goo blog サービス終了のお知らせ 

ノエルのブログ

シネマと海外文学、そしてお庭の話

気が付かない……

2017-05-23 23:29:46 | 旅のこと
 最近、というかここ何年もそうなのですが、人に気がつかなくなりました。
 
 街とかどこかを歩いていて、突然声をかけられて「あれっ」とびっくりすることなんて、しょっちゅう。みんな、どうして知り合いの人に気がつけるのかな?
人の雑踏がすごくて、そんな余裕ないような気がする……。

でも、まわりにいる大勢の顔の中から、知った顔をキャッチできるのが、大方の人にとってはフツウなのかもしれません。

しかーし、私ももともとこんなノンポリだったわけでなく、若い頃は人並み以上に、すぐ人に気づいていたもの。
今も鮮明に覚えているのですが、学生時代、新宿の雑踏の中で、大学の同級生が歩いている姿を、50メートルも前から察知していたもの。もちろん、向こうはこちらのことなどまるで気が付かず、それこそ「ボーッ」とした顔で、人混みに消えていったのでありましたが。

うんにゃ。これから、まわりにもっと注意力を払わねば――緊張感を失うと、私の場合、『堕落』が待っているだけ、という気がします。




マティス、ルオー、そしてリッツカールトンホテル

2017-05-23 23:01:01 | 旅のこと
今日、大阪へ行ってきました。あべのハルカス美術館でやっているという「マティスとルオー」展を観に行くため。

何年か前、話題になったあべのハルカスへ行くのも初めてだったのだけれど、高層ビル中にある美術館は、なかなか素敵です。
この作品展を見るまで、知らなかったのですが、マティスとルオーは生涯にわたる仲の良い友人だったのですね。

一人は、明るい色彩のモダンな作風で、もう一人は中世のモザイクを少し思わせる重厚な宗教画家……大作家同士がしばしばそうであるように、画家も強烈なエゴが邪魔して、同業の仲間と深い友情を結ぶことなどない、と勝手に思っていました。
しかし、マティスとルオーが交わした書簡からは、互いを思いやる優しさや親愛感がグッと感じられて、作品を見る以上に、これらの大画家を身近に感じてしまいます。

個人的には、ルオーの絵がかなり好きで、黒々とした太い描線の囲まれた作品世界を、深く愛しているのですが、風景画以上に、キリストやサーカスの少女の顔を大きく描いた肖像画が魅力的。

そして、二人が初めて出会ったのは、ボザール(国立美術学校)のモロー教室で、だったそう。このモローは言うまでもなく、ギュスターヴ・モロー。
以前、神戸で彼の展覧会があった時も観に行って、大きな画集も買ったものでしたが、やっぱりサロメを描いたものや、貴婦人といユニコーンを描いたものなど、忘れがたい美しさがあったなあ……。  絵具というより、宝石を砕いて彩色したのではないか、というようなきらめくばかりの美――いつか、パリのギュスターヴ・モロー美術館を訪れるのが、私の夢です。
手紙からは、このエキセントリックな唯美主義者かと思われた、モローが良き教師であり、マティスたちが深い敬愛の念を抱いていたことがわかり、まるで美術ウラ話のような面白いエピソードでありました。

さて、絵画鑑賞の後は、リッツカールトン大阪ホテルへ。 実は、ここ、20年近く前、開業したばかりの頃、泊まりに来て、その英国のマナーハウスを思わせる重厚にしてエレガントな佇まいに感激したもの。
それから後も、1,2回訪れたのですが、十数年ぶりに訪れても、時がとまったかと思うほど、以前来た時のまま。

    
   ティルームで、コーヒーのケーキと中国茶(「東方美人」という美人になれそうな名前!)で、お茶の時間。
      
    ティーポットの絵模様も好みです。

     
うまく撮れなかったけど、ロビーの花あしらいも豪奢で、素晴らしいのであります。 ああ~、いいなあ。まるで、アガサ・クリスティーの世界のよう(とは、母の言った言葉ですが)。

