ないない島通信

「ポケットに愛と映画を!」改め。

「オビ=ワン・ケノービ」⑵

2022-06-25 12:29:20 | 映画

ディズニー+で配信中の「オビ=ワン・ケノービ」がついに最終話を迎えました。

同時並行で「ボバ・フェット」も見ていて、こっちの方が圧倒的に面白いし、

後半には「マンダロリアン」も登場して目が離せなかったのですが、

「オビ=ワン・ケノービ」の方はイマイチという感じでした。

何しろ、タトゥイーンの砂漠でルークを見守るためフォースを封印している間に、

オビ=ワンの力はすっかり衰え、

オビ=ワンどうしちゃったの?と思っていたのですが、

最終話になって、ようやく、ああ、そうだったのね、

と納得でき、感動も出来たのでした。

「スター・ウォーズ」を全編見ていないとわからないかもしれませんが、

「スター・ウォーズ」というのは、そもそもスカイウォーカー一家の物語で、

ルークを中心とするEP4,5,6と、その前日譚EP1,2,3(なぜアナキンはダースベイダーになったのか)

の二部構成になっているのですが、

今回の「オビ=ワン・ケノービ」はEP3とEP4の間の約20年の間に何が起きていたか、

を伝えるストーリーです。

そして、これはもう一つの家族の物語、

オビ=ワンとアナキン、この二人の子弟関係、いえ、それ以上の家族としての愛憎劇の物語なのだ、

ということが今回よくわかりました。

EP1で、まだ若かったオビ=ワンは師匠クワイガンの突然の死に直面して、

クワイガンからアナキンの指導を託されます。

タトゥイーンで奴隷として働かされていた9歳の少年アナキンを、ジェダイとして育ててほしいと託されるわけです。

まだ若いオビ=ワンは、こんな小さな少年を僕に託されても、と思ったことでしょう。

それでも、師匠クワイガンの頼みなので、彼は必死にアナキンを守り育てるのですね。

この辺りのことが分かっていないと、

オビ=ワンがダークサイドに堕ちたアナキンを抹殺する機会が二度もあったのに、

なぜみすみす逃したのか、ということがわからないと思います。

彼にとってアナキンは、かわいい弟であり、同時にやんちゃな息子のような、かけがえのない存在だったのですね。

自分はジェダイとして(孤児として)育てられたので、親の愛情や家族の温かみを知りません。

一方のアナキンは9歳で母親から引き離され、厳しいジェダイの修行に耐えねばならず、

常に母親の愛情を求め、母のいない寂しさに苛まれていたことでしょう。

こんな少年を、若いオビ=ワンは悩みつつも必至に守り、ジェダイとして育てあげました。

そのアナキンを、ダークサイドに堕ちたからといって、むざむざと殺すことができるでしょうか。

アナキンがダークサイドに堕ちたのは、自分に非があったせいだとオビ=ワンは考えます。

アナキンからもお前のせいでこうなったと非難されます。

ジェダイというのは、魔法使いでもなければ仙人でもない、ただ一人の人間である、

というのが今回のシリーズの一番のキモなのだと思います。

ヨーダでさえ間違えるのですから、

まして若いオビ=ワンが小さな少年を託された責任は非常に重く、

間違いがあったとしても責められるものではありません。

他のジェダイたちは助けてくれなかったのか、

マスター・ヨーダは何をしていたのか、

アナキンのようなダークサイドに堕ちるジェダイを輩出してしまうジェダイとは一体何なのか・・

それを深く問いかけるストーリーになっています。

ジェダイといえども、普通の人間なのです。

この辺りのことが、今回実によく描かれています。

そして、この後の約10年、オビ=ワンは再びタトゥイーンの砂漠で人知れずルークを見守りながら、孤独な人生を送ることになるのです。

そして、EP4でオビ=ワンはアナキンと三度目の対決をするのですが、

ここで彼は、アナキンに負けることで、身を挺してルークとレイアを守ります。

あのシーンは、オビ=ワンの決意のほどをよく表しています。

自分の人生は、アナキンとアナキンの子どもたちを守るために捧げられたのだと自覚していたからです。

それに対して、アナキンが彼の愛情を悟ったのは、EP6の最終話でした。

「スター・ウォーズ」には様々な人間ドラマがあって、

「マンダロリアン」や「ボバ・フェット」のような人たち、荒くれ者たちがいる一方で、

ジェダイもまた一人の人間として、苦悩に満ちた人生を歩んできたのだ、

ということが、今回のストーリーを見るとよくわかります。

このシリーズを見て、ますますオビ=ワンのファンになりました。

(Meow The Force be with you!)

