ノエルのブログ

シネマと海外文学、そしてお庭の話

セッコクの花

2017-05-03 20:21:54 | ガーデニング
この春は温かくなるのが遅かったので、ゴールデンウィーク中には咲かないかと思ったのだけれど、今日満開となった石斛(セッコク)。
家の前の日本庭園のほぼまんなかにある、樫の古木にかぐわしい匂いを放ちながら、白い花が咲いているのを見た時は、じんわりとしたものが、胸にこみあげてきたもの。

                      

母が、三十五年以上前に、植え付けたのがもとで、こんな風に薫風とともに、咲き乱れるようになったのだが、残念ながら、この花が一週間かそこらでしぼんでしまう。
ほんの短い間の宴なのであります。    


ここ数日間ほど、お客様が、この花を見に来宅されたのだが、そのうちの一人の方が、ご自分で焼いたパンを持ってきてくださったのだ。
                  それが、この「紅茶パン」。少し、切り取って口に入れたら、とってもおいしかった  アールグレーの紅茶を練りこんで焼いたというのだけど、顔を近づけると、本当に紅茶の香りが!
  少し、トースターで焼いたら、アールグレーの香りがよりいっそう高くたちのぼるとのこと――明日の朝、そうしてみよう。
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絵本の雑誌「MOE」

2017-05-03 20:03:17 | 本のレビュー
    
今年に入ってから、定期購読しはじめた絵本の雑誌「MOE」。
  カラー写真も美しく、今や昔の絵本が魅力的な記事とともに、紹介されとっても読み応えのある雑誌なのだ。  毎月、届くのがとても楽しみなのだが、今月は展覧会特集と銘打って、全国で開かれている画家や絵本関係の展覧会が紹介されている。

まずは、画家ブリューゲルの「バベルの塔」の絵がページいっぱいに載っていて、その迫力に圧倒されるのだけれども、「楽園」の絵などで知られる奇想と幻想の画家ヒエロニムス・ボスの絵の展覧会など、行ってみたいのがいっぱい!

ヴィクトリア朝英国で、初めて絵本らしい絵本を作ったといわれるウォルター・クレインの絵本が美しい写真とともに紹介されているのも、そのクラシックな意匠・洒落たセンスとともにため息が出る。

この雑誌は、先月はスウェーデンの村やその工芸品であるダーラナホースの紹介や、絵本作家ディツク・ブルーナの追悼特集をしていたが、目で見ることや、デザインや外国文化に興味のある人にとって、絵本好きの人と同じくらい魅力のあるものに違いない。

毎号載っている、ヒグチユウコさんの絵も結構好き。 猫の絵がリアルで、そのくせ少し不気味で、ユーモラスなのだ。独特のネコワールドに、今回も招かれてしまった。
      
 




    
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塔の上のラプンツェル

2017-05-03 19:04:10 | 映画のレビュー

ディズニーアニメ「塔の上のラプンツェル」を観ました。 と~っても、面白かった
思うに、ディズニーアニメというのは、ハッピーエンドで終わることが、ほぼ鉄則なので安心してみることができるのですね。それと、技術の粋をきわめたハイテクニックな映像と、時おりはさまれるミュージカル調の歌やふりが、ディズニーの世界。

さて、この映画――タイトルからして想像がつくように、昔話の「ラプンツェル」が原作であります。 高い塔の上に魔女にさらわれた美少女が一人住む。彼女は、輝く金髪の長い長い髪を持ち、くだんの魔女が訪れる際は、「ラプンチェル、髪をおろして」と下から叫ぶ。すると、長い長い髪が、塔の上からするりと伸び、それをロープがわりにして、魔女は塔の部屋にやってくるというお話。もちろん、最後にラプンツェルを、とある国の王子様が発見し、二人は結ばれるというラブストーリーなのでありますが、このよく知られた物語をディズニーが料理すると、どういうことになるか?

まず、ラプンツェルは、何でもない可愛らしい赤ちゃんなどではなく、れっきしとした王国のプリンセスという設定になっています。原作では、妊娠中の奥さんが、魔女の庭に実っている美味しそうな野菜を食べたがったため、その夫がしのびこんで、泥棒しようとしたところを魔女に見とがめられ、生まれた赤ん坊を差しださなければならなかった――という展開になっていたと思うのですが…。

そして、ヒロインを救うヒーローも、ロマンチックな白馬の王子様などではなく、あらゆるところを渡り歩いてきた、お尋ね者の青年(でも、素晴らしくハンサムな)。彼と仲間が盗み出した王国の王冠を持って、逃走中、偶然、ラプンツェルの塔にやってきます。
初めて見た人間に、立ち向かうラプンツェルが武器として持つのは、なんと🍳フライパン! これが、まず笑えます。

隠した王冠を返す代償に、ラプンツェルが申し出たのは、城の方の夜空に見える無数の灯りを見に連れて行ってくれること。実は、国王夫妻は、いなくなった娘を悲しみ、毎年、彼女の誕生日に、灯りを飛ばせていたのです。おりしも、ラプンツェルの18回目の誕生日がやってこようとしていました……。


