ノエルのブログ

シネマと海外文学、そしてお庭の話

ベニシアさんのこと

2023-06-27 00:30:07 | アート・文化

朝の新聞で、ハーブ研究家のベニシア・スタンリー・スミスさんが亡くなられたことを知る。

とてもショックだった……以前から、お体の調子を悪くしているのはTVの映像で知っていたのだけれど……。

ベニシアさんの書かれた本は、わたしのバイブルと言ってもいいほどで、京都・大原の地で古民家で暮らすベニシアさんの家のインテリア、庭、ハーブ、そして料理の数々には、何度もため息をついたものだった。

ベニシアさんが作ると、日本人にはなじみ深い紫蘇ジュースさえ、とても美しく、芳醇な飲み物に見えてしまうのが、不思議だった。

トマト鍋や、プディングなども、とてもおいしそうで――一番簡単そうな月桂樹のプリンを作ったことがあったけれど、おいしかった!

ベニシアさんの古民家での暮らしは、日本人では気づかないユニークな試みに満ちていて、クリスマスの飾りをつけたあしらいなど、「なんて美しいんだろう」と食い入るように、本のページに見入ったものだった。

こんな風に、幸せをファンにも分け与えてくれたベニシアさんは、もういない――。でも、大原ベニシアさんの家の庭は、これからも魔法を失うことはないはず。

ご冥福を、お祈りいたします。


東京の休日

2023-06-24 13:15:09 | 旅のこと

父が大病し、日々に追われるようだったのが、少しずつ平穏な日常が帰ってきました。

ホッとしたついでに、コロナがはじまって以来、一度も県外に出ていなかったのに、約三年ぶりに東京へ一泊旅行。

泊まったのは、銀座の「ホテルモントレ・ザ・スール・ギンザ」。こじんまりしたホテルで、朝食は通りに面した、一階のレストランで。

  

都会の朝の通りを見ながら、食事をしていると、何だか、少し非日常的な気分に。そして、今回の旅行の最大のお目当てだった、「東京ジャーミィ」へ。

小田急線に乗って、「代々木上原」で下車。ここに、日本最大とされるモスク「東京ジャーミィ」があるのです。

 

中は,とても綺麗です。 思わず、昔イスタンブールで見た、数々の壮麗なモスクを思い出してしまいました。しかし、写真は、撮影禁止となっているようなので……、文章のみの記載とします。

  

窓にはめられたブルーや赤の紋様は、普通のステンドグラスとは違うのかな? ドーム状の天井には、イスラムとしか言いようのない紋様が施されていて、中心には金色のアラビア文字の書道が書かれているのも素晴らしい!

アラビア書道と言えば、館内に、いくつかの額作品が飾ってありました。

  

      

 

私は、特に,周囲にブルーの紋様がある作品の美しさに、心が吸い込まれていきそうな感動を覚えました。こういうのは、アラベスク文様というのとは違うのかもしれませんが、無限に繰り返されるかと思われる模様や、それを彩る線が、ひたすら美しい!

今、「トルコ大震災復興支援」をするとかで、モスクの横のホールで、様々な中東諸国の方たちが、賑やかなバザーを開いておられたのが印象的でした。

 モスクそばにあったカフェで、トルココーヒーとバクラヴァで、ティータイム。  

 

バクラヴァというのは、トルコの代表的なデザートなのだそうで、どうやらパイの中に、ピスタチオなどのナッツがヌガー状になっているらしいのですが、味の方は、ビミョーかも……。どろりと濃いトルココーヒーは、イブリクという銅製の小鍋で煮だして作るもの。

でも、こちらも、普通のコーヒーに比べて、飲みにくい気が。それでも、異文化を体験したという感じが新鮮!でありました。

東京へ行く度に寄っている、JR有楽町駅前のビルにある「椿屋珈琲店」で、コーヒー☕とシフォンケーキでリフレッシュ。

「松屋銀座」にあるキャンティで、飲んだ、ロイヤルミルクティーも美味しかったです。

二日間の休暇で、リフレッシュ完了かな?

