ノエルのブログ

シネマと海外文学、そしてお庭の話

アランドロン インタビュー

2018-09-29 22:04:57 | テレビ番組



 先日、TVでアラン・ドロンのインタビューを見た。 生身のアラン・ドロンの姿を拝見できるなんて、本当に久しぶり!
 今年の初め、パリの高級ホテルで行われたインタビューらしいのだが、この時のドロン、御年82歳――かつての世紀の美男はいかに? と思うや、さすがに廃墟と化していたかも……。 でも、フォロロマーノとかパルテノン級の壮麗な廃墟であることは間違いなし!

そして、あの独特の冷たく輝く青い瞳は、昔のまま。「太陽がいっぱい」のトム役を演じた頃の、不吉な宝石を思わせる輝きなのである。
ナレーションで流れていた「アラン・ドロンは、俳優としても、一人の男としても非常に複雑な人物です」というコメントには、さもありなんという気持ちになった私。

このインタビューでは、ドロンが今までの長い俳優人生を振り返って、その時々の心情を語っていたが、意外だったのは、彼の「演技」というものに対しての深い情熱。
「私は役を演じたのではない、『生きた』のです」とドロンは言っていたが、俳優を天職とする情熱があったからこそ、映画史に残るいくつもの傑作に主演し続けてこれたのだろうと思う。


ドロンの映画は、正直、暗いものが多い。代表作の一つ「サムライ」はもちろんのこと、「暗黒街の二人」、「あの胸にもう一度」(マリアンヌ・フェイスフルがスイスからドイツに向かって、ドロン演ずる愛しの大学教授に会いにいくため、皮のスーツを着て、ハーレーを走らせるシーンが、魅惑的)、「パリの灯は遠く」などもそう。
これは、彼自身の家庭的に恵まれなかった生い立ちのせいもあろうけれど、あの非情な輝きを放つ瞳を作ったのは、17歳で従軍したインドシナ戦線の日々も原因しているのでは、などと私は勘ぐっているのである。

暗黒街とのつながりや、実業家としての成功も有名なドロン――彼の波乱万丈な人生には、数々の女優達との浮名の他にも、「あれ?」と思わせるエピソードを読んだ記憶がある。
それは、もう十年以上も前に読んだ、「砂漠の囚われ人 マリカ」という本。
60年代頃のモロッコでクーデターを起こした将軍の娘だったマリカ・ウフキルという若い女性が、自分や家族が砂漠の中の牢獄でずっと囚われていた日々を回想したドキュメンタリーなのだが、彼女達がついに牢獄から脱走した時、助けてくれたのはアラン・ドロンだったというのである。
彼女は、かつて社交界で知り合ったドロンにモロッコからの電話で救いを求めたのだった――この本で私は、モロッコという国の神秘的にも恐ろしい側面を知ったのだが、かつて知り合った美しい女性を助けたドロンも凄い。

そして、このインタビューを見ていたら、彼の知られざる面がまた一つ明らかに。何と、ドロンは大の愛犬家なのだそう。現在は、大型犬と一緒の一人暮らしだというのだが、彼の別荘の庭には、これまで飼った犬たち35頭のお墓がズラリと並んでいるという――「私の墓も彼らの隣りに作っています」というドロン。
「私は、偽善を憎みます。だから、犬たちを愛しています。なぜなら、犬は裏切りませんから」の言葉には、この華麗な人生を送ってきた大スターの隠された孤独が感じられて、何とも言えない気持ちになった。

犬が好きと知り、ちょっぴりドロンに親近感がわいたのだけれど、できるなら、彼が今一緒に暮らしているという犬の種類や名前も知りたいな。
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松ぼっくり2018年合宿

2018-09-13 09:45:55 | 児童文学
月9日、10日と、所属している児童文学サークル「松ぼっくり」の合宿があった。
例年は7月に開催されるのだけれど、今年は西日本を襲った豪雨災害で、ひどいことになってしまい、延期になっていたのだ。

私は原稿用紙にして280枚の長編を提出したのだが、合評もさることながら、メンバーの方達と夜、交わした話がとっても面白かった!

