ないない島通信

「ポケットに愛と映画を!」改め。

「眠りの地」

2023-10-30 11:56:28 | 映画

アマプラで見た映画

「眠りの地」(マギー・ベッツ監督 2023年)

が面白かったので紹介します。

これも実話に基づく映画で、主演はトミー・リー・ジョーンズとジェイミー・フォックス。

トミー・リー・ジョーンズは缶コーヒーボスのCMで有名ですね。私はボスのCMが好きで、YouTubeで時々見ます。笑えて泣けます。

彼の「メン・イン・ブラック」も好きだなあ。「逃亡者」の刑事役もやってますね。トミー・リー・ジョーンズは大の日本贔屓だそうです。

もう一人の主演はジェイミー・フォックスです。

「スパイダー・マン」他多くの映画に出演しており、「RAY/レイ」や「路上のソリスト」では主演をしています。

この二人がすごくいい味だしてる。

ストーリ―は、アメリカ南部のミシシッピ州で葬儀社を営むジェレマイア・オキーフ(トミー・リー・ジョーンズ)が経営危機に陥り、債務不履行で会社を手放さなくてはいけない羽目になり、大手の葬儀会社に彼のもっている葬儀社の一部を売る話を持ちかけるのですが、

この大手葬儀社が悪い奴で、彼をだましてアメリカ南部の葬儀場のテリトリーを奪おうと画策している連中なのでした。

そこで、彼は口達者でやり手の弁護士ウィリー・E・ゲイリー(ジェイミー・フォックス)に依頼します。

映画の大半は裁判の様子を描く訴訟劇です。

訴訟劇というのは、大抵一転二転して、最初の思惑と違ったり、意外な証人や証拠が現れたりして、最後にどんでん返し、というのがセオリーですね。

ここでも、大体そういう風に進んではいきますが、見どころは、二人の主人公のやりとりや、周囲の人たちの反応、陪審員たちの表情等々です。

アメリカ南部の黒人差別がまだ色濃く残っている様子を、実に見事に表現して見せてくれます。

差別される側はたまったものではない。蔑ろにされ、それどころか生活まで奪われてきた長い歴史があることがよくわかる。

今起きている中東での争いにも、根深いものがあると想像できます。

人間と言うやつは、人と争ったり見下したり人から奪ったりせずにはいられない生き物なのでしょうか。

紆余曲折はあるものの、彼は勝訴し、権利もお金も取り戻します。

最後に法廷で、黒人たちから葬儀費用として莫大なお金を搾取し、私腹を肥やしてきた財閥の社長に、ジェイミー・フォックス演じる弁護士が「恥ずかしいと思ったことはないのか」と尋ね、

社長が「ない」ときっぱり答えるシーンは印象的でした。

彼にとっては、黒人社会は搾取する相手であって、リスペクトしたり同情したりする必要は全くない、と考えている様子がよくわかります。

けれども、結局、彼はこの裁判で負けて、会社は数年後に倒産した、とエンドロールに出てきます。

そして、この勝訴により、ウィリー・E・ゲイリー弁護士は全米で有名になったということです。

 

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「アンオーソドックス」

2023-10-25 09:20:10 | 映画

Netflixのドラマ

「アンオーソドックス」

がよかったので紹介します。

前回紹介した「BODIES/ボディーズ」に登場した、2053年の刑事メープルウッド役を演じたシラ・ハースという女優さんが独特で素敵だったので、彼女が主演のドラマ「アンオーソドックス」を見てみたのですが、これがまたすごくよかった。

NY市ブルックリンのウィリアムズバーグには、ユダヤ教のハシディックと呼ばれる、超正統派(ウルトラオーソドックス)の人たちが共同体(コミュニティ)を作って暮らしています。

このことを、私は全く知らなかったので、驚きの連続でした。

ハシディックの人たちは、ユダヤ教の教典とされるトーラー(律法)の遵守を強要され、信者たちの生活全般は厳しい戒律により厳格にコントロールされています。

このハシディックの戒律の厳格さは想像を超えるものでした。

ドラマの主人公であるエスティは18歳で親が決めた相手と結婚させられますが、結婚というのは、子孫を残す生殖のために行われるので、肉体の快楽を求めてはいけない、と戒律で決められています。

セックスをするのは金曜日の夜のみで、子作りのためだけに不快なセックスを強要される。エスティは毎回激しい痛みに襲われますが、それでも子どもを産まないと共同体の中で生きていけないので我慢するしかない。これは強姦と同じです。

