1968年の映画「バーバレラ」を観る。主演のバーバレラを演じるのは、若かりし日のジェーン・フォンダ。監督は、ロジェ・バディム。
当時のジェーンは、名優の父ヘンリー・フォンダに反抗して、ヨーロッパに行っていたのだが、そこで有名なドン・ファン監督ロジェ・バディムと恋に落ち、結婚。(ロジェ・バディムは、ブリジット・バルドーを見出し、彼女と結婚。カトリーヌ・ドヌーヴとの間にも、息子がいる)
という前提つきで観たのだが、このSFアドベンチャー。とても、面白い。SFといっても、舞台や美術もとてもチープなB級映画。しかし、B級はB級にしかない存在意義と面白さがあるのであーる。
遠い未来の世界。有能な地球人パイロットであうバーバレラは、地球大統領の命令を受け、タウ星へ行方不明になった科学者デュラン・デュランを探しに行く。そして、タウ星に不時着するのだが、あいにく宇宙船は壊れている。そこから、彼女の奇想天外、かつエロチックな冒険が始まるというわけなのだが、舞台装置のあまりのお粗末ぶりが、かえっておかしい。 不時着したのは、氷の上で、二人の女の子に捕まるのだが、子供たちに柱にくくりつけられ、動く人形の集団に体を噛みちぎられたりする。
それから、不気味な死の迷路へ行ったり、そこで盲目の有翼人パイガーと出会い、彼にデュラン・デュランのいるという悪の都市ソゴールへ連れていってもらう。このソゴールというのが、聖書のソドムの町を連想させる、快楽をむさぼる薄気味の悪い都市なのだ。
パイガーと離ればなれになったり、女性である皇帝に会ったり……とバーバレラの冒険は続くのだが、私が面白かったのは設定の風味づけ。ソゴールは、湖上都市であり、街の下にはマモトスという名前の生きた湖が横たわっている。生命を持つ湖は、人間の贄を要求するというわけなのだが、これって「惑星ソラリス」を連想させる。
といっても、私はこの有名な映像作品を見たことがありませぬ。いつかは、観たいと願っているのだけれど……。
この大らかで、はちゃめちゃなSFアドベンチャー。宇宙船や未来都市の描き方にも(現代のような技術がなかったからなのだけれど、)、どこかファンタジックでチープな味わいがあり、それが作品の魅力を高めておりまする。
何より、冒頭の宇宙船内でバーバレラが、身に着けていた宇宙服を一枚、一枚脱ぎ捨て、裸になるシーン。無重力状態の中で浮かぶジェーン・フォンダと彼女がヘルメットを脱いだとたん、「ジェーン・フォンダ」のアルファベットが中からこぼれ落ちてゆく様が、素晴らしく洒落ている。こんなに印象的なオープニングを目にしただけで、観客の期待指数は上がるはず!!