ノエルのブログ

シネマと海外文学、そしてお庭の話

春の気配

2018-02-23 18:27:37 | ある日の日記
   
 ゆっくり、コーヒータイム。今日は、ゴディバのチョコをお供に。めったに食べないのだけど、ああ、やっぱり美味しい!

 直木賞受賞作の「銀河鉄道の父」を読み終える(門井慶喜 著)。最初は、「大衆小説って、こういう感じ?」と思ったのだけれど、とっても面白かった!
感想は、また後ほどゆっくり書こう。

それにしても、毎日何だか気分的に忙しい――時間があっという間に過ぎるのである(その癖、冬が寒いのがナガーク感じられたり)。 若い頃は、もっと時間が長かったことを痛感。
でも、今日はもうゆっくり休もう。 明日は、芦屋行き。遠出すると、ぐったり疲れが出るようになりました

アルセーヌ・ルパンの世界

2018-02-23 17:55:38 | 本のレビュー
    
懐かしいアルセーヌ・ルパンの世界……幼稚園から小学校時代まで繰り返し愛読した、ポプラ社のシリーズ、そして、学生時代に読んだ創元推理文庫の「アルセーヌ・リュパン」シリーズから、それぞれ2冊ずつ、離れのテーブルの上に広げてみました。

ルパンシリーズは、子供時代から若い頃、何度も読みふけったもの。実を言うと、シャーロックホームズものより、ルパンに対して思い入れがあると言っても過言ではありません。
今では、熱心なシャーロキアンや、アガサ・クリスティーのミステリに押され気味なようですが、二十世紀初頭のフランスの香り高さ、そして冒険がまさに冒険だった時代のロマンチシズムが感じられて、私はとても好きです。

ことにポプラ社から出ているシリーズは、子供向けに、南洋一郎さんが訳されたものとして名高いのですが、もう一つ私が虜になったのは、挿絵の魅力! ルパンは片眼鏡(モノクルとかいうらしいですが)と黒いシルクハット🎩が何ともダンディな、素晴らしい好男子に描かれているし、毎話ごとに登場する美女や美少女は、本当のパリジェンヌでもこんな人いるのかな? と思ってしまうほど。

六歳の時初めて読んだ「青い目の少女」は、一生忘れられない思い出となっているし、他にも「ルパン 最後の冒険」、「奇岩城の謎」、「虎の牙」など、忘れがたい傑作が粒ぞろい。
ホームズの時代はまだ19世紀末で、ホームズやワトソンは馬車に乗っていましたが、ルパンは自家用車――ずっと現代的なのであります。発明されたばかりの車は、鋼鉄の宝石といっていいほど美しかったし、第一次世界大戦頃のフランスは、文化的にも輝いていたはず。

ルパンの物語には、首都パリだけでなく、奇岩城の舞台となった北フランスの海岸のエトルタの針といわれる景勝地や、中部フランス、はたまた秋の葡萄畑などの風景が、美しい背景となって現れています。
創元推理文庫で井上勇という方が訳した文章も、古風と言えば古風、しかし今のミステリにはない典雅さがあって、うっとり。

例えば、「謎の家」では、エンディングの文章はこんな風……「そして、船は河を過ぎ、運河を通り抜けて、古い町の方へ、うるわしいフランスの風光へと向かっていた。
その夜、たいへんに遅くなって、アルレットはひとりで、甲板の上に横たわっていた。そして星や、おりから空にかかっていた月に向かって、しんみりとした、なごやかな喜びに満たされた、甘美な思いと夢を託していた」――とても文学的な香り高さも、ルパンものの魅力なのでは?

私ももう一度、今度時間のある時に「ルパン 最後の冒険」や「ジェリコ公爵」を再読したいもの。 ジェリコの方は、厳密にはルパンではなく、ルパンそっくりの人物が登場する冒険譚なのですが、南フランスの古城や、「エレン・ロック」という謎の人物(これは、美しい庭園の名前でもあります)などなど、魅力的な雰囲気が忘れがたい小説!

怪盗グルーのミニオン大脱走

2018-02-18 01:05:35 | 映画のレビュー
  
「怪盗グルーのミニオン大脱走」――以前、とっても面白かった「ミニオンズ」の続編であります。

でも、ここではあの素敵なミニオン達は、はっきり言ってわき役。主役はあくまでグルー。
という訳で、私としては以前TVで見た「ミニオンズ」のポイントの方が高いのですが、結局楽しんで見てしまいました。

        
といっても、ストーリーそのものより、面白いのはあくまでもミニオン達。いつ見ても、何度見ても笑える……誰が、こんな面白いキャラクターを考えたのかしら?

