金属中毒

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プロポーズ小作戦22

2009-04-03 18:30:15 | Weblog
プロポーズ小作戦22

黎星刻の記憶には2か月分の欠損がある。それはゼロレクイエムの舞台裏を知った今も変わらない。情報としては納得しても星刻の実感の中では2ヶ月は存在しないのだ。

昨日同士からの連絡を受けあわただしく神虎を起動した。その直前、あの女は現れた。
(シーツー)
緑の髪の女。1代目と2代目のゼロの共犯者。今のゼロとの関係は不明だが、無関係という事はないだろう。そう言えばシーツーに直接会ったのはまだ蓬莱島に日本人が来たばかりの頃以来だ。「タバスコが無い」といきなり通信され一体何のことだととにかく手持ちを持っていってみると、まったく言葉どおりの用事だった。ついでにラクシャータに会って神虎の設定変更についていろいろ話せたから無駄足ではなかったが。
もともと顔立ちの整った女だが、タバスコを受け取ったときの輝くような顔はちょっと忘れられない。
幸福とか嬉しさとかいう題をつけて、飾っておきたくなるような顔だった。

「届け物だ。ゼロから」
挨拶もなくシーツーは言う。
「私は急ぎの身だ。手伝うと言うなら構わないが」
「私にはお前に手を貸す理由がない。今は」
「そうか」
CCは包みを渡した。これで用事は済んだと言わんばかりにそのまま背を向ける。

星刻は包みを受け取った。危険物や爆発物の可能性は考えなかった。「彼女はCCだからな」

包みの中身は情報ディスク。中身の予測はあった。きちんと項目ごとに分けられた目次にいかにもゼロらしいと星刻は微笑する。もし、生きていれば19歳。自分と4歳しか違わない彼は世界を一度は変えた。
星刻はゼロ・レクイエムの真実と言う項目は飛ばし、黎星刻との貸し借り清算および請求と言う項目を開いた。

小さなモニターにゼロの服に素顔のルルーシュの姿が写し出される。
『星刻、お前の事だからこれを始めに見ているだろう』
やれやれ、お見通しだな。口中に星刻はつぶやく。
『すでにわかっているだろうがお前の身体は修理済みだ。肝臓、腎臓、腸を中心に重量比で30パーセントほど内臓を取り替えた。』
『今、お前の腹の中にあるのは俺の内臓だ』
これも星刻の予測にはあった。しかし予測していてもそれなりの驚きはある。
『免疫抑制剤は皮下埋め込み式で5年は持つ。オペの詳細については別項目を見ろ』
無駄の無いことだと星刻は思う。

映像の中のルルーシュが紅茶を口にした。優美という言葉が似合う。、今生きているどの王家の姫でもルルーシュほど優美と言う言葉にふさわしくは無いだろう。
『今、驚いても大丈夫か』
映像の中でルルーシュがゆっくり背を向けてそれから振り返る。
『今のゼロはお前の弟だ』
このときに外部からの通信が入り、星刻は映像を止めた。