女性には学ぶ機会もなく、本を読むことも禁じられ、人前で歌うことも許されず、ただ男性に従うしかない。

こうした前近代的な戒律にがんじがらめにされた人たちが、現代の、自由の国であるアメリカの、NYのど真ん中に存在する、ということ自体本当に驚きでした。

第二次世界大戦のホロコーストを生き延びたユダヤ人たちが再建した共同体だといいます。

エスティはNYのコミュニティから逃げ出して、ドイツのベルリンに行き、そこで出会った若者たちと交流していくうちに、音楽に目覚めます。しかし、NYから夫がエスティを探しにやってきて・・というのが基本のストーリーです。

実際にNYのハシディックの共同体で暮らし、結婚して子どもが生まれた後、子どもを連れて共同体から逃げ出したデボラ・フェルドマン、という女性が書いた同名の自叙伝が原作です。

ユダヤ教の厳しい戒律について描かれていますが、これは普遍的に女性の置かれた立場についての物語でもあります。

以前、ここでも取り上げた「ハンドメイズ・テイル/侍女の物語」にも共通するものがあります。

子どもを産むことにしか女性の価値を認めない。

日本でも、子どもができない夫婦は親戚からやいのやいのと言われる現実がありますね。

同じくNetflixには、ハシディックのドキュメンタリー「ワン・オブ・アス」もあり、これも興味深く見ました。

この中で一人の女性が「この共同体は第二次大戦の答え」だと言います。

「今ある共同体とは、犠牲者の上に成り立ってるの。トラウマを内包してるのよ。親と600万人の犠牲者のどちらに子どもは属するのか・・子どもたちの魂が世界を是正することこそ、彼らの原動力なのよ・・」

戦争が生み出すトラウマは、何世紀にもわたって子孫に受け継がれていくようで、今の世界情勢を見ると恐ろしい限りです。

できれば多くの人に見てもらいたいドラマです。

シラ・ハースが何より可愛くて素晴らしい。注目の女優さんです。

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国営昭和記念公園が私の庭になってきた~

2023-10-22 18:38:31 | 散歩

今日もあんまりお天気がいいので、国営昭和記念公園に出かけていきました。

今月3回目!

いつもふらりと出かけるのだけど、駅のホームに立ってると、なぜか青梅行きの電車が来るのです。

で、気がついたら昭和記念公園にいる・・という感じ。

我家からだと30分くらい。もう庭も同然。

今日は日曜日でしかも無料入園日だったので、ものすごい混みようでした。

海開き直後の湘南海岸か、ていうくらいテントがずらりと並んで、人また人・・

みんなの原っぱでは、親子連れやカップルやグループがそれぞれキャッチボールだの何だのやっていて、

やっぱり日曜日は混むのね、と思った。

それでも、あまり人気のない池の周辺を歩き、木立の間のベンチに腰かけて、木漏れ日の向こうの真っ青な空を見上げたりしてました。

こんなに広いと、こんなに人が集まっても、何とかなる。

やっぱり広大な敷地があるっていいなあ、と団地暮らしの私は思うわけです。

人が密集して暮らしていると、良くも悪くも互いに影響しあって、それがどんどん濃くなっていって、

なんかね、缶詰の中の鰯みたいな気分になってくるのです。

なので、時々自分を解放するために、広い場所に行く必要がある・・

昭和記念公園に行きはじめて、ようやくそのことに気づいた気がします。

これまでは気づかなかったのね。

これが普通だと思ってたから。

でも、よく考えてみたら、普通じゃないよね。

東京って、普通じゃない。

慣れてはいるけど、本当は皆すごく疲れているんだと思う。人疲れ。

なので、時々こうして広い場所に来て、空を見上げたり、この公園全部私のものだぜい、って気分に浸ったりするのは、とっても大事なことだと思うようになりました。

本当はもっと田舎に行って、山や森や湖のある場所で、一カ月くらいのーんびりしたいなあと思うのだけど。

海辺もいいなあ・・

そのうち、実行しようと思っています。

というわけで、

今日も素敵な一日でした。

ありがとう、お天道様!

