すあし6
いきなり帰国しました。と言われて納得する人は少ないだろう。特に今回、本田桜の帰国には誰一人納得できなかった。
まずはちょっと意外な人から例示しよう。
カナダである。あまり知られていないがカナダの誕生日は7月である。大抵の国と同じくカナダも誕生日は国を挙げてお祝いする。外国の観光客もたくさん来るし、高級ホテルは予約で埋まる。
国の化身には様々な特権がある。高級ホテルの利用権もそのひとつだが、今までカナダはその特権を使ったことは無い。ところが今年は早々にそれを予約した。しかも最高級のスイートルームを、ダブルで7日間である。
報告を受けたカナダの上司は(スローペースのうちのお国様もようやくそういうお付き合いをする相手ができたのだな)と喜んだ。ところが予約は取り消されてしまった。
それをさりげなく上司が問うと、カナダは答えた。
「今年は一緒に桜を連れて行くからと聞いたから予約したんです」
「ギルベルトさんも来てくれないかもしれない。本田さんどうして急に帰国させたのか、・・・アルフレッドなら聞いているかもしれないけど」
後半の言葉はつぶやきになったが上司はしっかり耳にした。
(はて、うちのマシューの楽しみにしていた相手はどういう者なのか)
相手が国家でなく州や県レベルでそのために気を使っているのなら、国賓ではなくても別の名目で招待してもいい。かわいいマシューの大事な相手ならカナダ政府としては大歓迎である。
数ヵ月後、本田桜あてにカナダ政府から届いた招待状に「油断しました」とつぶやいたのは菊。妹を変化させたのはてっきりフランスかギルベルトかと思っていたのに、まさかカナダとは!!!「許しませんよ」黒くつぶやく日本。妹の桜がそもそも個体としてのカナダを認識していない事に気が付くまで、菊はカナダ産のサーモンを食べなかった。
さて、数ヶ月先の話はともかくとして、宴会の翌日に戻そう。
もちろん一番納得できないのはギルベルトである。桜が連れ去られてすぐ菊に連絡している。と言うのも桜は庭に出ているところをいきなり連れ出されたので携帯を部屋に置いたままだった。
「おい、どういうことだ」
師匠時代の強い口調で問われた菊は、おもわず八橋無しの答えを返してしまった。
「わかりません。でも私には桜が要るんです」
弟子の言葉で心情面での原因を察したギルベルト。それは兄であり修道会でもあるギルの察しの良さである。
それでも直接のきっかけがあったはず、というわけでフランシスはギルとトーニョにダブルでぼこられた。
いきなり帰国しました。と言われて納得する人は少ないだろう。特に今回、本田桜の帰国には誰一人納得できなかった。
まずはちょっと意外な人から例示しよう。
カナダである。あまり知られていないがカナダの誕生日は7月である。大抵の国と同じくカナダも誕生日は国を挙げてお祝いする。外国の観光客もたくさん来るし、高級ホテルは予約で埋まる。
国の化身には様々な特権がある。高級ホテルの利用権もそのひとつだが、今までカナダはその特権を使ったことは無い。ところが今年は早々にそれを予約した。しかも最高級のスイートルームを、ダブルで7日間である。
報告を受けたカナダの上司は(スローペースのうちのお国様もようやくそういうお付き合いをする相手ができたのだな)と喜んだ。ところが予約は取り消されてしまった。
それをさりげなく上司が問うと、カナダは答えた。
「今年は一緒に桜を連れて行くからと聞いたから予約したんです」
「ギルベルトさんも来てくれないかもしれない。本田さんどうして急に帰国させたのか、・・・アルフレッドなら聞いているかもしれないけど」
後半の言葉はつぶやきになったが上司はしっかり耳にした。
(はて、うちのマシューの楽しみにしていた相手はどういう者なのか)
相手が国家でなく州や県レベルでそのために気を使っているのなら、国賓ではなくても別の名目で招待してもいい。かわいいマシューの大事な相手ならカナダ政府としては大歓迎である。
数ヵ月後、本田桜あてにカナダ政府から届いた招待状に「油断しました」とつぶやいたのは菊。妹を変化させたのはてっきりフランスかギルベルトかと思っていたのに、まさかカナダとは!!!「許しませんよ」黒くつぶやく日本。妹の桜がそもそも個体としてのカナダを認識していない事に気が付くまで、菊はカナダ産のサーモンを食べなかった。
さて、数ヶ月先の話はともかくとして、宴会の翌日に戻そう。
もちろん一番納得できないのはギルベルトである。桜が連れ去られてすぐ菊に連絡している。と言うのも桜は庭に出ているところをいきなり連れ出されたので携帯を部屋に置いたままだった。
「おい、どういうことだ」
師匠時代の強い口調で問われた菊は、おもわず八橋無しの答えを返してしまった。
「わかりません。でも私には桜が要るんです」
弟子の言葉で心情面での原因を察したギルベルト。それは兄であり修道会でもあるギルの察しの良さである。
それでも直接のきっかけがあったはず、というわけでフランシスはギルとトーニョにダブルでぼこられた。