国分寺市主催の「おとなの宇宙の学校」もついに最終回となりました。
今回も有意義かつ楽しい「おとなの学校」でした。
1時限目は、JAXAのプラネタリーディフェンスチーム&はやぶさ2#のミッションマネージャーでもある、吉川真先生の講演でした。
そして2時限目は、第一回の時と同じように空飛ぶモノを作る、という楽しい実験をやりました。
プラネタリ―ディフェンスというのは、前回JAXA相模原で見学したイトカワやリュウグウといった地球近傍小惑星が、近い将来地球に衝突する危険性があるかどうかを探査して、危険性があると判断したら対策を講じる、という目的で作られたチームだそうです。
まずは、去年の12月に発見された小惑星、2024YR4についての最新情報を教えていただきました。
当初は2032年に地球に衝突する可能性が1%を超えると発表されていましたが、最新の観測では、地球衝突の可能性は、0,004%とほぼゼロに近くなったので、ひとまずは安心。地球をかすめて月の近くを通るそうですが、月に衝突する可能性も低いので大丈夫らしい。
この小惑星2024YR4の直径は40~90mだそうです。ちなみにリュウグウの直系は900mもあるというからけっこうデカい。
この他にもアポフィスという小惑星が2029年に地球に接近するそうで、アメリカとヨーロッパで探査機を打ち上げる計画があるそうです。
アポフィスは直径400mあるので、これもけっこうデカい。
これまでも地球に衝突すると騒がれた小惑星や彗星はけっこうあったけど、大抵は衝突せずに通り過ぎていきました。
でも、中には被害をもたらしたものもあり、2013年にロシアのウラル地方にに落下したチェリャビンスク隕石落下は空中で爆発したものの、爆風により建物の窓等が破壊され多数の負傷者も出たそうです。
1908年にはロシアのツングースカで隕石落下により大爆発が起きています。この時の小天体は60mくらいで上空で爆発しました。
また、アメリカのアリゾナには隕石落下により出来た巨大なバリンジャークレーター(直径1㎞)があります。このクレーターを作った隕石は直径50mくらいだそうです。
有名なのは66,000年前に恐竜が絶滅した隕石落下ですね。この隕石落下で恐竜が絶滅し、地球は新しい進化の時代を迎えました。
隕石落下で人類が絶滅したとしたら、どんな時代がやってくるんだろうか、どんな生物が地球上を闊歩するんだろうか・・なんて想像しました。
このように、地球は何もない宇宙空間を漂っているように見えますが、実はたくさんの小惑星やら彗星やらの小天体に囲まれており、いつ何時それらが地球の軌道と交差して衝突してくるかわからない、という危険性を抱えているのですね。
これまでに見つかっただけでも、143万個もの小天体(小惑星、彗星、隕石等)が地球近傍にあるそうです。
なんてことだ!
そこで、衝突の可能性が小天体が見つかったら、何とかして回避する、というのが人類に課せられた重要な課題になってきます。
そのためには、国際協力と情報公開が必要。
実際に地球衝突の危険性のある天体が見つかったらどうするか?
とりあえず探査機を小天体にぶつけて軌道をずらす、という方法が考えられます。
映画「アルマゲドン」のように破壊する方法はかえってリスクが大きい。破片が世界じゅうに散らばるので余計大変だからです。
また「ディープインパクト」のように、大きな彗星が衝突したときには、実際、映画にあるような高層ビルを飲み込むほどの巨大な津波が襲ってくるだろう、と言われています。あな恐ろしや。
現在、NASAでは2027年にNEOSurveyorという探査船を打ち上げる計画があるそうです。
宇宙から地球近傍に接近する小天体を見つけて、事前に回避するべく作戦を立てようぜ、というわけ。宇宙からだとより高精度で小天体を見つけることができるからです。
とにかく、よくぞこれまで無事に過ごしてこれたもんだ、と思いました。
知らぬが仏の人間たちよ、戦争なんてしてる場合じゃないぞ。
戦争にお金を費やす余裕があるのなら、もっと宇宙を探査してほしいものだ、と思いました。
この他にも、はやぶさ2の拡張ミッション、「はやぶさ2#」についてもお話を伺いました。
現在、はやぶさ2は順調に宇宙空間を航行中です。はやぶさ2#の「#」は「小さくて危険な小惑星を調べる」というミッションの記号だそうです。
2026年7月にはトリフネという名前の小惑星をフライバイ(通りすがりに探査する)をして、2027年には地球スイングバイ(地球を通り過ぎることで加速し方向転換する)をして、2031年には1998KY26(まだ名前はない)に到達する予定です。
これからも「はやぶさ2」から目が離せません。
(JAXAのはやぶさ2拡張ミッションのサイト。「こちはや」という漫画もあるよ)
(2時限目の「空飛ぶモノを作る」に続く)
(これはnoteに投稿した記事です)