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虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

「自分の中心」「自分自身の土台」作りを目指して

2017-02-24 14:31:03 | それぞれの子の個性と才能に寄りそう

過去記事です。

いつも寄らせていただいている『マイコー雑記』というブログで

『一対一で過ごす時、より根本的な調整』というタイトルの記事を

読みました。

 

思春期の娘さんと「ふたりきり」の買い物。

一対一で過ごす中で、少しきしむことのあった歯車が、

潤滑油を足されたようにスムーズに回りだした、という話が綴られていました。

忙しい日々の中で、子どもへの対応が対処的なものだけに傾きがちなのは、

子どもの年齢を問わず、どの家庭も同じなのでしょう。

 

ただ、そちらのブログにあった、

<二人だけの時を楽しみ、普段なかなか出来ない話をする時というのは、

より「根本を調整」してくれる。

そしてこうした一対一の時とは、幼い子でも、ティーンであっても、

 パワフルに有効なのだなと、しみじみ感じている。>

 という気づきを得るのは、誰でもできることでは

ないのかもしれません。


実は、昨日、ユースホステルでのレッスンから帰ってきて、

その余韻を味わいながら、

先のブログで目にした「根本を調整」してくれる、という言葉について

ずっと思いをめぐらせていました。

 

ユースでは、子どもたちとは、昼も夜も翌朝も、遊んで遊んで、食べて、おしゃべりして、

作って、勉強して、あれこれ思いめぐらして、計画して、また遊んで、ごたごたして、おしゃべりして……を

エンドレスに繰り返しています。

そうして密に長い時間いっしょに過ごし、合間合間に、子どもと一対一で関わると、

子どもとの関係や大人も子どもも内面の風景が非常に深い部分で変容していくのを感じます。

ひとりひとりの子の個性と付き合っていくことについて、時間の許す限り、親御さんと言葉を交わすことも

そうした変容を支えているのかもしれません。

まさに「根本を調整」してくれるという言葉が、しっくりくる感じです。

 

今回のユースホステルには、まだ虹色教室に通うようになって日が浅い

小1のAちゃんが参加していました。

Aちゃんは社交的で積極的で友だちが多い一方、ひとりで活動するのも好きな

外向的でも内向的でもある凛とした女の子です。

Aちゃんのお母さんはAちゃんを頭の回転が速い魅力的な子だと思っているものの、

「あまり考えずに行動することが多いのでは?」「考えるのを面倒がることも……」と

気にかけていました。

 

Aちゃんは物作りが好きで、教室での活動はいつも工作を選びます。

作るものに工夫を凝らすよりも、さまざまな素材を試し、その素材について

他の子らや大人に使い方を説明することに最も熱心です。

 ユースホステルでも、Aちゃんは珍しいタイプのビーズ手芸や

パステルでの重ね塗りの仕方を他の子や大人たちに紹介していました。

いの一番に目新しい素材の使い方をマスターし教えているとはいえ、その後は、

それらを使って何か自分の作りたいものを作る……という発展はなく、

素材で遊んでみる、素材を使ってみるというレベルから、すぐに次の新しい素材を使うことに

気持ちが移るようでもありました。

勉強においても同様で、覚えもよく物分かりもいいし、学校で習ったことを他の子らに説明するのは

好きだけれど、応用問題となると、たちまち興味が失せるようでした。

 

わたしはAちゃんを「あまり考えようとしない子」という目で眺めるのは、

時期尚早だと考えています。(まぁ、もっと先になっても、そうしたレッテル貼りに意味があるとは思えませんが……。)

それよりも、Aちゃんの旺盛な好奇心と創造的な遊びが好きなところ、他人に説明するのが好きなところ、

素材に興味があって精通しているところなどの長所をどんどん支援して、

それがもっともっと豊かに膨らんだ頃に、

「じっくり考える」という態度が追いついて育ってきたら

どんなに素敵だろう、などと考えています。

 

教室にはAちゃんと似たタイプの3年生の子がいます。

他の子の真似でやってみたり、ちょっと触りだけやってみるのは好きだけど、

発展させるほどじっくり関わりはせずに、それを紹介することに熱心という子です。

低学年のうちは、少し考え方に固いところやあまり深く考えないところがあったけれど、

3年生になるころには、ゆっくりと考える力が身についてきました。

そうして、いざ、考える力が高まってくると、

それまで他の子らに

説明するのが好きだった時期に鍛えに鍛えた言葉での表現力が、

遊びの場でも学習の場でも、

「何ごとも理路整然と相手がわかるように説明できる能力」として輝きはじめました。


「説明するのが好き」をたくさん実行に移すうち、

少し苦手だった「じっくり考える力」が育ってきて、

「何ごとも理路整然と相手がわかるように説明できる能力」を発揮しはじめた3年生の女の子。

Bちゃんとします。

Bちゃんの成長の道筋は、

子どもの「苦手」や「弱点」にどう関わるべきか、

子どもの「好き」「強み」「得意」「癖」「特徴」「個性」をどう支えたらいいのか、

考えさせてくれます。

 

