ないない島通信

「ポケットに愛と映画を!」改め。

シェイクルピア&ハサウェイの事件簿 シーズン1

2019-11-29 20:13:14 | 映画

 

 

今日は楽しいドラマを紹介します。BBC制作の

「シェイクスピア&ハサウェイの事件簿」

BBC制作だけあって、本格ミステリー。しかも、コメディタッチ。
ゆるーいストーリーがとてもいい。こういうの大好きです。

テイストは「名探偵モンク」にちょっと似てるけど、何しろ舞台がシェイクスピアの故郷、ストラトフォード・アポン・エイボンときては、もう中世の街の雰囲気そのまま。まるでシェイクスピアの世界にまぎれこんだみたい。そこで繰り広げられる殺人事件の数々を解決していくという設定がユニークです。

主人公は元警察官のフランク・ハサウェイと元依頼人のルー・シェイクスピア。そして助手のセバスチャン。彼は俳優志望の若者。

三人の探偵事務所は古い木造の建物の二階(「アウトランダー」に出てくるジェイミーの印刷所みたいな木造建築)そこから見える風景も現代とはまるで違い、まるで歴史の中にまぎれこんだよう。

そして、そこで起きる殺人事件の数々。ミステリーというからには殺人事件が起きないとね。そして、あれやこれやあった後、からみあった謎をこの三人が見事に解いていくというわけ。

一話完結というのもいいです。

特に主人公のフランク・ハサウェイとルー・シェイクスピアの二人がちょっと太めで、犯人を追いかけてもぜいぜい息を切らしたり。決してカッコいいとはいえないところがまたいい。ルーはいつも何かつまんで口もぐもぐしてるしね。セバスチャンは仕事そっちのけで俳優の修業中だし。

このセバスチャンがすごくハンサム。
この役者、絶対売れると思う。すらりと背が高く顔立ちが整っていて綺麗。
事件が起きるたびに彼は潜入捜査と称して事件現場に潜入するのだけど、時にナースに、時にコックに、そして時に女装しと変幻自在。何をやらせても様になる。それでいてユーモラス。

というわけで、事件が起きるたびにこの三人が否応なく巻き込まれ、危うく命を落としかけたりもして、でも毎回きちんと謎が解かれ、めでたしめでたしとなります。

こういうドラマは見ていて安心できるし、気持ちがふさぐ時なんかにうってつけです。

こういうのを一つか二つ、知っておくだけでもいいよ。いざという時の常備薬みたいにね。ちなみにシーズン2もamazonプライムで配信され始めたのだけど、こっちは有料なので見ようかどうしようか迷い中。そのうちフリーになるだろうから、しばらく待つかな。待つという楽しみもあることだし。

 

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高い城の男 シーズン4

2019-11-23 21:26:57 | 映画

 

ご無沙汰でした。
風邪をひきこんでしばらく寝込んでおりました。まだちゃんと治ってないのですが。

一雨毎に冬が近づくように、風邪ひき毎に老け込んでいくようで、心もとない秋の夕暮れです。

とはいえ気だけは若いのですけどね。気だけは。

最近ハマっていたのは今amazonプライムで配信されているドラマ、

「高い城の男」シーズン4

フィリップ・K・ディックの同名の小説をamazonがドラマ化したものです。

これ、何年か前にシーズンが始まって以来なんとなくダラダラと観ていたのですが、
何しろシーズンとシーズンの間が長かったので、誰が何をしてどうなったか忘れちゃうんですね。なので、まあ暇な時にでも観ようかという感じだったのですが、

ここにきて、シーズン4が始まったとたん、にわかに状況が一変し、ドラマの進行も早く役者の顔ぶれもしっかり認識でき、ストーリーラインをしっかり追う事ができるようになりました。

私の頭の霧が晴れたのか?

最後なんてもうハラハラドキドキで面白かった。

シーズン前半については、以前ここでも取り上げました。
2019年1月10日の記事から抜粋します。この時点でシーズン2まで配信。

 ――――ここから――――

第二次世界大戦が連合国側の勝利ではなく、ドイツ、日本の勝利に終わった世界の物語。舞台は1960年代初頭。
世界はナチスドイツと大日本帝国、そして中立地帯の三つの地域に分割され、ナチスドイツと大日本帝国の独裁政治が世界を席巻している。アメリカも三分割され、西海岸は大日本帝国が、東海岸はナチスドイツが占領し、中央アメリカは中立地帯になっている。その中でアメリカ人のレジスタンスが地下活動を展開する、というのが基本のストーリーだが、ここに一本の16ミリフィルムが関わってくる。

