ノエルのブログ

シネマと海外文学、そしてお庭の話

オノ・ヨーコさんのこと

2017-05-15 22:48:41 | アート・文化
  
先日、報道で知ったのだけれど、あのオノ・ヨーコさんが認知症にかかってしまったという。そして、セントラル・パークを車椅子で散策されているところも目撃されたのだとか。
そのニュースに接した時、激しいショックを感じてしまった。

何といっても、オノ・ヨーコという人は、世間の常識を超えたスーパースターにして、伝説の魔女めいた雰囲気があり、そんな人が当たり前の人のように年をととり、病気にかかってしまうということが、今一つ実感できなかったのだ。
ビートルズのジョン・レノン夫人にじて、世界で一番有名な日本人。アメリカでも有数の大金持ちでもあり、訳の分からない(と、凡人である大衆には思える)モダンアートの芸術家でもある彼女……新聞で、「オノ・ヨーコさんが、今度はこんなことをした!」だの「ポール・マッカートニーと和解した、いや、しない」といったニュースがしょっちゅう載り、「本当に凄くて、面白い人だなあ」と読むのを楽しみにしていたのに、考えてみれば、この二年ほど、その報道に接しなかったように思う。

オノ・ヨーコさんのファンか? と聞かれると、返答に困るのだけれど、そのとてつもないパワーや存在感は、誰にも真似することのできない唯一無二のものだった。上の写真は、二十歳の頃、購入してひとしきり愛読した彼女の本(というか、本人が自分の人生を振り返った、伝記みたいなもの)を私の部屋の棚の上に置いてみたところ。表紙には、シンボルマークであるサングラスをかけた😎、今よりだいぶ若い彼女が写っている。 黒い服を着ているところが、例によって魔女めいているのだが、前の御影石とおぼしき台の上に、自身のアート作品を置いて眺めている――といった図。
とても、フォトジェニックで感度が高い肖像写真なので、ほれぼれと見惚れてしまうほど。だから、フォトを飾るように、立ててみた。


内容もとても面白く、この本を繰り返し読んだ日々から二十年以上がたっているにもかかわらず、書かれていたことをくっきり覚えている――まず、開口一番、こんなことを言ってのけている。
「私は美人で、頭も悪くないし、身体もいいし、幼い時から、廻りの人に気をつかって、随分尽くす性だし、今は、その延長で世界のために、と自分のできるだけはしているのだから、自分では何もコンプレックスを感じていない。
 それがこれだけ悪口をいわれてきた、というのはどういうことなのだろう。それがただ‘何となく‘なぞというのではなくて、私を嫌いな人間はパッショネートな嫌いかたをする。日本からでも、釘のささった人形を送ってきたりした……」とこんな風に続くのだが、どうだろう? これを読んだだけでも、比べるもののないユニークな人が浮かんでくるのでは? (『美人』というのは、客観的美意識からして、ちょっと無理があるような気がするけれど)

ただ、オノ・ヨーコさんを思う時、21世紀の人というより、今は遠い20世紀を追憶してしまう。20世紀は、世界に影響を及ぼす大スターやスーパースターが綺羅星のごとくいた時代。現代では、そんな強大なカリスマ性を持った人間は、ほとんど見当たらなくなってしまっている感さえしてしまうのである(もし、いるとしたらITの創業者くらいかもしれない)。
何はともあれ、歴史に残る女性であることは間違いなし!
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