学びのプラスあるふぁ:日常の気付き

人の人生、それぞれが皆オリジナル。街を歩き人に話しかけることから「なるほど」と納得できる発見がある。

写真家の目

2021-07-13 15:59:58 | 日記
 アメリカはオハイオ州、地図上の北東の端にダブリン(Dublin)という小さい町がある。町の写真愛好家が集まって写真クラブを作っている。5年ほど前に留学時代に世話になった家庭の子供さんの一人、ポール(今ではもう70歳近くになる)の紹介で一緒にミーティングに参加したことがある。真面目にカメラの使い方や写真撮影の技術などを研究しているグループだ。今はZoomで会議をもちいろんな州の人が参加できるようになっているらしい。Zoom会議の様子の録画を送ってきてくれた。写真を芸術的に画家のようなタッチのものに変化させる技術についての講演を録画したものだ。講義している人もまた50数年ぶりに見るポールの弟のデイビット(一線からは退いているものの東海岸ではそれなりに成功している写真家だ)。時代が変わって簡単に昔の友人に会うことができる。懐かしいと感傷に浸りながら講演を聞いていた。
 “「いい写真を撮れなかった」とは被写体に近づけなかったということ (If your pictures are not good enough, you are not close enough. )”とはハンガリー生まれでアメリカの写真家ロバート・キャパの言葉である。「どんなものにも注意を払おう、そしてなんでも写真にとってみよう」とデイビットは言う。アメリカの広大な畑に捨てられたのだろうか錆びたピックアップ・トラックがある。その錆びた車体をデイビットの一眼レフはとらえている。その写真をPC使って明と暗、色合いを少しずつ変化させて抽象画のような写真を完成させる方法を彼は語っていた。
 人間の目以上にカメラは物を見ることができる。今はスマホがある。カメラは精巧な機能を備えていてしかもいつも我々と共にある。いつでもどこでも簡単に“気付き”を写真に記録することができる。よし!僕もちょっと注意してなんでもスマホに収めてみよう。そして引き伸ばして額に入れて・・・などと考えた。写真に限らず、観察からは何かの学びや発見があるものだ。

窮屈からの脱出

2021-07-09 16:29:44 | 日記
 毎朝、1時間程度をかけて読む新聞、コロナや五輪の記事などに加えて気になるのが人生相談や悩みの相談だ。その内容は多種多様、とはいえ最終的には人間関係の悩みが一番多いという所に落ち着くように思う。人生相談を新聞に寄せた人、相談の答えはどの程度生かされたのか、その後が分からない。悩みが解消されて自分を取り戻していたらいいのにと思うことがよくある。歳をとってくると、「あの人は今どうしているだろう」などと昔の知人や友人のことをふと思い出す時がある。それとよく似た感情を投稿者に抱くのだ。
 坂口恭平さんという人がいる。熊本県出身の建築家、作家(面白い個性的著書多数)、アーティストという肩書きで活躍している人である。自分が抱えている躁鬱(そううつ)という病との付き合いの中から彼が気づいたことがある。「我々は他人に動かされている」「いつの間にか気づかないうちに我々は窮屈を無意識のうちに受け入れている」というのが彼の持論である。確かに人生を気を楽に生きてゆく方法はその“窮屈”からの脱出だといえるかもしれない。
 英語の「窮屈」には二語あって、一つはタイト (tight) という単語。靴が窮屈だという時やスケジュールに隙間がないなどの時に使われる。もう一つ、インフレクシブル (inflexible) は“融通が効かない、頑固、曲がらない”などの意味がある。この二つの単語の意味をじっと見つめていると自分を縛っていて窮屈にしているのはひょっとすると自分なのでは、などと考え出すのである。かつて日本人は“他人の目を気にしながら生きている”と言われることがしばしばあった。現代は随分と他人の目を意識せず自分を出せるようになってきた。新聞の相談欄で悩んでいる人はひょっとすると昔風の考えに自分で自分を縛っているのかもしれないと思うことが度々ある。

