小田急中心の模型のブログ

Nゲージで私鉄電車を楽しむブログです。
旧小田急中心の模型のページ(2003~2014)の製作記も再掲載しています。

路地裏の超特急製作記その3 完結編

2022年02月23日 22時19分16秒 | 京浜急行
Twitterにアップしたとおり、無事竣工しました。
最後のほうは工程写真をあまり撮らずに進めてしまいましたが、
ところどころ完成後の写真でフォローしつつ簡単にご紹介をば。


今回のプロトタイプは昭和51年度車の1341編成です。
このロットから側面に種別・行先表示窓が設置されましたが、
今回はトレジャーのTTL802-20(金属インレタ)を仕上げ段階で転写して再現しました。
(このインレタにはサボ差しも入っていますが、こっちは車体色となるので塗装前に転写しておくのが良いと思われます)

リアルな金属光沢を持つのでクリアコートは避けたい反面、
きちんと定着を図る必要もあり、転写後、枠の内側に光沢クリアを筆塗りしてあります。
読者諸兄には釈迦に説法かと存じますが、この手の筆塗り作業の際には必ず適量のリターダーを添加します。
乾燥後、富士川車輛のステッカーで幕を表現しました。

窓ガラスのステッカー類はいずれも富士川車輛のインレタを用いました。
戸袋広告はある程度実車に倣って図柄を選びましたが、ところどころ
好みで違う図柄を貼ってあります。実車の広告は恐らく編成単位で契約するのでは…
ということで編成中に1~2箇所だけ違う図柄というのはなかったのではという気もしますが、まあ模型なので。

台車・床下機器は富士川車輛の3Dプリントパーツを初めて使いました。
詳しくは後述しますが、繊細なモールドなので抵抗体とコック・計器類には適宜色差しを行いました。


今回、足回りに富士川車輛の3Dプリントパーツを使う関係上
床板はキット付属のもの、動力はGMの2モータータイプとなりました。
ただしこの床板、室内灯の集電機構を入れる都合上床面が穴ぼこだらけで、
シートも窓割に合いません。
スルーしてしまおうか…という誘惑もありましたが、
窓の大きい京浜急行なのでひと手間かけてみました。

純正の床板は外床と内床の2枚重ねですが、外床はそのまま使用、
内床を自作して、その上にインテリアを作り込む構成にしました。
余力があれば外床をエバグリの波板で作ってキーストンプレート表現~プラ材で
梁などを作り込むのも楽しいと思いますが、今回はそこまで元気がなかった…。

内床には台車取付ビスの受けが必要になるので、t0.5プラ板をベースに
エバグリのφ3.4プラパイプ(予め内周をφ2.0ドリルでさらっておく)を接着しました。
パイプ内周は手を抜いてビスで直接ねじ山を切っていますが、
お察しの通りあんまり具合が良くないので面倒でもタップを用いるべきでしょう…。

外床に鉄コレ用ウェイトを接着後、上記の内床を重ねますが、当然それぞれ別塗りで仕上げてあります。
ロングシートは、はめ込みガラスの下辺にぶつかる形・サイズとし、これで車高が決まるようになっています。
床面は適当に混ぜた淡緑(レシピ失念)、シートはガイアのネイビーブルーをそれぞれ吹付し、
φ0.33の洋白線を曲げた袖仕切りパイプを適宜差し込んであります。


運客仕切りはいつものようにt0.5プラ板から製作しました。
床板に取り付けると脱着の都合上左右に幾らかのクリアランスを設ける必要が生じるため、
前作の京葉線205系からは車体側取付として仕切り板周囲に隙間ができないようにしています。
但しその場合、取り付け時に高さを微調整することがよくあるため、
今回は天地を少し長めに残しておき、取り付け段階で適宜カットしました。

車体の窓は大きい京浜急行ですが、仕切り板の窓はなぜか昭和40年代以降一貫して腰が高く
窓もさほど大きくないのが印象的です。


ここからは竣工後の写真となります。

仕切り板はミラーフィニッシュなどを用いて適宜デコレーションしたのち取り付けてあります。
その他のキャブインテリアはいつものようにプラ材加工によるものですが、
変わり種として運転台隅にマイクロホンを付けました。
これはφ0.3のアルミパイプ先端にφ0.5くらいの同パイプを差したもので、
ややオーバースケールながら、幼少期に京浜急行で"かぶりつき"をしてた時に
強く印象に残っていた光景です。なぜマイク…?ってね。
横長で斜めに立てかけられたスタフも付ければよかったかな。

前面ガラスはボナの鉄コレ旧1000用が使えないか模索しましたが、サイズが合わず断念。
一度はアクリル板を切り出してみたもののあまりスッキリしなかったので、
おとなしく純正パーツをはめ込んで、ボナの旧国70系用ワイパーを添えてあります。
しかしやはり平面性に難があり、ご覧のように車内が歪んで見えます。

その他、貫通扉にドアノブを設けました。
これは忘れていたのではなく、白帯との位置関係が微妙なので敢えてこの段階で作業しました。
光沢が強いので断面のエッチング段差をペーパーで均した後、
4アーティストマーカーの銀インクで彩色してあります。


ライトレンズは前照灯がキットのパーツ、尾灯がKATOのデハ230用です。
いずれも表面から0.5mmくらいでカットしてあり、前照灯には裏からミラーフィニッシュを、
尾灯はカット面をやや斜めにして光を反射するように工夫しました。
余談ながら前照灯レンズは必要数2コに対し4コ入っており、
小さなパーツゆえの紛失リスクに対するGMの思いやりを感じてうれしくなりました。
昨今、あらゆる余分を切り詰めて少しでも安くしろ!という声を耳にすることもありますが、
Nゲージのような趣味の品物で100円200円を切り詰めてまで追い求めるものとは、何なのでしょうか。
今回みたいな例なら紛失して代替品を手配する手間・時間(しかも在庫があるとは限らない)、
いわゆる昔ながらのオマケパーツ(ステッカーにおけるストラクチュア用のおまけ含む)ならば
それを眺めたときの意外性・懐かしさ・ちょっとしたときめき…
それらは100円200円どころではない価値を持つと思うのですが…。
ぼくだって決してお金があるわけじゃないし学生時代における100円200円の大きさもわかりますが、
趣味の商品くらいはそういう余白を切り捨てないで欲しいと切に思っています。
いかに安く多く買えるかみたいな趣味に成り下がらないためにも…。
妄言多謝。

ダミーカプラー周りは前作の京葉線205系と同様にプラ棒のベースにまとめてあり、
主な構成は下記の通りです。
胴受:GM汎用胴受
カプラー:KATO Assy 叡電900用
ジャンパ栓受:KATO EF64-1000用・α-model KE58(蓋閉じ)
エアホース:レールクラフト阿波座 コック左右それぞれ3本ずつ

カプラー下部にはなんかごちゃごちゃっとついてるので、φ0.2真鍮線で作り込んであります。
この当時胴受に復心装置がなかった?と思われるので、片側はカプラーを斜めにしてみました。
ジャンパ栓受は取り付け強度が不足するので、これまたφ0.2で脚を生やして差し込む構成に。
エアホースはコック左右を作り分けてあるすぐれもので、とても出来が良い。
これからも安定して供給されるとうれしい。


ちょっと脱線しますが今回使ったKATOのAssyパーツたち。
手軽に細密感がアップするのでおすすめです。

左から順に…
●EF64-1000ジャンパ栓
昔ヒナくんから教えてもらったやつですが、
ありふれたジャンパ栓をハイクオリティで再現しているパーツです。
ユタカ製作所もびっくりなんじゃないかな。
微妙にカタチが違うものを2連にしてあります。
しかもいっぱい入ってる(^q^)

●叡電900密自連ダミーカプラー
GM汎用胴受についてるやつも悪くはないけれど、
ちょっと天地寸法が物足りないなーと思って買い置きパーツを
漁っていたところ出てきたもの。とても出来が良いです。
ナックル上部のごつごつしたモールドが細かく再現されているので
軽くすみ入れしてあげると引き立ちます。
また、この手のパーツはほぼ必ずナックル側面にパーティングラインが
走っているので、面倒でも#600~#800~#1000くらいで順に
ペーパーをかけて仕上げると格段にスッキリします。