   
    リッツカールトンの前は、北梅田のビジネス街が広がり、その合い間に商業ビルがちらばっているという感じで、こういう清潔な美しさが好きです。
 ビルの間の遊歩道を歩いていても、間には花や樹の植生ゾーンが設けられ、きちんと手入れされているのを見るのも、うれしくなるのです。

 やっぱり、都会が好きかも。


      

大山崎山荘美術館を訪ねて

2017-04-12 22:11:27 | 旅のこと
  
先週も京都を訪れたのに、昨日もまた行ってきた。

あの大山崎山荘美術館を訪ねるため。 

行ってみて、その素晴らしさにびっくり。本当に感動してしまった!  
大正の頃の実業家、加賀正太郎氏が、別荘として自分で設計したというのだけど、この英国風の山荘は、一度訪れたら、決して忘れられないほど美しい建物なのである。
(専門的にいうなら、チューダー様式のハーフテインバー建築というらしい)
応接間である部分は、白い石造りのサンルーム(その昔は、加賀正太郎氏が、蘭のコレクションの鉢をたくさん並べていたらしい)だし、居間にある大きな暖炉には、後漢時代の装飾に使われた石がはめこまれているといった具合。

おりしも、最晩年に加賀氏と会ったという文豪夏目漱石の書簡が、展示されていたのだけど、その展示室に行くのもサンルームを思わせるガラス張りの通路――そこからは、美しい庭園や池が見え、あまりの美しさにため息がでるほど。この通路――今は懐かしの大正ロマンを感じさせるしつらえなのだが、実業家としての活躍の反面、蘭の栽培に情熱を燃やしていた(なんと、この時代にインドネシアまで赴いて、蘭を採集したりなどしたという)加賀氏が、蘭を栽培する大温室につながっていたのだそう――う~ん、こんな風流な趣味人は今の時代には、見当たらないなあ……。
何やら、古代エジプト発掘に熱中していた英国貴族たちの生活を思い出してしまいそう。

  
二階の階段へつづく吹きぬけの天井の木の嵌めこみ模様、ステンドグラスや窓ガラスの優美さ――どれもこれも本当にため息がでそう。
以前、東京の白金台にある庭園美術館を訪れたことがあるけれど、旧朝香宮邸を使った、このアール・デコの名建築より、だんぜん、素晴らしいと私には感じられましたです。
品格、優雅さ、重厚さ、洗練された美意識……すべてが混然と一体化して、この香り高い建物を作り上げているのだろうな。

二階のカフェで、広々とした庭園を見ながら、ティータイムをしたのだけど、この一日旅行に同行してくれた母が、面白いエピソードを後で教えてくれた。
私達の隣りの席にすわっていた老婦人の二人が、こんな会話をかわしていたのだそう。
「ええなあ。やっぱり、『貧富の差』というものは、なきゃいけないよ。 今みたいに、みんな同じような生活してたら、こんなすごい建物なんかできっこないわ。
 わたしゃ、どっちかというとヒンの方じゃけど、こんな『富』を見るだけでも、楽しいわあ」

この話を聞いて、思わず気持ちがほぐれて笑ってしまった。う~ん、この老婦人、なかなかいい人生観を持って生きてるんだなあ。

残念ながら、アクセスがしにくいため、さほど多くの人に知られていないらしいこの美術館(だからこそ、この気品ある雰囲気が保たれているといえるのだけど)。入り口の「ろうかん洞」という心にくい名前(イタリアのカプリ島の青い洞窟が、昔はこんな名前で呼ばれていたもの)のトンネルをくぐりぬけてからも、小高い丘を登っていかなきゃならないのだけど、日常とは隔絶された別世界が待っていることをお約束します。

興味のある方は、ぜひ!

