・ブームです。ブームの申し子である江原啓介氏もテレビ番組で引っ張りだことです。このスピリチュアル・ブームという社会現象の背景にあるものに考察を加えたのが本書です。

 政治の世界に身を置いてからというもの、「何が人をひきつけ、動かすのか」というのは、それがマーケティングであれ、宗教であれ私の最も関心の高いテーマの一つです。

 本書が、とても興味深かったのは、スピリチュアルというものを守護霊云々というものに限定せず、それこそ自己啓発からロハス・ブームまで広く捉えている点です。

 特に、私がポイントだと思ったのは、スピリチュアル・ブームを「『液状化する』宗教が社会のいたるところにしみだしている」と捉えているところです。

 スピリチュアルの根底にある「自己を超越した大きなものとつながっている感じを持ちたい」、「生の本質的痛みをケアして欲しい」というニーズに応えてきたのは従来は体系化された宗教でした。
 しかし、スピリチュアルに向かう人の多くは、教えをいただくスタイルの宗教を好まず、入信することで縛られることを嫌っているのです。宗教的信念の読み取りも、出入りもそれぞれの自由に任されている宗教的なるものがスピリチュアルなのです。

 つまり、ここで重要なのは、根底にある人々の欲求は変わらない一方で、既存の宗教がそれに応えていない状況があるということです。
 これは政治も同じではないでしょうか。「政治を変えて欲しい」と思う一方で既存政党に期待していないというのが政治の世界における無党派層の増加にあらわれているのです。

 政治の世界でも<スピリチュアル>的な受け皿が出てこないとは限りません。既存政党は危機感を持って、既存政党に拒否感を示している層のニーズを受けとめる努力が必要だと思います。