虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

教育する上での危機管理能力 と 予見する力 1

2016-02-24 08:46:39 | 算数

こんなコメントをいただきました。

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「学力が気がかりな子~」の中で、

指導者が適切な課題設定、

そしてそれが、いつまでにできるかという予測ができること。

このような、教えのプロを通学できる範囲で探すのに、

膨大な時間がかかりました。(自分が教えられないため。)

塾の先生ではなく、お医者さまに通っている感覚になりました。

予見する力は、最近の災害等の、危機管理能力など、あらゆる分野に必要でそれは、

教育界でも同じなのですね。

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コメントの「危機管理能力」と「予見する力」というのは、

発達に気がかりがある子を育てる上で、

身近にいる大人が急所を押さえて、配慮しておかなければならない点だと思っています。

またごく一般的な子であっても、楽しいことが好きで、周囲の雰囲気に同調して

何事も表面的に理解しているだけのように見える子や、

自分の心の中の言葉や自分の意志のようなものを持っていないかのように見える子には、

同様の注意が必要だと感じています。


私立小学校に通っている、ある時期までは他の子より発達が良く、

知能の面でも社会性の面でも問題がないように見える子でも、

3年生くらいになると一定の比率で極端な成績不振に陥る子たちがいると聞きます。

私が先々の学習でのつまずきを予防するために注意している点を紹介しますね。


↓のような場合、ちょっと気がかりなので、一対一でていねいに対応する時間を増やし、

子どもに合った課題を設定して、ひとつひとつ克服していくことが大切だと思います。


<3~4歳>

● 極端に不器用。

● 身体の使う大きな動きがぎこちなかったり、常にフニャフニャしている。

● 声をかけても聞こえていないような行動を取ることが多い。

● 指を折って、1~5くらいまでの数を表すことができない。

● 「○○を取ってきてといった指示を実行する最中に、他のことをしはじめたり、

頼まれたことがわかっていないように見えることが多い。

● 簡単な物の名前が言えない。

● 絵本を読んでもらうのを嫌がる。

<4~5歳>

● 「これをしよう」と決めて、ひとつのことに集中することがほとんどない。 

● 極端に不器用で、ななめの線が描けない、人物画の出来が幼すぎるように見えるなど、

気になる点が多い。水を移し替えるとき、必ずこぼす。

● 数を数えるとき、5までの数を物を指しながら数えることができない。

● 折り紙を折るのを嫌がる。

● ルールを理解してするゲームがほとんどできない。じゃんけんができるようにならない。

● 語彙力の弱さを感じる。

● 絵本の絵を見て、ストーリーについて質問すると、でたらめな答えが返ってくる。

● 想像力を使うごっこ遊びなどの仕方が幼い。

● 一方的に自分の主張を繰り返して、相手の話を聞かない。

● 4つのおもちゃをテーブルに置いて、記憶させておいて、

ひとつ隠して、何がなくなったかたずねると、テーブルの上にあるものを答えるなど、

「あれっ?」と思うほど見えないものへの推理力が弱い。

<5~6歳>

● 質問に対して、返ってくる答えが、何だかずれていると思われる場合が多い。

● 絵を極端に描きたがらない。

● 身体の使い方、道具の使い方が、不器用すぎる。

● 好奇心が薄く、しらけた態度を取ることが多い。

● よく疲れて寝転がっている。

● 物を分ける作業などのお手伝いをさせると、指示を理解していないように見える 

● 間違いさがしが、3つ以上できない。 

● できないとすぐに投げ出す。

● 幼児向けの知能ワークや小学校受験問題などを、やりたがらないか、

でたらめな解答が目立つ。

● 積み木を6つほど積んで数をたずねると、見えているところだけ数えて答える。

● 原因と結果の推測が年齢にしては幼すぎる気がする。

● 動物の顔と尻尾を選んだり、果物を切った図を選んだりする問題で、

「えっ?」と思う答えを選び、ごろの観察力に気がかりなものを感じる。

● 気持ちを切り替えるのが苦手。新しいことを始めるときは必ずぐずぐず言う。

やっていることを終わらせるときには、たびたびトラブルになる。

● 他の子の位置から物がどのように見えると思うかたずねると(できれば絵で選ばせる)

自分から見えているものと同じものを選ぶ。

<6~7歳>

● 二つ指示を聞くと、一つしか実行できない。

● 身体の使い方、道具の使い方が、不器用すぎる。

● 言葉の理解に、間違いが多い。

● 人の話を集中して聞けない。

● 「読むと同時に理解する」ということができていないように見える。

● 問題を解いていて、わからなくなったとき、

確認するために問題を見直すことができなくて、すぐ大人に頼る。

● ため息をついてしらけた態度を取る。よく寝転がる。

● 考えていく持久力が極端に短い気がする。

● 字を読むとき、よく読み飛ばす。

● 責任感や向上心が年齢より幼い気がする。(何でも「ママが……」と言うなど)

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幼稚園では問題なく過ごせている、

学校での勉強はきちんとついていっている(計算や漢字は先取りもできている)

という場合でも、上のような気になる点があるときは、

先の困難を予防するためにていねいに対応していく必要があると思います。

できないところや弱い点を見つけたから、訓練させて克服するという発想よりも、

問題点をできるだけ正確に把握した上で、子どもの長所や得意なところを見つけて、

それを突破口にして全体の能力を引き上げることで、

弱点もいっしょに底上げしていくような発想が必要だと感じています。

弱い面は簡単に修正できるようなものではないのです。

長いスパンで子どもを支援する姿勢が大切だと思います。

注意が必要なのは、学校の成績などを、子どもの能力の指針にして、

極端に弱い面を「ないもの」のように扱って、無視してしまうことです。

学校で、一ケタの足し算で、同じ点を取ってきたふたりの子がいたとしても、

ひとりの子は「120円の買い物をするのに、100円と10円2枚を出してもいいし、

100円と50円を出したり、200円を出しておつりをもらうのでもいい」と

わかっている子で、もうひとりは、「120円って、100円と10円2枚のこと。

それ以外に買い物することなんかできない」と思い込むタイプの子だった場合、

同じ能力だと判断してしまうには問題がありますよね。

親は、日常の一コマで、子どもの能力を把握して、子どもに必要な働きかけに

気づけるようになる感性を少しずつ磨くといいかもしれません。


次回に続きます。


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