京都パワースポットめぐり

2017-04-06 03:53:23 | 旅のこと
日帰りバス旅行で、京都へ行ってきた。
「パワースポット巡り」と銘打った、こちらのツアーでは、いくつもの神社へ参るのだけど、以前からずっと行きたかった伏見稲荷や上賀茂神社へ行くというので、早速申し込んだのだ。
朝早く、五時半ごろ目を覚まして、出発。

まずは、伏見稲荷へ――。
    
          
あまりに有名な千本鳥居。実を言うと、この神社はアクセスが不便で、狭苦しい参道を通ってたどり着くのだけど、両側には屋台が並び、ブームを反映してたくさんの観光客がごったがえす有様(欧米人客の姿も、多く見られた)。 千本鳥居の中も、多くの人が行き交っていて、神秘的ムードは損なわれてるかも。

しかし、件のお稲荷さんこと狐のシンボルはあちこちに見られ、とても可愛い!のであります。
   
  何か、くわえてこちらを睥睨している稲荷さんの姿。
        
稲穂を口にくわえている姿も…。
  
朱色の箱に安置されている姿も、いかにも神像という威厳にみちている。

 そして、こちらは平安神宮。来るのは、六~七年ぶりかな。 京都でも指折りの文教ゾーンである岡崎周辺にあるので、近くには美術館、動物園などもあり散策に楽しめるスポット。やはり、境内は広大で、建物に使われている朱色は、日本独特の美しい色。

  
 この奥ゆかしい佇まいは、梨木神社。 小さな神社なのだが、その分、観光荒れしていなくて、気品に満ちた雰囲気が、心に残るのだ。好きな作家の梨木香歩も、多分、この神社からペンネームを取ったのではないか、と深読みする私。
境内には、葉がハートの形をしていることから「愛の木」と呼ばれる木があり、恋愛成就のシンボルともなっているというけれど、何だか、ロマンチックな風情のないひねこびた木でありました。

 
 そして、こちらが最後に行った護王神社。今まで知らなかったのだが、「足腰の守護神」ともいえる神社であるらしく、足や腰に悩みを抱える高齢者や、スポーツ選手が熱心にお参るすることで知られているのだとか……。でも、その足が良くなるという伝説に出てくるイノシシ🐗が、この神社のシンボルなのであります。
だから、こま犬ならぬ、こまイノシシの石像が置かれ、御覧の通り、キュート!
実を言うと、私も亥年の生まれ。こういうと、「いかにもそんな感じ。猪突猛進だもんね」と失礼(?)なことを言われるのですが、その分、この神社には親愛の情がわくのも事実。
亥年生まれの人には、守護神ともなる神社であるらしい(ホント?)

神社めぐり――予想以上に楽しかった! 今、御朱印帳がスゴクはやっているらしいのでありますが、この日、私もはじめて、お札を貼りましたでせう。 神社名が書かれた達筆の毛筆、朱色の印の鮮やかさ……これぞ、日本の美! パラパラ、御朱印帳をめくってみるのも、楽しいよ。

白川郷、五箇山、永平寺を訪ねて

2017-02-14 21:16:57 | 旅のこと
大寒波が襲来して、雪の吹き荒れる北陸へ、1泊2日で旅行してきた。
ツアーに一人参加で行ったのだけれど、スゴーク寒かった 
   
金沢あたりから、こんな感じ。生まれてから一度も、スキー旅行なんてしたことなかったから、雪国の冬景色は、とってもインパクトあり
白川郷へ降り立った時も、今まで一度は訪れたいと思っていたのに、あまりの寒さ、積雪の凄さにビビり、そっと歩かないと道もするする滑るわ、で身の危険を感じてしまった。
   
                  
これが、五箇山のライトアップ。これは現地に行って実感したことだけれど、白川郷はまだ少しは大きい村落としても、五箇山にいたっては数戸あまりの合掌造りの家々が残るだけの、本当に小さな村。 ここから雪道をしばらく歩いてたどり着けるようになっている菅沼という合掌造りの村落もあって、そこものぞいてみたのだけど、ここも似たようなもの。

