ノエルのブログ

シネマと海外文学、そしてお庭の話

2015年、本の批評

2015-12-31 17:29:08 | 本のレビュー
毎年末になると、新聞や文芸誌などで、「今年度ベスト10」とか、「私が押すベスト本」とかいったタイトルで、本の批評をしているのを見かける。

そんな訳で、私も、ここで批評の真似事をしてみようか、と思う。

まず、今年度最大の話題作で、社会現象にまでなった又吉直樹の「火花」。お笑い芸人が、初めての小説で、かくも高度な小説を書いたということ、芥川賞までものしたということで、皆、我も我も、と手に取った本―ー私ももちろん、読んだのだけれ、確かに面白かった。 でも、もう一度読みたいとか、又吉氏のファンになるとかいうほどではなかった・・・。

そこはかとない、笑いや哀愁の感じられる小説で、果たして、多くの人が面白いとか、感動するとかいう広範な読者層をつかめる作品とは、思えないのだが、この大ブームはどうしたことだろうか? よく、わからん。


そして、国際アンデルセン賞を受賞した上橋菜穂子の「鹿の王」。これも、大ベストセラーになったけれど、こちらの方は、あまり面白いと思えなかった。主人公のヴァンが縁あって、親子としての絆を持つ幼い少女、ユナのしゃべり言葉が、わざとらしく、うっとうしいような気もしたし、現代医学の免疫と抗体のメカニズムを、異世界ファンタジーに持ち込んで、論じてみせるのも、違和感があるような・・・。 うまく言えないのだが、欧米が伝統的にお家芸としてきた、異世界ファンタジーの世界に、日本的な情緒を持ち込んだところに、不協和音が感じられる気がする。
作者が、文化人類学を研究してきた学者でもあることは、少数民族の生活様式を詳細に描写してみせる筆力にも十分うかがわれ、これが上橋ファンタジーの根幹でもあるのだろう。

こんな事を言ったら、ひねくれた読者かもしれないのだが、ベストセラーとか、よく売れる本とか読んでも、それほど面白いと思わないことが多い。私って、すごくまっとうな文学趣味をしていると思っていたのだが、世の大多数の人と感覚が違うのだろうか?  
それでも、時というふるいにかけられて、長く残ってきた名作というのは、やはり違うのは確か。 いぶし銀のようなきらめきが、ページのそこかしこに感じられ、文体の格調や、読後感の余韻が素晴らしい。

それでも、書店に行くと、派手に売り出されている小説や、「今週のベスト5」などと紹介された本に、つい目が行ってしまうのは、人のさが(?)というものか?
あっ、例外もありまする。古本屋を舞台にしたライトミステリー「栞子さんの探偵手帖」は、とっても、面白いでごわす。あれで、今まで大嫌いだった、古本屋の世界というものが、面白く、魅力的に感じられるようになったのだ。 でも、現実の古本屋へ行ったって、若くて、美人の店主なんてお目にかかれそうもないのだけど。

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ノエルの散歩道

2015-12-31 17:15:39 | ノエル

年末の一日、夕方のノエルの散歩へ。
年末や正月独特の静けさと、冬の底冷えのする寒さ―ー犬にも、いつもの日常をと違う時間が流れているとわかるのでしょうか?

土手から、見下ろす、冬の田も、がらんとした無人の気配。



話は変わりますが、半月ほど前、パソコンを最新機種に変え、マウスパッドも新しいものにすることに。御覧の通り、ゴールデンレトリバーのデザインであります。
目や表情が、ノエルにそっくりなの!     
お正月なので、ノエルのお散歩バッグもリニューアル。写真では、はっきりわかりませんが、黒いバッグには、ゴールデンやラブラドール、黒いフラットコーテッドレトリバーの可愛いイラストが施されております。

これで、来年もノエルと楽しく暮らせますように
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猫の世界へようこそ

2015-12-23 11:17:03 | ノエル

昨日、部屋にいると、下から母が「とっても素敵な小包が届いているわよ!」と呼びかけるのでした。「はて?」と首をかしげて、降りて行ったら、御覧の通りの大型封筒が!

これは、凄い! 住所と名前の回りには、キラキラシールがてんこもり。切手も、意匠をこらしたデザイン性あふれるものだし、何より、「メリークリスマス」と白いカッパープレート体で、書かれているのが(ホントの直筆)、真心あふれるという感じなのであります。

さて、中を開けてみたら、こんなものが――うわっ、猫の大型ブロマイドか、と思いきゃ、2016年度カレンダー。

こんな風に続きます。送り主は、カリグラフィー仲間のNさん――ペットの「アイシス嬢」を可愛がっているとは知っていたけれど、手製のカレンダーまで作っているとは、恐るべし……。

以前から、思っていたけれど、Nさんって、面白い性格しているなあ……。では、このカレンダーは、有り難くいただいて、パソコン前のコルクボードに貼らせてもらいますです。
来年から、目の前には、まばゆい猫の世界が繰り広げられることになるのかな?(申年じゃなかったのか?)
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ひそかな夢

