ノエルのブログ

シネマと海外文学、そしてお庭の話

ノエル通信

2018-03-20 00:41:30 | ノエル
    
すっかりご無沙汰しております。 ゴールデンレトリバーのノエルです。  これは、夜、自分のハウスにいるノエルを撮影したもの。

 夕方の散歩から帰って食事、その後は長~い夜をハウスで過ごすノエルですが、八時か九時頃、一度トイレに連れて行ってやります。


そうやって、再び家に戻ってきたら、サッと小屋に飛びこんで、うれしそうにサッカーボール(下の写真では、破れた毛布の上に乗っかっています)をくわえて、私のそばに寄ってきます。小さな頃から、ずっと遊び道具だった、噛むとキュウキュウ鳴るサッカーボール――自分の気持ちを汲んでもらってうれしい時、いつもこれをくわえて見せてくれるのであります。
ひょっとして、自分の宝物を見せてくれているつもりなのかしら?

     
少しでも温かいように、昨年買った毛布もすっかりボロボロ。ノエルに関しては、毛布はワンシーズン限りのものなの。

それでは、夜のノエルを実況中継いたしました。皆さま、ごげんきよう。 

ビューティフルマインド

2018-03-17 09:24:28 | 映画のレビュー
   
実在の天才数学者の物語。 何年も前に劇場公開されていた時、「すごく興味のある題材だわ。ぜひ、観たい}と思っていたのに、その機会がないままだったので、ようやく観ることができてとても嬉しいです。

学者の栄誉として、最高峰と言えるノーベル賞にも輝いた数学者、ジョン・ナッシュ。だが、彼は統合失調症の幻覚に苦しめられ、天才と狂気は紙一重という通説をそのままの人生を生きてきました。
これだけでも、物語としての興味はますのですが、このジョン・ナッシュという人物像がかなり特異。小川洋子さんの小説「博士の愛した数式」でも、ごく短期間しか記憶を保てない元数学者と家政婦の女性との交流が描かれていますが、数学者というのは、世間とは大きなずれを抱えた人物が多いのでしようか。

ナッシュ自身、「僕は単刀直入にしか物が言えないんだ。それに他人と話すというだけで、一苦労なんだ。人が好きでないし、人も僕を嫌う」などと、平然と言ってのけたりします。
だから、若き日在籍した、プリンストン大学でももちろん、一人浮いた変わり者。そんな彼にも、温かな友情を示してくれるルームメートの友人、チャールズがいて、時にはそれが彼の救いともなります。

他の学生のように講義にも出席せず、論文も書かない。しかし、独自の論証を巡らしていきながら、「ゲーム理論」や「リーマン予想」などの輝かしい数式を打ち立てるナッシュ。だが、そんな日々の中、彼は国防省のパーチャーという男から、ロシアからの秘密の暗号を解読してくれと頼まれることになります。
これが、機縁で政府の秘密機関の一員として暗号解読に携さわることに。

その一方、極端な変わり者ナッシュにも、春(?)が訪れて愛する女性アリシアと結婚。かつての友人チャールズが、小さな姪を連れて現れたりもします。

                 

だが、秘密の任務に携わっているという極度の緊張は、ナッシュの神経をすり減らすこととなり、ある日ついに精神病院へ措置入院させられることに。
そして、その時驚愕の事実が、アリシアに伝えられます。
何と、ナッシュが暗号解読の任務に携わっていたというのは、まったくの幻想だったということ。国防省のパーチャーという男も、友人のチャールズも架空の存在で、すべてはナッシュの妄想だったのでした。

ここで、私達観客も唖然としてしまうのですが、妻のアリシアが「そんな……ジョンは、チャールズのことをとってもいい友人だと言っていたわ」というのに、「では、実際にチャールズに会ったことはありますか?」と聞く精神科医。
「プリンストンのルームメートだったと言っていますが、ナッシュ氏は当時、一人部屋だったという記録が残っています」とも。ここまで来れば、怪奇小説とか幽霊談じみてきて、怖いですね。
そして、ナッシュが暗号を解読していたという仕事部屋に行ってみると、アリシアの前にあったのは壁じゅうに貼られた雑誌の切り抜きと、切り抜きのところどころに引かれた線、気味の悪い数学的図形のテープ。

そこから、天才ナッシュの幻覚との闘いが始まるというわけですが、驚かされるのは数学者であるはずのナッシュの、小説家顔負けの想像力。幼い姪を連れて遊びに来る友人や、国防省のパーチャーという男も血肉を備えた人間以上といえる、リアリティーがあるのです。
少年時代からの深い孤独が、こうした妄想を育み、ついにその心を食い破ったという解釈もなされるのですが、やはり救いとなったのは、ノーベル賞受賞という輝かしい栄誉よりも、彼を見放すことのなかったアリシア夫人の愛情だったはず。

