1
夕顔が咲いている。大輪が咲いている。眠っている者の目を覚ますかの如くに、凜々しく咲いている。
2
夕顔は、夕方に咲いて朝になると凋む。
3
つまり夜中中、目を覚まして、咲いている。
4
朝顔とは逆。朝顔は夜を眠る。
5
朝顔は、朝に咲いて夕方には凋む。
6
それぞれの利点があるのだろう。
7
利点を利点とすることができたのだろう。
8
そうなのだ、不利な点もあったのに、夕顔も朝顔も、それには頓着せずに、利点を活用し得たのだ。
9
なるほど植物は知恵者だ。
10
智慧の花を咲かせているというふうに思って、大輪の夕顔を眺めてみた。