「侍タイムスリッパー」の安田淳一監督が侍タイの前に作った映画、
「ごはん」(安田淳一監督 2017)
をアマプラで観ました。
これ、ずっと観たいと思ってたのだけどどこも配信してなくてね。アマプラで見つけて即購入(440円)。
いい話です!
とにかく田園風景が美しい。
安田監督は、映画史上最も美しい田園風景を撮りたい、と思って作ったそうです。その通りの美しさです。
最初のうちは「侍タイムスリッパー」の登場人物たちが別人として登場するので、つい笑ってしまいましたが、
お寺の住職や奥さん、撮影所の所長さんなんかが登場し、主人公はあの優子殿です。
しかも、侍タイで関本役をやるはずだった福本清三氏も元気な姿で登場しています。
侍タイに比べるとコメディ要素は低めで、どちらかというとシリアス系なのですが、やはり随所に笑える箇所があり、安田監督はやっぱり関西のお人なんやなあ、と思いました。
ストーリーはシンプル。
東京でOLをしていた寺田ひかりのもとに、故郷の父が亡くなったという知らせが届きます。
故郷に戻ったひかりが直面したのは、父が請け負っていた30軒分の田んぼ(1万5千坪)。
高齢化が進み、一人で田んぼを賄えなくなった人たちが、ひかりの父親に自分の田んぼを任せていたのです。
父は、九州から出てきた青年(ゲンちゃん)と二人で田んぼの世話をしていたのですが、重労働に耐えかねて突然死してしまいます。
ゲンちゃんに泣きつかれ、東京に帰れないひかり。
ひかりは故郷に残る決心をします。
ゲンちゃんから米作りの基本を教わりながら米作りを始め、ついに秋に米を収穫するに至るまでを描いたのがこの映画です。
米作りは一筋縄ではいかない。水の調整、台風による被害、雑草取り、夏の容赦ない太陽の下で過酷な労働を強いられる毎日・・
米作りが初めてのひかりにとって、何もかもが新鮮で、また過酷な日々でした。
お父さんはこうやって米作りをしていたのか・・
父に反抗して家を出たひかりにとって、田んぼは父を奪った仇のような存在でした。
しかし、ひかりは米作りをしていく中で、父を理解し始めます。
米作りの教科書みたいなストーリーですが、その中にひかりと父親との関係、ひかりが幼い頃に亡くなった母との関係などが盛り込まれ、家族のストーリーとしても見ごたえのあるものになっています。
米不足の今こそ、日本じゅうの人が観るべき映画です!
田んぼの米が、私たちが食べるごはんになるまでに、こんなに複雑で大変な行程があり、農家の人たちの苦労は並大抵のものではない、ということを教えてくれます。
政府の減反政策とは何だったのか、その結果、私たち国民に残されたものは、米不足と米の高騰という現実。その現実も織り込まれています。
タイトルが「米」ではなく「ごはん」というのもいい。
私たちが食べているのは「米」じゃなくて「ごはん」なのですから。
最近TVコマーシャルなどで「米」「米」と盛んに言われていますが、「ごはん」が正しい。あるいは「飯」。
私たち日本人は毎日ごはんを食べて生きているのですから。
最後に、
これを観終えた後、再び侍タイを観ていたら、
なんと新たな発見が。
ついクスリと笑ってしまいました。
安田監督の遊び心が素敵です。
ぜひ、私が何を見て笑ったのか、当ててみてくださいまし。
(新左衛門の食べたおにぎりじゃないよ)