実在のナッシュは、晩年に近くなって精神的病から回復したそう。高度な数学理論を構築する緻密な頭脳と、妄想という狂気――人間とは、本当に深いものだと思います。

追憶

2018-03-17 08:49:39 | 映画のレビュー
  
1973年のアメリカ映画「追憶」が、衛星放送であったので観る。普段は、TVはほとんど見ないし、昼に良い映画が放映されていることは知っていても、その時間は忙しかったりして、なかなか機会はなかったのだけれど、この「追憶」だけは、どうしても見たいという思いが強かった。

 主演は有名な歌手であるバーブラ・ストライサンドに、ハリウッドの代表的2枚目ロバート・レッドフォード。この二人が、出会い、時を経て別れてゆく男女のドラマを演じているわけなのだが、これって当時の言葉で言うならメロドラマというものかも(今は、もちろん死語)。

バーブラ・ストライサンドという人の名前や顔はよく知っていたのだが、その映画を観るのは初めて――そして、思ったのだけれど、とっても魅力的な顔。高い鷲鼻、でも、口元のカーブや目元に何とも言えない愛嬌があり、こういうのが、「ファニーフェイス」というのかな?

レッドフォードも当時36~7歳だったはずで、この頃が最も美しかったころかもしれない。輝くような金髪に、華やかな顔立ち――しかし、確かな知性やどこか素っ気ない感じがするところが、このスターの得難い魅力だと思う。


さて、物語は、大分昔のアイビーリーグのキャンパスから幕が開く。バーブラは、ここでは共産主義者の女子大生に扮していて、その真面目さ・ガムシャラさは、周囲から一人浮いてしまっている。それに対して、レッドフォードは作家志望の、スマートな青年。学内でも、華やかなグループに属していて、バーブラの懸命さをからかったりしている仲間を抑えるでもなく、黙って静観しているといった役どころ。
そして、時が流れ、第二次大戦中、軍に属しているレッドフォード(白い軍服がとてもよく似合っている!)は、バーブラと再会する。学生時代から、密かに彼に憧れていたバーブラは、酔っていた彼を自宅に連れ帰る。この出来事がきっかけで、まったく水と油と言っていいほど、真逆な二人は、真剣に互いを意識しあい、やがて恋愛関係になることに。

しかし、ソフィスティケートされたロバートと、政治問題に熱心なウーマンリブの闘士であるバーブラは、ぶつかり合うことがしょっちゅう。ロバートの要領のいい友人たちも、彼女には気に入らない。
いつか作家になるという希望を、ハリウッドでの脚本家へと進路変更したロバートとバーブラの夫妻は、ハリウッドへと生活の居を移し、結婚することに。だが、時と共に彼らの間のずれは、修復しがたいものになっていた――というのが、おおまかなストーリー。
       
         
 演じる役者が役者なので、この「追憶」という作品も、メロドラマという範疇ではくくれないほど、スケールの大きな深みのある作品に仕上がっている。この映画を観た誰しもそうだと思うのだけど、やはりラストシーンの余韻が深く心に残るのだ。

別れて、何年も何年もたったある日。例によって、政治関係のパンフレットを路上で配っていたバーブラは、車道の向かい側にロバートを見つける。互いに駆け寄る二人だが、そこにはかつて人生を共にした者同士の、静かな親愛が画面から、漂ってきそう。
そして、自分たちの間の娘の近況を話し合った後、再びそれぞれの道をゆく二人だが、その時バーブラが、レッドフォードの頬に手を触れるシーンが、とってもいい!

若い頃のレッドフォードの作品が、もっと見たくなった。
   

ある日の日記

2018-03-13 18:32:04 | ある日の日記
 今日、昼過ぎに帰宅したら、姪一家が遊びにきていました。
でも、何だかくたびれてしまっていたので、二階でお昼寝タイム。
ベッドに横になっていたら、姪が何度も上がってきて(というか、大人に連れられてきて)、「まだ、夜じゃないよー」だって。
そして、私の部屋がめずらしいのか、「ここ、開けてもいい?」と断った上で、洋服ダンスの中を開けてみたり、写真立てをのぞいて
みたりして遊んでいました。
   
離れに広げられた、ミッフィーの絵本と、この間、とべ動物園でお土産に買ってきた、白くまピースのぬいぐるみ。
よく見ると、ピースのぬいぐるみには、赤い首輪がつけられていて、「白くまピース 1999.12.2生まれの女の子」と書かれた丸いタグが付いて
いる――う~ん、細いところまで、気を配ってあるのですね。


 
そして、お茶の時間に、みんなで頂いた、手作りのイチゴのショートケーキ
いつも、お世話になっているYさんが作って、持ってきてくださったもの。 ああ、こんな立派なホールになったデコレーションケーキなんて、何十年ぶりか……。

