あれは,あれで良いのかなPART2

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前橋市議選は超組織選挙の結集に終わった

2009年02月16日 00時47分53秒 | 政治・選挙
前橋市では,先月の県議補欠選に引き続き,市議会議員選挙の投票が今日行われました。今回から,議席が6減少し40人となりましたが,それに対し55人が立候補するという大激戦となりました(現職41人,元職2人,新人17人)。
開票の結果,現職33人,元職2人,新人5人が当選しました。
投票率は55.22%で前回の55.23%とほぼ同じ結果となりました。
また,後で説明しますが,今回の選挙で市長派17人,反市長派22人,その他1人という構成になり,高木市長は今後かなり難しい議会運営を強いられることが予想されます。

組織がなければ当選できない格差社会的選挙結果

今回の前橋市の市議会議員選挙の特色を簡単にまとめると次のような傾向が見受けられます。
1 基本的には「村議会議員型」であること
2 しかし背後にはしっかりした組織があること
3 女性候補者が少ないこと(候補者55人中5人)。
4 自民党公認または推薦は0人であること(しかし,実体は自民党支持者が過半数を占めている)。
5 選挙公約は,基本的には抽象的であいまいな表現を多用しているが,具体的にいう場合でも,流行語である「チェンジ」「チェック」「開かれた」などを使っている人が多い。反面,去年までの流行語の「第2の夕張市」「財政再建」「公共事業抑制」を使っている人は皆無であったこと。
6 福祉や教育について具体的政策を述べた人が比較的落選していること(理由は公約以外のところにあるが・・。)。
7 旧町村議員がかなり落選してしまったこと(組織力の問題であると思われる。)。
8 新人は12人中5人しか当選できないため,基本的には「新人といってもかなりの組織を持たなければ当選できない」,すなわち「良い公約だけでは当選はできず,やはり地盤,基盤,看板が必要である」ということが露見したこと
9 今回は,市長と知事の代理戦争になってしまい,市民生活のことが後回しになってしまったこと(市の具体的な将来ビジョンを示す候補者が少なかった。)。
10 結果,あまり浮動票の取り込みを考えていないこと(このことは,現職議員が駅前での朝立ち夕立ちやビラ配りなどを日頃から全くと言っていいほど行っていないことからも伺える傾向である。)


以上のことを補足的に説明します。
まず,基本的には選挙活動は「各地域単位」で行っており,地元報道も,地域単位で候補者を示し,その地元での活動を中心に報じています。
市町村議会議員の場合,その地域によりいくつかのパターンがあるのですが,基本的には北関東では旧市町村(平成の大合併のみならず昭和の大合併,場合によっては明治の大合併の旧町村単位)から,その地域の有力者が出馬するという「村会議員型」の町がかなり多く,前橋もその例外ではありませんでした。
もちろん,これが直ちにけしからんなどという訳ではなく,メリットとして「地元のきめ細かな意見を市政に反映できる」という点がありますが,一方で村会議員型のデメリットとして「新人が立候補しずらい」という問題があげられます。地元が応援しないと票が入らないからです。
今回も12名の新人が立候補しましたが,村会議員のルールを守らずに出馬した人で当選したのは,主に「他に確固たる組織がある人」くらいでした。
つまり,このタイプの議会では,「新しい風」がなかなか入らず,改革がなかなか進まないという傾向があげられます。もっとも,前橋市の場合は,後述の喧嘩の事情から,ちょっと違う形で改革が進む可能性がありますが。

また,今回,前橋市では,大型電機店の本店撤退や中心商店街の空洞化などから「税収の激減」と「それに伴う財政悪化」が懸念されるところですが,残念ながらその点を強く主張する候補者はほとんどいませんでした。それどころか,4月から中核市になることに伴って「もっとインフラ整備」という公共事業拡大路線を主張する候補者がかなり多く,結果的にそうした方々の大半が当選しました。インフラ整備,必要性は当然分かりますが,しかし前橋市では本当に遅れていますか?っていう素朴な疑問を感じずに入られませんでした。

さらに,今回特筆するべき事情,それは,「市長と知事の喧嘩」です。これは,いろんな大人の事情があるのですが,一言でいえば,「支援組織や国会議員の違い」による遺恨試合です。それが,市政において様々な問題を起こしています。一方,高木市長自身も,親族企業との不透明な関係も指摘されるなど,なんともかんともっていう状況にあります。
こうした中,先の議会では,いわゆる「反市長派」が多数を占めたことから,議会において辞職勧告決議まで出されたほどです。
一方で,先日の県議補欠選では,市長が「反知事」の候補者を支援するなど,市長と知事との確執は半端なものではありません(もとは同じ穴の狢なのですが,大人の事情って本当に恐ろしいものです。)。
今回の選挙では,各候補者は「市長派」「反市長派」を掲げての戦いとなってしまいました。候補者によっては知事派の県議や国会議員まで応援に来るほど,異例な入れ込みようとなってしまいました。
結果,反市長派が22人と過半数を占めることになりました。したがって,高木市長としては,今後の議会運営がかなり大変になり,議会の動き如何では「出直し市長選挙」などもありうるかもしれません。
ただし,こうした子供の喧嘩に対し,市民は比較的冷ややかに見ていたと思われます。これは,地区別投票率をみると,旧村部の投票率が高いのに対し,新興住宅街の投票率が低いという点からも伺えるといえるでしょう。
いずれにせよ,子供の喧嘩の結果,「本当に前橋に必要な政策が何か」とか「どうすればもっと前橋の中心商店街や農工業が活性化されるか」などという点についてほとんど論じられてきませんでしたので,有権者として興ざめしてしまったのではないでしょうか。

いや,そうではない。ちゃんと理念がある。」という候補者もいるでしょうが,そうであればまずはそうした姿勢を今後の議会でしっかりと示してほしいと思います。その上で,「市長擁護」「市長批判」をすることは,ありでしょう。

今回,前橋市の選挙を2度経験してきましたが,やはり冒頭で書いたとおり「かなりの組織選挙」であり,「政策は二の次」的な部分がまだまだ多いなあ,って思いました。いわゆる「市民派議員」という草の根的に立候補する人たちが少ないということからしても,そうした土壌がまだできあがっていないっていうことが言えるのではないでしょうか。
もちろん,組織選挙も,見方によっては「民意を忠実に反映している」とも言えるのですが,やはり,今の時代は「政策選挙」にシフトしつつあるため,こうした時代の流れに取り残されないためにも,議員もこれからの4年間は「自分の考え方をしっかり示す」ことと,「自分の行動を市民にしっかりと伝える」こと,そして,特に反市長派については「市政の問題点を分かりやすく市民に伝えると共に,その改善案」をはっきりと伝えるようなことしなければなりません。
組織選挙に頼りすぎると,「組織の疲弊」によって一気に議席を失いかねません。やはり,最後の切り札は「浮動票」ですし,民主主義の根幹も浮動票にあるのです。

以上,前橋市議選の短評でした。さあ,次は市長と知事の大人の事情についてもう少し調べてみようかなあ,って思います。ちょっと危ない世界ですが・・。

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