金属中毒

心体お金の健康を中心に。
あなたはあなたの専門家、私は私の専門家。

プロポーズ小作戦43 オレンジ便

2009-04-19 15:19:17 | コードギアス
プロポーズ小作戦43

ちなみにこの通信内容を、久しぶりに星刻の声を聞きたいとせがんだ天子は傍受していたりした。
可愛い女の子と聞いて即出てくる名前。どきどきした。星刻の声が自分の名を言うと。
そして聞こえた声に、危うく通信機を落っことすところだった。
そんな天子の心を知らず、戦場にそぐわない会話は続く。
「うん、アーニャもかわいいだろ。このごろは結構色っぽくなってるらしいし」
「はぁ」
「背も少し伸びたし、胸も多少増えたと書いてたぜ。ま、私の好みからすれば不足だけどな」
あぁそういえば、ジノはカレンにちょっかいかけていたと星刻は思い出す。
あの状況で恋愛もするなんて、若い者には余裕があったのか。
そういえば藤堂も結婚したそうだし。
星刻は新婚の寝屋をじゃましたのに気が付いていない。
第一、星刻は藤堂が誰と結婚したのか聞いてすらいない。
そういう方面に頭がまわりつかない、これが義父となった高亥なら確実に相手を感動させる贈り物を届けていただろう。そういう部分が星刻は基本的に軍人だった。

プロポーズ小作戦42

2009-04-19 10:17:43 | コードギアス
プロポーズ小作戦42
ヤルカンドの街で一番幸福なのは誰か。
実は影武者だと知らない人は、大司馬と答える。
あの妓館は最上の女をそろえ、望めば世界の珍味美味全てが手に入る。あそこで満たされない欲があろうか。

それなら影武者を務めている枢青竜は、さぞかし幸福だろうと思えるが実はそうではない。20キロのダイエットを強制され、乗った事もないモンスターマシンに乗せられ、その上街の有力者達にはいかにも大司馬らしく取り付くらねばならない。顔こそ見せないが、いつ見破られるかひやひやで、楽しみを味わう余裕は無い。

おまけに星刻との連絡が砂塵あらしのため途切れがちだ。
早く戻って来いと叫ぶも、もう少し持ちこたえてくれとつれない返事である。


星刻には星刻の事情があった。
当初は軍事力で一気に打ち倒すつもりが、現地の調べではそれではうまくいかないとわかった。キルギスの反政府グループと連絡を取り、今後の政策をすり合わせる。
キルギス完全独立戦線なんて過激な名を名乗っているが、本当はむしろ占領政策のほうが望ましいと思っている者達。そこの連中を使い、とにかく光明信仰だけは叩くと決めた。そんなときに砂塵あらしが起こり基地から出られなくなった。
この嵐はダモクレス戦でのどを傷めた星刻にはかなりつらかった。
繰り返す痛みとせきで動けなる。
基地司令は一番安全な自分の部屋に隠してくれたが、ミクロン以下の砂塵はどんな隙間にも入ってくる。

神虎を呼んで帰ろうとしたが、それも不可能だった。電波が飛ばない。

2日後砂塵あらしが収まるとともに進撃。光明信仰の過激派閥を一気につぶす。ただし軍装ではなく、盗賊団を装って。
星刻自身も目立つ髪をターバンに隠して大刀片手に飛び出した。指揮官の責務として先陣を切るつもりだった。
ぼて、
普段聞かない音がして、星刻の視界は30センチ下がった。
原始的トラップつまり落とし穴に落ちた。
何故そんなものが基地の正面出入り口にあるのか、キルギス人たちは平気で進んでいく。足運びからしてキルギス兵は知っているようだ。どこに落とし穴があるかを。
まぁ、30センチ程度の落とし穴などどうという事もない。
少し驚きはしたが、星刻は身軽に穴を出た。
そこにタイミングを見計らったように出てきたのは支部の基地司令。
「落ちたやつは訓練のやり直しだ。基地にもどれ!」
星刻は鋭い視線で基地司令を見た。何をする気だと視線で問う。
左右を見れば同じように落っこちたのは漢人ばかり。
つまり(これはキルギスの戦いだ)という事か。
この時代、今は中華に擦り寄ると決めた。
決めたのはキルギスであり、中華に蹂躙されたからではない。扱いが悪ければ、いつでも牙を向けるぜ。
キルギス完全独立戦線の指導者からの意思表示。どうやら司令官も最初からぐるだったようだ。