●京浜急行デハ268ジャンパ栓
これは前回の記事でも触れましたね。
KE-58あたりを赤成型にしたものかと思いますが、軟質プラと思われ
ある程度のディテールを備えつつホースが壊れにくいのが魅力です。
まだ合わせてないけどデハ800あたりにも使えるんじゃないかと…

●京浜急行2100形無線アンテナ
色々なパーツがあるけどこれが一番好ましいサイズに思える。
これまた軟質プラと思われ、塗装するには「いさみ屋」の
カラープライマー等を塗布する必要がありますが、比較的破損しづらいのが良き。


並びがめちゃくちゃでごめんだけど、拡大画像も。
見つけたら買っとくと〇です。


品川方デハ1344。
冷房用の太いジャンパケーブルがかっこいいですね。

乗務員ステップはTOMIXの115-300用スカートから切り出して使っています。
エッチングパーツと比べて枕木方向に奥行きがあります。


浦賀・三崎口方デハ1341
こっちは太いジャンパを受ける栓があります。
これは上記のEF64-1000用です。

時代設定は昭和52年2月のデビュー当時としましたが、同年11月には種別板が廃止となったらしいので
図らずもわずかな期間の姿という事になりました。


ちょっと俯瞰気味に。
1000形後期車でいちばん好きな角度です。
窓が大きい軽快なスタイルのボディに鈍重な集中冷房が載り、細いモニタ屋根が伸びる眺め。
足回りは基礎制動装置がクラスプ式ながらどこか軽快なTH1000の横に
これまた重々しい、抵抗体むきだしの主抵抗器がズラリと並ぶ眺め。
すこだわー。

以前何かの書籍で、分散冷房を魚の背びれに・集中冷房を亀の甲羅に喩えた記述を目にしましたが、
言い得て妙だなと思ったものです。


先頭部床下の眺め。
ついに我が家にもボルスタアンカ別体の台車があらわれました。
実車は鋼板プレス溶接と思われますが、ディテールの欠損を危惧して
表面の磨きを省略したため鋳鋼風なザラザラ感です。
いさみ屋のカラープライマー黒→Mr.308あたりをふわっと吹き重ねてあります。
いずれもパーツを塗り終わってから組み立てる構成のようですが、
ダミーモータ~ギアボックス~ブレーキの引き棒は取付位置が高すぎた模様。ぴえん。

この構成でFS360/060とFS375/075が欲しい!


AR-2コンプレッサー~空気溜めの眺め。
見た目はかっこいいけど音は…ちょっと不気味(^^;)
コンプレッサーはAK-3とかDH-25あたりののんびりした音がいい。


抵抗体はガイアのライトカーキを白で淡くして塗り分けました。かっこいい。
車番下の空気ばね試験装置は以前ご紹介したTMS401号にカラー写真が載っていたので
細かく塗り分けられました。

2モーター動力なので車内に出っ張りが目立ちますが、やむなしとしました。
床材の色で塗ると余計目立つので、今回は無塗装としました。


それでも車内シースルーと床下機器の奥行きを天秤にかけたなら、ぼくは後者がいいかな。

走行に課題のある2モーター動力ですが、富士川車輛Webサイトを参考にゴムタイヤを
片側の台車に集約して性能向上を図ってみました。
台車は(たぶん軸距の関係で)ギアボックス類も3Dパーツに置き換える構成となっており
中にφ0.2真鍮線を通して集電を担わせますが、ドキドキしながら試運転したところちゃんと走っておおおーっってなった。
案外小さな接点でもちゃんと集電できるものなのねと。


トレーラーの床下の眺め。
最中合わせの機器類がむかしのKATOのデハ800キットを彷彿させます。
何故か2000年夏くらいにユザワヤで先頭車キットだけ山積みになってて1両作ったことがあるのですよ。
あのコンセプトを現代の技術でやるとこんな感じなのかなって思いながら組み立てました。


視点を屋上に移します。
パンタ周りはこんな感じになった。
独特の避雷器はキットにも入ってるけど、実車写真と見比べた結果トレジャーのTTP128-03にした。
サイズがキットのより一回り小さくてディテール的にも◎って理由だったかと。
前述のTMS401号を見ると碍子の真ん中に日の丸よろしく赤ポチがあるので塗り分けてみた。
配管先端もベージュっぽい継手が見えたので抵抗体と同じ色で塗ってみた。
もしかしたら梨地の表面が汚れてただけかもしれないですが、まあ模型的には変化が付くので。

パンタは本によればカーボンシューとのことで、今までは真っ黒で色差ししてましたが
見てくれが良くないのでガンメタっぽい色で仕上げてみた。模型的にはこっちのほうがスッキリ見える気がします。
シューの断面にはゲート跡があるので黒瞬着と#600~#1000くらいのペーパーで仕上げておくと良いです。

ヒューズはこの時代左右でおんなじカタチのが付いてたみたいなので、
トレジャーのTTP124-Hを使いました。引込部のケーブルはインフィニモデルのφ0.1真鍮線を
配管のアルミパイプに差し込んであります。ヒューズボックス側にもφ0.25ドリルで穴を開けてありますが
硬いロストなのであまり深い穴は期待できず、ケーブルはアルミパイプ側を長めにして取付強度を保っています。


パンタはお手軽にタミヤのスプレー(シルバーリーフ)を吹いた後、
エアブラシで艶消しクリア。
ぼく、いまだにハンドピースを一個しか持ってなくて
メタリック系を塗った後の鬼洗浄が億劫でならないのですね。
塗装の順序もめちゃくちゃ検討する。
そういう面倒から解放されたくて、パンタとかの部品系はなるべくスプレーで済ませちゃう傾向。


反対側の眺め。
前回記事で触れたパンタ下のモニタ屋根は新車当時の色が判らず迷いましたが、
屋根とは別体の部品と解釈し他のモニタと同じ明るいグレーに塗り分けてあります。

側灯は塗装後まで気にかけていませんでしたが、キットの形態と
今回のプロトタイプでは違いがあるので適宜修正しました。
横長の側灯はトレジャーの小判型、縦2ツ並びのは丸型を用い、
側灯:クリアレッド
保護継電器灯:クリアイエロー
客室非常ブザー知らせ灯:クリアのままで仕上げてあります。
実車の機械的な知識は乏しいのですが、写真を見る限りでは
保護継電器灯はパンタ付き車両のみだったようです。


屋根端部の手すりは根本にグレーがはみ出して塗られていたケースが
散見されるため、取り付け穴の周囲に面相筆でライトグレーを差してから
手すりを差し込みました。但しメーカー出荷当時の仕上げとしては疑問もあり、
もしかすると検査を通ってからの姿かもしれません。



貫通路渡り板はt0.3プラ板にt0.2の帯材を貼り重ねたもので、帯は黒く塗り分けてあります。
固定はトレジャーの標識板掛けをピン代わりに用いていますが、
φ0.2を曲げたものでもよいと思います。
検査表記はトレジャーの700形用インレタのものですが、
銘板とさほど変わらぬ厚みと解釈し外板に直接転写してあります。

カプラーは棒連結器を模して密連タイプ、窓広告は富士川のインレタを発注し忘れたので
ホワイトフィニッシュを適宜切り出して裏貼りしてあります。


CU71DNをCU71Bもどきにした集中冷房。
前回記事より側面の外板継ぎ目表現を増やしましたが、妻の点検蓋は断念しました。
いずれ黒インレタを自家発注する時にでも混ぜ込みましょう。
上面手すりをもう少し出っ張らせれば良かった…など若干の後悔はありますが、
継ぎ目とボルト表現、またコントラストきつめの塗装も相まって
まあまあ細密感は出たんじゃないかと自己満足してます。

モニタの通風孔も最初の塗り分けはへろへろになっちゃったけど、
タッチアップをがんばりました。


車内もがんばってよかった。
見ようと思えばけっこう見えます。
でもシルバーシートを塗り分け忘れたw

技術とか感想は以上。
あとは並びとかで(・∀・)ニヤニヤする展開です。


KATOのデハ230と並べて。
尾灯はやっぱ交換して良かった。かっこいい。
でも尾灯だけもぎ取られた230の車体がさすがに哀れなので
何らかの手段で何とかして(←答えになってない)再起させてあげたいね。

色調も光沢も違うけど230は塗り直さずに楽しむつもり。
ぜんぶガチでやってたら身が持たないことを学びつつある。


今回のプロトタイプ編成は230形の置き換えとして作られたグループらしいです。
ちょうど新旧交代の並びってとこですが、まだまだ230からの系譜みたいなのが色濃く受け継がれてる感がありますね。