今だから、これだけしか家が残っていないのか、それともずっと昔からこんな小さな限定された村落だったのか……さぞ、厳しい生活だっただろうなあ……。

あまりの凍てつく寒さに、好き好んでこんなところへ来たことを後悔してしまったくらいなのだが、やっぱり行ってよかったと旅を終えた後は思う。行ってみたい、見てみたいと思う場所へは旅するべきである。
       
 そして、こちらは福井県の名だたる禅寺、永平寺。 雪景色の中に屹立する伽藍の様子は、荘厳なほど!    中も拝観できるようになっているのだが、明治時代の学校を思わせる木造の廊下や階段がどこまでも続き、堂々たる偉容。 この磨き抜かれた階段なども、毎朝雲水さんたちが、磨き続けてきたのだろう。
苔むした感さえある木製の額には、雄渾な文字が描かれ、廊下の窓もそこから見える雪景色も何もかもが素晴らしい。
今まで、あちこちの寺院を訪れたことがあるけれど、永平寺くらいすてきな寺はなかったように思う(以前、叔母に連れていってもらった京都の浄瑠璃寺も好きだけれど)。

    
 永平寺前の交番も、こんな木造の可愛らしい建物。屋根にはすっぽりと雪がつもり、正面には赤い丸い門燈があるのがいいね、 何だか、昔話に出てくる感じです。

大塚国際美術館

2016-12-15 06:39:46 | 旅のこと
日帰りのバスツアーで、「ウェスティンホテル淡路でのランチビュッフェと大塚国際美術館」というものに、行ってきた。

どちらも、徳島県にあるのだけれど、鳴門の渦潮を子供の頃、観に行った時以来じゃないかな?
だから、楽しみにしていた訳。まず、ウェスティンホテルに着いて、ランチ。

      
やっぱり、とても綺麗なホテル。ここには、奇跡の星の植物園といった名前の施設もあって、「行ってみたいなあ」とずっと思っていたのだけれど、残念ながら今回のツアーでは、食事のみ。

そして、いよいよ大塚国際美術館。日本一入館料が高い美術館として知られるというのは、初めて知ったのだが、それよりもここは世界のあらゆる名画を「陶板」で複製したというのが、有名。
まがいものばかり集めて、どうするんだろう? と以前は胡散臭く思っていた私。
でも…でも、実際に見てみると、スゴ~イ迫力だったのだ!

古代から現代へと膨大な美術品のリメイク(?)コレクションがずらりと並ぶのだが、はじめに登場するのはあの「システィーナ礼拝堂」。
   

   こんな感じ。スケールの大きな空間が、そのまま再現されている。
 中央に、立ちはだかる筋肉隆々のキリストを見ていると、何年も何年も前、ローマで実物を見た時のことを思い出してしまった。
5月のイタリアの空は、ズコーンと青く、バチカンの入り口には、欧米人や東洋人、アフリカ系の人々などさまざまな肌の色の人が、長い長い列を作っていて、自分がコスモポリタンになってしまったような感じさえしたもの。
そして――人々に押すな押されるな、という雑踏の中で見た「最後の審判」は、天井を見上げていた首が痛くなったことと、色彩の青の印象が鮮やかに残っているにすぎなかったのだった。
ここでは、じっくり見ることができる。

 
     
外にも、教会などの壁画をそのまま再現したものが、いくつもあって見ごたえあり。
もちろん、すべて陶板で作ってあるのだから、本物だけがもたらす「感動」はない。しかし、こんなスケールの大きなレプリカを見せてもらうと、不思議な居心地の良さと満足感を感じてしまうのだ。
 
そして、この血のような赤。
   
イタリアのボンペイ遺跡から発見されたという「秘儀荘」を再現したものであります。
昔、ボンペイの遺跡を歩いた時のことは印象に残っているのだけれど、ここは当時公開されていなかったのじゃないかな?
とても魅力的な壁画。 ヴェスビオ火山が爆発するまで、ボンペイの人々は、こうした高い文明と豪奢な生活を楽しんでいたのだろうな。

    
私の好きな中世美術の部屋もあって、しみじみと作品を味わうことに。

まだまだコレクションはあるのだけれど、最初の階にあった古代・中世の空間があまりに魅力的で、滞在時間の間じゅう、ズ~ッとここにいた私。

大塚国際美術館って、楽しいですね。 ディズニーランドのような美術館! 
      