自転車散歩ポタリング

2021-07-06 17:38:48 | 日記
 自転車散歩とでも呼ぶのだろうか自由にブラリと周辺を自転車で巡ることをポタリングというらしい。のんびり気楽に一人の散歩気分もよし、家族のコミュニケーションにも利用するのもよし、とにかく何かに追い立てられているのではなくゆったり気分で散歩(散車?)というのがいい。石井正則という名のお笑い芸人さんがこれにハマっていると聞いた。名前を聞いてピンとはこないが写真を見るとよくテレビで見る人だ。体が小さいので体力増強も兼ねてこの散歩法を利用して「自転車活用推進研究会」から選出されて自転車名人と呼ばれているという。
 ヨーロッパはオランダの北東部にグローニンゲン(オランダ語)、日本語ではフローニンゲンと呼ばれる町がある。周りは平原というか広々とした平野が広がっている。見渡す限りのこの大平野に一本の自転車道がまっすぐに通っている風景が印象的だ。この街は世界で一番自転車の多い町で知られているという。石井正則さんはこの町の郊外に住むある家族を訪れて彼らと自転車との深い関係をレポートしていた(『世界一番紀行』NHKプレミアム)。
 自然体で生きることを中心にこの家族は子供の自転車通学に付き合って自転車と風との関係を子供に教える。正面から吹き付ける強風に対応して乗る自転車から人生そのものを学んでいる姿のように僕は感じた。日常の小さな幸せである自転車乗りから学ぶことは多い。手信号で車などに自分が進む方向を知らせながら社会の規律、ルール、を学び、強風との闘いやそれに負けて転ぶことから人生そのものを学ぶことができる。子供はそんな日常から徐々に自分の世界を広げているのだ。日本の子供たちが学校帰りの道草で道端の野の草や虫などとの遭遇を通して自分の世界を学んでいくように。スマホからの開放は案外自転車のポタリングが答えかもしれない。

省略言葉「何それ?」

2021-07-02 17:03:42 | 日記
 就職活動中の学生の間で使われる“ガクチカ”という短縮言葉は最近まで意味がわからなかった。「大学生の間に自分が力を入れた活動」という意味の言葉で会社の応募用紙にその彼らがいうガクチカを書く蘭があるらしい。コロナの影響でその欄に書き込めるほどの活動ができなくて学生が困っているという話を聞いた。なるほどそんな所にもコロナの影響が及んでいるのだ。
 ところで、今流行り(?)の省略言葉は年寄り泣かせで「コスパって何ですか?」と聞かれたこともあった。値段の割においしい、といった意味でコスト・パーフォーマンスの略などと説明できればドヤ顔ができる。ところで恥ずかしながら僕の場合はテレビなどで使われる ”バズる”という意味がわからず頭の中でモヤモヤ状態が続いていた頃があった。この言葉、英語の buzz (バズ;鉢のブンブンいう音、人がガヤガヤ言う)から派生してガヤガヤ巷の話題になっているという意味だと知って、やっと納得、モヤモヤから解放された。
 省略言葉ではないけれど短くて少ない言葉で伝達力があるという意味では僕が収集しているプラス思考の英語の格言などがある。そして俳句や川柳はその確たる物だ。明るい、元気な言葉は日常を楽しく幸せにしてくれる。ちなみに僕が好きな短い英語のプラス思考は、Yes, you can!(そうだ、君にはできる;オバマ大統領選挙標語)、あとはBe yourself! (自分らしく)やDeeds, not words! (言葉より行動) などがある。俳句といえば勿論『おくのほそ道』、中でも「閑さや岩にしみ入る蝉の声」が大好きだ。最近は「8時過ぎあと飲めるのは薬だけ」などとコロナで飲酒時間を制限されている老呑み助さんの川柳を見つけてユーモアの楽しさを再認識させられた。