次世代のデハ800になるとだいぶ感じが違う。
これはこれで、新感覚の側面デザインがかっこいい。
昭和50年代的な香りといわゆる日野原イズムが良い塩梅でミックスされたいい車だなーと思いますね。
中間ダブルパンタの3両編成というのもいい。VSEじゃないけど編成で見た時シンメトリーになる美しさってあるよねえと。
窓周り白塗りの初期塗装でちゃんと仕上げたいと思って幾星霜…果たして日の目を見る日は来るでしょうか。


デザイン・技術の革命って感じの並び。
車体の違いだけじゃなくて抵抗器が減ってるところにも注目。
でもクーラーとか台車はデハ1000後期型の延長線上って感じですね。

模型としてもKATOのデハ800はほんとに味わいがあるなあと思うけど、
この別付け配管は組み立てたいへんだっただろうねえ。


気付けば増えてる京浜急行。
このほかに、モニタ屋根を供出したリトルジャパンのデハ700キットがある。
1000の余勢を駆って作ろうかと思ったけど、OERが恋しくなってきたのでまた今度。


1号線の並び。
今回、GMの2モーター動力なんてもう売ってないんじゃない?と困った矢先、
そういえば都営5000持ってたわ、ってことであえなく動力供出の憂き目にあいました。
こっちはコアレスモーター動力を新調の上、開業時2連で仕上げる予定です。


まったく趣の異なる2車の並び。
横浜をゆく3500の未更新車、見てみたかったですねえ。


Mcコレクション ヨコハマ篇。
3者3様のスタイルです。


鉄道ファン誌No.192(1977-4)に国鉄・私鉄の通勤電車1977って特集があって
いろんな通勤電車の側面シルエットが載ってるんですが、
相鉄の隣が京浜急行で窓サイズの違いに驚いたりした。
ちょっとそれをオマージュしてみたいと思います。

まずは、あかるい印象の京浜急行。


つぎになんとなく陰気な感じの相鉄。
こうしてみるとお隣の小田急が後年まで戸袋窓にこだわったのもわかる気がします。
幕板~屋根肩も京浜よりぐっと深いですね。
電車としてのスタイルはこっちのほうが好き。


合理的なスタイルの東急。
一段下降窓が戸袋窓なしの陰気さを和らげていますね。


見ての通り東急は田園都市線です。
東横線はガレージマニアの東急8000を作り掛けてたので、ちゃんと仕上げたいところです。
でも東急はその前に7000かな…?


出会いのターミナルよ・こ・は・ま 1977
鉄道ファン誌No.294(1985-10)のオマージュです。


鋼製車全盛時代の品川に思いをはせる。


エコノミーキットの世界観をいまのクオリティで…が永遠のテーマかもしれないねえ。


というわけで竣工しました。
出来の良いキットをもとにのびのびとディテール工作をできた感が強く、作っていて楽しかったな。
そこから生まれた余力で"迷ったら手を加える"姿勢も持てたかなと。

さて…
久しくアイボリーのOERから遠ざかっていてそろそろホームシックみたいになってるので一度地元ネタに戻りましょうか。
今年のうちに1本仕上げられるといいんだけど。

路地裏の超特急製作記 その2(ディテール・塗装編)

2022年01月25日 22時47分20秒 | 京浜急行
遅ればせながら、あけましておめでとうございます。
今年も細々と続けていこうと思いますので、よろしくお願いいたします。


2021-09

205系の製作を挟み、久しぶりの京浜急行です。
といっても作業の続きは昨年の初秋に遡り、パンタ周りの配管です。
母線はやや細身に見えるのでアルビオンアロイのφ0.33アルミパイプ、
他はφ0.2の真鍮線を用いました。
KHKは配管が妻面に下りないパターンが多く工作は楽ですが、
今回のように合いの良い屋根板の場合は屋根板の固定順序に迷いが生じます。
今回は屋根の合いを活かすかたちで別塗り→塗装後に合体させて配管端部に赤を筆塗りする方法にしました。
従ってこの段階では妻面上部の配管は仮に刺してあるだけです。

配管止めはトレジャー、パンタ台はボナのP-145の左右を少し詰めたものです。
後者はホワイトメタルパーツにありがちな断面方向の粗が皆無に等しく、
ほぼ表面処理(※下地処理に非ず)不要にて使えるので便利です。
若干調整不足で配管と干渉している個所がありますが、適当にうまいことやっときます(実はこんなのばっかり)

上のパンタはTOMIXの0250(PT4212-S)の下半分と0252(PT42FN)の上半分を合成した不経済仕様。
前回記事の最後で触れたTMS401号の実車資料を見るとベンチレータはパンタの下で一段低くなって
続いているのがわかるので、t0.5プラ板の肩を斜めにヤスったもので再現しておきました。


母線が二段になっている部分はボナの割ピンセットで留めてあります。
中からヒューズにつながる細い線はインフィニモデルのφ0.1真鍮線です。


配管止めが恥ずかしい感じになっちゃってますが。
妻面への引き込み部はこんな感じで。
この手の三次元的な曲げはアルミパイプの柔軟性が大いに助けとなります。


2021-12

一気に時間が進んで2両分の配管完成の図。
ディテール工作は割と楽しい場面が多いですが、
ぼくの場合配管はどうにも億劫な作業の上位にランクインします。
手を付けちゃえば早いんですが…


2022.01

主なディテール作業は終わり、年明け。
と思いきや、なんかおっぱじめました。

まず種別・方向幕窓のHゴム。
これは当初から気になっていた部分で、
模型では凸モールドとなっているHゴムを
実車同様に外板ツライチに加工しています。
回りくどい言い方をすると、外板をプレスで一段凹ませたところに
Hゴムを巡らせてあるのを再現したわけです。
製品状態だとHゴムモールドの影が前面窓上辺に落ちることで
間にある細い柱が目立たないので、これを改良したかったのです。

具体的な方法はずいぶん考えましたが、結局虫ピンで直彫りという力技でねじ伏せました。
量産に不向きなのはもちろん、たった4か所の仕上がりさえ不揃いになることうけ合いの荒業です。
もし失敗してもこの一帯をプラ材で再構築すればいいや、くらいの思い切りで
手を付けたら案外なんとかなりました。
Hゴムモールドの外周に対し、やや鋭角にピンを構えて少しずつ彫り込んで行きました。
水平→垂直→Rの順に彫り、適宜カッターで整形するのはお察しの通りです。
一通り削った後、Hゴムにあたる部分のエッジに軽くカッターをカンナ掛けして
丸みを出すとよりHゴム感が出ます。

もう一つは、腰の標識灯。
個人的に元のモールドがやや大きいように感じたので、
KATOのデハ230から削ぎ取ったものに交換しました。
白帯との位置関係がとても大事なので、ご覧のように
側面から1mm幅のテープを回した状態で位置決めをおこないます。
接着は微量のタミヤセメント白キャップで仮止め後、
クレオスの紫キャップで周囲を固め、念のため液状瞬着を
目立たない下辺からごく微量浸み込ませてあります。
年末記事で挙げた大師線セットには手を付けず、
ジャンクでデハ268を買ったりボディのASSYを買い足したりしてまかないました。
結果的に1粒当たり1000円くらいする標識灯になりました('Д`;)タケー


Hゴム加工、どうにか2両とも完了の図。
ちょっとぎこちない仕上がりですが、これが限界でした。
お察しの通り割と直線を出すのが難しく、ちょこちょこ
瞬着パテで修正してあります。
あと、一通り彫り終わったらごく微量の紫キャップセメントを浸み込ませると
細かなササクレが溶けて見た目がスッキリします。一歩間違えるとHゴムごと全部溶けるので慎重に…。

ちなみにこの段階ではコーナーのステップがキットの位置のまま別体化してありますが、
のちのち調べてみると東急製は最上段の位置がやや異なるため修正が必要です。
ぼくは白を塗ったところで気づいて直しました。
だいたいHゴム周囲の溝の上辺延長線上くらいに来るのが正解っぽいです。


