金属中毒

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ぼくとけっこんしてくにになろうその9,5

2011-12-06 00:40:29 | APH
 ぼくとけっこんしてくにになろうその9、5 

 感動という言葉で締めくくれるその9話であったが、実はその数分後ギルベルトは真っ赤な顔と涙目で副官のところに走り戻っている。
 「どうしたのです?」
明らかに動揺している若い…外見は若い…上司を受け止めて、副官は鋭く問うた。大選帝侯から直接命じられている。「プロイセンは強いが、ギルベルトはまだこどもだ。くれぐれもギルベルトを守るように」と。
「なんでもない」
言葉では言いきるが今にも落っこちそうな涙が言葉を裏切る。
副官はギルベルトが走ってきた方向に小隊を向かわせた。敵ではないと思うが、われらの大事なお国様を泣かせた悪いやつをほおっておくことはできない。われらのお国様はいまちょうど思春期頃の外見をしている。戦場の気配をまとわないときのギルベルトは良家のおぼっちゃまに見える。それが高級将校の軍服をまとっているので、悪い女にでもからかわれたのかもしれない。
小隊は焚き火の跡を見ただけで不埒者を見つけることはできなかった。

  
 


 
 この護衛隊長はこの後もギルベルトにずっと付いていた。誰とでも打ち解けるようで、実際には人みしりの強いギルはあまり周囲の人間が入れ替わるのを好まなかった。その退役の日、護衛隊長はふと聞いてみた。あの時どうしたのですかと。
 ギルはあの時のようにまっかな顔になって、さすがにもう涙はうかばなかったが「尻、なぜられた」
 
 フランシスの記憶をもとに再構成した9話にはこの文章は入っていない。フランシスにとっては魅力的な存在に手を出すのは当たり前すぎて印象に残らなかったのだろう。