ノエルのブログ

シネマと海外文学、そしてお庭の話

ノエルの退院

2017-08-30 10:15:44 | ノエル
  
手術のため、1泊2日の入院をしていたノエルが帰宅しました。
さすがのノエルも「自分は、大変なことを経験したらしい」とすごく大人しく、まるで別人みたいです。

退院した夜は、ノエルは書斎でお泊りし、私もそばのソファで眠りました。抜糸は二週間後……どうぞ、これから元通り元気になりますように。
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八月に読んだ本

2017-08-30 09:39:52 | 本のレビュー
「蜜蜂と遠雷」恩田陸 著
大分前から、ベストセラーリストのトップであり続けている本。今まで名前は、知っていたものの恩田陸さんの本を読んだことはなかった。この本はクラシック音楽コンクールの世界を描いたもので、音楽の魅力が語りつくされた長編小説(ほんと、分厚い本!)とあって、読みたいなとずっと思い続けていた。
そして、とうとう古本屋で購入し、読む。

クラシック音楽への圧倒的な知識が惜しげもなく、開陳され、音楽に関しては門外漢の私にも「ああ、音楽というものが理解できたら、どんなに素晴らしいだろう」と思わせられるゴージャスな舞台仕立て。 モーツァルト、バッハ、マーラー、シューベルト……文章を読むだけで、音楽というものの魅力が五感に伝わってきて、うっとり。
夢中でページを繰った……のだけど、長い長い小説の三分の一ほど読んだ頃、手がピタリと止まってしまった。
何だろう?  ピアノや音楽の魅力を読み手にもひしひしと感じさせてくれる筆力は素晴らしいのだけど、肝心のコンクールを取り巻く登場人物の人間ドラマに今ひとつ魅力が感じられないのである。

天才というべき才能を備えたピアニストたちが何人も出てくるのだけど、ヒロインにも15歳の少年にも、読者を惹きつける魅力がないというか……だから退屈してしまい、途中で読むのを諦める。 物語が、長すぎるよ。


「満願」米澤穂信 著
 
こちらの作家も名前は聞いたことがあるのだけど、読むのは初めて。
だけど、とーっても面白かった!  ミステリ短編集ということもあってか、上記の「蜜蜂と遠雷」と違って、飽きることなく一気読み。
まず、題材があきれるほど多岐にわたっていて、その料理の仕方が素晴らしい。
巻末の解説には、「松本清張のミステリーを思い出せる」とあって、私も「ああ、そう言われれば、似ている」と思ったのだけど、「暗くて、読んでいる方が気が滅入る」清張ものより、こちらの方がいいな。
舞台も昭和らしきものが多く、中央アジアの僻地へ赴任したビジネスマンの遭遇した異様な出来事から、殺人の罪で出所した女性の予想もつかぬ殺人理由――など、よくこんなストーリーや発想が湧くな……と舌を巻く傑作ぞろい。
愛読できそうな作家に出会えて、うれしいなあ
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ノエル通信

2017-08-25 21:10:40 | ノエル
 
残暑見舞い申し上げます。 毎度おなじみ、ゴールデンレトリバーのノエルです。

いつも元気印のノエルだったはずなのですが、この夏は病気になってしまいました。この夏はずいぶんバテ気味でごはんもあんまり食べられない状態だったのですが、とうとう6歳の誕生日当日、病院へ。
看護が必要なので、その週あった予定はすべてキャンセルしました。 それにしても、犬が病気だとこちらもエネルギーがいって疲れるし、気分もブルーですね。

すっかり病気顔だったのが、今はいつもの可愛い顔に戻っていて、それだけでもホッ。でも、上は去年の初夏のノエル肖像写真であります。

早く、秋になって元気になってほしいなあ。 
すっかりわがままになってしまい、冷たい牛乳を飲んだり、いなり寿司やビスケットなど美味しいものなれしてしまっているのだ。


あっ、それから獣医さんで面白いできごとがありました。待合室で隣りに座っていた初老の男性が、ノエルをしみじみ見て「ああ、うちの犬によく似てる」と感に堪えたように何度もおっしゃるのです。自分の家にも姉妹のゴールデンが2頭いるのだとのこと。そして、「この犬はどこから来たのか?」とまで聞くので、小さなノエルを入手した山の上のブリーダーさんの名前を教えると、「ああ、うちの犬の父親もそこのゴールデンですよ」
そして、ノエルのお父さんのことを話すと、「間違いない、その犬」ときっぱり断言(スゴーク元気で、ノエルそっくりの、もう少し毛の色が赤みを帯びていた、当時2歳の男の子でした)!
えーっ、それではノエルにはそっくりのお姉さん犬がいたんだ……おまけに、ノエルのお父さんのそのまたお父さんは、アメリカのチャンピオン犬なのだそう。ふうん、ノエルのおじいさんはチャンピオンだったのか……。