物語は主人公であるジュリアナ・クレインの妹トゥルーディがこのフィルムの為に殺害されるところから始まる。ジュリアナはレジスタンスではなかったが、妹の死を目の当たりにして、なんとかして妹の目的を果たさせてあげようと、彼女が持っていたフィルムを持って中立地帯に向かう。

このフィルムが物語のキーになるわけだが、それはシーズン2に入ってようやく見えてくる。ネタバレは避けたいので、興味ある方はぜひ観て欲しいと思う。何よりすごいと思ったのは、日本太平洋合衆国の憲兵隊隊長である木戸大尉及び貿易担当大臣田上信輔の苦悩する心理が実に見事に描かれていることだ。

第二次大戦中の日本軍の横暴さや冷酷非情さは語り継がれているが、彼らもまた人間で、あるいはこうした苦悩を背負っていたのかもしれない。その背景が実にリアルに想像できる映像になっていて、アメリカ人がこれを作ったかと思うと驚くべき洞察力と言わざるを得ない。

もちろん、ナチスドイツ側の主要人物たちのそれぞれの家族や人間模様、心理も細かく描かれており、戦争がいかに人々から人間性を奪うかがよくわかる。けれどもいつの時代にもそれに抵抗しようと立ち上がる人たちがいて、それは政治に直接関わる幹部にもいるのである。

そして、シーズン2に入って、物語は驚くべき展開を見せ始める。SFならではの展開である。

あり得たかもしれない歴史を想像し、その世界をリアルに作りあげてしまう映像作家たちの想像力もすごいとつくづく思うドラマである。

これを見ていると、世界は実にフレキシブルで、確かなものではなく、様々な可能性を秘めたものであることがよくわかる。しかし、その世界の中で、人々は幻想に捕らわれ、あるいは洗脳され、がんじがらめになっているのかもしれない。

そう思わせてくれるドラマでもある。
シーズン3が楽しみだ。

 ――――ここまで――――

シーズン4では、主人公であるジュリアナ・クレインのストーリーに加えて、ナチス側のジョン・スミスというアメリカ人(最後にナチスの国家元帥にまで昇格する)と日本側の木戸大尉、それぞれのストーリーが際立ってきます。双方とも冷酷さにかけては一歩も引けを取りませんが、その一方で家族思いであるという共通点もあります。他人の命は平気で踏みにじるけれど自分の家族だけは守りたいという・・アメリカのドラマにはありがちな設定ですが、けっこう見応えある。

そこに中立地帯のレジスタンス、さらに抑圧されてきた黒人たちの蜂起がストーリーに加わります。大ナチス帝国、大日本帝国に対する中立地帯のレジスタンス、黒人たちのレジスタンス、それらが混然一体となって世界の危機に立ち向かうという構図です。

これ以上はネタバレになるので今回は書きません。ぜひ見ていただきたいので。

今回書きたいと思ったのは(1月の記事でも書いたように)世界は私たちが思うよりもフレキシブルなのではないか・・ということです。

もちろんこのドラマはSFの世界の話なので、そんなもん現実に起きるわけないじゃん、で済ませる人も多いでしょう。

でも、ここに描かれている二つの世界というのは、言ってみれば私たちが選ぶことのできる世界でもあるんじゃないかと思うのです。

人間の意識、イマジネーションは強力だと私は思っています。それはただの空想ではない、そこにはパワーがある。従って、こうした世界をイマジネーションする人がいるということは、どこかでそれが現実になる可能性がある・・ということなんじゃないかと。

現にこういう実験があるのをご存じでしょうか。

量子論の二重スリット実験は有名なのでご存じの方は多いかと思いますが、
https://www.youtube.com/watch?v=-EYmgL8kD2g

さらに、最近はこんな実験もあったようです。

オーストラリアの科学チームの実験で、人間が測定するまで現実は存在しないという結果が出たというのですね。
https://gadgets.ndtv.com/science/news/quantum-experiment-confirms-reality-doesnt-exist-until-measured-698868

またこんなのもあります。人間の意識が素粒子の動きを左右するという実験です。
https://inthetic.com/archives/3381

 「求めよ、さらば与えられん」とキリストも言ったように、私たちが心から追い求めるものは、案外実現するんじゃないか・・

それが70年生きてきた私の実感です。

私たちが置かれている場所がどんな場所であれ、私たちは想像する力を持っています。

そして「想像すること」は「創造すること」に繋がると思うのです。

私の好きな児童文学「アップルバウム先生にベゴニアの花を」(ポール・ジンデル作 岩波書店)の中に、

「聖書に『金持ちが神の国に入るよりも、らくだが針の穴を通る方がまだ易しい』とあるけれど、原子の世界では簡単なことよ」(原文は忘れたので違うかもしれませんが)
とアップルバウム先生がいう場面がありました。