 私の中では、「心の恋人」であるスヌーピー、その次の「リサとガスパール」についで、愛すべきキャラクターとなってしまったミニオン達。
でも、この黄色い薬のカプセルとしか思えない体――彼らって動物とは思えないんですけど(ついでに、たくさんいるにもかかわらず雌雄の区別がなく、みな『オジサン』に見えるのが謎)、一体何なんでせう?

      

ロビンフッドの冒険

2018-02-17 21:23:10 | 映画のレビュー
  
「ロビンフッドの冒険」を観ました。主演は、エロール・フリンにオリビア・デ・ハビランド。総カラーだけど、なんと1930年代制作という古い映画。

この映画を見終わった後、しみじみ思ったのは、自分がいかにロビン・フッドという伝説のヒーローについて知らなかったかということ。何年も前に、「ロビンフッド物語」の美しい本(英語原書です)を買い、結構大きめのカリグラフィー作品を作ったこともあるというのに、英語を努力して読むのが嫌さに、その本もほったらかしにしたまま……。

ロビンフッドというのは、もちろん中世イギリスの伝説上のヒーローなのですが、ノルマン人の圧政に抗して、義賊として民衆を助けた人物として人々の記憶に残っています。ロビンフッドがいたとされるのは、12世紀英国。全身、緑の衣装(これ、何だかピーターパンの服にも似ている気がするのですが)で仲間たちとシャーウッドの森に潜んでいたと言われます。
          


さてさて、この映画を観て、びっくりしたことには、彼が生きていたのは、リチャード獅子心王の時代と設定されているのですね。十字軍に出征し、在位中をほとんど戦いに明け暮れていたと言われるリチャード1世。 彼が英国を離れた時に弟ジョンが勝手に、摂政の立場となり、民衆を痛めつけたというところから、物語が始まります。

敵対するノルマン人側の一人に、マリアン姫がおり、これをオリビア・デ・ハビランドが演じています。彼女はもちろん、あの大作「風と共に去りぬ」でメラニーを演じた女優なのですが、ここでは清楚・従順なメラニーの面影などさらさらないのが、凄い。注意してみなければ、同じ女優とは思えないかも知れませぬ。

お話は、紆余曲折を得て、帰国したリチャード1世の助けを借りて、暗愚な王弟ジョンを追放。王の祝福を得て、ロビンフッドとマリアン姫は結ばれるという、絵にかいたようなハッピーエンドものなのですが、ストーリ―などより私を惹きつけたのは、中世の風俗そのもの。

日本でもそうなのですが、中世という時代に人々の着ていた服は、鮮やかでカラフルなもの。以前、中世ヨーロッパに関する図鑑を見ていて、当時の人々が、片方は緑、もう一方は黄色というタイツをはいていたり、滑稽なほど派手な服を着ているのに驚いたことがあります。
王侯貴族は、前に紋章のついた上衣を着ていたりしますしね――そして、この映画では王たちの間に取り交わされる書簡として、羊皮紙に描かれた美しい紋章つきの手紙が幾度も取り上げられているのです。   ああ、大好きな世界だなあ。

城の中で繰り広げられる宴会には、猟犬らしきワンコがうろうろしていたり。これって、どこかで見た世界、と思ったら以前このブログでも取り上げた、ピーター・オトゥールとキャサリン・ヘプバーン主演の「冬のライオン」のシーンでした。
考えてみえれば、「冬のライオン」は、リチャード1世と弟ジョン(結局兄の死後、即位し、フランスの領土を大幅に失うなど失政を繰り返したジョン王)の両親であるヘンリー2世とアリエノールの物語だったのですね。
このプランタジネット朝の王家の物語は、そんなに知られてないないマイナー路線ですが、とっても面白いです。フランス王、フイリップ2世との権謀術策も面白すぎる!

古い映画ですが、中世ヨーロッパが大好きな方には、意外に発見が多いかも。ああ、この映画で出ていた紋章つきの手紙――また今度カリグラフィーに使ってみたい

久しぶりのカード作り

2018-02-09 20:12:55 | カリグラフィー+写本装飾
    
お世話になっている方へ、ちょっとしたプレゼントをしようと思い、それに添えるカードを作る。

なぜか、思いっきりシロクマしてしまった…冬だから? それとも、今度日帰りバス旅行で、愛媛の方に「白くまピース」に会いに行くのを楽しみにしているので、
それが潜在意識に働いたのかしらん?

