午後から雨。ぽつりぽつり。風も金柑の木を揺らしている。寒そう。外には出ていけない。炬燵のお守りをしている。一人で居るのが気楽だから、そうなる。
雨降りの日くらいは出掛けて行って交遊したらよかろうけれど、同調するのは面倒だ。同調をしなければならんというところが束縛になる。疲れる。要するにどうしようもない我が儘者なのである。
午前中は厚手のジャンパーを着込んでしばらく畑の草取りをした。野菜に施肥をしているので、周囲に草が蔓延るのも早い。その上、冬の草は根が深い。どうせ、暇潰しだ。焦らず休み休み作業をした。
畑の隅っこに日本水仙が咲き出したのを見つけた。清楚で美しい。そこへ座り込んで、きれいだきれいだの声をかける。庭の山茶花も赤、白、ピンクと咲いている。花のない季節だから、希少価値がある。
「おまへ、そんなことをしているのか」という叱責が聞こえて来そうで困る。幸いにして今日の日を死なずに居る者は、それだけ大切に重厚に深々と生きているべきである。社会に奉仕するべきである。そうであるのに、そうであるのに、どうだ、この男は籠城して裏表葉っぱ一枚のような薄っぺらな暮らしを続けているばかりである。