原子核を一円玉だとすると、電子は200m離れたところを回っている、つまり私たちの世界を作っている原子というのはスカスカなのですね。だからラクダの原子をぎゅっと縮めたら針の穴だって通れるというわけ。

ならば、意識だって立派に原子に(さらに言えばこの現実に)作用できるんじゃないか・・

さて、私たちはどんな世界を想像し、また創造しましょうか。
人間が作った世界なら、人間の力で変えられるはず。私はそう思っています。

今日はこの辺まで。またそのうちこの話題を取り上げるかもしれません。

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「ブレッチリー・サークル/サンフランシスコ」など

2019-11-11 13:23:36 | 映画

 

皆さんお元気ですか。

いよいよ冬の足音が近づいてきました。
リウマチ持ちの私は冬が苦手。
何とかこの時期を凌いで無事春を迎えられるといいなあと思っています。

最近一番ショックだったのが、背が縮んだこと。市の健康診断でわかった。骨粗鬆症なので仕方ないのですが。毎年1㎝ずつ縮んでいるみたいです。このままで行くと、遠からず『スプーンおばさん』になり、やがてはロアルド・ダールの『ぼくのつくった魔法のくすり』の意地悪ばあさんみたいになって消えちゃうかも。

元々小柄なのですが、その原因としては、遺伝的な問題もさることながら、戦後の混乱期に生まれたこと、母が妊娠中毒が酷かったため授乳ができず、牛乳で私を育てたそうなのですが、残念ながら私には乳糖分解酵素がなく牛乳の栄養をきちんと吸収できなかったこと等が挙げられます。いつもお腹をすかせて泣いてばかりいたと母が言っていました。小学校ではいつもクラスの一番前。でも、四国の田舎に引っ越したとき、前から9番目でクラス平均でした。みんな貧しくて栄養が足りなかったのですね。

私が生まれ育ったのはそういう時代でした。今では考えられないでしょうけれど。
それでもこの歳まで生き延びてこれたのだから、私はかなりラッキーだと思っています。(栄養失調で死んだ子どもたちも大勢いましたから)

 

さて、最近見たドラマを二つ紹介したいと思います。

まずは「ブレッチリー・サークル/サンフランシスコ」(Netflixで配信中)

これは以前「ブレッチリー・サークル」(ロンドン編)で紹介したかと思いますが、第二次世界大戦中、ロンドンのブレッチリー・パークでドイツの暗号解読をしていた女性たちのチームが戦後解散し、それぞれ家庭の主婦やウェイトレス等になっていたところ、ある事件が発生します。そして彼女たちが再集結して、事件のパターンを読み取り事件を解決する、という女性中心のミステリードラマです。

ロンドン編で活躍したスーザン、ルーシーが退場し(スーザン好きだったのに😢)ミリーとジーンがサンフランシスコに渡り、またもや暗号解読の手腕を発揮して事件を解決するというお話。

サンフランシスコで出会った女性たち、アイリス、ヘイリー、そして警察に勤めていて時おり情報を流してくれるオリビアと多彩なメンバーを加えて事件を解決していきます。

まだ公民権運動の最中、ウーマンリブ運動がやっと動き始めた頃のことで、公民権運動、同性愛差別、帰還兵の問題等社会問題も取り上げられています。

また、ちらりとですが映画「イミテーション・ゲーム」で取り上げられた数学者アラン・チューリングのことにも触れられていて興味深い。

そして、何より女性たちの八面六臂の大活躍が見ものです。

 

もう一つは「アンビリーバブル/たった一つの真実」(これもNetflixで配信中)

やはり女性中心のミステリーで8話完結のミニドラマです。

レイプ犯を追いかける二人の女性刑事の話。
女性だけどバディもの。男性に負けず劣らずカッコいい。そして、彼らの後ろには彼女たちを支えるパートナーの存在があります。

男が活躍するドラマはきまって女性が陰で家庭を支えたり、犠牲になったりしますが、このドラマでは男たちが表には出ずに彼女たちを陰に陽に支えます。

女性が表舞台で大活躍しても、彼らは決して、やっかんだり拗ねたり自棄になったり浮気したり酒に溺れたり暴力的になったり薬中になったりギャンブル中毒になったり妻子を捨てて放浪の旅に出たりせず、毅然として家族を守ります。こういうのが、真にかっこいい男なんだよねえ。

日本でもこういうドラマが出来たらいいのに・・まだ無理か。
それでも、時代は徐々に進んでいき、50年前には考えられなかったことが起きているのを見ると、こうしたドラマが時代を先導していく役割はけっこう大きいかも、と思います。