高原の休日2

2016-06-08 22:33:07 | 旅のこと
軽井沢から、群馬を通って那須へ。
その途中、足利フラワーパークへ寄りました。あんまり、期待していなかったけど、意外やすごくスケールの大きな花公園!

              これ、モネ邸のスイレン池の橋を思わせそうですが、この橋の上を覆っていあるのは藤棚。 ここは、藤の花で有名だそうで、園内にはあちらこちらに、大きな藤棚があるのですが、残念、開花はすでに終わってる。
でも、やはり綺麗ですね。こんな風に池に浮かんだ水連も、小さな丸い円にまとめてあったりして…。
    
  大きな薔薇園もあり、(薔薇が好きというのは、あまりにもフツー過ぎて抵抗があるのですが)、その中には、こんな風に外側の縁取りだけ赤いという麗しき薔薇も(品種名、確認するの忘れました)。

 そして、やってきた那須。ここへ来るのは、初めてであります。宿泊するのは、あの「二期倶楽部」。
これは、フロントの玄関のところに生けられていた花ですが、とってもトレ・ボー。 
      
 別のところでは、まるでサラダボウルのようにグリーンの植物がレイアウトされて、これもステキ。 


               
二期倶楽部は、那須の深い森の中、ヴィラ形式で、部屋部屋が並びます。 部屋といっても、まるでコンパクトな小さな家のよう! 上品でシンプルなメープルの色調の木製の家具、窓から見える緑の木々と流れる霧――ひそやかな時間を感じさせます。 そして、食事がとてもおいしかったのです。  

夕食に出された和食はモダンな懐石(多分。懐石料理って、食べた事ないので)調で、皿と料理の色どり、味覚がすべて、美感に訴えてくるような感じ。梅山豚(メイ・シャントン)とういう豚肉のお料理が忘れられない美味しさ。う~ん、写真に撮っておきたかったのですが、あいにくカメラをレストランに持っていくのを忘れてしましました。
この頃になると、滞在を楽しんでリラックス。

到着した当初は、あまりに森が深く、森閑としていて、部屋に置かれた、「二期倶楽部」編集の冊子も意識が高く、落ちつかない気分だったのだけど(ここでは、「三つの椅子」や「山のシューレ」といった冊子が出されていて、学者や文化人が、思想を語り合うという高尚な趣。この高級リゾートには、確固たるポリシーや思想があるようです)。
 ここでは、毎年夏、数日間だけ、「山のシューレ」(ドイツ語で学校という意味)というものが開かれていて、色々なワークショップも催されているらしいのですが、この前あったという、「粘土板を自分で作って、五千年前作られたヒエログリフと並ぶ最古の文字、楔形文字を彫る」ワークショップ。面白そうだなあ。

    

楽しみにしていた、翌朝の朝ごはん――洋食のブッフェだったのですが、あまりのレイアウトの美しさ・美味しさに感動。
  食って、幸せっていうことなんだ。



         
 「那須ステンドグラス美術館」も素晴らしい! 観光地によくありがちの、はりぼての建物などではなく、イギリスはコッツウッォルズ地方の蜂蜜色の石として知られるライムストーンで建てられた本格派。 


入り口の鉄製の門も照明もすべて、英国から運ばれたもの。館内を彩るステンドグラスは、中世のものではありませんが、19世紀末から、20世紀初めにかけてつくられた美しく繊細な芸術品! マナーハウスを思わせる、アンティークの重厚な家具やファブリックのソファ――ライムストーンの壁には、輝くばかりのステンドグラスが。

