虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

『9歳の壁』でつまずくか つまずかないか を左右する抽象概念の理解力 6

2018-08-27 10:51:04 | 教育論 読者の方からのQ&A

この話題、タイトルの内容から脱線しながら書いているので

読みづらくて申し訳ないのですが、もう少し続けさせてください。

 

寝食を共にするユースホステルのレッスンでは、

子どもたちが数学的な考え方を扱う場面や

抽象的な言葉と出会う機会がたくさん見られました。

 

夕食中、わたしの前に座っていた3歳のAちゃんが、

「先生とわたしはお向かいだね」と言いました。

Aちゃんの口から「お向かい」という言葉を聞くと思っていなかったわたしが、

聞き間違いかと思って、「Aちゃん、先生とAちゃんは何だと言ったの?」と

たずねると、Aちゃんの隣に座っていた年長の姉のBちゃんが

「お向かいって言ったのよ。先生はAの向かい側に座っているから」と解説しました。

「ああ、そうね。先生とAちゃんはお向かいだわ。

それならAちゃん。Aちゃんの斜め後ろは誰かしら?」と問うと、

くるりと後ろを振り返ったAちゃんは、斜め後ろに座っているDちゃんのお母さんを

見ながら、「わからない」と言いました。

すると、BちゃんとBちゃんの友だちが、「Aちゃんは、Dちゃんの名前を知らないの。

Aちゃんの斜め後ろに座っているのはDちゃんのお母さんでしょ?

ねぇ先生?もしわたしの斜め後ろはっていうなら、別の人だけど」と言いました。

 

この場面、周囲にいた子は興味しんしんで耳を傾けていました。

食事中だったのでやめておきましたが、

こんな算数クイズを出したら面白いだろうな……と思いました。

  

<その人は誰でしょう?クイズ>

その人はAちゃんのとなりではありません。

その人はBちゃんのお向かいに座っていません。

その人はCちゃんの斜め前に座っています。

その人は誰でしょう?

 

食後に、職員の方から、「できる分でかまいませんから、

できるだけ同じ食器ごとに重ねて、返却コーナーに戻してください」と

いうお知らせがありました。

子どもたちに、「同じ食器ごとに重ねるってどういう意味かわかる?」と

たずねると、

「こうやって、おわんはおわんってすることでしょう?」と写真のように

重ね始めました。

 

忘れ物や落し物があった時も、数学的な考え方に触れる機会になります。

わたしの道具入れに混じっていたミッフィーちゃんのペン。

部屋にいた数名の子とお母さんにたずねると、

「わたしの物ではない」ということでした。

 

それなら、誰のペンである可能性があるのでしょう?

まず、部屋にいた人々のものではないことがわかったのですから、

今、部屋ではない場所にいる人の物である可能性がありますよね。

 

そんなふうに子どもたちと探偵のような推理を働かすのは面白いです。

 

こんなクイズにも発展します。

ピンクの消しゴムが落ちていました。

Aちゃん、Bちゃん、Cちゃん、Dちゃん、Eちゃんのいずれかの落し物です。

 

AちゃんとBちゃんは公園で遊んでいます。CちゃんとDちゃんはお部屋にいます。

Eちゃんは台どころにいます。公園に行って、落としものについてたずねたところ、

消しゴムの持ち主はいませんでした。

お部屋に行ってたずねましたが、そこにも消しゴムの持ち主はいませんでした。

消しゴムを落としたのは誰でしょう?

 


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