いずれにしろ、女性たちが活躍する物語は見ていて気持ちいいし、スカッとしますね。
私たちも負けずに頑張ろうと素直に思えてきます。お勧めです。

 

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移動都市 モータル・エンジン

2019-11-05 13:06:24 | 映画

 

気分をかえて、今日はSFを。
amazonプライムで週末100円均一というのがあって、これもその一つです。

「移動都市/モータルエンジン」(クリスチャン・リバース監督 NZ・アメリカ合作 2018年)

あまり期待せずに観たのですが、最後まで一気見。掘り出し物です!
といっても、ほら、私は「スターウォーズ」の大ファンでSF大好き人間なので、誰にでもお勧めというわけにはいかないんですけど、SF好きならけっこうハマると思うな。

これ、過去のいろんなSFの要素が混じっていて、そのせいでつまらないと感じる人もいるようですが、私はかえって楽しめました。

ジブリっぽいところもあり、ターミネーターやスターウォーズやロード・オブ・ザ・リング的でもあり、これまでのSFの総集編みたいだけど、とにかく映像が斬新です。

脚本がピーター・ジャクソンで、そもそも彼が映画化に着手し、NZで撮影が行われたというピーター・ジャクソン肝入りの映画だもの。

原作はフィリップ・リーヴのSF小説「移動都市」
(英米で数々の賞を受賞している。全四部作の第一作)

ストーリーはシンプルな冒険もの。
かつて、60分戦争という量子エネルギー兵器を使った戦争があり、世界が60分で滅んでから千年後。世界は荒廃し、人々は移動都市で暮らしている。「ハウルの動く城」みたいに都市がまるごと巨大な車輪やキャタピラの上に乗って移動し、互いに捕食しあうという世界。
大小さまざまな移動都市があり、一番巨大な都市が「ロンドン」と呼ばれている。

「ロンドン」は小さな移動都市を呑み込み、資源と人を奪いながら生き延びる捕食者です。
これってまさに資本主義そのもの。移動都市が巨大なキャタピラで疾走しながら、小さな都市を呑み込む様子はまるでロンドンのシティが世界の金融を牛耳っている様子そのもの。キャタピラってキャピタリズムのシンボルかしら。

そう、この作品には、現代の弱肉強食の資本主義に対する批判と皮肉が込められているのですね。
しかも都市全体が中世のような階層社会で、下層民は奴隷のように扱われる。

主人公はヘスター・ショーという若い女性(原作では15歳なのだとか)。彼女は「ロンドン」の史学ギルド長であるヴァレンタインに母親を殺されたため、ヴァレンタインを殺そうとするが失敗。そこから物語は始まります。

ヴァレンタインは世界制覇を目論み、ヘスターがそれを阻止する鍵を握っている。

とまあ、よくあるストーリーではありますが、何しろ映像がすごい。

ヘスターを育てたのがシュライクという、かつて人間だったアンドロイド。このシュライクのエピソードがなかなか泣けます。

それにね、CGもこういう風に使うと生きてくるなあと感心します。
冒頭10分、ロンドンが小都市を呑み込む様子なんて、実写はもちろん、アニメでも表現できないすさまじい迫力で、釘付けになること請け合い。
しかも移動都市にしろ空飛ぶ飛行機のような乗り物にしろ、デザインが独創的で個性的。

宮崎アニメ+スチームパンクという感じかな。

SFも出尽くした感があり、アイデアもなかなか斬新なのがないなあと思っていたら、こう来たか。

スチームパンクといえば、ビッグフィッシュのゲーム「ザ・フール」に登場するスティームシティを思い出します(これはアイテム探しのゲームなので知ってる人は少ないと思うけど、私はこの種のゲームにずいぶんハマった)。
鉄や蒸気機関など機械が主役の産業革命時代のビクトリア朝スタイル、それをSFの世界に投入したのがスチームパンクというようですが、その結晶のような都市が、このモータル・エンジンなのです!

ちなみに、昔読んだSF小説クリストファー・プリーストの「逆転世界」も同じく移動都市についての物語で、この映画が出たとき、ついに「逆転世界」が映画化されたかと喜んだけど、残念ながら違った。

「逆転世界」もまた世界が滅んだ後の世界を描いていて、「移動都市」とは発想が違いますが、これまたユニークで面白かった。最後の最後、真相が明かされる場面では世界がひっくりかえったような気がしたものです。
本を読んだ後、あるいは映画を見た後で、世界がひっくり返るというのはあまりない経験ですが、その一つがこれでした。

映画版「移動都市」SF好きには超お勧めです。
久しぶりにワクワクしたなあ。

 

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