う~ん、まるで日本じゃないみたい。こういうところ(だけ)趣味を同じくする母と私は、「幸せだなあ」とため息。展示するのが、味気ない空間でなく、マナーハウスの小部屋を思わせるような美しい部屋に分かれているのも、良かった。

雨こそ降らなかったものの、曇りで霧が漂っていた那須。ステンドグラス美術館の建物も霧に包まれ、ロマンチックな雰囲気満点でありました。


そして、帰宅すると夏椿の花が咲いていました。まるで、私たちの帰りを待っていてくれたみたいに

高原の休日 1

2016-06-08 22:07:34 | 旅のこと
那須と軽井沢へ二泊三日の旅行へ行ってきました。
観光列車「ろくもん」に乗るため、新大阪から幾度も列車を乗り換えて、長~い時間かけて軽井沢へ行くという変則的スケジュール。

でも、でも、「ろくもん」良かったです!
    
水戸岡鋭治デザインの車体は、戦国大名真田家をイメージした赤色。 同じく真田家の家紋である六文銭やつばくろの意匠があちこちに生かされ、綺麗。

      
列車内は、二人がけのテーブルと椅子が並ぶ小さな個室状になっていて、そこで時間をかけながらお料理も楽しめる、という趣向。でも、駅弁の豪華版くらいかな?と思っていたら、さにあらず。きちんとした料亭のお料理が運ばれてくるのでありました。 美味!  最後には、車内で点てられたお薄とお菓子(黒糖風味の水ようかんでした)まで席に運ばれてくるという凝りよう。

沿道の駅にとまるたび、少し長めに停車して、地元名産の食べものを買うことができたり、ホームには戦国の鎧をかぶった駅員の方がいるなど、「盛り上げ」ムード満点。
そして、列車がホームを滑り出すたび、手を振ってくれる地元の人々……う~ん、観光列車といっても、こんな風に有名デザイナーに依頼したり、地元で盛り立ててゆくって、素晴らしいなあ。プロジェクトって、やはり大切。


                           
ようやく着いた軽井沢。その手前から、風向明媚な高原の風景や洒落た洋館などが、車窓の向こうに広がり、以前、やはり列車でやってきた時の思い出が広がり、わくわく。

しか~し、であります。泊まるホテルは、駅から大分離れたところにぽつんとあるもの。到着したのが、まだ4時半ごろだったので、旧軽井沢の方へ散歩に出たいと思い、タクシー代をフロントで聞くと、た、高い! あきらめて、ホテルで過ごすこととなりました。くっ、ここまで来て、もったいないもんだ。


 正直言って、レストランの大きなガラス張りの窓から見える浅間山の眺望が素晴らしいだけの、料理もさっぱり美味しくないホテルでありました。母と、以前やってきた軽井沢の思い出を語らいあっていると、ストンと眠気が……。
高原の夜は深いような気がします。

うさぎの島

2016-05-29 19:57:50 | 旅のこと
バス旅行で、大久野島へ行ってきた。

言わずと知れた「うさぎの島」。ここは、もともと第二次大戦中、軍部が毒ガスを製造していたのだが、今は島じゅう、うさぎの楽園になっていて、訪れる人たちを癒している。

こんな可愛いうさぎがいっぱい! 人参やうさぎの餌を差し出すと、人なつっこく寄ってくる。   
         
これは、母が餌を差し出しているのだけど、背高ポーズで、伸びあがるウサギたちのキュートさ……ああ、本当に可愛いなあ。思わず、笑みがこぼれてしまう。

あいにく、雨降りでグレーの空の下、傘を差しながらの上陸となったのだけど、うさぎ達が存在するだけで幸せであります。
この島には、国民休暇村もあり、キャンプ場も整っているなど、レジャーの地になっているのだが、こんな天敵のいない場所にいて、平和そのもののうさぎ。

       こんな巣穴が、斜面のあちこちにあり、中から子ウサギが可愛らしい顔をのぞかせたりも。 
疲れると、こんな風に、地面に掘った(?)浅い穴に体を沈めて、リラックス。 中には、足を投げ出して、休んでいるうさぎの姿も。