2015-12-23 10:48:06 | アート・文化

これは、大学時代購入した、写真集。ギリシアの島々の家と内部のインテリアを美しく撮った、大判の写真がずらりと並んでいます。今は昔、渋谷の東急文化村には、パリのカフェ・ドゥ・マゴのカフェが出店していて、深い緑の椅子やテーブル、カフェに添えて出される小さなチョコにも、「カフェ・ドゥ・マゴ」のシンボルが描かれ、そこはかとない雰囲気があったもの。 そのそばには、ガラス張りの外国語専門の書店があり、時々のぞきに行っていたものだけれど、その中に、この「グリークスタイル」と題された、美しい写真集があったのでした。


もともと、写真集なんていうものは、少ししか持っていないし、それほど趣味もないのに、この本にだけは、どうしようもなく惹きつけられてしまい、重くかさばるのに、袋に入れられたものを、よっこらしょと持って帰った記憶が――。


白い家々に、青く塗られた窓。エーゲ海の鮮烈なイメージとあいまって、ギリシアは子供の頃から憧れていた国。いつか、旅したいものだと思いながら、今も夢を果たせていません。中には、英文の説明とともに、様々な家々が映し出されているのですが、白い家に住んで、白い屋上のベランダ、そこには、白いハンモックがかかっているのを見た時は、「わあ、この家の人は、こうやって、夜空の星を見るのかしら?」ととてもうらやましく思ったもの。  向こうの言葉では、「タベルナ」というらしいのですが、島のレストランの中庭や外には木が茂り、その下にチェック模様のクロスを敷いたテーブルにのったムサカや、ブドウの葉に包んだ肉といった料理をほおばるのなんて、とてもやってみたいこと。
ランタンのような照明に灯がともるころ、エーゲ海も、ホメロスが歌ったような「葡萄色に染め上げられた」ものになっているかもしれません。



そして、これが一番好きなページ。下宿していた部屋で、幾度繰り返し眺めたわかりません。夜の帳が降りようとしている空の下、明かりの灯り始めた島――私は、この写真を見ると想像してしまうのですが、この家々のどこかには、海洋学者が住んでいて、島の夕刻をぼんやりと楽しんでいるのかもしれません。彼(私は、海洋学者をまだ30代の若い人のようにも、初老の女性のようにも思うのですが)の部屋には、世界中の海辺で取った貝殻が並べてあるかもしれないし、そこはやっぱり、白い家かもしれない――遠い国の、遠い場所に誰か親しい人がいるような、不思議な気分です。
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日々雑記

2015-12-22 21:18:57 | ある日の日記
先週末、芦屋の写本装飾教室へ。教室に向かう前、三宮の大丸へ寄り、生まれて初めてのクリスマスを迎える姪のために、ベビー洋服店でカーディガンを買う。

う~ん、それにしても、ベビー・子供服専門店なるものの、インテリアや洋服のかわゆいこと! つい、興奮して、自分の年齢を忘れて、店内を走り回って(ウソです)、あれこれ覗き込んだ私。 ああ、40年以上も前じゃなくて、今の時代に生まれたかったよ。 こんなお洒落なお洋服がいっぱいあるなんて。 小さい頃の私は、それなりに可愛い格好をさせてもらっていたように、記憶しているのだが、何せ時代が違う…。

はっ、ついまた自分のことに引き付けて考えてしまう私――なんとか選んだカーディガン、似合うといいね。


写本装飾も、3年を過ぎて、ようやく細密画の彩色に入った段階・・・文句をいう訳ではないけれど、結構講座のペースがゆっくりしているような・・・。


翌日は、「松ぼっくり」の忘年会。クリスマスのラッピングに包まれた同人誌に、さりげない心配りが感じられて、何だか温かい気持ちに。会場となった「常衛門食堂」は、倉敷美観地区に、最近できたばかりのお店で、メンバーの息子さんのお店でもあるのだ。 「食堂」なんて、言葉が不似合いに感じられるほど、築50年ほどの民家を改装したお店は、日本庭園も見下ろせるし、雰囲気たっぷりの、素敵お店。

かぼちゃの胡麻和え、ポテトサラダ、厚焼き玉子焼き、焼きおにぎり―ーといった気取りのない献立が、粋な器に入れられて、美味しいのであります。


でも、これで、今年の用事は終わり。風邪もひいているし、年末までゆっくり過ごそう・・・。
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スヌーピーになったお父さん犬

2015-12-18 20:05:35 | テレビ番組

体調をくずしてしまい、一日部屋に。
でも、明日からの週末は、予定があって、出かけなきゃいけない。
だから、のんびり休養を、となったのだけど、こんな日に限って何も面白くない。

と、TV画面には、白戸家のお父さんが! おお、お父さんを忘れていた。そして、画面に映ったのは、今まで見たシリーズの中で、最高に面白いといっていいバージョンではないか!