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カタカムナふたたび

2022-06-11 11:02:44 | スピリチュアル

以前、ここでも紹介した「カタカムナ」についての新たな情報です。

まずは、YouTubeで面白い動画を見つけたので紹介します。

私がカタカムナについて書いた当時(2017年4月頃)は、カタカムナ文献は少数でなかなかいいものが見つからなかったのですが、

最近、いろんな人たちが研究して新たな見方を紹介しているようです。

牧野内氏のこの動画はとても興味深いです。

そして、

「完訳カタカムナ」(天野成美著 保江邦夫監修 明窓出版 令和2年)

という本も出版されました。

カタカムナを発見した楢崎皐月氏と共にカタカムナ研究を続けてきた宇野多美恵氏、

その宇野多美恵氏に直接師事した天野成美氏が出された本です。

これでカタカムナは完全に翻訳されたといっていいでしょう。

監修者である保江邦夫氏は、京都大学で湯川秀樹氏の研究を継いで、

「素領域論」という物理学の本を出版している有名な理論物理学者ですが、

かなりぶっ飛んだ人です。

私は彼のYouTubeを時々見ていますが、

何しろ、シリウスの宇宙艦隊アシュターとコンタクトしたとか、かつてUFOを操縦していたとか、自分はオリオン座からやってきたとか、常人には理解できない空想の彼方で遊んでいるような人です。

とにかく面白い人です。

興味ある方はYouTubeで保江邦夫を検索してみてください。

ここに来て、いろんなものが繋がってきました。

30年ほど前にバシャールと出会って以来、

私はずっとこの方面に興味を抱き、ずいぶん本を読んだりもしてきたのですが、

残念ながら、同好の士がなかなか見つからないまま現在に至っています。

スピ系に詳しい人たちはいるのですが、スピ系といってもいろいろでね。

安易にスピ系には行くまいとも思っています。

チャネリングなんかも、本当にためになるチャネリングかどうか、見定めるのは難しいし。

盲目的に信徒にさせるようなスピ系もけっこうあるので、距離を置きたいし。

そんなことより、私には私のミッションがあって、

今ここですべきこと、というのを何より大事にしたいと思っているからです。

現実って大事よね、と思っています。

それにね、映画に登場するヴィランたちって正義の味方よりずっと魅力的じゃない。人間ってもっともっと奥が深いよね、と思ってもいるので。

ともかく、

私がごちゃごちゃ書くよりも、原典に当たってもらったほうが確かなので、

カタカムナに興味のある方はぜひ「完訳カタカムナ」を、

そして、牧野内大史氏のYouTube「マッキーのパラレルシフト」もぜひ見てみてください。

牧野内氏は本もたくさん書いています。

最近「フラワーオブライフ」という彼の本を読みましたが、面白かったです。

いやあ、世界ってますますエキサイティングな展開を見せていますねえ。

見えなかったものがついに表に出てくるようになってきています。

魑魅魍魎が跋扈する世界に、新しい光が差し込んでくるようでワクワクします。

世界は実にフレキシブルで面白い場所です。

これからが楽しみ~

 

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「世界は分けてもわからない」福岡伸一

2022-06-08 12:26:57 | 

最近、映画にも少し飽きてきて、読書モードにシフトしてきたようです。

これも本屋で見つけたのですが、面白かったので紹介します。

「世界は分けてもわからない」福岡伸一著 講談社現代新書 2009年

福岡伸一先生は生物学者です。

以前、TVで見て、面白い人だなと思って、

「生物と無生物のあいだ」(講談社現代新書 2007年)

を読みました。これがかなり衝撃的な本でね。

生命というのは、常に分解と合成を繰り返しながら個体としてとどまっている、つまり砂浜に作った砂山のようなものだというのです。

砂は絶えず入れ替わるけれど、山の形は変わらない。

生物の細胞もたえず入れ替わりながら、一定の形を維持している。

それを「動的平衡」と呼ぶ。

生物は「動的平衡」である、というのです。

今回の本「世界は分けてもわからない」は、

生物学の本というよりは、いろんなモチーフをより集めたモザイク画のような本で、

ランゲルハンス島の話、パワーズ・オブ・テンの話、境界のこちら側と向こう側の話、マップラバーとマップヘイター(地図好きと地図嫌い)の話、エントロピーの法則、死とは何か、須賀敦子のエッセイ等々・・

本当にいろんな題材が混然一体となって、前の章で語られたテーマが別の章で再び登場したりします。

入れ子構造になっていたり、廻り回って元に戻る円環構造になっていたりと、

つくりがとても面白い。

プロローグのアミノ酸の話はちょっとめんどくさいので飛ばして、

第一章「ランゲルハンス島」から読むのをお勧めします

難しい箇所もないわけではないけれど、化学式などはすっ飛ばして読んでも大丈夫。

全体的に知的好奇心を満たしてくれる素敵な本です。

特に、後半のガン細胞にまつわる大発見のストーリーは、

ミステリー仕立てです!

