あれは,あれで良いのかなPART2

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選挙経営学(第5章:なぜ議会に庶民の声が反映しないのか)

2011年08月13日 22時02分57秒 | 裏選挙マニュアル・選挙経営学
  いよいよ最終回になりました。
  今や総選挙というと,衆議院議員の選挙ではなく,AKB48の方を思い浮かべる人の方が多いかもしれません。それ自体,かなりやばい国家の姿かもしれませんねwww。
  そのAKB48の総選挙ですが,これはいわゆる普通の選挙と異なり,ざっくり言うと,買ったCDの枚数分だけ投票権があるということになります。つまり,一人で数百もの票を持つことすらできるのです。イメージとしては,株主総会における株主の議決権行使と同じことになります。
  このやり方について,ファンやAKB内部からも批判が出始めているところですが,一方で,優子やあっちゃんなどは,「それはファンの声だから,いいんです。」という感じのことを言ってます。まあ,秋元商法としては,この手法は十分に意味のあることだろうと思います。
  ところで,このAKB総選挙の手法ですが,一見すると,本物の総選挙とは無関係のように思われるかと思います。そりゃ,そうですよね,本物の総選挙は「一人一票」ですし,「資力に関係なく行使できる」わけですから,資力,すなわちCDを買ったという財力に応じて「一人数百票」も行使できるようなAKB総選挙とは真逆の関係にあるといえます。すなわち,本物の総選挙こそ,本来は「もっとも公平な多数決に基づく民主主義」なのです。
  しかし,もっとも公平な多数決で選ばれているはずの政治家が集まっている国会や議会では,なぜか民意と大きくかけ離れたことばかり行われており,「政治に民意が反映されない」という感覚をお持ちの方も多いのではないでしょうか。いわば,そうした感覚が「政治不信」の原因になっています。
  では,なぜこうした現象が起こるのでしょうか。ここには,実は民意による選挙とは大きくかけ離れた「選挙経営学」が働いているのです。そして,その構造は,実はAKB総選挙とかなり類似している実態があるのです

  「そんなこと言ったって,一人数票持っている人なんかいないよ。」と思われるかもしれません。そりゃそのとおりです。でも,選挙経営学においては,実は,「一人一票狙い」では手間がかかるので,濡れ手で粟の票を取るため,一人数票に類似した「1団体数百票」を狙うのです。そうです,「組織票」と呼ばれるものです。
  前回も書きましたが,選挙では「士農工商」と呼ばれる団体を押さえた候補者が圧倒的に優位に立つといわれています。いずれも大きな組織票を持っているからです。それゆえ,組織票を狙うためには,選挙経営学的には,その組織をターゲットにゴマをすればいいわけです。っていうことは,「民意ではなく,団体の意向第一」ということになります。
  しかも,士農工商団体自体も結構しがらみが多いため,団体内部でも必ずしも民意が反映されているとは限らず,むしろ「団体や理事らの利益第一」という場合が多かったりします。そうすると,こうした団体の組織票がほしい候補者は,団体や理事の利益第一という政策を中心に実行することになるのです。
  一方で,団体側は,構成員に対し,「うちは**候補を支援するので,投票するように。」とコールします。多くの構成員は,あまり政治に興味も関心もないことから,盲目的にその候補者へ投票します。これが組織票の実態。
  なので,選挙経営学に徹した候補者からしたら,「一人一票」を狙って草の根運動なんていう非効率的な作業は敬遠し,徹底した組織固めを行うことで,「1団体数百票」を狙うわけです。
  そう考えると,先のAKBで例えるなら,組織固め=CDの大量買いのようなものなのです。ってことは,今の選挙の実態とは,AKB総選挙のように「CD大量買いのトップオタを押さえると上位に行ける」という構造にきわめて類似していることになります。

  しかし,組織票といっても,所詮は「一人一票」ですから,本来はいくら組織を押さえても,最後には民意が反映されます。ところが,政治離れ等により,一般の有権者が投票に行きません。投票率が50%切るというのが普通になってきています。一方で,組織票たる団体構成員は確実に選挙に行きます。
  ってことは,投票総数の中で組織票が占める割合というのがめちゃくちゃ高いってことになるのです。
  もうお分かりですね。もはや今の選挙は,「純粋な多数意思による民意」ではなく,「特定団体や特定の理事の多数意思」しか国会や議会に反映されていないのです。いわば,AKB総選挙のごとく「トップオタの多数意思」優位と同じような状態になるのです。
  もちろん,組織固めが一律に悪いという訳ではありません。自分の考え方に賛同し,または自分の考え方に近い組織とタイアップすることで,よりよい政策が実現できるという効果や,多くの方に自分の政策をアピールすることで,その是非を意見交換することができるなどという効用も期待できますから,組織固めをするという事実だけを見て,直ちに「アカン政治家」とはいえません。
  しかし,選挙経営学だけで考えている候補者や政治家は,とにかく「票があればいい」っていうことになりますから,自分の主義主張を伝えることよりも,おいしい飴や逆に恫喝するなどして,とにかく団体を仲間にし,選挙の時だけでも宣伝してもらいます。団体構成員と意見交換をするなんてもってのほかなのです。

  選挙経営学を行使している政治家や候補者であるか否かの見分け方は,「チラシや駅前などでの街頭演説を行っているか否か」というのが一つポイントになります。普通の政治家や候補者なら,自分の考えを伝える草の根運動と並行して組織固めも行いますが,選挙経営学に徹するのであれば,とにかく「濡れ手で粟」ですから,こんな面倒な草の根運動なんかしません。身近にそんな人いますか?

  議会に民意が反映されない,と嘆いているあなた,はたして選挙に行っているでしょうか?議会が民意を無視して意味不明なことばかりやっている背景には,「選挙で民意を反映させていない」というのが実は最大の理由なのです。
  組織票も,投票率90%超えれば無意味ですから

今日のまとめ
 今の選挙は「組織票メイン」となっていることから,民意とかけ離れた政治が行われている。特に,選挙経営学の政治家は,この「組織固め」だけに終始するため,なおのこと民意とかけ離れた政治を平然と行えることになる。組織選挙とは,結局のところ,AKB総選挙同様,一人一票ではなく,力のある人がまとめて票を投じる構造に近いことから,ますます民意とかけ離れてしまう。
組織選挙による弊害を解消するには,組織ではない投票を増やすしかない。すなわち,投票率が100%に近付けば,それだけ民意が反映されやすくなるはずであり,必然的に政治不信は解消に向かうはずである。


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