ユースホステルでの大人向けの勉強会で、Aちゃんのお母さんとのやり取りから、

そんな子どもの得手不得手への対応についての話題に話が流れました。

 

子どもの「好き」に気づくと、すぐさま、それに関連する

習い事に通わせて、「好き」を「子どもの特技」に変えてあげなくてならないと考える方は多いです。

子どもの個性を大切にするということは、その子の才能にいち早く見つけて、

周囲に評価してもらえるレベルまで高めてあげることだと捉えている方も少なくありません。

 

習い事をさせるべきか、させない方がいいか自体は、わたしがとやかく口を挟める話ではないのですが、

「ピアノが好きそうだから、ピアノを上達させてくれると評判の教室に通わせよう」

「絵が好きだから、賞を取っている子が多くいる教室に通わせよう」などと、

安易にそれを伸ばすことだけに走るのには、「ちょっと、待った」を入れています。

 

「好き」や「得意」なことを通して、子どもが開拓していく

その子の資質は、最初に見えていた表面的な「好き」や「得意」の背後に隠れていること

ほとんどだからです。

 

前回の話を蒸し返すようですが、

Bちゃんが最初に「好き」になったのは、

工作でした。「持って帰れるものが作りたい」が口癖で、本に載っている見本通りに、

パパッと作って、他の子やわたしに作り方を教えるのを楽しんでいました。

 

そこでこちらも、工作につきあいながらも、「どんな順序で作ったの?」

「どうして、こっちを先に作ってから、貼り合わせなきゃいけないの?順番を変えたら、まずいことでもあるの?」

「その作品の一番のセールスポイントはどこ?」

「これを作る際の急所というか、最重要ポイントだと思う点をみんなに教えてあげてよ」など、

質問を投げかけて、Bちゃんがどんな質問も真剣に咀嚼して、いきいきと答える姿を見守ってきました。

 

次にBちゃんが夢中になったのは手品です。

教室に着くと、必ずひとつふたつ手品を披露してくれます。

皆が驚くと、さっそく種明かし。手品の演じ方をていねいに説明するBちゃん。

そこで、教室でも手品の道具を作ってみたり、科学手品を教室の遊びの

ひとつに加えたりしました。

 

そうするうちに、勉強では、あまり考えもせずに、「わからない」と言いきったり、

型通り解くものの応用となるとやりたがらなかったBちゃんに、

思考力がついてきました。

と、そのとたん、Bちゃんがレッスン中、一番いきいきとしているのは、

算数中、「なぜ、そのように考えたのか」

「どうやって答えを導きだしたのか」を順序立てて解説していく時となりました。

 

Bちゃんに対して、「工作が好きそうだから、造形教室」「手品が好きそうだから、手品を教えてくれるところはないかと探す」

といった対応では、「最初は喜んで通っていたけれど、しばらくすると飽きて行きたがらなくなった」

という結果に終わっていたかもしれません。

それなら、どのように関わるといいのでしょう。

わたしは、「好き」そうだから、その「上達」だけを目指すのではなく、

それを通して、最初に思っていたのと異なる芽がその土壌から顔を出すのを許すくらいの

余白や遠回りやその子という個を見つめるまなざしが必要だと考えています。

 

また、苦手にしても、「○○という方法」で無理矢理に解決を目指すよりも、

「得意」にスポットライトを当てながら、

その子がくじけずに自分の苦手に向き合えるよう支援し続けることが重要だと感じています。

 

話を前回のAちゃんに戻しますね。

Aちゃんは「お風呂とトイレがついているユースホステルの和室」を作っていました。

Aちゃんは、お風呂の前にぶらさげる「シャワーカーテン」に、ポンポンを作る時に使う

薄いポリひもを使うことを思いつきました。

ポリひもは簡単にひだを作ることができるし、安価ではさみで切りやすく、透き通っていてシャワーカーテンに

これほど適した素材はないことを伝えると、真剣に話を聞いて、顔を輝かせていました。

 

その後、Aちゃんは薄緑の紙をじゃばらに折ったものに切り込みを入れて広げると

竹とそっくりになることを発見しました。

他の子たちが忍者屋敷を作っていたため、これは大好評。

忍者ブームの教室としても画期的な発見です。

竹の完成に気を良くしたAちゃんは、次は他の子らがパンチでハートなどを

抜きとった後の紙ゴミの裏に別の色を貼って、新しいタイプの壁材を作りだしました。

そして、嬉々としてそれら作り方を説明していました。

素材について説明するのが大好きだったAちゃんは、

いつの間にか、新しい素材を作り出して、その作り方や使い方について

懇切ていねいに説明するようになっていました。

気づくと、Aちゃんの作品も、これまでよりずっと工夫を凝らした

面白いものになっていました。

 


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