のら猫の三文小説

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新しい子猫たち No.334

2014-12-20 10:47:05 | 新しい子猫たち 

リトルチャ、悪徳弁護士と会う





リトルチャの組織では、チビダロウが各種の情報を収集して、それを分析して、リトルチャに報告していた。組織として、上がってくる各種の経営情報以外に、世間の噂、関連業界の話まで多岐に渡っていた。



チビタロウは複数の調査会社を使い、同じことを複数の会社に調査させるとの小細工もしていた、チビタロウの携帯は猫ホーンと呼ばれる、コネコ通信の最新型に、猫語翻訳機を組み込んだもので、調査会社は時折かかってくるチビタロウからの依頼には大事に応じていた。そして香奈の家の猫たちからの技術情報を伝達する役目もチビタロウは負っていた。





チビタロウは元々リトルチャタロウの弟子なので、大局的な判断はリトルチャタロウにも相談した。チビタロウは、リトルチャにリトルキャット基金での個人融資が上手くいっているのは、悪徳弁護士たちのグループが懸命に努力しているからだと報告した。





お宝銀行の頭取も、部門の責任者を兼務していた秘書室長からの報告でも、返却率がすこしつづあがり、恵の財団、不動財団そして香奈特別保証との連携も進み、悪徳弁護士たちの努力で、利益も上がっている事は知っていた。





リトルチャは努力して、成果が出れば、金出すのが当然と思っている猫なので、元々利益なんぞとれない事業が継続して運営できているのは、それは大切な成果なのだ。マイナスからプラスに転じさせた功労者なので、特別ボーナスを出そうとして、悪徳弁護士をリトルチャの部屋に呼んだ。





悪徳弁護士は超現実主義者で、リトルチャはお宝銀行の単なるマスコット人形のモデルに過ぎない、香奈の飼い猫の一匹のリトルチャをモデルにしただけだ、お宝銀行は、香奈の個人マネーから出来た銀行で、それを大きくしたのは今の頭取だろうと単純に思っていた。





お宝銀行の本店ではなく、リトルチャの部屋に呼ばれた悪徳弁護士は、そこでリトルチャに会った、そこにはお宝銀行の頭取、リトルキャットファイナンシャルの社長そしてチビタロウ、意外な事に神太郎までいた。



リトルチャは昔、神太郎が悪徳弁護士をゴミみる目で神太郎が見たと云う話も聞いていた。神太郎が人見る眼は確かだった、心が読めるとも香奈は言っていた。リトルチャは、神太郎に彼の心を見て欲しかったのだった。



神太郎にはリトルチャグループとの調整を総括的に行いたいので、ご足労頂きたいとリトルチャにしては丁重に頼んでいた、神太郎はほとんど決着のついた話ばっかりなので、リトルチャグループの首脳会議には不思議な思いで同席していた。



神太郎グループとリトルチャグループの協力関係は進んでいて、神太郎オフィスのナンバー2とも云えるアイツが担当して、特に問題もなかった筈だった。





会議の席上もお互いの協力関係を確認しただけだった。そこでリトルチャは悪徳弁護士に多大の特別報酬を出すと言ったが、悪徳弁護士は意外な事に断った、特別な事はしてませんと云う理由だった。





悪徳弁護士は、リトルチャが本物だと一瞬にして悟った。多大な報酬を受ければ、やっぱり、あいつは金目当てと思われると判る程度の頭はあった。





リトルチャは、お宝銀行の頭取に、法律アドバイバーとしての報酬を上げる事を検討するように命じた、お宝銀行の頭取もそうですね、ウチの法務部の部長に悪徳弁護士の事務所に行かせて、細かい話をさせますと言って応じた



緊張感の漂う部屋から早々に悪徳弁護士は引き下がった





リトルチャ



神太郎さんは昔、彼を見て、ゴミ見るような目をしたらしいですけど、今の彼も同じですか



神太郎



僕は昔会った事も忘れているよ。ただ今の人は複雑な感情を持っている人だね、単純にいい人ではないけど、心の中で葛藤している人だと思うよ、人間の多くはそうなんだけど、そういう葛藤を持っている人の方が案外強いのだよ、恵おばさんもあんなタイプは今までの財団の法律屋にはいない、屁理屈こねても主張を通す人だね、ウチも助かっているみたいだよと言ってましたよ、



鋏ではないけど、人もまさしく使いようによって変化するんだね。



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