トドの小部屋

写真付き日記帳です。旅行記、本や美術展の紹介、俳句など好きなことをつれづれに。お気軽にどうぞ。

ミーナの行進

2018-02-23 00:18:55 | 
小川洋子さんの「ミーナの行進」を読みました。主人公の朋子は父親を癌で亡くし母親と2人、岡山で暮らしていたが、より安定した仕事に就くため、母が東京の洋裁専門学校に一年通うことになり、芦屋の伯母の家に預けられた。この物語は1972年から1973年にかけて暮らした親戚の家の人々とドイツ人の血を4分の1ひくミーナ(美奈子)との思い出の物語である。フレッシーという飲料水を製造する会社を営むミーナの家は大富豪で、夢のような豪邸だった。ミーナは身体が弱く、小学校まで徒歩で通えず、コビトカバのポチ子に乗って通学していた。ミーナと同様に大切にされた朋子は光線室で身体を温め、そこでコックリさんをしたり、ミーナの集めていたマッチ箱にミーナが書いた物語を読んだり、ミーナの代わりに本を借りに通った時に出会った図書館員に淡い恋心を抱いたり、みんなで海水浴に行ったり、流星群の観察をしたり、忘れられない思い出をたくさん作る。ミーナと深い友情で結ばれた朋子は一年後、母親が迎えに来て岡山に戻るが、宝物のような思い出は色あせることはない。ポエムを読むような不思議な雰囲気の話でした。谷崎潤一郎賞受賞作品。
コメント (2)
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