ひとつ上の画像では品川方の運転台側の標識灯がちょっと外に寄りすぎてましたので、修正しました。
数字にして0.15~0.2mmくらいの違いかと思いますが、ディテールの密集する前面だけにわりと違和感がありました。
かの有名モデラーいちかわさんもおっしゃっていましたが、一晩置くなり
写真に撮るなりして冷静な目で確かめて次の工程に進みたいものです。

ついでにジャンパを差し込んで完成形をイメージし、モチベーションを養います。
前回記事の時点ではαのKE58を差していましたが、ご存じのとおりホースが折れやすいので
軟質プラ製のKATOパーツに交換しました。
運転台側のはデハ230用、車掌台側のはKE76です。
この段階では運転台側の右端(放送用?)をαにしてますが、あとでKATOに統一しました。
後者は119系とかのKE96のほうが正しいようにも見えますが、
生憎入手難なのでややゴツめなKATOの特性を生かして代用した次第。

いずれもシャープさより強度にウエイトを置いたがための選択で、
見た目だけを考えればαにφ0.25の穴を開けて0.2の真鍮線を差し込むのが望ましいです。
相鉄6000ではそれをやりましたが、今回はその元気がなかったのと
デハ230と表現が統一できるメリットからこうなりました。
楽をしたぶん、蓋表面のパーティングラインはきちんと削ってあります。


塗り始めました。
窓が大きいので、車内も塗りましたよ。
GMの淡緑色1号です。


次にクレオスのGX-1(クールホワイト)を。
ぼくの作る模型はとかく厚塗りな傾向があるので(塗り残しやムラを異様に恐れるのもある)
今回はつとめて塗料をうすく溶き、あっさり塗りをしつこく重ねました。
今まで塗料と薄め液を1:2くらいでやってましたが、最近は1:3くらいにして
一吹きごとに乾かしては6~7回重ね塗りする気の遠くなる工程を踏んでます。
これが正しいのかわからないですが、塗膜の肌はだいぶ綺麗になりました。


マスキングはGMステッカーで。
主な狙いは塗り分け線がシャープになることですが、
こんな風に帯用の印刷に合わせて切ると精度が保ちやすいメリットも。
とはいえ粘着力が高い分塗膜がべろっと持っていかれる危険もあるので万人におすすめできる方法ではないです。
一応、綺麗なカッターマットに3~4回貼って剥がしてを繰り返してから車体に貼っており、
今のところ上記のような悲劇的展開は辿らずに済んでいます。
あとは、車体を中性洗剤で洗ってよくすすぎ、1日以上よく乾燥させる
(100均の書類ケースにハンカチを敷いて車体を並べ、コピー用紙を被せておくとホコリ除けになります)
のはいつも以上に重要になると思います。


めくりの儀。

上塗りするバーミリオンはかねてより言っていた朱色っぽい色調を目指して工夫しました。
試行錯誤の結果、GM29番(旧京急バーミリオン)とMr.の79番(シャインレッド)を
1:1くらい(様子を見ながらシャインレッドをもうちょい足したかな?)で調合して、
最後に微量の白で調整しました。

白の上に直で赤を載せると明るすぎる…というのが定説な感があり、
実際ぼくも以前500形を塗った時には近鉄マルーンで下塗りしてからバーミリオンを
上塗りしました。
ただし、これは昭和30年代前半当時のバーミリオンが後年より暗かった説があったことも影響しての選択。
今回の時代設定である昭和50年代の各種資料…特に、ぼくが好きな保育社の私鉄の車両シリーズの
写真を見る限り、それ以前やそれ以降と比べて比較的明るい色調なイメージを持ちました。
そこで、今回は敢えて白の上から直接バーミリオンを重ねました。

結果的に色調は納得のいく仕上がりとなりましたが、塗膜はやや厚くなってしまった印象。
これはGM29番の隠ぺい力がさほど高くないところに起因する感があり、
次に塗るならMrのハーマンレッドあたりで下地を作ってから塗り重ねるともっと薄くできるかなーと思いました。


往年のGMカタログにおける名文句、「A君B君の小田急」ではないですが
個性ある色選びは個人作品の醍醐味だと思います。
個人的には二作目以降の再現性を考えるとなるべく調合を避けて通りたいと考えるほうですが、
今回は自分の好きな色を練って良かったと思います。
以前言ったように京浜急行は凄腕モデラーがひしめいていて、
いまさらド定番車種の1000形を作ってもどこかで見た何かにしかならない気がしていましたが、
いざ塗ってみるとたぶんこんな色の京浜急行を作る人はあまりいないだろうなあという
得も言われぬ自己満足が感じられます。
同時に、なんでもかんでも唯一無二の正解があるように思いがちな昨今において
少しばかり好き勝手できる解放感が味わえた工程でもありました。


その流れだからというわけではないのですが…
どうしようかと考えあぐねていた集中クーラーも自分なりの印象を詰め込む方向で。
ニワカ知識しかありませんが、キットに入っているのはCU71-DNというタイプのようで
今回作ろうとしている時代設定のCU71-Bとは上面の位置関係が若干違うように見えます。
いちばんわかりやすいのはBのほうが端部の空白部分が長い点ですが、
側面窓との位置関係で見ると全長そのものは同じように見えるので、端部を継ぎ足すわけにもいかなそうです。

と考えたところでだいぶ嫌になってきたので、割り切って目に付く上面手すりだけ
浮かせるに留め、後々良いパーツが出てきたら交換することにしました。
この手すり本体はφ0.2の真鍮線で、トレジャーの配管止め2に入ってる割ピンで固定してあります。
この割ピンが膨大な個数必要なのもさることながら、実車を見ると
どうやら固定金具の位置が若干不均等な箇所が散見されるため、できる範囲で再現しました。
あとちょっと浮かせたほうがリアルだったかな…。

続いて、所詮はモドキと言えども見せかけの細密感は出るように
側面~妻面のボルトを再現しました。
これはφ0.2の真鍮線を短く切って頭に黒瞬着を盛ったもので、
以前相鉄6000のヒューズ台座のボルト表現に用いたのと同じ工法です。
黒瞬着が表面張力で勝手に丸くなるのを利用した工法ですが、
今回はそれだとちょっと主張が強すぎる…ということで最終的にはヤスリで平らに均してしまいました。


塗り終えた図。
側面のキセ継ぎ目はスジボリだと太くなりすぎると考え、
旧いGMインレタの罫線を転写して再現しました。
ボルトとの位置関係で若干の妥協が見られますが、これまた見せかけだけの細密感は出たと思います。
今のところ手付かずですが、実車は片方の妻面に点検蓋が見えるので、なんとかできないかと思案中です。

また、今回はファンのところを敢えてダークグレーで塗り分けてみました。
順番としては先にダークグレー(Mr.の609番)を塗って、四角いところはテープ、
丸いところはマスキングゾル(少しだけ水で薄めると塗りやすい)でマスクしてから
わざとすごく明るいグレー(Mr.の308番)を塗り重ねるというものです。
これまた好みがわかれそうな仕上がりですが、
この時代の写真を見ると屋上機器はこんな感じに見えることが多い気がします。

欲を出してベンチレータの通風孔も塗り分けてみましたが、こっちは細かすぎてへろへろになっちゃった。
一応これから地道にタッチアップして少しは見られる姿になる予定です。
屋根布は各種書籍を見ると明るい屋上機器とのコントラストが相当はっきりしているので、
前述のMr.609番に黒をかなり足したもので塗ってあります。
このあと艶消しクリアをかけるのでちょっと感じが変わるかもしれませんが、昔の京浜急行感が出てうれしい。


前面もちょっとずつ仕上げ。
方向幕は富士川車輛のステッカーです。
ほんとはクリア後に貼るやつだと思いますが、我慢できなくて貼っちゃった。かっこいい…
四隅の面取りをするときに、面倒でももう一段階面取りしてスムーズなRに仕上げると
見てくれがだいぶ良くなります。
肉眼だと一段階で十分なんだけど、カメラで接写するとけっこう気になるのね。
ステッカーの出来が良いなら、こういうところもちゃんとやりたいなと思った次第。
ツイッターにも書いたけど、この電車の場合行先も顔の一部みたいなところがあると思って
真面目な行先にしました。
白状すると今回も"平和島"行きにしかけたんだけど、あまりにもしっくりこなくて品川行きにしました。

ジャンパホースの根本は写真を参考に塗り分け、渡り板にはトレジャーのインレタで手描き風?の白い車番を入れました。
こんなのまで製品化されてるのかーってくらい何でもござれの京急とか東急、うらやましい。