犬のプロの方たちが、幼い頃のノエルを見て「いい血統書ですね。コンテストに出たら、かなりのところまで行きますよ」と言っていた訳が、やっとわかりました。
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ある日の日記

2017-08-20 16:40:13 | ある日の日記
八月も下旬に向かおうとしている今日。 何だか、バタバタしていたり、調べものをしていたりしていて、あっという間に日にちが立ってしまいました。
美味しいものを食べようと、車を出して総社の方へゆき、「湯田園」でランチ。
古代の吉備国の風情が残る場所に、さりげなく立っている北欧風の建物なのですが、本当に美味しいお店! であります。

「ちょっと美味しいな」と思うところでも、次回行ったらさほどでもなかったり、味に繊細さがなかったりすることが多いものですが、「湯田園」で出される、イタリアごはんは、一つ一つ手作り、という感じで細やか。 だから、食した後も、気持ちが良いのです。

量もどちらかというと、少な目なのも👍グッド。 今日出されたのは、「白身魚と野菜のカゼレッチェ」(短いパスタ)にバナナの冷たいアイスクリームや、ブラマンジェなどが詰め合わされたデザートでしたが、籠にもって出されるグリッシーニや小さな丸パンもいかにも自家製という感じでした。

郊外の目立たないところにある小さなレストランですが、予約をとらなければ満員なことが多い店――美味しいものは、生きる喜びを与えてくれます。
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ミニオンズ

2017-08-11 22:08:36 | 映画のレビュー
  
<TVの衛星放送で、「ミニオンズ」を観る。とっても、面白かった!

ユニバーサルスタジオへ行った方が、今アトラクションも「ミニオン」が大人気とおっしゃっていたのを聞き、そんな面白いアニメがあるなら、ぜひ見たいと思っていたのだが、その希望がすぐかなえられた。(まあ、今は映画館でも「怪盗グルーとミニオン大脱走」という新作が公開されているのだけど)。

 とにもかくにも、ミニオンのキャラクターがキュートなのだ。まるでまっ黄色い薬のカプセルみたいな体にゴーグルをはめていて、頭に申し訳程度に数本の髪が生えていたりする。
  う~ん、ねえ。スヌーピーとかだったら、誰が見ても可愛いプリティーな容姿とスター性があるのだが、このミニオンって奇妙ちきりんすぎる。

しかし、ミニオンによっては、一つ目だったり、二つ目だったりするのだが、ニカッと笑った顔や天性の無邪気さが、とても可愛い。巷で人気爆発というのも、十分うなずけてしまう。
      
 この作品は、どうやらビートルズ全盛時代のイギリスを舞台にしていて、若かりし頃のエリザベス女王が出たり、とドラマ性十分なのだが、それ以上にミニオンたちのキャラクター造形が笑えてしまう。
自然の生き物なんかじゃなく、近未来の人工生物のような風体でいながら、なんと人間よりずっと前から地球上の生息していたというのだ。彼らが夢見るのは、悪事にたけたボスに仕えることだけ……というのも、あんまり馬鹿っぽくて面白すぎる。
そんな訳で、ある時は恐竜に仕えたり、中世時代にはドラキュラに仕えたりしてきたというのだが、この1960年代の世界にあって、彼らが見出したのは悪の女王、スカーレット。
しかし、スカーレットも悪事のつわもの……いつの間にか、ミニオンたちの敵に回り、彼女との攻防がハチャメチャの活劇となっていくというわけ。

詳しいストーリーなんか、この場で話せば、面白さが吹き飛んでしまいそうだし、うっとうしい感じもするので、「ミニオン」の面白さだけ強調することで終わりにする。
それにしても、3D映像の生み出す、アニメ画面の立体的なこと! ミニオンもスカーレットもスクリーンからはみだしてしまいそうな迫力だし、不思議なリアリティーをも醸し出しているのだ。 日本製アニメの繊細な映像も素晴らしいけれど、アニメーションという映像技術はどこまで進化していくのだろう?  それが知りたいな。
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ダーウィンがやってきた

