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生態系を維持しながら農業する『究極の田んぼ』“不耕起”という手法もアリ?

2010年05月16日 | 雅無乱日記
新しい農法シリーズ(9)の続編です。

自然の土は植物の根や、ミミズ等の小動物の働きで、地下水と連絡する毛管水帯ができ、微生物の働きで毛管を保持し、その水分に支えられて表層に団粒構造の呼吸できる土ができ、水分・養分のバランスのとれた表土ができあがっています。

 この表土で、植物は育ちます。

もし、このような生きものたちが織り成す物質循環を壊さず、その中で作物の栽培をすれば、土に投入するエネルギーは最小限で済むはず。

そういう発想で行なっているのが、不耕起栽培です。 今回は、不耕起耕起のそれぞれのメリット・デメリットから、次代の農法の可能性を探ってみたいと思います。

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    ※画像は書籍『究極の田んぼ』(amazon)より

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不耕起栽培とはどんなものか。とりあえず、るいネットの以下の投稿を参照してみてください。

 頭をガーンと殴られたような衝撃:不耕起栽培①
 頭をガーンと殴られたような衝撃:不耕起栽培②

 この農法の本質的な利点は、表土の管構造を維持できることにあります。自然にできた表土を維持することで、自然の物質循環に沿って作物を作ることができ、養分循環(生態系)が維持され、エントロピーの増大も起こらないので、投入エネルギーが大幅に低減できるのです。 untitled.bmp
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 ところが、古来農業では、鍬をふるい、牛馬に鍬を牽かせてこの表土を耕してきました。

土を「耕す」ことは大前提であって、それによって作土を形成・維持してきた、ということになっています。

“耕さないで作物をつくる”などというのはありえない。現在は、そんな発想さえ出てこないほど、農業は耕すのがあたりまえ、ということになっています。

 しかし、よくよく考えてみると、耕耘すると、表土の管構造が壊されるので、自然循環から考えると畑地はむしろ耕さないほうが良いという可能性もあります!

…というわけで、不耕起耕起のそれぞれのメリット・デメリットを再度整理してみましょう。
<不耕起>
△メリット
・微生物の生息する土は、団粒構造が自然に維持されており、植物の根がはりやすい、作物が育ちやすい、豊かな土壌が形成されている。
・多くの生きものが活動することで、物質の循環が成立しているため、作物を育てる際にも、投入しなくてはならない栄養分は最小限で済む。(莫大なエネルギーを使って作られた化学肥料・農薬などを投入しなくても済む)
・耕転の労力がかからず、トラクターなどの耕作機械に使用するエネルギーを大幅に低減できる。
・したがって、環境への負荷が低減でき、土を汚染したり収奪しつくしたりすることなく、農業生産を続けることができる。

▼デメリット

・降水量の少ない乾燥地域などでは、管構造が維持されることによってかえって土中の水分が蒸発してしまい、塩害の危険性が増す。
・雑草が生えたり、出来る作物の品質が安定しないため、管理しにくい。面積あたりの収量にも限界があり、効率がよくない。
・市場に出すことを前提として、単一作物を大量に作るには適さない。・自然の物質循環を維持しながら行なうには、腐食土を供給するような里山も同時に育成、管理する必要がある。(一概にデメリットとは思わないが、少なくとも地域で管理する体制は必要がある)

<耕起>

△メリット
 ・発達していない表土や痩せた土を改善したり、開墾によって母材層を農地にしていくとき、腐植分や、有機資材を投入し、作土(表土)に転換していかなくてはなりません。その場合、投入した資材を土と馴染ませ、酸素を供給して、転換を促進させるのに、耕転は有利に働きます。
・団粒構造が充分発達していない土でも、耕耘によってふかふかの土にすることができます。軟らかい土は、作業性がよく、作物の初期育成もよいので、特に作付け前に耕耘します。
・近代農業を前提にすれば、管理しやすく、一定の品質の作物を大量に栽培するのに適している。単位面積あたりの収量も大きい。
・耕耘によって雑草を土中に押し込めて枯らすことができます。近年、機械化が進んだ結果、除草目的の耕耘が登場し、回数が増えています。
・耕耘すると肥料効率が良くなります。耕すと、土の状態が変わり、土の中の細菌などの微生物が休眠状態から目覚めて活発に活動を始め、微生物の殺し合いから微生物体内に蓄積された養分が溶けだし、作物の養分吸収がよくなります(ただし、2年くらいしかもたない)。
・過度の乾燥を抑えます。砂漠などの乾燥地帯では、地表面からの地下水の蒸発を押さえるために、地表面をかき混ぜわざと毛管と地表を断ち切ります。乾燥地帯でなくても、露天の畑では夏期に乾燥防止のため、地表面の浅い中耕を行ったりします。

▼デメリット
・耕すのに、多大な労力がかかる。そのため、トラクターなど農業機械に大量のエネルギーを要する。・耕耘によって、雨水流出や、窒素の空中放出も起こるため、2年目以降は、消失分の肥料投入が必要になります。肥料を土に馴染ませるために、さらに耕耘が必要になります。
・耕してしまうと、生物群が長い時間をかけて創り上げてきた、水や空気を地中に導く管構造が壊れ、生物が織り成す物質循環が絶たれてしまう。
・その結果、大量の資材やエネルギーを投入し続けないと、生産が維持できない。
さて、こうして見ていくと、総じて次のような問題が浮かんできます。

たしかに、近代、耕起を前提にすることによって、面積あたりの収量は増え、生産管理は容易になり、市場に出すための安定した品質の作物の生産はやりやすくなりました。 しかし、単一作付け・多投入型の近代農法の普及と機械化の進行によって、作土のみをコントロールすることが主流となった現在、過度の耕耘によって形成される、耕盤と呼ばれる毛管層と作土を分断して、植物の根を通さない硬い土の層によっておこる農地の劣化の問題や、投入資材の大量化、残留による障害問題が多くなってきました。

 このような農業が、今や限界に達しつつあるのは明らかでしょう。

今後は、生物が織り成す物質循環を維持しながら、最小限のエネルギー投入で、しかも安全な作物を作っていくのが、地球環境のためにもよいし、これからの人々の期待になっていくと思われます。

それを実践していく上で、「不耕起栽培」という手法は、十分検討に値する農法なのではないでしょうか。

少なくとも「耕起するのがあたりまえ」という固定観念は一旦捨てて、不耕起も農法の選択肢の一つとして考えてみる必要があるでしょう。

ただ、この問題は、単に「耕起」か「不耕起」か、ということとどまりません。

要は、生物群が豊かな土壌をつくり、維持していくこと、生命群の力を借りながら物質循環の中にいかに存在し続けるか、そのためにどんな農法を選択するのかが重要になります。

それにはやはり、最低限の腐植土の投入が必要になります。 hiryo-0403.gif  
    ※画像は、北海道糖業株式会社さんHPより

そのためには、腐植土の材料となる植物残渣を生み出す森林(里山)が必要です。そういった山林を再生させることを同時に行なっていかなくてはなりません。

人類が、具体的にどのような形で、生命群の力を借りながら、必要最小限のエネルギー投入のみで、自然界の物質循環の中に存在させていただくのか、どんな風に生態系と関わっていけばいいのか、ということが今後問われてくる
のだと思います。