ひとつことがすんだ後、今度は盗賊退治を始める。これは中華軍5個大隊が正式に動いた。星刻は呼び声ひとつで飛んできた神虎で飛び、上空から正確な指示を与えた。ちなみに基地の屋上でラクシャータの指示通りの角度に左手を挙げて「しぇんふー!」と呼ぶ姿は、日本人の目で見ればほとんどマグマ大使だった。
この攻撃に7日かけた。

キルギスの掃除を済ましたあと、今度は戦いのために被害を受けた国民の救済を実行した。キルギス民族の中華国境の自由出入りを認め、また通婚を奨励した。細かいところはキルギス完全独立戦線の指導者にして、支部基地の副指令!!(つまりもとよりこの基地全部が中華の指揮下にはなかったという事だ)にゆだねた。
もしキルギス完全独立戦線がその気なら、単独で乗り込んだ星刻を人質にするのはたやすかったのだ。それを選ばず、正当にしたたかに中華軍を利用した。その思考に敬意を評し、星刻は彼にこの土地をゆだねた。
さらに中央政府の判断として、産業開発のため調査団の派遣を決め、国境警備のため、早期に白虎部隊が配置される予定になった。

キルギスは中華の1地方として、重要な国境の拠点として優遇される。それがいつまでかはどちらもわからないが、とにかく星刻は中央政府の代表としてキルギスの代表の挨拶を受けた。
その代表がほんの数年前まで、ロシア軍で正式の将校だったのが、この土地の複雑さをより強く示している。

さて、屋上で「マグマたいしー!!」
ではなくて「しぇんふー!」と呼ばれて飛んできた神虎の中には20キロのダイエットに成功した影武者さんの枢青竜がいた。
言いたい文句は大量にあるとふるふるしている枢青竜の肩をぽんと叩く星刻。
「よかったな。これで腰痛は良くなるだろ」

さっと入れ替わる。これでこの基地にはもとからこの枢青竜少尉がいた事になる。
さて、星刻が空中から指揮を執り、ほぼ戦場が片付いた頃、オレンジの使者が飛んできた。ブリタニア製の垂直上昇機の試作機。この時点で名は決まっていなかったが、後にトリスターと呼ばれるようになる。

「ヴァインべルグ卿、このようなところにいらっしやられては」
星刻は武装状態の神虎に、ジノはトリスタン並みのスピードを誇る試作機に乗っている。足元は戦場。そんな背景をまったく気にせず、ジノは明るくのたまう。
「可愛い女の子の依頼でオレンジの宅急便だ♪」
「は、オレンジ?」
星刻の反応が鈍いのも無理は無い。今の世界情勢でオレンジとはあの悪逆皇帝に最後まで仕えていたゴッドバルド卿のことだからだ。
そういえば、ナイトオブシックスのアーニャがゴッドバルドと同居していたなと星刻は思い出す。
「アールストレイム卿ですか」
それなら可愛い女の子とはアーニャの事だろうと星刻は思った。

プロポーズ小作戦41

2009-04-19 10:16:44 | コードギアス
プロポーズ小作戦41

なかなか面白いところを突いていたジノの推測だが、今回は外れていた。
星刻を連れ帰るように望み命令したのはゼロ・スザク。
正確に言えばスザクはただ「星刻に会いたい」といっただけでジノを使えといったわけではない。

ことの起こりはゼロレクイエムの後たちまち混乱にもどってしまった世界。
スザクは必死で世界を平和にしようとしたが、いくら戦場に出て敵を倒してもそこの戦場が一時的に収まるだけ。
押さえても押さえても戦いは増えるばかり。そんなある日シュナイゼルに世界を平和にする方法を考えろと命じた。シュナイゼルは答えた。フレイアで、全てを押さえましょう。そうすれば平和になります。
もう世界を救うにはフレイアによる脅ししか無いのかと苦悩したスザクのところに現れたCC。「ゼロレクイエムには保険がかかっていた。保険の内容は自分で確かめろ」
そう言った。保険の対象は中華の星刻。

スザクはすぐに内密に星刻に会いたいとシュナイゼルに命じた。