車番はトレジャーの1500形鋼製車用を並べ替えて使いましたが、
特段の理由はないのでGMの京急用が手に入るならそっちでもいいと思う。
今回はそれが入手できなかったの。

反対側の先頭も海へ行く電車らしい"三浦海岸"行きにして、しばしニヤニヤタイム。
へへっ…かっこいいじゃん…
ちょっと前、NHKのプロフェッショナルで宮崎駿監督がめんどくさいを連発してるシーンが
あったのと同じように、模型作りも大体の場面はめんどくさいんだよねえ。
趣味だけど手を付けるまですげー億劫だもん。
でも、それがじわっと溶けるような瞬間があるからやめられない。


※毛じゃないよ繊維だよ※

側面の車番。
こっちはトレジャーの700用を並べ替えてます。
今回に限らず大体の車番はこうやって台紙のフィルムごと切り出して、
テープの上に一桁ずつ並べては、光にかざして高さとかを微調整するのね。
われながらよーやるわ感。
敢えてこれをやるメリットはどこにもないので、がんばってズバリのインレタを探すか
自家発注したほうが精神衛生上も好ましいかと思われます。


のちほどご紹介しますが、かの名著・私鉄電車のアルバム4巻に
今回のプロトタイプずばりの1341編成の形式写真が載っているので、
これを参考に車番の高さや位置を決めました。
違ってたらメンゴなんですが、たぶんこんなかんじ。
マスキングテープで目印を作って、ある程度位置が揃うように転写しました。
ちなみにこの時は末尾の3がズレたのでやり直しました。一桁ずつ並べるメリットはマジでなんもねえです。


KHKロゴも。


番号が違いますが、転写し終わりの図。
この1342は番号同士が寄りすぎてる気もする。やり直したんだったかな?もはや覚えてない。

あと上に見えてるサボ差しはトレジャーの金属インレタです。
側面表示窓の銀縁と一緒に入っていて、本来塗装前に転写して使うものです。
今回はうっかり忘れたまま塗装を終えてしまったので、後貼りしてプライマー→白→赤を筆塗りして仕上げてあります。
側灯のモールドも削り忘れてたのをあわてて削って後から部分吹きでリタッチしたりまあまあ適当です。


エンド表記もトレジャーの京急700用から。

ひとつ上の画像にあるドアコック?の▽も同じく700形用からですが、
こっちは集中冷房車の同じ車種の中でも位置にバリエーションが見られて混乱。
具体的には私鉄電車のアルバムに出てるデハ1321と、下で紹介する保育社カラーブックスP14のデハ1369で
同じ側面のはずなのに表記の位置が違う。
今回は1321に合わせた位置で転写してあります。


妻面のようす。
検査表記(まだ貼ってない)はトレジャーの京急用に含まれていますが、
銘板は入っていないので、同じくトレジャーのTKK旧3000用から流用しました。
よく見ると2枚とも"東京急行電鉄"だけど、まあ読めないでしょw
もともとエッチングパーツを貼るつもりだったのがうっかり忘れてたがために
インレタ表現と相成りましたが、実車の銘板は国電や小田急と比してごく薄いものだったようなので
図らずも好都合でした。
検査表記はt0.1のプラペーパーを介したほうがリアルかな?
これもほんとなら塗装前にタミヤセメントで付けておけば良いはずのものなのですが…。

…といまのところはここまで。
まだ配管を塗ったりいろいろやることがあるので、クリアコートはしばらくおあずけっぽいです。
足回りもまだ手付かずですが、こっちものんびり丁寧に組み上げたいと思います。

前回3冊ほど参考資料を挙げましたが、その後も
いくつか役立つものがあったのでその紹介をしてみたいと思います。
いずれも古い書籍ですが、つぶさにヤフオク等を見ていると案外よく出品されています。


左から順に

・交友社 私鉄電車のアルバム 第4巻
これは言わずと知れた名著。
第4巻は昭和44年~昭和57年くらいの車両です。
京急1000形は集中冷房車のみこの巻に載っていて、
デハ1321(Mc1)、デハ1252(M2)、デハ1343(M1)、デハ1344(Mc2)の形式写真が載っています。
初版は昭和58年12月印刷とのことなので、当然いずれも更新前の姿です。

この本のすごいところは膨大なバリエーションのどれもが車体から床下機器まで
鮮明に映っていて、写真のサイズも大きいこと。40年近く経っても色あせない
不朽の名作と呼ぶにふさわしいシリーズです。

・ヤマケイ 私鉄ハンドブック第10巻
こっちも有名なシリーズですね。
一見すると当時の空気感を味わうのに好適なグラビアですが、
細かく見ていくと案外ディテール工作の参考になる写真が随所に盛り込まれています。
この京浜急行の巻ならばデハ1289の形式写真や、1000形各タイプの前頭部俯瞰写真などがその最たるものです。
他私鉄でいえば東武の巻で2000系の俯瞰写真でモニタ屋根の幅が異なる部分をちょうど押さえてる写真など、
よくぞ押さえていてくれた!という資料があちこちに載ってます。

ちなみにこのヤマケイ本でも京急のバーミリオンは朱色っぽいかんじに見えます。

・保育社 カラーブックス第14巻
このシリーズは何度も改訂版が出ていますが、ぼくがもっているのは昭和57年4月版。
小さい本ですが、デハ1369とデハ1345(いずれもMc1)の俯瞰写真は今回ベンチレータまわりの工作にあたってとても参考になりました。



・鉄道ピクトリアル 1980年・1988年いずれも9月増刊号 京浜急行電鉄特集
これはつい最近入手したこともあって、まだそんなに資料として読み込んでない。
でもプロトタイプの形態分類とか、その時代の電鉄を包括的に理解する上で
ピク増刊号はやっぱ不可欠だなと感じました。いずれ90年代以降のも読んでみたいな。


最後にちょっと毛色の違うおすすめ書籍。

・TMS No.600 1995年7月号
1000形じゃないけど、16番のかっこいい600形の作例が載っています。
この号はかなり昔から持ってるけど、見るたびに600形が作ってみたくなる。
今だと鉄コレの冷改車から作るのが一番なのかな?
この記事で見逃せないのは、実車への思い入れが伝わる本文と、
緻密の極みともいえる床下機器の工作です。今回直接的に参考にした部分は
ありませんが、案外こういう他形式の読み応えある記事を目にした時ほど
同じ鉄道の別形式を作ってみたくなります、わたしゃ。
7月号~9月号の3号連載のかたちで取り上げられてるので、
なるべく3冊入手するのがおすすめ。
ぼくは最初7月号しかもってなくて、続きが読みたくてジタバタしてました。

・TMS No.662 1999年12月号
これは1000形の作例が載っていますが、No.401の記事と違って分散冷房車です。
従ってこれまた直接的に何かの参考になるというわけではない。
ただ、作品のクオリティが高いうえにこれまた記事からは製作にあたっての
思い入れ→そこからくる独特のこだわり、材料選びの独創性…
一番読んでみたい要素が随所に盛り込まれています。

ぼくはNを中心に作ってるからどこのパーツを使ったか、とかは
読んでもあんまりぴんとこないんだけど、さっき書いたようなところは
スケール問わず共有できる要素ですからね。
大風呂敷を広げるようですが、こんな記事が書けるようになりたいなーと思いました。

最後に、今年やってみたいものを一部…


ふとした閃き。
昭和30年代、日車製、連接車…共通ワードからの連想で寸法を当たったら
福井鉄道200の動力が使えそうだ、と。
もちろん若干の差異はありますが、使えないほどではなさそう。
というわけでこれはやんわり、それっぽいものを丁寧に作るスタンスで仕上げてみたい。

もとはと言えばアオガエルのキットを持ってるから福島交通5000で調べてたんですよ。
ところが全く同じ時代に全く同じ形式を名乗ってた全く別物のほうに強く惹かれた次第。
あまぎの公式にある「温泉行の連接車」って文言もいいよねえ。
一応資料は集めてみましたが、何となくモモとかリンゴを連想させる
かわいい感じの色合いを綺麗に塗れればヨシ!な題材と考えています。


