のすたる爺や

文明の果てなる地からのメッセージ

ソクーロフ

2006年10月24日 | 日記・エッセイ・コラム

 昨日は秋葉原で家電製品を買い込み、今日は富山へ向かったウラジオストクスタッフ。東京滞在中は雨でした。

 来日前に「東京と新潟の気温はどのくらいですか?」と聞かれ、”東京は今日の昼間は25度と言ってたよ。週明けは寒くなると天気予報が言っているから、9月半ばごろの服装で来ればいいと思うよ。”と伝えました。その前夜ウラジオストクはの気温は5度でした。

 この季節、ウラジオストク市内の中央暖房システムは稼動しないので一年で一番寒い季節とも言われています。暖房が作動し始めると屋内では半袖で過ごせる温かさになりますが、今の季節は電熱式のヒーターなどで寒さをしのぎます。

 我が家の周辺も今日は1日雨降りでしたが、この季節の雨は体にこたえます。まだ寒さになれていないこともありますが、湿気が寒さを強調しますし、体が濡れると冷たくていられたものではありません。
 山の上は雪になっている可能性もあります。週末天気でも良くなれば山に出かけてこようかと思います。

 地元の奥様方が伊勢崎のMOVIXでアレクサンドル ソクーロフ監督の
「太陽」を見てきました。ベルリン映画祭に出品され、無冠だったものの最も話題を集めた作品と言われています。
 日本では思ったほど話題にならず、マイナーな配給しかされていませんが、第二次大戦での昭和天皇を描いています。イッセー尾形が昭和天皇、桃井かおりが皇后です。
 戦争や歴史を立体的な目線で見るロシア式自然で見ているので、日本人が語れなかった部分を代弁しているかもしれません。感情的に歴史を捉える中国や韓国では受け入れがたいかもしれません。
 何でこういう映画がマイナーなのか?
061024a  見てきた奥様曰く、「とにかく、描写が丁寧で、時間の流れがハリウッド映画や今の日本映画とは、全然違い、ビックリしました。ゆっくりなのです。流れるようでした。
 時々、天皇がいう事におかしみや、ユーモアありそこに重苦しい時代やテーマにもめげず、救われました。
 天皇がよく言う「あ、そう」なんて、まさにイッセー尾形さん、うまかったです。
 天皇をテーマにした映画は、今の時代、多分、韓国や中国の猛反発がありそうで、そのリスクを背負う監督や映画会社は、日本にはいないような気がします。」

 かつての日本映画と同じくロシアの映画も余計なことは語らないので、見る側との駆け引きがあります。と、言うよりも全世界に向けて発信するハリウッド映画が雄弁に語りすぎるので、何も考えずにわかることに慣れるとロシア映画は難解かもしれません。
 テレビを見ることと本を読むときの違いのように、ただ眺めていては何を描いているのかわからない読書のようなロシアの映画です。
 特にソクーロフ作品は言葉ではなく映像でこちらに問いかけてくるので、その気になって見なければ「奇怪でわからない」その気になって見れば「なんとなくわかるような木が刷る」作品が多いです。
 ロシアの映画は優れた小説のように二度三度見たり時を経てみるとまた受け止め方が違う面白さがあります。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする