北朝鮮の自称人工衛星打ち上げが4日11時過ぎに行われるのではないかということで,1日振り回される展開となりましたが,結局今日の打ち上げはなかったようです。
この騒動を受けて,防衛省は発射誤報を発表するなど,国内でも相当な混乱が発生しました。
ミサイル発射、5日以降に=初日は強風で見送りか-北朝鮮(時事通信) - goo ニュース
まずは情報戦に北朝鮮が勝った
このいわゆるミサイル問題,前提としてニュースの表面だけを捉えると,
「なんか北朝鮮が危ないもの日本に落とすかもしれないなあ。」程度に思われがちですが,実際,そんな単純なものではありません。この一連のミサイル問題,実は,
北朝鮮のみならず,日本,そして,アメリカや韓国,中国などの諸外国が,いわゆる外交カードや国内政治カードとしてどう使おうかといういわば「ゲーム」なのです。しかも,各国の思惑や切り札はすべて違いますので,いうなれば
「7並べ」の6カ国競技(まさに競技!)をやっているというイメージなのです。
したがって,当然の話ですが,
日本のニュースでも一から百まですべて情報を伝えているわけではありません。
その思惑ですが,他の国の動向を含めて考えると,かなり複雑なゲームになってしまいますので,とりあえず,日本と北朝鮮のみでおおざっぱに考えてみたいと思います。
まず,北朝鮮側としては,
「経済援助と技術支援」が主眼にあります。また,軍事力もアメリカはもとより,日本の自衛隊より装備は古く,絶対数も少ないです。したがって,極論として,日本とさしで「20世紀型戦争」を行ったとしても,
戦力面のみでいえば,日本が優位に戦えます(もちろん,憲法問題や戦術戦略については無視します。)。
そんな状態であることくらいは当然把握していますので,
北朝鮮も日本に真っ向勝負を仕掛けるつもりはありません。今回のミサイル問題も,「
破片を落とすだけで大問題に発展し,経済援助が遠くなる」ということは十分分かっていますから,結果的には何も落としたり落ちることはないでしょう。
ただ,日本の弱みを熟知しています。
それは「憲法9条」であり,「日米安保」(これは両刃の刃です)であり,そして何よりも「外交下手」という弱点は完全に掌握されています。したがって,
「揺さぶりや挑発」,そして,「ミサイル上空通過」っていう威嚇をすることで,日本を煽ります。日本が攻めてこないことは百も承知ですから,ギリギリまでやれるのです。いうなれば,
くそガキが先生に対して,「ほーれ,殴ってみろよ,ほれ,殴れよ」と挑発するようなものです。
この挑発に日本がのったら,実は日本が国際社会から孤立します。アメリカがイラクを先制攻撃しても,かなり批判を受けましたから,大義名分なくして日本が攻撃したら,国連で日本が非難決議をうけかねません。
北朝鮮としては,
「こうして威嚇続ければ,どこかで日本が折れる」という計算をしているはずなのです。
もう一つ,北朝鮮がここで知りたいのは
「日本の実質防衛力」と「情報収集能力」です。特に,後者については,今ものすごく気にしています。いうなれば,「7並べのカード」を何枚見られているか,っていう点です。簡単にいえば,
「切り札をどこまで知られているか」なのです。
したがって,こうして揺さぶりをかけることで,これらの情報をつかみたいという思惑もあるのです。
では,日本サイドはこれにどう対応したでしょうか。
当然の話として,北朝鮮に折れるつもりは全くありません。一方で,日本だって,「北朝鮮が本気で攻めてこない」ことくらいは十分承知しています。また,当然,ミサイル一発ごときに自衛隊の全精力をつぎ込む必要は全くありませんので,
今回の対応も「完全に公開されている戦力」だけで表面的にはやっているわけです。
したがって,防衛省としては,
「この程度の戦闘力では俺を倒せん」というベジータのような態度で臨んでいるのです。
また,
国内の工作員対策も取っています。したがって,報道では必ずしも正しい情報を提供していないのです。当然,それは国民に対しても同じことになってしまいますが,まあ,それはご愛敬と思うべきでしょう。
しかし,
防衛省の失敗,それは今回の誤報問題などにより「情報伝達網がめちゃくちゃだった」ということが暴露されてしまったことです。この点については,別途記事を書きますが,これにより,北朝鮮サイドとしては,「
日本の情報収集能力は弱い。ならば,こっちの奥の手はつかんでいない。」と判断した可能性が高いです。これだけでも,北朝鮮として煽った価値があったといえます(そもそも,
誤報の真の原因は報道どおりなのかも怪しいです。かなりの確率で,ここもだましあいをしていると思われます。)。
さらに,
北朝鮮としての収穫は,「情報伝達経路がめちゃくちゃなので,国内工作なら簡単に日本を混乱に落とせる。」ということです。日本政府としては,この点は早急に対応策を講じなければいけません。いまどき,20世紀型の戦争を仕掛けてくる国なんてありません。
今の時代,戦争は「ゲリラ・テロル型」がメインなのですから。
一方で,この騒動に乗じた日本の内政カードがあります。それは,
この北朝鮮カードを使って,ウィークポイントの一つである「憲法9条」を変えたいと考えています。誤解のないようにいいますと,決して戦争をやりたいという意味ではなく,
集団的自衛権を円滑に行使できるようにしたいのです。
憲法改正をするためには,国会で3分の2以上の賛成を得ることと,国民投票で過半数の賛成を得る必要があります。そうすると,
基本的には「国民世論として基本的に賛成」という方向に持っていかなければなりません。
今回の一連の騒動は,外交的にはアメリカと中国の方向いていますが,
内政的には「国民世論の醸成」に向いているのです。例えば,本来は非公開で配備するべきパック3の配備をあえて公開するなどは,
まさに「不安感を煽る」ことと「やっぱり軍事力が必要なんだ」と思わせるのにもってこいなのです。
今回のミサイル騒動,国と国との間での駆け引き,つまり「だましあい」なのです。そして,今日の動きを踏まえると,
残念ながら「まずは北朝鮮に10ポイント」となってしまったといえます。
明日以降も,化かし合いはしばらく続きます。アメリカや中国,韓国がどんなカードを切ってくるかもポイントとなります。ただ,文中にも書きましたが,
「必ずしもすべての国が日本有利にカードを切ってくれるとは限らない」という点に注意する必要があります。日本のカードの切り方を間違えると「すべて敵」という理不尽なオチにもなりかねません。
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