大粒のイチゴの間に、白いホイップクリームが幾つも幾つも絞られていて、とてもゴージャスな🎂ケーキです。
家族皆で、大切に頂きました。 手作りのケーキといっても、ほとんどはシフォンケーキやパウンドケーキ。デコレーションケーキって、子供時代の誕生ケーキを思い出させら
れて幸せな気分です。 

銀河鉄道の父

2018-03-11 11:52:48 | 本のレビュー
  
銀河鉄道の父」 門井慶喜 著  講談社

 何だか、すごいタイトル名……「銀河鉄道999」とか「銀河鉄道の夜」というのは、よく知っているけれど、これに「父」と続くのが、独特のセンスを感じさせる。これが、良いセンスなのか、ミスマッチングなのかはともかくね。

題名からして、「ひょっとして、宮沢賢治もの?」と思った通り、この作品は、天才童話作家、宮沢賢治の一生を描いたもの。ただし、語り手は、賢治の父親である宮沢政次郎という人物であります。
宮沢賢治のお父さんが、息子を語る――この視点が凄く新鮮! 考えてみれば、存在自体が神格化されている賢治にも、両親はいたはずで、家族しか知りえない姿がそこからはのぞけるはず。

「う~ん、これは面白そうだわ」と思いつつ、ページを開いたのだけど、正直少しとまどってしまった。何て言うか、書き方が時代小説っぽいのである。悪く言えば、「オジサン風」というか……ここで巻末にある、著者のプロフィールをひっくり返してみたのだけど、やっぱり時代小説を書く人であるらしい。しかし生年を見ると、私と同じ年

政次郎と賢治の父子関係が、実際のそれ以上に「時代小説」に出てくる江戸時代の親子を連想させる事の外、文体が平明で生き生きとしていて「読ませる!」には違いないのだが、情緒もへったくれもないのに、驚いてしまった私。
宮沢賢治の美しい作品を、記憶している人々にとって、ここで描かれた賢治や宮沢家の物語は、あまりに赤裸々で、びっくりしてしまうのでは?
 

、「永訣の朝」に描かれた早世した妹トシに至っては、いかにも儚げな佳人のように思っていたのに、この作品に登場するのは、気の強い田舎娘の姿。
何だか、イメージ狂ってしまったなあ。
それでも、美しい童話だけが、深く人々の心に記憶され、実像は神秘的なヴェールに包まれていた賢治の、生身の姿を描いた小説は他に見当たらない気もする。

こんな意味合いでも、とても面白く、エキサイティングだった本。門井慶喜さんの、読みやすい文体も好きであります。

白くまピースに会いに行ってきたよ

2018-03-05 09:30:04 | 旅のこと
 以前から楽しみにしていた、愛媛県は「とべ動物園」に行ってまいりました

 結構遠いし、気軽に動けるたちではないので、日帰りバスツアーです。行ってみて、びっくりしたのは、この動物園の立派さ! 居心地の良さ!
 そんなに動物園を色々知っている訳ではないのですが、今まで行った動物園の中ではピカ一だわ……。

 園内は広く、動物たちがいるゾーンは、「アメリカ」「アフリカ」と生息地ごとに区分してあり、厩舎の外側には、飼育員の方たちの愛情あふれるコメントや、動物たちの紹介文が書かれています。 そして、園内のあちこちには、青いユニフォームをした飼育員の姿がチラホラ。
いかにも、愛情こめて動物たちの世話をしているという姿が、伝わってきて、こちらまでうれしいです。

  
丸太の棒にかじりついて、遊ぶライオン。

    
こっちは、お昼寝中のトラさん。


         
  こんな掲示板があると思ったら、中には、温泉が出現していて、
                  
   入浴中のカピバラであります。


   水の中を涼し気に泳ぐペンギンは、
やはり人気で、ガラスの外側には、ペンギンショー🐧を見る親子連れがいっぱいでした。


 そして……そして、私がどうしても、ここに来たかったお目当ての
        
   白くまピースであります。
      真っ白で、大きくて、とっても可愛い! ただいま、18歳だというのですが、人間にして一体何才くらいなんだろう?
そして、このキュートなルックスで動物園のスーパースターである事以外に、ピースを有名にしたのは、白くまとして、国内初の人間による人口保育で育ったということ。

ずっと前、小さな白くまピースを、家に連れ帰って、育てる飼育員の方のドキュメンタリーをTVで見て以来、いつかピースに会っていたいと思っていたので、それが実現した事に思わずホロリとしてしまう私。
      何度見ても、こんなに可愛いんだもの。
早速、売店で、ピースの保育奮闘記の本を買い、姪にもピースのぬいぐるみをお土産にすることに。

それにしても、本当にいい動物園だなあ――遠くなかったら、何度でも来れるのに