それでも、カードは真心をこめたいと思っているので、手書き(=手作り)を心がけています。上手でなかろうと、何であろうと、です!
 後は、送らなければ

ある日の日記

2018-02-07 20:40:58 | ある日の日記
昨日に続き、すごく寒い日。朝起きたら、しばらく洗面所の水が出なかった。
後でニューズで知ったら、この日、私が住む地方の最低気温は、氷点下6.1度で、37年ぶりの冷え込みだとか……。

葡萄小屋の葡萄は大丈夫なのか、とても気になる。毛布を根本に巻いているのだけれど。どうか、葡萄が今年も実ってくれますように。

草原の輝き

2018-02-07 20:14:46 | 映画のレビュー

映画「草原の輝き」を観る。1961年のアメリカ映画。 監督は、「エデンの東」や「欲望という名の電車」のエリア・カザン。
そして、主演がナタリー・ウッドにウォーレン・ベイティだというのだから、往年の青春映画としても、すごく見ごたえがあるはず。

実は、これも中学時代愛読していた集英社はコバルト文庫の映画紹介本に載っていた作品で、「いつかは観ねば!」と決心していたもの。それから、幾星霜の年月が流れて、ようやく観られることに。 とっても、うれしいな

キッチンでDVDを観ようとしていたら、そばを通りかかった母が、「あら、『草原の輝き』じゃない。私も、若い時見たわ」だって。

さてさて、そうやって観たこの作品、とっても面白かった! ナタリー・ウッドと言えば、ジェームス・ディーン主演の「理由なき反抗」や「ウェストサイド物語」にも出ていた懐かしのスター。そして、相手役は、ウォーレン・ベイティ。この人も、「俺たちに明日はない」や「レッズ」が忘れがたい、大スター。

この二人が主演となると、舞台も60年代くらいかな? と思ってしまうのだが、さにあらず。1920年代―ーつまり、今から百年近くも昔のアメリカが背景にあるのだ。
ナタリー演じるディーニー、ベィティ演じるバットは、高校三年生で愛し合っている。しかし、貞操というものに固定観念を持っているディーニーの母親や、傲慢な実業家であるバットの父親のせいで、二人のロマンスには暗雲がたれこみはじめる。

そして、高校卒業を祝うパーティーで、ディーニーは、バットに身を捧げる決心をするのだが、それを受け入れられないバット……この事件がディーニーに自殺を図らせてしまうことになるのだが、あげくに彼女は精神病院の施設に入院することに。

対して、バットは父親がウォール街の株の大暴落で破産し、ビルから飛び降りて自殺してしまう。御曹司から一転して、貧しい暮らしとなった彼は、新しく知り合った女性と家庭を築き、牧場を経営している。
そこへ、退院したディーニーが訪れる。彼女もまた、病院で知り合った医師と結婚することになったのだ。

穏やかな表情で、互いを見つめる二人。かつて青春を賭けた愛も今は、過去のもの―ーちょうどワーズワースの詩「草原の輝き」の一節にあるように。


物語の大要を言ったら、こんなもの。でも、やや長い作品にもかかわらず、少しも退屈せず、楽しめた。見終わった後も、静かな余韻が残るし……。

いい映画だなあ。また、もう一度見よう。 昔の映画ならではの、ゆったりした流れがあり、今の気ぜわしいスピードで疾走してゆくハリウッド映画にはない詩情が感じられる。



P.S そんなことをしみじみ思っていたら、新聞紙上に気になるニュースが。何と、37年も前に43歳の若さで水死していたはずのナタリー・ウッドは実は殺されていた、との疑いが濃いとのこと。そして、夫だったロバート・ワグナーが重要参考人として召喚されているというのだが、俳優の私生活も映画に負けず劣らず、ドラマの要素を秘めているのだろうか?

世界ふれあい街歩き 冬のパリ―ーマレ地区

2018-02-06 21:16:43 | テレビ番組
 TVで「世界ふれあい街歩き」を見る。NHKの名物番組だが、再放送とかで、今日放映された「冬のパリ―ーマレ地区」も以前見たものだった。
でも映像が綺麗だし、大のフランスファンなので、そのまま1時間見る。

ギャラリーをしている中年女性のスタイルがとっても面白い! 見た目は、いかにもパリの街角にありそうなお洒落で、こじんまりしたギャラリーなのだが、そこに飾られている絵が何とも珍妙! 彼女が大切に飼っている犬(茶色い小型犬なのだが、はっきりした種類はわからずじまい)の肖像画がいくつも壁に飾られているのだ。

その内の一つは、黒いベレー帽に赤い星のついたカストロ(かな?)の肖像画に顔だけ、くだんのワンコになっていたりするのだ。昔のフランスの軍人の軍服を着たワンコもいたりして・・・。
ギャラリーの女性オーナーいわく、「友人の画家に描いてもらった」のだそう。そして、この犬を連れて、さっそうと散歩へ。

次は、シャルトルのステンドグラスが! シャルトル大聖堂の魔法のように美しいステンドグラスは、昔から私も一度実地に見てみたい!と願い続けているものなのだが、なんとこの再現不可能と言われる、シヤルトル・ブルーを作り出した職人さんが登場。