 

 

 


とんび

2023-06-11 16:58:00 | 映画のレビュー

映画「とんび」を観る。 作家重松清のベストセラー小説を映画したもの。

といっても、恥ずかしながら、今まで重松清さんの作品はまるで読んだことがなく、この映画が岡山県でロケされたものだということも知らなかった……。

普段まったく見ない日本映画で、主演の阿部寛も有名な俳優だというのに、振り返ってみれば、彼が出た映画で見たものと言えば、ずーっと昔、阿部寛がまだモデルだったかの頃、出た、江戸川乱歩原作の映画「ひとでなしの恋」だけだったな。

彼のデビュー作である、出た少女マンガ原作の「はいからさんが通る」も、ヤマサキマリ原作の「テルマエ・ロマエ」も見たことがありませんです、はい。

しかし、このたび見た、「とんび」——とても、面白かった! 背景となっている時代も、私の好きな高度経済成長期で、まるで「三丁目の夕日」を連想させるし、熱いハートと人情が感じられるのも、GOOD!

阿部寛演じるヤスは、地元の運送業者に勤めるのだが、けんかっ早くて、無計画。でも、仲間の皆に愛されている。奥さんの美佐子が妊娠していることを知っても、うれしさを素直に表現することもできないくらい、不器用なのだけれど、彼女と息子アキラと幸せいっぱいの生活を紡いでいく。

ところが、美佐子とアキラが、「お父さんの職場見学に」と、ヤスの勤務場所にやって来た時、悲劇が起こる。まだ三歳で、何もわからないアキラが、積み重ねられていた荷物に、洋服をひっかけ、荷がくずおれてしまう。息子を助けようとした美佐子は、重い荷物の下敷きになって死んでしまう。

そこから、ヤスは、ただ息子を幸せにすることだけを願い、アキラのために生きていく。阿部寛の演技が、濃くて(彼の顔立ちもそうですけど)、人間臭さを感じさせるのがたまらなくいい! 時にユーモラスに、時にオチャメでさえあるヤスの魅力が、こちらにもじんじん伝わってくる。この映画は、阿部寛の力演が、最大のポイントなのでは?

阿部寛が、こんなにいい役者だなんて知らなかったなあ……。

アキラは、ヤスの思いを映してか、優秀な好青年に成長してゆくのだが、彼が一流大学に合格して、出版社に就職し、そこで先輩社員のバツイチの子連れ女性と恋愛する、という後半は、はっきりいって退屈だらだらと長い気がするんです。 そして、アキラがのちに、直木賞作家とまでなってしまうというのだから、これって、もしかして、重松清さん本人がモデル?

アキラが大学に合格し、地元を離れるという時、例によって、不器用なヤスはトイレにこもってしまい、さよならの挨拶もできないという始末なのだが、そのトイレが水洗式じゃないらしいのも、いかにも昭和なドラマ。面白いです。

いざ息子が去ってしまうと、ヤスはそのトイレから飛び出し、アキラたちが乗ったタクシーを追っかけてゆくのだが、私の好みを言えば、映画はここで終わってほしかった……。

地元の人々の情愛と、父の子に注ぐ愛というドラマが、十分堪能できたし、余韻が残った気がする。

 

 


日々のこと

2023-06-08 13:18:34 | ある日の日記

午前中、街へ行き、珈琲豆と食パンなどを買ってくる。上の写真は、このところパンを買うようになったお店「グラハム・マーケット」店内。

  

パン売り場の方は、こんな風にレイアウトされている。う~ん、上に飾られたドライフラワーがボリュームがあるなあ……。

もう十七年近くも昔、三年ほどフラワーデザインを習っていたのだけれど、当時のモードは、プリザーブドフラワー一色。私は特にプリザーブドをすることななかったものの、その頃はいたるところにインテリアに使われていた記憶がある。

その後、アートフラワーを経て、時代はドライフラワーへ向かったらしい。 うんと昔、私が子供の頃も、ドライフラワーをあちこち(注:昭和五十年代の頃です)で見た覚えがあるのだけれど、流行は繰り返すというのは真理であるのだな。

今、珈琲にはまっていて、豆の銘柄や産地のカラーなどを事典で調べて遊んでいるのだけれど、面白い!

珈琲の発祥はエチオピアが源であるらしいのだが、そこからアラビア半島のイエメンに伝わり、イスラム教の修道僧の間で飲まれたのが、はじまりであるらしいとか……。

エチオピアのイルガチェフという銘柄が、今人気であるらしいとか、イエメンのモカマタリは古い由緒ある銘柄だとか――キリマンジャロの産地が、タンザニアの山の麓であることも初めて知った……☕