久々にカウンセリングの話題を。
一昨年の夏から秋にかけて、カウンセラー養成の通信教育を受けていたことは、すでに書きました(ティグ・ノタロの「ワン・ミシシッピ」シーズン2など「ないない島通信」2017年の記事)。
この通信教育の会社が時おりセミナーを開催します。
今回は「アンガー・コントロール(怒りのコントロール)」がテーマだというので、
どんなんだろう? と興味をそそられ出かけていきました。
余談ですが、
セミナー当日、中央線で事故があり(中央線はわりとしょっちゅう事故があって遅れるのですが)この日は何と午後5時前に起きた事故の影響が夜遅くまで続き、行きも帰りも電車の遅延で、駅のホームは人でごった返し、久々に東京の混雑ぶりを味わわせてもらいました。
でもね、往路復路とも早い時期にわりと賢い選択をしたので、凄まじい混雑に巻き込まれることなく、しかもラッキーなことに、乗り換えるたびに座ることができました。
この遅延と選択もまた、興味深い経験でした。
さて、
「アンガー・コントロール・セミナー」ですが、最初に私が感じたのは、
この先生、なんで怒ってるんだろう・・
ということでした。
アンガー・コントロールなので、怒りを鎮める方法についてあれこれレクチャーされたのですが、その最中ずっと私が感じていたのは、講師の中の目に見えない「怒り」の存在でした。
人は言葉に出して表現するバーバルコミュニケーションと言葉にはしないノンバーバルコミュニケーションの両方を使っています。
ノンバーバルコミュニケーションは言語化されない表現、つまり表情や身振り、声のトーンなどで表されるもので、無意識に出てしまうことが多く、本人は気づかないことが多いのですが、周囲の人はわりと感じ取っています。
「あら、素敵なジャケットねえ、すごくお似合いよ」と口ではいいながら、内心では「バカみたい・・」と思っていたりすると案外伝わっているものなのです。
カウンセラー養成講座を受けた人たち相手のセミナーなので、こうしたことは皆すでによく知っているはず。
もちろん、経験豊かな講師に対して無遠慮な発言は一切ありませんでしたし、平穏のうちにセミナーは終了したのですが、講師はなぜか終始イライラして何かに怒っている、といった印象を受けました。
面白いなあ、と思いました。セミナーの内容よりもこちらのほうがずっと面白い。人って嘘つけないものなのね、と思いました。
そして、あることに気づきました。
つまり「怒り」に焦点をあててそれをどうやって回避するかを考えているうちに、私たちの無意識はいつのまにか「怒り」に取り込まれてしまうのではないか、ということです。
「怒り」の種類を幾つかあげて、それぞれの怒りの対処方法を示し、毎日今日はどんなことに対して怒ったか日記をつけるといい、と講師は言います。
それこそが「怒り」を助長する一番確かな方法なのではないか、それを実践してきたからこそ、この先生は「怒り」を克服できずにいるのではないか、と思ったのでした。
「怒り」を鎮めるためには「怒り」から目をそらす必要があります。
そもそも「アンガー・コントロール」をテーマとしたセミナーをすること自体、「怒り」にしがみついている証拠ではないかしら。
「怒り」を手放したかったら、もっと別なテーマを探したほうがいいのでは?
私たちはフォーカスするものに目を奪われます。
舌が常に虫歯を探すように、至らないところ、見たくないものについ目を向け見入ってしまう。怖いもの見たさ、みたいな感じかな。
でも、そうすると、怖いものはどんどん大きく成長するんですね。
私はそう感じています。
できたら、「怒り」ではなく「喜び」や「楽しさ」に目をむけてそちらの方向に進んでいくほうが、怒りから早く脱却できるのでは、と思いました。
でも、セミナーのおかげで、帰りの電車遅延に際しても、
「そうだ、ここで怒ってはいけない。賢い選択をしよう」
と冷静に考える私がいて、混雑した中央線をやめて、京王線に乗り換える決断をしたのでした。
これは賢い選択でした。
怒ったり焦ったりすると、いいことは何もないのですね。
もちろん怒るべき時には、しっかり怒る、ということも大事だと思いますが。
というわけで、電車の遅延も含めて示唆に富んだ一日でした。
人生ってこういうことを時に教えてくれるから面白いですね。