スヌーピーの扮装をするお父さん・・・、横に垂れ下がっている黒い耳の部分が、スヌーピーというより、古代エジプトのネメスとかいう頭巾を思わせるのが不思議なの。

クリスマスバージョンもあって、赤いサンタ帽をかぶっているのが、可愛い。やっぱり、動物や犬を見るのが、一番のストレス解消になるのであります。

ノエルにも、この黒いスヌーピー頭巾をかぶせたら、楽しいのでは、と思ったけれど、やっぱり白いワンコでなくては、無理でありましょう。
それにしても、さすがは、国民的アイドル、お父さん―ーこんなへんてこりんな物まねをさせられても、悠遊とした風情である。何年も、何年も前、初代ノエルにトナカイの角の飾り(ヘアーバンドみたいな形のもの)をかぶらせたとき、思いっきりイヤな顔をされたことを思い出す私。

仏頂面をした、当時のノエルの写真が、アルバムに貼ってあるのも、今となっては思い出に変わってしまった。
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大阪へ

2015-12-17 17:42:07 | カリグラフィー+写本装飾

レタナウという、関西のカリグラファーの方たちのグループが、作品展をするというので、先週末、大阪へ行ってきた。
場所は、わかりやすいはず・・・なのだが、地下鉄の駅から出たとたん、迷子状態に。駅前をぐるぐる回って、やっとたどり着いたのだけど、やっぱり、作品の密度が違うのであります。金箔を一面背景に使い、そこに文字を書いたもの、東洋の書道風にくずしたもの、豪奢な写本の模写などなど・・・。

「う~ん、勉強になる」と思ってギャラリー会場をうろうろしていたら、ついこの間まで地元の教室で一緒だったSさんにあって、ビックリ!
熱心な方だなあ・・・。 でも、こんなところで会うって、凄い偶然かもしれないですね。

でも、カリグラフィーを作品にするのは、思いの外、時間がかかる。今の私は、空いている時間を、読書にあてたいので、文字を練習するのも、なかなかという有様。反省
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クッキー大好き

2015-12-17 17:26:57 | ある日の日記

童話教室が最後に終わってしまった日――いつになく、しんみりとした空気が、教室の中を流れていました。
それぞれの作品を朗読し終わった後で、先生に花束。今日で、先生が講座の講師をやめられるというので、講座生皆で、用意したものです。

私は、「松ぼっくり」の活動でこれからも、先生にお会いすることができるのですが、実を言うと、私も今日で童話教室は終わり。と、教室でご一緒している方が、素敵なプレゼントをくださったのであります。以前出した拙著をお贈りしたのですが、それに対するお礼だといって、ふわふわの白いバッグを頂いたのですが、その中には、こんな美味しそうなクッキーセットが!
ああ、クッキーは、ケーキよりもチヨコレートよりも、三度のご飯よりも大好きであります。このココア地とプレーンな地が市松模様になったクッキーのすごいこと! 大好きなチョククッキーもひと箱まるごとあるし・・・。

おまけに手焼きだというから、これからお茶の時間が楽しみ。でも、来年までは大事にしまっておこう・・・。
本当にありがとうございました(可愛い手紙も)。










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草笛童話の会

2015-12-09 23:16:56 | アート・文化

今日は、運動公園近くのこじんまりしたホテルで、昼食会。
童話教室の皆さんとの、楽しい時間でしたが、やっぱり淋しい気分も。

実は、先生が今年限りで、教室の講師をやめられるというので、この場がもうけられたのですが、私も他の活動が忙しくなったので、今年いっぱいで辞めることに……。この教室の雰囲気が、本当に好きだったのになあ。

食事は、軽めの和食定食で、美味しい! ゆったりと語らい、さらに喫茶室でお茶を飲んで、雑談した後、それぞれ家路につきました…。冬の日ざしの中の柔らかな時間でした。
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ある日の日記

2015-12-07 21:37:50 | ある日の日記
先月から、何だか忙しくてバタバタしていた(「気をつけないと、怪我をするよ」と注意される始末)。
それが、一段落して、ようやくほっとした――と言いたいのだけど、神経が疲弊している。

こういう時は、本当に若かった頃の神経衰弱の発作やら、青年時代のつらかったことを思い出してしまう。
大学時代、周りは若さと傲慢さに満ちているようで、人に傷つけられるばかりのように感じていたものだっけ…。この年になって、心の傷がうずくというのも、考えものかも?

昔は、しょっちゅう真夜中に突然飛び起きて、不安と恐怖の発作におそわれ、どこか深い穴に落ちてしまうように感じたものだった。今は、そんなこともほとんどなくなったのは、ありがたいに違いない。 もっと、人生を単純に考えねば。 神経の弱さに負けないようにせねば、と思う…。
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