彼が案内してくれた工房の暗闇の中にある青いガラス窓はとても綺麗……しかし、やっぱり、これはシャルトル・ブルーではない。なぜかと言うと、あの神秘的にも荘厳な青は、実のところ、何百年もかけてガラスにしみついた埃や黴やら、ガラス自体の劣化がもたらすものなんだって。

言うなれば、「滅びの美」なのでありました。だから、彼らの作った美しい青も、シャルトル・ブルーとしての輝きを持つためには、800年待たないといけないのだそう――う~ん、世の中には、役に立たないようで面白い雑学ってあるね。

パリの街角を自分も歩いているように、楽しめた1時間。でも、実際に2月に訪れた時は、寒くて仕方なかったなぁ。

寒い・・・。

2018-02-06 13:46:27 | ある日の日記
   
 上は、昨日のティータイムで楽しんだ、紅茶とモザイククッキー。
一般には、どうなのかはわからないけれど、私の場合、毎日昼3時前後には、お茶(コーヒーの場合が多いけれど)とお菓子を楽しむ時間をもうけています。
ちょっと小腹を満たしておかないと、夕方からのノエルの散歩も大変なのだ(と言いつつ、単に口がいやしいだけだったりする)。

それにしても、この冬は本当に寒い! ただ暮らしているだけなのに、寒いせいで体に力が入るのか、くたびれてしまうなあ……。
犬の散歩の時、家のまわりを歩いても、あんまり人はいないし。

それでも、こないだは、街まで出て、カトリーヌ・ドヌーヴ出演の映画「ルージュの手紙」を観、「アフタヌーンティールーム」でランチ。いつも通りのコース。
早く、春よ来い

読み応えある本

2018-02-04 18:28:08 | 本のレビュー
   
が、「今度の芥川賞の本は、面白そう!」と買ってきた2冊。 そして、一気読みしてしまった模様。

それで、私も読むことにしたのだが、どちらも面白かった  「読みごたえがある」という本は、なかなかないのだが、この
「おらおらでひとりいぐも」 若竹 千佐子  河出書房新社

「百年泥」   石井 遊佳   新潮社


どちらもが、読み終わった後、「ああ、いい時間を過ごせたなあ」と思いたくなる素敵な作品。 若竹さんも、石井さんも「新人」というには、やや年齢が高めなのだけど、その分の人生体験がおしげもなく注ぎ込まれ、単なる純文学小説という以上に説得力ある作品になっている気がする。

巷では、若い作家のデビュー作がもてはやされる傾向にあるのだが、正直手に取って読みたいとは思わないし、読んだ場合でも「何だか……」と思ってしまうことがほとんど。
これは、私が年を取っているせいかと思ったのだけれど、よ~く考えると、自分が本当に若かった時からそう思っていた。

若い作家のデビュー作で、「これは凄い!」としかいいようがないのは、今は懐かしのフランソワーズ・サガンの「悲しみよ こんにちは」くらいのもではないかしら?

話が思いっきり飛んでしまったけれど、とにかく、この2作品には、熟成がもたらす豊かさ、というものを感じたのだ。

若竹さんの「おらおらで……」は、夫を亡くし、子供たちとも疎遠ぎみである、老年女性の孤独ではあるけれど、しっかと前を向いて生きていく様に、誰しも共感を感じるのでは?
どうも、作者自身の体験が半ば以上現れているみたいなのだが、亡くなった夫が、素晴らしく美男子だった、と何度も書いてあることろは笑えるし、夫との死別を悲しみながら、
「一人になれたことを、どこかで喜んでいるおらもいる」とか「桃子さんは、戦うことが好きなのに、これまでの人生で一度も戦ったことがなかった。だから、今全力を出す」といった記述には、ドキッとする読者もいるのでは?

巷では、『玄冬小説』と言われているらしいのだが、シニア層の方たちの心の琴線にふれる小説が、やっと生まれたという気がする。

石井さんの「百年泥」は、インドの町で大洪水が起こり、百年も昔の泥が川底からかきだされるというシチュエーションが面白い。その泥を観ながら、作者の分身であるらしい「私」は、過去と現在の自分を想起する。そして、泥から、昔生きていたはずの人が現れたという幻想的なシーンも登場するのだが、これって、南米文学のお家芸である魔術的リアリズムそのもの!
新聞紙上の記事で、石井さんの好きな作家が「ガルシア・マルケスと三島由紀夫」とあるのを見て、「私とおんなじだ」とうれしかった……。

インドのとんでもなく非常識(?)でダイナミックな社会状況もリアルにわかって、異国小説としても十分楽しめる一冊であります。(それでも、インドは名だたるIT国家なんですね)