こんな風に脚色されているのですが、原作以上に起伏のあるストーリーに仕上げていることや、そのオリジナリティーには、「さすがは、ディズニー」と脱帽すること間違いなし。
       
物語の最後、ついに城にたどりついたラプンツェルと強盗の青年(フリン・ライダー)は、灯りが空へ放たれる場面にでくわすのですが、その灯りは、まるで東洋のランタンのようで、、うっとりするほど幻想的な美しさです。
まるで、まわりが、輝くランタンの船で満ち溢れ、ラプンツェルとフリンの二人を祝福してくれるかのようなシーンは、映画が終わった後も、まぶたの裏にくっきりと焼き付いてしまいました。

また、ぜひぜひ繰り返しみたい映画が、一つ生まれました。 これも、私の映画ライブラリーに、入れさせていただきませう。
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ルパン三世 カリオストロの城

2017-05-03 16:50:20 | 映画のレビュー

前から見よう見ようと思っていた、「カリオストロの城」をやっと 観ることができました。
といっても、小学校の低学年(と思う)の時、初めて観て以来、何度も観たことのある映画なのだけれど……。

多分、ルパン三世が長編アニメになった第一作ではないかと思われる、この作品――思い出しても、いい作品だったなあ。
と、追憶にふけりながら、昼間のキッチンで「おひとり様ロードショー」を開いたのであります。

相変わらずハチャメチャなルパンがやってきたのは、カリオストロ公国。ここで秘密裏に鋳造されている偽札を狙ってのことですが、おりしも、公国のプリンセス、クラリスがカリオストロ伯爵との婚礼を嫌って、逃走するシーンに出くわします。
実は、クラリスがいつも指にはめている紋章がほられた青い指輪。それが、同じく伯爵のはめている赤い指輪と対になった時、隠されていた秘宝への扉が開くのでした。

クラリス姫と秘宝をめぐって、ルパンとカリオストロ伯爵との攻防戦が繰り広げられる――というおなじみのストーリーなのですが、今あらためて見返しても、つくづく感嘆するのは、ヨーロッパの小国を描く、宮崎駿の手腕。 城の中の調度、紋章、村の情景……等々、古き良き時代のヨーロッパの雰囲気が匂い立つようなのであります。

昔、わたしが小学生だった頃も、このアニメ映画は大人気で、ヒロインのクラリスは、ポスターがクラス内に出回るほど、「美少女アイドル」の扱いでありました(「機動戦士ガンダム」のセイラ・マスやララア・スン、なども懐かしいなあ)。
この映画を今、見直しても、白いブラウスに簡素なボウタイ、スカートというシンプルな服装に、大きな青い瞳がきらめくクラリスは、「高貴な汚れなき美少女」のオーラが漂っています。

あんまり有名な映画なので、ストーリー紹介などは、もう省らせて頂くことにしますが、題名にも使われているカリオストロ、という名前にもピンとくる人は来るはず。そう、アルセーヌ・ルパンの物語にも出てくる、ルパンの宿命の敵である女盗賊カリオストロ伯爵夫人から、取ったものであります。
カリオストロ伯爵夫人は、のちの怪盗ルパンがまだ二十歳の時出会った、美しい盗賊なのですが、ルパンと愛し合い、のちに仇敵になるという役どころ。青年ルパンの生まれたばかりの息子を誘拐し、それが二十八年後まで行方知れずだというエピソードを生み出すほど、その執念は長く、ルパンに絡み続けます(ポプラ社から出ていたアルセーヌ・ルパンシリーズの「ルパン 最後の冒険」にこの経緯が明らか。ああ、このシリーズも挿絵や文章が好きで、子供の頃、何度読み返したことか!)。



そして、映画の最後、カリオストロ城が崩れ、水門から濠の水がすっかり抜かれてしまいますが、そこに姿をあらわしたのは、なんと古代ローマの町の遺跡だった……という光景。
映像の美しさもさることながら、あまりのドラマチックな情景に陶然としてしまいますが、これもアルセーヌ・ルパンの物語からの焼き直しなのですね。
ルパンシリーズの「緑の瞳の令嬢」を読んだ読者なら、ご存じのように最後に湖の底から、古代ローマの町が現れます。 数多いルパンシリーズの中でも、比べるもののない、豊かな想像力と美しさを持つ結末でしたが、私もこの本を六歳の時読んで以来、すっかり物語のとりこになってしまいました。

思うに、サン・テグデュペリの「星の王子様」と並んで、私が物語の美しさに目覚めた、最初の本になるのでは?
よけいな、思い入れをダラダラと書いてしましましたが、多くの人に愛されてきた「ルパン三世 カリオストロの城」。今見直しても、往年の日本アニメの実力と面白さがいっぱいに含まれています。ぜひ、ご覧あれ!
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