虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

『プロウ゛ォカティブ・シンキング 面白がる思考』  4

2011-02-07 09:57:36 | はじめに
今の時代の空気や消費、ビジネスセンスといったものへの感性と言えば、
ファンシーショップをしていた時期は、
私も自分の女性的な直感的な勘をフルに使って仕事をしてはいました。
そして、それがまあまあ良いところを突いて当たってもいました。

でも、平成生まれの娘や息子と話をしていると、
そういう私の直感なんかとは根本的に異なる
『今の時代』が血となり肉となっているような感じ方や考え方とぶつかって
面食らうことが多々あるのです。

それは娘の場合でしたら、ひとつには
自分たちの世代の持つ『もろさ』や『コンプレックス』を十分承知していて、
それが消費活動に投影されていることもよくわかっていて、
次には何が売れるのか、何が流行するのかよくわかっている感性といったらいいようなものです。

「クラスで10番目に可愛い子」を集めたというAKB48のコンセプトが、
「完璧を求めて背伸びするのはしんどいし、あるがままの自分を認めてほしい、
だけど注目されて成功したい」という自分たちの潜在的なニーズとつながりあっていることが、
流行る前からわかっている感性とでも言ったらよいでしょうか。

もうひとつは、ブランド物に子どもの頃から触れていたゆえか、
ビジュアル世界の進化の中で育ってきたゆえか、
『クオリティーの高さ』というのはどういうものか、世界中のデザインに好奇心を広げつつ、その質が何ゆえにいいのか感覚的にわかっている感性。

また別に、常に欲望をそそるコマーシャルを雨のように浴びて育ってきているだけに、
何が人の購買意欲をそそるのか、単なるキャッチコピーのようなものを超えて
よくわかっているところがあるのです。

息子の場合、
多すぎる情報の中で、優れた消費者になるよりゼロから作り出す生産者なることの方に魅力を感じていました。

一方で、さまざまな情報を自分の手足のように使っていくところが平成生まれの子だなぁとしみじみ感じます。

写真は、小3のとき、息子のもとに明糖製菓から届いたお菓子の詰め合わせに入っていた手紙です。

ちょうどその頃、私が公募にはまっていて、
私は文章で、娘は地域のビジネスアイデアコンテストのようなもので
賞をいただいていたときでした。

他人のしていることに乗っかるのが嫌いな息子は無関心を装っていました。
が、ある日、自分が食べているお菓子のパッケージをまじまじと見つめて、
「お母さん、ここに書いてある住所は、お菓子を作っている会社のものだよね。お客さま相談室って、お菓子を食べた人が感想を送ってもいいんだよね」と言うなり、自分が考えた『ぷくぷくたい』の新しい食べ方や活用法をへたくそな字ではがきに綴って、その住所に送っていたのです。

「よくそんなこと思いつくな。でも、そんなの読んでもらえるのかな?」とそのときは誰も気にもとめていなかったのですが、
とても親切なお客さま相談室の手に届いたらしく、
後日、息子のもとに、
小ぶりな段ボールいっぱいのお菓子の詰め合わせと、
ていねいな手紙が届いたのです。

そんな風にさまざまな情報をごく身近に感じて育った息子。

先日もこんなことを言っていました。
「今は簡単に音楽をダウンロードできるけれど、一方で、CDやレコードを一枚一枚購入していた時代の、自分個人の物を買ったというリアルな実感が価値を持ってきているように思うよ。
CDについている歌詞カードなんて、作るのにかかる費用なんてしれたもんなのに、そんなもの1枚がヤフーなんかでCDが売買される際には、大きな金額の差を生んでいる。

いろんな情報をシェアする時代だからこそ、自分のもの、自分のために買ったものという証明のようなものがほしくもあるんだ。
なぜ、多くの人々がキャラクターを愛するのかといったことも、その根底にある意味をつきとめていったら、求められているものが見えてくると思うよ。

たとえば、ホームページビルダーなどのアプリケーションを、みんな道具として捉えていて、そこに自分の物を買ったという満足感を見出しにくいよね。

でも、そこに一昔前の人々がCDやレコードを買ったときに感じたような付加価値を付け加えると、またちがったものになってくると思うんだ。
たとえば、ホームページを作るアプリケーションなんかを、個人の好みや趣味に強く訴えるもので、選べて、組み合わせが楽しめるようなものにするとかさ。
もうすでに、そんなことを考えている人はけっこういるのかもしれないけど、そういうものを、単にこれまでの模倣ですればうまくいくわけじゃないよ。
まったくこれまでにない新しさと気づかれていなかったけど大事な古さが両方必要なんだ。」



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