2017-08-07 20:44:02 | テレビ番組
 
TVの動物番組「ダーウィンがやってきた」で、ミーアキャットの特集を見ました。
名前と姿は知っていたのだけど、その生態とか生息地なんてまるで知らなかった……。


南アフリカのサバンナで群れを作って生活する姿を見て、「やっぱり可愛いなあ」とため息。とびっきりユニークで不可思議な姿。
「珍獣」という表現がぴったりなのです。

でも、近年日本でも「ペット」として飼う人も増えているという、このサバンナの天使――野生で生きるのは、本当に大変なのですね。
群れから、どの子かを追い出さねばならないのですが、そうす理由は万が一の絶滅をふせぐためなのだとか。 しかし、一匹で生きていくというのは、どんなに大変なことか……。

野生動物たちの生活の苛酷さにくらべれば、人間の苦労などずっと楽なのかもしれない――そんな思いが私には、昔からあるのですが、番組で紹介されたミーアキャットは、ちゃんと生き残り、新しい群れを作ることができたよう。本当に、良かった

動物番組は凄く好き、と言いたいのですが、画面の中で動物が天敵の狙われ、捕食される瞬間の衝撃的な映像が現れると、とても見ていられなくなって、あわててTVのスイッチを消してしまいます。 残酷なことは起こってほしくないですね。

つくづく、野性で生きることの厳しさを感じさせられてしまいました。すべての動物たちが幸せになってくれたら、うれしいのに。 
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君の名は

2017-08-02 21:26:33 | 映画のレビュー
  
ればせながら、「君の名は」を観ました。去年の今頃、封切りされて、日本はおろか海外にまで絶賛された大ヒットアニメ映画。
「観たいなあ~」と思い続けて、やっと見ることができた(日本語の字幕版が発売されたから)のだけど、正直言うと、最初観たときは「?」な反応。


これ、そんなに面白いかあ~? ずいぶん昔の角川映画の「転校生」とかの21世紀版じゃないか……とぐらいに思ったのだが、中盤からがぜん面白くなったのであります。なんたって、地球に飛来する彗星(この映像がとっても幻想的で綺麗!)というSF的な展開に加えて、実は互いの体に魂が入りこむ主人公二人の生きる「時間」が三年ずれているということがわかるのだもの。

ヒロインの三葉は、飛騨の山奥に住む女子高生という設定。対する少年、瀧は同じ高二で、こちらは東京に住む都会っ子。
三葉の住むところは、コンビニもカフェもな~んもなくて、日照時間も短いというくらいのド田舎なのだが、こんな土地柄がかえって、とっても新鮮!
なんせ、友人が「カフェでおごったるで」といい、連れていかれたのは、自動販売機の前だというのだが、今どき、こんなところ本当にあるのだろうか?(ひょっとして、限界集落みたいなところ?)
「こんなところ、もう嫌や! 今度生まれるときは、東京のイケメンの男子高生にしてください!」と三葉は叫んだりするのだが、「今の子でも、東京なんかにそんなに憧れるのか?」と思っていた私にも、この彼女のリアクションはとっても自然に感じられましたです。

     
私が、三葉や瀧の年齢だったのは、もう三十年も前になってしまうのだけど、彼らの気持ちがとってもリアルに響いて、ひととき青春に帰った気分時代が変わっても、ティンーンエイジャーの心情は同じなんだなあ……。
この気分にひたりたくて、翌日二回目を観ました。

魂が互いの体に乗り移るという、不思議な現象がピタッと途絶えてしまい、瀧はわずかな手がかりを頼りに、三葉を探す旅に出るのですね。そして、わかったのは、この糸守という美しい山村が、三年前の彗星衝突事故で、跡形もなく消えてしまったという衝撃的な事実。三葉も、彼女の妹も友人も、みなその時亡くなっていたのだ。

だが、どうしてももう一度三葉に会いたい! その瀧の思いが奇跡を生むのです。三葉の家は、代々神社を統べて来た巫女の家系――そのご神体である岩の洞窟の奥にたどり着けば――そして、そこで時間は三年を飛び越え、彗星が衝突する「あの日」に瀧は運んでくれた、というわけ。

物語の圧倒的な面白さもさることながら、主人公の二人が互いの記憶を共有する「スマホの日記」やLINEというツールがとっても新鮮! スマホなんて、便利なばっかりで、電車や街ン中でも、みんな周囲には目もくれずジーッとその画面を見ているなど、「人間性を奪う、けしからん道具」と思っていたのだが、ここではじめて魅力的な使い方を発見したような気がいたします。

雪の降る東京の街の風景、糸守の深い自然。アニメの映像でここまで表現できるのか、と思うほど背景のディテールも美しいのであります。
ただ、欲をいうようだけれど、瀧と三葉の二人が、互いの名前すらも忘れてしまう、というのは哀しすぎるのでは?  互いの体を交換して感じたことは素晴らしい記憶になったはず。それを失って欲しくなかった……。
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