虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

小2の男の子たちのグループで  お金を分別するための試行錯誤

2018-12-10 21:53:37 | 子どもたちの発見

小学2年生の男の子たちのグループレッスンでの一コマです。

今回、AくんとBくんが、財布を持ってきていて、友達に小銭の年代を見せていました。

(年代によってレアな硬貨というのがあるそうです)

そこで、教室にある硬貨を分別できる貯金箱とそれで試すための

100円、50円、10円、5円、1円を出してあげると、

AくんとBくんが「こんな貯金箱作りたい」と言いました。

この硬貨を分別できる貯金箱に興味を持つ子は何人かいて、

この貯金箱の屋根部分の穴を写し取って、割りばしを硬貨が滑る傾斜にして

これを作った子らがいました。

そうしたそのまんま真似する方法でも、いざ作るとなると、屋根の傾きがちがっても、

滑る部分の摩擦の力が違っても、思い通りの結果は得られず、試行錯誤しながら作ることになりました。

今回、Bくんはそうしてそのまんま硬貨の穴や位置を紙に写しとる形で貯金箱を作ることにしました。

 

でも、しばらく考え込んでいたAくんは、「自分流に作ってもいい?」と

ききました。

「もちろんよ。自分流ってどんな風に作りたいの?」

「この貯金箱だと、同じ穴に落ちる硬貨が

いくつかあるんだ。1円と50円とか。

穴を5つにして、100円、50円、10円、5円、1円の全部が別々の

穴に落ちる貯金箱を作りたい。

穴の横幅をもう少し狭くしたら、穴がもっとあけられると思う」と言いました。

「そうね。5つ分かれる貯金箱っていいアイデアね。

でも、横幅を狭くして、お金のサイズと同じくらいの穴にすると、

落ちずにそのまますべっていくことにならないかな?」

 

「ああ、ビー玉コースターとかそうなるな。じゃあ、屋根をもう少し横長にするよ。

先生、紙とものさし貸して!お金の大きさを測っていくから」

そこで、Aくんに細かい格子状になっていて、乗せると円の直径が測りやすい

ものさしを貸してあげると、それは熱心に調べていました。

その後、たった2ミリの差でも分別できたりできなかったりするのかどうか、元の

貯金箱の穴の上部から1.5ミリほどのところにマスキングテープを貼って、

お金を滑らして実験していました。

「やった!うまくいった!成功!」とAくん。

他の子らも興味深そうにAくんの実験を見に集まっていました。

 

ところが、少しするとAくんが真剣な顔で、「2ミリちがうお金は分けることができたけど、

1円と50円の大きさがほとんどいっしょだから、大きさで分けるのは無理みたいだ」といいました。

それからふたつを重ねてじっと見つめたり、別々に持って見比べたりしてから、

「どうやったら、これを分けることができるかな?」と考えていました。

 

 

するとAくんの考えている謎に興味を持ったCくんが、「こっちは重くて、こっちは軽いから、

シーソーで重い方が落ちるようにしたら?」と言いました。

「中にシーソーをつけるんだね。でもそれだと落ちない方がシーソーの上に乗ったままにならないかな?」

とAくんは考え込んでいました。

 

そこで、摩擦力の違いによる滑り方の勢いで、

放射線状に落ちる位置に違いが出るんじゃないかというアイデアが出ました。

太いものさしで実験中。傾きを変えています。

 

それから内部に回転する部分があるしかけを作って分けられないか

という案も試しました。

読書家で物知りのAくんは、「50円は10円と同じように銅がたくさん入っているけど、
1円はアルミニウムでできているから、それで分けられないかな?」と考えていました。

最終的にAくんは、教室のらせん状のビー玉コースターを見て、

中にこれみたいにらせんになっている滑り台を作って、

滑っていくのと穴から落ちるのとが出るようにしたらどうかな?」

と摩擦について実験した案を発展させて、

ちょっと大人には出てこないアイデアを出していました。


↓らせんのコースターです。

玉をたくさん作ってゲームを作っていたCくん。

玉は色ごとに得点を変え、基本の玉に対して、2倍、5倍、10倍など点が

取れるようにしたいそうです。

この日、創作で大いに盛り上がったため、独特の興奮状態にあった子どもたちは、

最レベ2年の難しい問題にチャレンジした後で、

「小3の子たちが悩んでみんな解けていなかった問題があるけど

3人で解いてみる?」とたずねると、「1人で解きたい!」

「自分で解きたい」「自分で」と3人とも

進んでチャレンジを申し出たのには驚きました。

遊びや創作の世界での成功は勉強意欲にもつながります。


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