まず資金的に無理なので16番に本格移行はしないですが、
Nでできない(というか車輪の厚みが目立ちすぎる)ネタならば…というのは建前で、
ずいぶん前、ちょっと心が揺れてた時期に偶々手ごろな中古キットを見て買ってしまったもの。
武庫川線にするのか、1両しかないけど甲子園の科学博塗装にするのか…どうなりますことやら。

2021年の終着駅。

2021年12月31日 21時04分03秒 | 雑記
へろへろと、到着です…

今年はかつてなくギリギリの投稿となった恒例の年末記事、まずは今年の竣工車両から。


2021.07竣工 小田急4000形4062×10

2019年末の記事にも完成した風に登場していましたが、
あの時点では屋根周りが手付かずでした。
パンタ周りをフルパイピングで仕上げて、晴れて今年竣工しました。

車体は製品の塗装を概ね活かして仕上げましたが、窓枠をダークステンレスシルバーで
塗り分けるなど一定の質感は出せたと思います。10両編成を仕上げられたのも我ながら驚きです。
地元の現役車両を作っていると、製作途中にも実車を見る機会が多いので
モチベーションを保ちやすいのが良いところ。
来年は原点回帰で小田急にウエイトを置こうと思っているので、我が家でも最多両数の
3000形を1本くらい追加で仕上げたいところです。



今となってはなつかしい眺め。当時はJR無線が準備工事だけだったかも。


2021.03竣工 京王帝都3000系3772F

完成品の大部分をそのまま活かし、顔だけ鉄コレのを塗り直して挿げ替えるという
我が家では前代未聞の工法を採りました。
配管もモールドのまま、妻面裾のカプラー逃げもそのまま…と徹底的に手を抜いて
確実な完成を目指すというスタンスのテストみたいな作例となりましたが、
この手のものを増やすかといえば微妙なところ。

その車両自体を納得のいく水準で仕上げたいのか、
色々な車両を並べて楽しむうちの一員としたいのかによって変わってきそうですね。
京王帝都3000は私の中では後者の色合いが濃く、在京私鉄各社の並びに
これが加わるだけでたちまち華やいだ印象になって思わずニヤニヤ。



気が付けば帝都電鉄の面影も遠くなりました。


2021.05竣工 京王帝都2700系2707F
2両しか作らない分、丁寧に…と取り組んだ作例。
エッチング手すりの断面をペーパーで仕上げたり、アルミサッシは調色の上で吹付仕上げにしたり
手のかかることを色々やった一方、足回りの仕上げがやや雑になってしまったのが悔しい。

鉄コレが出た時、特急色や昇圧前も作ろう!と3編成買いましたが、
あれから8年後の今、1形式あたり1本作るのがやっとです。
何なら生きているうちに同じ形式を二度作ることさえなさそうな感じなので、
最も好きな仕様をよく検討し、じっくり作るスタンスにしたい所存。



来年こそは6000系をフル加工したいところ。


2021.10竣工 JR205系京葉線

ただただ「作ってみたかっただけ」で仕上げた1本。
細かなディテール考証は無視するぶん、「やってみようかな?」と思った工作は全部盛りにしたテストカーです。
技術的な収穫の多さもさることながら、作っていて気楽で楽しかった。
ここ数年、何を作っても二言目にはプロポーションの修正とか単純加工を何十か所…とかで
気が進まないことこの上なかったので、そのあたりを全部スルーする快感はなかなかのものでした。
とはいえその分細部のクオリティは微妙なので、これを標準にすることはなさそう。
年に1本くらいこういうのを楽しく作るくらいがちょうど良さそうです。
手元には東急アオガエルやら157系やら101系やら、いくつかEキットがあります。
来年はこのどれかをやろうと思います。アオガエルは福島か上田(旧塗装)にしたいな。



紅一点。


仕掛品の山手線と並べて鉄道ファン誌'92-1表紙風に。


今年の竣工両数は合計21両となりました。
なんと19両がSUS車でびっくりした。
小田急1000、東急7000、営団3000…必ず作りたいSUS車はまだまだ沢山ありますが、
来年はもう少し鋼製車のラインナップを充実させたいところです。


2012年1月からの10年間に竣工した電車たち。
今年はTwitterのモデラー界隈でも16番が大流行した感があり、
大いに心が揺れましたが…技術的にも経済的にもスペース的にも今のところNが妥当かなあと感じています。
根本的なところでこういう"たのしいでんしゃだいしゅうごう"的な眺めをやりたいっていうのもある。
むろん、単体で眺めても鑑賞に値する作り込みを大前提としたいですが…。

以下、仕掛案件いろいろ。


今年の工作から…その1。小田急の角目ライトをかっこよく。

長年の懸案だったこの加工にも一応の道筋がついたのがうれしい。
タッチアップをしくじった弾みで4連1本をIPA漬けにしましたが、
保有する1000形全部を塗り直すのは相当にしんどいと思われ、
デビュー当初の4連一本のみ全塗装・他はタッチアップで仕上げられないかと検討中です。
全塗装する分は、何とかして1次車にできないかと色々思案中…
こちらもうまくいったらまたTwitterにでも上げます。


今年の工作から…その2。相鉄6000急行灯の点灯化改造。

去年竣工した6000系は、ようやく急行灯が光るようになりました。
ぼくの好きな年代の私鉄電車は大体前照灯消灯・急行灯点灯だから
このほうが当時感出てかっこいいね。
使ったのはクレオスのモジュールLEDですが、配線の処理等がみすぼらしくなってしまったので、
来年は人に見せられるくらいのクオリティを目指したい所存。


今年の工作から…その3。ほほえみ号試作。

準大手時代の相鉄を語る上で外せないほほえみ号、どうしても欲しいので
エアブラシ+手描きでやるとどんな感じになるかを掴むために試作した。
感想としては白い反射の部分も先に白を塗ってから濃い色を重ねると綺麗…という
ちょっと考えれば当たり前の事実w
あとは塗料は普段より薄めに溶くとグラデーションが綺麗…くらいかな?
雲は手描きがしんどいので、白を塗る→ゾルでマスキングorインレタを起こしたほうが得策かも。
前回記事の水間でも触れましたが、この、インレタが自家発注できるようになったのも
大きなトピックでしたね。表現の幅が格段に広がりました。

ここからは買ったもののお話。


ポポンデッタ 銀座線1000系

迷ったけど買ってしまった。
買ってしまったけど買ってよかった。
特別仕様車も気になりましたが、やっぱり実車をよく見かけるノーマル仕様を選びました。
2灯ライトの天地がややつぶれ気味なのが惜しいですが、
戸当たりゴムに印刷が入っていたり、インテリアが床材の色で成型されているなど
既存メーカーにも真似してほしい工夫が凝らされています。


銀丸日2021。
現代の2000系も欲しいな。正面の、小鳥を彷彿させるような丸みがかわいい。


セルフオマージュ的な。
2015年末の記事より、銀丸日2015。


グリーンマックス 東急8500系非軽量車

クロポで未塗装キットが出るまで我慢するつもりだったんだけど、
一番やりたい8616Fと編成構成がドンピシャな8615Fで出てきたので、買ってしまった。
8500系は7年前と13年前にエコノミーから作っていますが、
現代水準でやり直したかったのでうれしい。
いつもならデビュー当初にしそうなところですが、これは2005~2008年くらいの8616Fにしようと思います。


KATO 京浜急行デハ230形

6年前のアッセンブリーキットはスルーしましたが、
大師線として編成で出てきたので買いました。
リベットや窓サッシなど、細部までよくできていてうれしい。
RMライブラリーを参考に丁寧に手を入れたいと思います。
製作中の旧1000形と並べるのが楽しみです。

写真は杉田付近を模してみました。


トミーテック 横浜市交通局1000形

市営交通100年を記念して横浜市営が沢山出ましたね。
ぼくの大本命たる1000形は一番欲しい開業時の3両かつ足回りも新規ってことで
どうしても欲しかったので、普段しない予約をしてまで買いました。
銀を塗り直したい気がしているが、コルゲート周りのマスキングがやや大変そうで躊躇している。


TOMIX 475系

これは今年発売じゃないけど。
後述の富山ツアーの遥か前に、地鉄乗り入れの急行立山にしたくて3両だけ買いました。
手持ちの鉄コレとかと並べると往年の富山地鉄の賑やかさに驚かされます。