 

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BODIES/ボディーズ

2023-10-21 12:48:04 | 映画

Netflixで配信されているミニシリーズのドラマ

「BODIES/ボディーズ」(BBC制作)

がすんごく面白かったので紹介します。

ミステリー、サスペンス、タイムトラベルといろんな要素を備えたドラマで、

1891年、1941年、2023年、2053年と四つの時代を行き来します。

四つの時代にはそれぞれ刑事がいて、同じ場所で同じボディ(同一人物)を発見して、その謎解きをするというもの。

このボディは誰なのか、誰に殺されたのか、なぜ裸なのか、なぜ銃撃されたのに銃弾が見つからないのか・・

多くの謎を秘めたボディなのです。

最初は時系列を行き来するので、これはいつの時代の誰?

と混乱するのですが、そのうち慣れてきて、登場人物たちに感情移入し始めます。それぞれが問題を抱えている様子が短い描写ながら実にリアルに伝わってきます。

そして、最後まで見ると、見事に四つの時代が繋がり、伏線が回収され、テーマも見えてくる。

すごく念入りに、しかもわかりやすく作られたSFで、こんな作品は初めてです。

これを見て思い出したのが、

「ゴジラVSキングギドラ」(1991年)

ここに登場するライターの寺沢は「ゴジラ誕生」という本を書く予定でいたところ、

未来からやってきた未来人が、彼が書いたという「ゴジラ誕生」の本を持参し、寺沢はその本を参考に「ゴジラ誕生」を書き上げる。

じゃあ、オリジナル本は一体誰が書いたのか?

「BODIES」にも同じような疑問が残ります。

タイムパラドクスはなかなか難しい問題です。

まだ配信されたばかりなので、これ以上書くとネタバレになるので書きませんが、

久しぶりに一気見必至の面白いドラマで、後味も悪くない。

印象的だったのは、孤独な少年の姿でした。

愛を知らない少年は世界を破壊することもできる、という意味も込められているのかも・・

 

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「俺には”帰る場所”がいっぱいあるなあ・・」by 日々人

2023-10-18 09:27:57 | 宇宙

ふと、「宇宙兄弟」の中のヒビトの言葉を思い出しました。

39巻。

「俺には”帰る場所”がいっぱいあるなあ・・

あそこも・・そうかもな」

ヒビトの視線の先にあるのは、月。

彼にとって、帰る場所は地球だけじゃなくて、月もある。

宇宙飛行士というのは、究極のノマドかもしれない。

今、地球上で領土を争う戦争があちこちで勃発していますが、

どこにだって住むことができるし、帰る場所ならいっぱいある、と考えられれば、

領土争いをする必要はなくなるんじゃないか、とふと思ったのでした。

もちろん、そんなに簡単なことじゃないのだけれど。

生まれた時から摺りこまれてきた信念体系(価値観、宗教など)を変えることはすごく難しい。私たちは信念に縛られて生きているので。

でも、もしも、

世界じゅうどこにでも住めるし、地球を離れて月やアルファケンタウリにも住むことができるようになる・・

という未来を思い描くことができるなら、

そうした想像力を持てるなら、

地球のようなちっぽけな(青くて素敵だけど)銀河の辺境の惑星にしがみつく必要はないのかもしれない。

私自身、小さい頃から父の転勤で引っ越しを重ねてきたので、

見知らぬ土地に引っ越すことは、好きじゃないけど仕方のないことで、自分の力ではどうすることもできないことなのだと思って育ちました。

その場所で適応して生きていくしかない。

そういう暮らし方をしてきたので、

同じ場所に長く定住すること自体、とても不思議な感じがします。

そろそろ別の場所に引っ越さないと、どこかに行かないと、と時々、強迫観念のように思ったりもします。

これも摺り込みなので、定住派の人には定住の摺り込みがあって、引越すなんてとんでもないと思うかもしれないし、

自分の国を追われるなんて、とんでもないと思うのかもしれません。

でも、人生なんて所詮、永遠の存在から少しだけ前借りして、地球に居を構えただけのこと。

何処に行っても暮らすことはできる、

と思えば、国を死守しよう、などと考える必要もなくなるのではないか・・

もちろん、私は日本人なので日本が好きですが、どうしても別の場所で暮らさなくてはいけなくなったら、

小さい頃のように、その場所で暮らすだろうと思うのです。

住めば都で、住んでいるうちにそこが好きになってくるものです。

そしたら、ヒビトのように

「俺には”帰る場所”がいっぱいあるなあ・・」

と言えるようになるかもしれない。

考えてみれば、地球に住む私たちは、皆宇宙人。

広大な宇宙の中で、いっとき、この地球にやってきた宇宙人なのだと思うのです。

だれもが宇宙飛行士。

なので、

帰る場所はいっぱいある、

そう考えると、なんだかワクワクしてきませんか?

 

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