世紀の大発見がいかにしてスキャンダルとなり、若き天才科学者が消えていったか、

しかし、彼の発見は(手法はともかく)大筋で間違いではなかったことが後にわかったというお話。

科学の世界って、結局は人間の世界なのね、と納得させられます。

ネットで見つけた記事、山口周氏との対談の中で、福岡先生はこんなことを話しています。 
(「本質は『あいだ』にある~動的平衡という生命のあり方に学ぶ」より)

福岡『春と修羅』は私も好きな作品で、「わたくしといふ現象は」の続きは「仮定された有機交流電燈のひとつの青い照明です」というものですね。つまり自分という生き物は「現象」であって、しかもそれは電灯のように明滅しながら、光だけが保たれ続けているのだという。まさにモノではなく現象=コトが本質だという世界観を示していると思います。

科学の本というと難しい印象があるけど、福岡先生の本はぐんぐん読めます!

いやあ、面白かったよお。

 

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「孤独という道づれ」岸恵子

2022-06-03 12:23:49 | 

本屋の店頭で見つけて衝動買いした本、

「孤独という道づれ」 岸惠子著 幻冬舎文庫 2022年

がとてもよかったので紹介します。

岸惠子といえば、有名な女優さんで、なおかつジャーナリストで小説家でもあり、多方面で活躍している方です。

とても美しい方で、パリに長く住んでいらした、ということくらいしか知りませんでしたが、

御年89歳! 

数年前に、彼女が書いた『わりなき恋』という小説を読んだことがあります。

70歳間近の女性が飛行機で隣に座った男性と恋に落ちるというお話。

少々生々しい描写もあって、あまり好きにはなれなかった記憶があります。

まあ、岸惠子のような女優さんならあり得るかもしれないけど、普通の日本の婆さんにはあり得ない話だよなあ、と思ってね。

しかし、今回のエッセイ集を読んでみて、

岸惠子の類い稀な才能は、ただ生まれ持った才能だけでなく、

彼女自身の苦悩に満ちた生涯と、それでも生きようとした努力の賜物である、と納得できたのでした。

24歳で日本を後にして、パリで夫と出会い結婚、娘が生まれ、離婚。

娘を連れて日本に帰ろうとしたら、彼女が父親ではなく母親である、という理由で

日本政府は娘を岸惠子の戸籍に入れることを拒否。

仕方なく、パリに戻って娘が成人するまで一人で育てあげたのでした。

また、彼女の母親の介護のために何度も日本とパリを往復した日々や、

娘や孫と会えない日々の苦悩など、赤裸々に語られているのですが、

何より、文章が流麗で美しい。

語彙が豊富で、エッセイというよりは美しい小説を読んでいるような感じで、次々ページを繰らずにはいられない。

そうした魅力が満載されています。

90歳間近にして、この語彙力は驚異的です。

まだ70代になったばかりの私でさえ、ボロボロと語彙が抜けていき、思い出すのに時間がかかったりします。

それなのに、この流麗な言葉の数々!

そして、エピローグのこの一文にはハッとさせられました。

受けた傷や、躓きを自分で治すのよ。へこたれないのよ。誰かに頼ったりしないのよ。そんな生活をしているわたしは年を取っている暇なんかないのよ」

また、元夫の言葉を引用して、

「見たことのない人にそのものを見せることはできない。
 見てしまった人は、見る前に戻ることはできない」

「わたしは『見てしまった人』なのだ。何を見たかを、これから書いていくつもりでいる」

と締めくくる。

この本は、のんべんだらりと生きている私たちに、カーツ!と活を入れてくれる破壊力があります。

なるほどねえ、暇な時間が人を老化させるって真実かも。

人間、幾つになってもいろんなことに挑戦し、挑戦されもし、

バッタバッタと迫りくる無理難題をなぎ倒していくうちに、

気が付いたらあの世、というのが理想の人生なのかも。

そしてまた、

文章を書くって、力技なのだなあと実感させられました。

言葉を操るのだから、これくらいの力量がないといけない、

ボーっとしてないで、きちんと仕事しなさいッ!

と活を入れられた気がします。

いろんな意味で活を入れられ、目を覚まさせられる本です。

高齢者に限らず、若い人にも一読をお勧めします。

 

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