KATO EH10

これも今年発売じゃないけど、前から欲しかったやつ。
KATOサイズだし端々に設計の古さが見て取れますが、
フルリニューアルを待っているうちに自分がお星様になるやもしれないので、
安い出物が出たタイミングで買っちまいました。
一応ものの本を調べながらナンバーを選んで、前照灯レンズを165系のギザギザのやつに交換してニヤニヤ。

新幹線開業前の柏原~近江長岡を模してみた。
東海道随一の豪雪地帯のこのあたり、独特なムードがあって大好きです。
大阪へ行くとき、新幹線の車窓から在来線の独特な架線柱が見えると
いよいよ京阪神の文化圏に入るんだなあという高揚感でわくわくします。

以下、おそとの写真。

2021.10 能生にて ※黄色い線の内側から撮影

体力的に大丈夫か!?という不安があったものの、心強い引率の先生にくっついて日帰り弾丸トキ鉄詣で。
編成美厨だからクハ412も連結してほしい~とか思いながらも、かっこいい国鉄急行色を見てきました。
なぜかボナの413系キットを持っているので、いずれこの仕様で仕上げるべく細部も観察してきましたよ。


2021.10 富山地鉄車中にて。

初めて乗りましたが、なかなか素敵でした。


2021.10 電鉄富山にて。

カラーリングは右のほうが好きだな…
日没後に富山をうろうろしていてもその日のうちに神奈川まで帰ってこられるあたり、
新幹線の偉大さを感じずにはいられません。


2021.12 中央林間にて

地元もいろいろ変化がありましたが、地味なところで残り1本の1000形ワイドドア車と
11/27開設の東口改札の組み合わせなど。おそらくかなり短い期間の組み合わせになるのでは…と。
片瀬江ノ島行きの発車標もあと僅かの眺めになりましたね。

・ ・ ・

というわけで2021年線の終着駅にたどり着きました。
この1年、いかがお過ごしだったでしょうか。
気が付けば2年目のコロナ禍の中、様々な形で苦労の絶えなかった方が多いのではないでしょうか。
ご多聞に漏れず私もいろいろなことがあり、これからの先行きにも仄暗いものが立ち込めていているように感じます。
正直なところもうだめかもというタイミングも多々…。
そんな中で曲がりなりにも1年を完走できたのは、巳年の執念深さゆえでしょうか。
来年はもう少し、打たれ強くなれたらうれしいですね。

最後になりましたがリアルでTwitterでお世話になりました同好の皆様、ありがとうございました。
壺中の天ではないですが、束の間、実生活のいろいろから解放されるひとときを来年もご一緒できたらうれしいです。
もちろんスケールを問わず、スゴい作品の数々にめぐり合えることも楽しみにしています。
良いお年をお迎えください。


横浜、小田急が走ってないこと以外パーフェクト都市では…?と感じた眺め。

"すいてつ"をつくる

2021年12月01日 21時57分36秒 | 関西私鉄

2014年 水間観音駅にて クハ553保存車

のっけから暗い写真で恐縮ですが…
長らくやりそうでやらなかった関西モノのトップは
阪急でも阪神でも御堂筋線でもなく水間鉄道になりました。
Twitterにちょこちょこアップしていた製作の様子を、例によって製作記にまとめてみます。

この写真を撮った折に貝塚~水間観音を往復したことこそあれど、
およそ縁遠い地域の小電鉄をやることになったきっかけは
20数年前に地元の図書館で眺めた児童向け書籍。
詳しいことは忘れましたが古めかしい車体におよそ似合わぬトリコロール風の
塗装を纏った旧型車が田園風景を行く写真が脳裏にこびりついており、
この手の"旧車の厚化粧"が大好きなワタシはいつかモノにしてやろうと思ってきました。

5年前に鉄コレで南海1201が出てようやく製作を企てるに至りましたが、
最大のネックは上記の厚化粧カラーに変わった際に側面へ貼付されたMizumaのロゴ。
そもそも走行写真ばかりで正確な書体が掴めなかったうえ、市販インレタなど
望むべくもなく、インレタを自家発注するノウハウもない…とあって
いつしか製作構想そのものを忘れ去っていきました。


流れを変えてくれたのはTMS950号(2021-3)に掲載の香椎線マヤ検編成の記事。
"Inkscape"なるフリーソフトでインレタの原稿を作ったとの説明があり、
まず手法面で大きなヒントを得られました。
加えて、折よくMizumaロゴ部分をクローズアップで捉えた写真を見つけたため、
あとは手を動かすのみとなり、無事インレタを発注した図が上の画像です。

写真を見る限り実車のロゴは鈍い銀色の塗料で塗ったような質感だったようなので、
明るめのグレーで色指定して発注してみました。


実車については詳しく解説したサイトが幾つかあるのでそちらを見るのが早いと思いますが、
大まかに4種類の形態があったようです。

1.二段窓で車体が短い(モハ501,502)
2.二段窓で車体が長い(モハ508等)
3.二段窓で腰板が狭い(サハ581,582)
4.一段窓(モハ503,モハ507,クハ553等)

鉄コレはおそらく2のグループになるようですが、
両運・片運の違いや、両運から片運に改造された車、はたまた蛍光灯の交流化に伴う電装解除等で
両数の割にたいへん複雑なのが特徴で、2両ないしは3両編成に1~4の各形態がごちゃ混ぜなのが
標準だった模様です。
となると気になるのが鉄コレと、鉄コレでカバーできない形態の車(キッチンのエッチングキット)を
混成した場合の統一感で、いっそのことキッチンで統一してしまったほうが話が早いのでは…?と思った次第。

種車の縛りがなくなると選択肢は俄然広がり、我らがOERのHB車を彷彿させる無骨なサイドビューが
印象的な一段下降窓のグループ(戦時中製造)も難なくラインナップに加えられます。
水間観音駅で実車を観察した縁もあり、クハ553と、一段窓では唯一の両運車であるモハ503を
先行して製作し、後々旧塗装の他形態も順次加えていこう…という製作計画が固まりました。

走行写真を見ると大体二段窓と一段窓は混結しているケースがほとんどで、
RMライブラリーによればある程度固定編成のように使用されていたようですが、
比較的晩年の写真の中にモハ503+クハ553で使用されている様子が確認できましたので、
状況に応じて多少の組み換えはあったようです。


2021年5月ごろ

内張りを固定し終わった図。
かつてキッチンのキットを組んだ際にははんだ付けで組み立てていましたが、
今回はこの手の電車の名人である市川氏の作例に倣って試験的に耐衝撃瞬着で組んでみました。
今回は側窓サッシを別塗りする関係で外板の窓柱がしばらく極細の状態となる(熱による歪みがこわい)ことも理由の一つです。

プロトタイプとする最晩年には、乗務員扉がやや窓の小さいものに交換されていましたので、
組み立て前にプラペーパーで適宜埋めておきました。



水間モハ501形の前面貫通扉は窓下に2つ凹みがあるのが標準パターンのようですが、
モハ503の非パンタ側は妻面用を流用した?のか凹みが1つだけなので、
作例でも妻面用の扉を切り出して挿げ替えてあります。
クハ553もキットの形と比較して若干の差異が認められたので、適宜加工しました。

画像はトレジャーの私鉄旧型用幌枠を仮付けした様子ですが、
俄然実車の無骨さがよみがえってうれしくなってきます。


2021年夏ごろ

キットに入っているホワイトメタルのオデコは使わず、
t1.5のプラ板を2枚重ねたブロックから削り出します。
このブログをご覧の諸兄には釈迦に説法かと思いますが、
プラ板同士の接着にタミヤセメントは使わず、耐衝撃瞬着を用いるのがミソです
(溶剤系だと削ったときにヒケてくることがあるため)


2021年11月

オデコの削り出しが億劫でしばらく放置していましたが、
いつまでも進まないのでとりあえず荒削り。
カッターで大まかに削った後、粗めのスティック紙やすりで形を整えます。
実車は横から見ると意外とこんもり感がなく、やや平たい(鋭い)印象もあるので
それも意識しつつ削り込みました。



続いて車体コーナー部のR付け。
この手の作業がずいぶんご無沙汰だったこともあり(言い訳)、
要領を掴むのに苦労してしまいましたが、とりあえず丸みがつきました。
シル・ヘッダーが少し削れてしまうので、アルミ箔ステッカーでマスキングした後
黒瞬着で復活させます(営団5000系車体コーナー部と同じ工法



ランボードの取り付け穴は不要なのでプラ板で裏打ちしたあと
黒瞬着で埋め込みました。
製作開始から半年以上経って、ようやくディテール工作に移れそうです…
というのが今日までの進捗です。


あまりにも殺風景な記事なので、冒頭の写真を撮ったときの資料をおまけで添えたいと思います。
当時、かつて眺めた児童書の写真こそ印象に残れど、水鉄を訪れた主目的は元TKK7000だったので
せっかく来たから撮っておこ—程度の感覚で押さえた写真で、若干見にくい点はご容赦ください。

画像のクハ553は確か元モハ510で、'80年代半ばに車内蛍光灯の交流化に伴うMG設置のため
電装解除された経緯を持つ車だったと思います(但し保存車はMGを撤去してる風?)