島内には、一体何匹のうさぎがいるのでせう?  これからも、うさぎたちがずっと幸せに暮らせますように。


P.S うさぎは、繊細な動物なので、抱き上げたりしないで、とのこと。骨が折れる恐れがあるのだそうです。
    そして、与える食べ物は、ニンジンか「うさぎのえさ」のみ。パンやお菓子、人間の食べものなどをやると、あっという間に体調を崩してしまいます。

おまけ:
行きがけに乗った電車、マリンビュー号の車内に飾ってあった壁かけ。 真ん中がガラス張りになっていて、中にはショーケースのように、⚓や舵輪の小物が置かれています。こういうマリン調のもの、ステキだな。
     

やってきたよ北海道

2016-04-04 19:31:24 | 旅のこと
母と北海道旅行へ行ってきました。
ちょうど、桜が開花したというニュースが流れ、春の空気が一気に押し寄せてきた時。

でも、旅先は北の大地、北海道――寒いだろうなあ、と覚悟しながら行ってきたのですが、意外に過ごしやすかったのであります。

まず、これ。
函館の夜景ですね。ロープウェイで登った展望台から見る夜景は、本当、黒いビロード地の上の宝石のように綺麗!

以前、見た時もやはり綺麗だったけど……と、記憶をたどりながら、それが20年近くも前であることに愕然。当時、25歳で時は5月でした。一緒に旅した友人と、初夏とは思えないほど寒いことに震えあがりながら、デパートでそろいのジャンパーを買ったことや、展望台のそばに宝塚音楽学校の制服を着た女の子たちがいた(修学旅行だったのかな?)ことまで鮮明に覚えているのに、そんなに年月が経っていたとは…。

旅に出ると、何だか面白いシーンに出くわして、それが長く記憶に残ったりするものですが、これもそんな一つになりそう。

函館朝市そばの「かもめ」というラーメン屋(食堂だったかな?)の前を散歩しているらしきカモメ。 カモメがそこらじゅうにいるという訳ではなく、見たのももう一羽だけだったのに、なぜ、ここに?

このお店の看板鳥? 可愛い姿に笑みが浮かびました。 函館という街は、神戸や横浜にはない、こじんまりした品の良さが感じられて好きです。街路や建物を見ても、北へ来た、という独特の空気感があり、どこかロシアを思いおこさせます(ユージンサハリスクの町の風景に似ている、とも聞いたことがあります)。

北海道へ来るのは、これで3度目ですが、来るたびに、ドライブウェイの爽快さと雄大な大地に感激します。ザ・ウィンザーホテル洞爺へ向かう道の両側も、白い残雪があたりいったいに残り、広大な土地や自然が素晴らしい! 日常のこせこせした狭さなんて、どこかに飛んでいきそう。

この旅行に来たかったのも、このホテルに泊まりたいがため。そしてやってきた現実のホテルは、期待にたがわぬ素晴らしいものでした。 ロビーやエレベーターホールにしつらえられた花のアレンジメントやら、調度品もみな気が利いていて…。


廊下の隅に置いてあった、赤と緑のグラスやアンテイィークの壺を並べたガラス棚。 ガラスが照明に照らされて、キラキラ輝いています。
湖を見下ろす山のてっぺんにポツンとたつ、ホテルの建物。「ザ・ウィンザーホテル洞爺」は、人里離れた、隔絶した場所にあるとは思えないほど居心地の良さと高級感を漂わせるホテルでした。 遠路はるばる、だけど、やっぱり来てよかった。

前回、北海道へ来たときも目がとまったのだけど、こちらの人の住居には、玄関の戸の外側にガラスの空間があって、そこに出入り口の扉があるというのが多いですね。
何だか、小さなサンルームが外についているようで、面白い! もちろん、これも冬の寒さが厳しいためで、外の寒い空気を家の中にまで運び込まない工夫なのでしょうけれど。

今度は、十勝や釧路へ行ってみたいな