ないない島通信

「ポケットに愛と映画を!」改め。

潮風とベーコンサンドとヘミングウェイ

2019-01-13 10:47:23 | 映画
(これは2017年7月16日の記事です)

映画「潮風とベーコンサンドとヘミングウェイ」がなかなかよかった。

原題は"Wrestling Ernest Hemingway"  ランダ・ヘインズ監督作品 1993年

南フロリダの海を背景にリタイヤした老人二人が友情をはぐくむ話。「ゴッド・ファーザー」の名脇役ロバート・デュバルと「許されざる者」のリチャード・ハリスが主演。リチャード・ハリスは「ハリー・ポッター」の初代ダンブルドア役でも有名。

海辺で一人暮らしを楽しむフランク(リチャート・ハリス)は元船乗りで陽気だが短気。一方、ウォルト(ロバート・デュバル)は元理容師でパズル好きの物静かな老人。公園で出会った二人は真反対の性格だが、次第に親しくなる。

フランクは誕生日に息子から贈られた帽子を自慢げにかぶっているが、実は息子との折り合いがよくない。ウォルトは地元のダイナーのウェイトレス(サンドラ・ブロック)に片思いをしている。

ウォルトは彼女が作ってくれるベーコンサンドをいつも大事そうに食べている。ベーコンは体によくないのよ、といいつつもウォルトのために特性ベーコンサンドを作ってくれるのだ。

ウォルトのひそかな楽しみにフランクが割ってはいる。「俺は若い頃、ヘミングエウェイとレスリングをしたことがあるんだ。あれは1938年のことだった・・」

フランクの自慢話だ。

彼女が花火見物に行くと聞き、ウォルトも行きたがるが車がない。フランクは俺が連れてってやるとウォルトを連れ出すのだが、フランクが持っていたのは二人乗り自転車。二人で10キロ先の花火会場まで駆けつける。

二人ともよぼよぼなので、ヘトヘトになりつつたどりついた先で見事な花火が上がる。

といった具合に、何か特別なことが起きるわけではない。リタイヤした老人たちのたわいもない日常が描かれる。

若い女性に恋するウォルトが痛々しくもキュートだ。フランクもまたアパートの大家であるシャーリー・マクレーンにその孤独を癒してもらおうとする。だが、それはいつまでも続くわけではなかった。

女性陣はサンドラ・ブロックにシャーリー・マクレーンと、この映画、何気に俳優陣が豪華なのだ。

さすが老練の名優たち。一挙手一投足が違う。隅々まで丁寧に描かれていて、いよいよ老年にさしかかった私も、ああ、そうよねえ。年取るってこういうことよねえ・・と共感してしまう。

南フロリダの海を背景に老人たちの人生の終焉が実にきめ細やかに描かれる。秀作なので、お勧めです。

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