私より年長の方達であるのだけれど、皆さん今まで人生のいろんなことを踏みこえて、ここまで来られたのだな……とか、目からうろこが落ちることがいっぱい。
人生のうまみとか味わいというのは、ある程度年を取ってからではないと理解できないものと痛感。

いろんな意味で、今年も勉強になった二日間でした。
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失敗した・・・

2018-09-13 09:37:30 | カリグラフィー+写本装飾

東京・京都で開催されたギルド展から、作品が帰ってきた。
結構、小さめの作品――せっかくだから、自分の部屋の窓のそばの棚にでも飾ろう。

でも、ここで気づいた失敗――15世紀のフランスの写本を模写したものなのだが、それと額の間にあるマットの色がきつ過ぎる!
画材店で入れてもらった時は、紺色ぐらいに思っていたのに、写真に撮ったり、飾ったりしてもにしか
見えないのだ。作品が小さい分、このマットの色の強さに押され、迫力負け

でも、まあ仕方ないですね。
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燃えつきた納屋

2018-09-08 13:45:26 | 映画のレビュー
 アラン・ドロン、シモーヌ・シニョレの顔あわせが、こたえられない! 1973年制作、とかなり古いフランス映画であるのだけれど、
 1時間半あまりの上映時間、たっぷり楽しんだ。


 この頃、ドロンは三十代後半くらいの年齢だったのでは? と思うのだが、若い頃のギラギラするほどの美貌に渋みが加わって、貫禄十分。
 でも、これくらいでなきゃ、往年のフランス映画の姐御的存在だったシニョレには張りあえないだろうしなあ……。

 舞台は、多分北フランスあたりの片田舎の山村なのだが、シニョレはここの牧場を営む農家の主婦。夫の他、娘と二人の息子、そして息子たち
 の嫁をも束ねる、気丈なおかみさんを演じているのだが、ある日、近くの路上で女が殺された。
 雪の降りしきる晩、目撃者もない雪原でのことで、疑惑は、この一家の息子にかかる。



 ドロン演じる判事が、この村にやって来る。家族を守るためには、何事をも辞さない気構えのシニョレに立ち向かう、ラシェレ判事の苦闘ぶりが
 見物というわけなのだけれど、ここでのドロンもシニョレもすごいなあ。
 火花が散るような対決、というのはこういうのをいうのかしらん。

 そして、判事のとまる町のホテルが、いかにも昔のフランスの田舎町のホテルという雰囲気たっぷりで、見ていて楽しかった。
 雪のつもる外から入ってくると、古いけれど清潔で、白い空間が広がるホテルの室内。食堂もこじんまりしていて、白いテーブルクロスがかかり、
 隅では、暖炉の火も燃えている気配がする――何だか、こんなホテル、今でもフランスの田舎にはありそう。

 ミステリー的要素十分で、面白い映画には違いないのだが、最後に明かされる真実は、あっけないといってよいほどのもの。それよりも、ドロンとシニョレ
 というスターの組み合わせが面白く、「本物の」スターからしか漂うことのない迫力が、画面からひしひしと感じられるのがいい。
 この映画を観て、やはりドロンは二枚目スターというだけじゃなく、堂々たる力量と深みを兼ね備えた役者であることを痛感!
 
 この他にも、シニョレとドロンは、「遠い夜明け」という映画でも、共演していて、私もそのDVDを持っている。意外に、この二人は役者として
 うまがあったのかも。

 そして、不思議なことに、シモーヌ・シニョレは(こちらは、大分年上で、石臼を思わせるずんぐりしたスタイルだけど)、ドロンの若かりし日の
 婚約者だったロミー・シュナイダーに、よく似た容貌をしているのであります。
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ある日の日記

2018-09-03 22:05:15 | ある日の日記
いつの間にか、もう9月になっていた。でも、相変わらず蒸し暑くて、日々の生活が大変。
春から、週一回ヨガ教室に通っているのだが、これは年取ってもできるかな?
さくらももこさんが亡くなったことがショックで、まる一日ボーっとしていた。「ちびまるこちゃん」の世界が大好きだった人は
多いはず――一つの時代が終わってしまった気持ちで、すごく悲しい。


この間、東京へ行った時、池袋の江戸川乱歩邸を訪れることができて、幸せだった。大学生の時、行こうと思って迷ってしまった
経験があるので、ぜひ行きたいとずーっと思い続けていたのだ。
ついでに、銀座の蜜蜂🐝が作ったという、ハチミツもほんの少し買ってみた。どんな味がするんだろう?

家の窓が汚れているのが気になる――今度、涼しい日に磨きたいな。
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