よく見ると車軸に歯車が残っています。


床下機器全体像。


前面側台車後ろ。


車体中央部。


妻面側台車の前。


クハながら、パンタが残っています。
国電のPS13とは似て非なる横型碍子・幅広の大型パンタです。
これはどうしても再現したくて"いろいろ製作所"のパンタを買ってあります。

今回は晩年のアイボリー地に赤・青の細帯を締めたカラーにしますが、
保存車のツートンカラーもかの有名な宮下氏の"地鉄電車"を彷彿させる味わいがあってとても魅力的です。
今回2両を仕上げたら、次はこのカラーも作りたいと思っています。


東急7000が若く見える、すごい世界…


リニューアルされてるけど、味わい深い上屋。


駅舎のなかはこんな感じでした。


言うだけだし言うだけだけど、
水間風のミニレイアウトとかできたら楽しそう。
でも、この駅舎をちゃんとやるにはポイントtoポイントの配線にする必要があるかも!?

小田急の角目ライトをリアルに

2021年11月07日 20時01分54秒 | 小田急1000形


長年の懸案について、久々に取り組んでみました。


※敷地外より撮影

まずは実車について。
'80年代らしい角型シールドビームですが、
前照灯・尾灯それぞれのレンズに銀のリムがつく独特の形状です。
思いつく限りでは他事業者であまり見ないカタチをしていますが、
小田急ではLSE~RSE、8000~2000まで割と長く用いられた部品ではないかと思います(違ってたらすみません)


リムは光沢の強いステンレス系?の素材で、
光の加減によってこの画像の運転台側のようによく反射します。
ライトケースのリムと相まって、独特の繊細な表情を作り出しているのがわかります。


当然のことながらライト類は光軸が正面を向くように付いているので、
R6000を描く前面の丸みに対して食い込むような付き方になります。


以上を踏まえてGMの1000形(完成品版)を眺めてみると、
やむを得ない面はあるもののかなり大味な印象です。


製品が出たばかりの6年前に、レンズの裏からアルミ箔ステッカーを添えて
反射鏡を表現してみたことがあります(左側=準急幕の車両)
多少表情が変わりますが、やっぱりリムがないと違うなーと。


実車はほぼ同じライトを持つ8000で試した加工。
右の車両はGMの8000形純正パーツの裏からアルミ箔ステッカー(尾灯には灰緑色塗装)を添えたもの、
左の車両はライトレンズパーツをGM東武10030系(完成品版)用に交換の上、
トレジャーのTTP904-02A(角型ライト)のうち、エッチングパーツCを裏から添えたうえで
更にミラーフィニッシュで反射鏡を表現しました。

後者は懸案のリムを表現することこそできたものの、
リムが太くサイズそのものも小さくて納得のいく仕上がりにはなりませんでした。

その流れでふと思いついたのが、春先に個人発注したインレタ。
フリーソフトのInkscapeで比較的容易にデータ作成ができるため、
実車のヘッドライトを撮影してトレースしてみました。
(ライトの画像はわたしがばっちり反射してるので載せられない…ごめんne)


比較的単純な形状ですが、よく見ると縦の辺は微妙に弧を描いているのがポイントです。

前述の通り実車のリムは光沢の強い銀なので、メタリック箔で色指定して注文しました。
薄手の塩ビシート(GMキットの窓セル)に転写した様子が上のシートです。
鋭い方はお気づきと思いますが、
初めから前照灯と尾灯は所定の寸法で並べたデータにしたほうが転写が楽です。

初めての試みなのでいろいろなサイズ・リムの太さでデータを作成しましたが、
最終的に天地が約1.1mm、左右が約1.4mm、リムの太さが約0.2mm程度がベターとの結果になりました
(参考程度にのちほど失敗例もご紹介します)


転写した塩ビシートを裏返してマステで仮固定後、
裏からエナメルのスカイグレイを筆塗りします。
レンズ以外の部分を表現するためですが、試行錯誤の結果
裏面から塗ったほうがスッキリ見えるとの結論になりました。
また、塩ビにエナメルなので定着力は極めて弱く、
出来るだけ塗装後に刃物を使わずに済むよう(切り口から塗装が剥がれるので)
周囲はある程度カットしておくと〇でした。
言い方を替えれば多少はみ出しても爪楊枝でこすれば容易に修正が効きます。


こんな感じになる。
ただ、敢えて塗装でやるメリットはあまりなく、
できればこのスペーサー部分もグレーのインレタを起こしたほうが早くて綺麗に仕上がると思います。
わたしも今後の増備分ではそうしようと思いました。


お次はレンズの反射鏡表現です。
使うのはトレジャーのTTP904-02Aのプラ製レンズ。
まずはヘッドライトを作るために、表面が球面状の角型レンズを使います。


ここに4アーティストマーカーのシルバーを塗ります。
すごくわかりにくいのですが、塗った面は車体裏側になります。
球面頂点から約0.5mm程度のところでカットし、
カット面を先ほどの塩ビシートの裏から接着することで、
透明部品を通して凹状の反射鏡が見える構図を狙うわけです(説明が下手ですみません)


お次は尾灯です。
少し画像が見づらいのですが、こっちは表面が平らな角型レンズを使います(同一サイズで2種類収録されてます)
エナメル塗料のクリアブルー+クリアーイエローで作ったクリアグリーンを
クリアとエナメル溶剤で薄くして塗布します。
実車の尾灯は消灯時に灰緑色っぽく見えるので、表面を限りなく透明に近いグリーン、
裏から灰色を塗って透明感のある灰緑色を表現しようという狙いです。

こっちも表面から0.5mm程度のところでカットしますが、
前照灯とは違い塗装した表面側を接着します。


こういう感じのユニットができあがります(左は裏返した様子)
これを純正のレンズパーツを外した車体裏側から添えると冒頭のような仕上がりになります。
ただし、前述のように後退角があるのでそのまま付けると光軸がやや外向きになってしまいます。
これを実車通りに光軸が正面を向く角度とするために、車体裏側を僅かに彫り込む必要がありました。

前後しますが、塩ビシートにレンズを付ける際の接着剤はセメダインのハイグレード模型用を用いました。
透明度が高く粘度が低い使い心地で、塗装を侵さないすぐれもの。
レンズのカット面は表面が荒れることでやや曇りますが、
この接着剤はクリアコートと似た効果がもたらされ、透明度が復活するのも好都合です。


純正のレンズを外してしまうことでカバーガラスがなくなってしまうので、
塩ビシートを開口部の大きさに切り出してはめ込みました。
これも上記のセメダインで綺麗に接着できます。


純正レンズを使わないのは、開口部に対して隙間が目立つため。
画像は純正レンズを嵌めたまま、純正のプリズムにリムのインレタを転写した様子です。
厚みがあってリムやレンズが奥まってしまう上に、断面が反射してあまり綺麗な仕上がりではありません。


考えた末、今回の構造になりましたが、
リムのサイズが小さすぎ+前照灯と尾灯が寄り目すぎる失敗もしました。
天地が1.0mm、左右が1.3mmのリムですが、たった0.1mmとはいえずいぶん見た目が違います。
また、尾灯のクリアグリーンも濃すぎたのがわかります。


改めて冒頭と同じ完成形を。

1000形になかなか手を付けなかったのはライトをどうにかしたかったから…
というのがメインなので(次いで軸距が寸足らずな台車枠も気になる)、
ようやく対策が立てられたことでそろそろ1編成仕上げようという気持ちになりました。

台車枠の問題がない8000は更に課題が少なくなったので、
1000もそこそこに8000を1編成やってもいいかもしれませんね…と大風呂敷を広げつつ〆といたします。