金属中毒

心体お金の健康を中心に。
あなたはあなたの専門家、私は私の専門家。

19歳の誕生日3

2008-12-31 02:55:53 | コードギアス
さすが、あの人たらしのゼロの妹というべきか。このナナリー姫は人の敵対心や攻撃性を弱め、穏やかにする力でも持っているのではないか。

ナナリー姫は一番孤独なのだと星刻は思う。あのゼロ・ルルーシュの一連の行動にかかわった者達のなかで、彼女が一番孤独なのだと。
日本にいる元黒の騎士団組はお互いに会って話すことができる。
中華には・・・天子様には洪古も香凛もいる。
ブリタニアではあのロイド博士とセシル女史がいるが、今は2人ともインドに長期滞在している。
そしてなによりもナナリーがたった一人孤独なのは、他の人々がゼロ・ルルーシュに運命を巻き込まれた立場であるのにたいして、ナナリー一人はルルーシュに守られる立場であったこと。優しい世界とはナナリーのための世界。少なくとも最初それがルルーシュの想いの全てだったのだろう。

「私が最初にゼロを知ったのは・・・
星刻はゆっくり語りだす。途中で幾度も言葉を止めて。すぐに息が切れてしまうため長い話は休みながらでなければできないからだ。当初は肉体のあまりの急激な変化に戸惑い苛立ち自棄さえ起こしかけた。回復してももはや軍役は不可能との宣告に『あの方の役に立てないなら生きる意味が無い』と絶望した。そんな星刻を静かに見つめ寄り添ったのはナナリーだった。
・・・まぶしいほどの存在でした。私には、いや彼以外には不可能な奇跡、演出。多少演技過剰にも見えましたが」
「お兄様は学校でも格好つけでしたもの」
「舞台は変えても役者は変わらずですね」
星刻は微笑む。
外交用の完璧な笑顔ではなく、天子を思うときに近い自然な笑顔を。
それを見てナナリーはまた(あ、似ている)と思う。
この人、星刻は兄に似ている。兄が唯一認めた相手、兄がスザクとは違う意味で世界を託した人。兄に似た笑顔。兄のと同じくらい優しい手。
 すなおにうれしいとおもう。
この人の大きな手が髪をなぜるのを。つい落ちてしまった涙を拭いてくれるのも。
たとえ、この人の手が本当に触れたいのはあの純白の少女だけだと知っていても。


19歳の誕生日2

2008-12-31 02:15:45 | Weblog
星刻が水を向けるとナナリーは少し恥ずかしげに微笑む。以前に『宰相のやり方と合わない』と、相談といいうより愚痴ったのを思い出したからだ。

「政治の話ではないのです。星刻様のお話を聞きたくなって」
星刻はゆっくり起き上がった。ようやく人手を借りずに起き上がれるようになった。
「今日は19歳の誕生日です。兄の」
それを聞いて星刻が一番に思ったのはもう12月なのかという事。肝臓切除、培養肝細胞の移植、腸閉塞発祥、再手術、腎臓切除、繰り返されるオペと検査、外部情報との遮断は星刻から日付の感覚を奪っていた。
「星刻様は私の見ていない兄をご存知ですね」
「是・・・はい。私とゼロは同盟者でした」
星刻は、ふと油断して中華の言葉で答えかけた。
さすが、あの人たらしのゼロの妹というべきか。このナナリー姫は人の敵対心や攻撃性を弱め、穏やかにする力でも持っているのではないか。


19歳の誕生日

2008-12-29 15:54:47 | コードギアス
19歳の誕生日
検査の都合で眠らされていた星刻が目を覚ましたとき、ベッドの脇に現ブリタリア皇帝、いや、ナナリーがいた。星刻は驚かない。ブリタリアに滞在してもう数ヶ月、ナナリーが不意に病室を訪れるのは両手の指でも足りないほどである。
「政務の予定は終わりですか」
いつもの問いである。いつもの答えが返ってくるはずだった。だが、この日ナナリーの唇は違う言葉を紡いだ。
「明日に繰り延べてもらいました」
初めて聞く言葉である。ナナリーは親政皇帝として政務をこなしている。不自由のある身で50時間ぶっ通しの会議も御した。その彼女が政務を繰り延べた。

何か話したいことがあるのだろうがナナリーからはなかなか言葉が出ない。
「宰相殿が何か?」
星刻が水を向けるとナナリーは少し恥ずかしげに微笑む。以前に『宰相のやり方と合わない』と、相談といいうより愚痴ったのを思い出したからだ。

テーマ メモ

2008-12-28 00:16:47 | Weblog

国民生活審議会で、食など5分野を中心に消費者・生活者の視点から行政のあり方の総点検が行なわれ、意見がまとめられました。
食べる・働く・作る・守る・暮らすの5分野です。
せっかくの総点検ですが、あまり、国民に浸透していないようです。そこでテーマに使ってアピールする事にしました。

食べる。
日本語訳では南陽市と訳されるサウスライトシティはアメストリスでもっとも大掛かりな観光都市である。輝く太陽、笑顔弾ける街、1年中泳げる(湖がある)、高級リゾート、最高級のおもてなし等などのコマーシャルがラジオからあふれるように流される。
セントラルで過保護な養父と可愛い弟たちに囲まれて、幸福な時間を過ごしていたエドワードがその宣伝に飛びついて「行きたい!行く!!」とダダをこねたのは、あまりに大事にされすぎて退屈していたからだった。

「うっわー、道が全部オレンジだ」
大きな駅で降りて、最初の角を曲がって一番に叫んだのは末っ子のフレッチャー。
『にいさま』の前では完全に『可愛い弟』を演じる事を鉄則にしている彼だが、これは心からの言葉だった。
広々とした通りは鈴なりのオレンジを付けた街路樹で彩られていた。南の強い太陽に輝いて道までもがオレンジ色に染まって見える。
「お、うまそー」
見て言うと同時にエドは手近の木に登る。きれいに実ったオレンジを生身の右腕でもぎ取る。
「あ、こら、エド」
危ないとか降りろとかラッセルが言葉を続ける前に、末っ子の声が割り込む。
「ぼくもー」

フレッチャーはエドにいさまが登った木に小猿さながらのいきおいで登りあがる。
長男と末っ子は二人同時にオレンジにかぶりつく。


「苦い!!」
叫んでオレンジを落っことすのも同時だった。

「ここの木は街路樹用に大きく育つ事だけを目的とした品種だからおいしくありませんよ」
答えたのは軍服の青年。養父マスタングが手配していた護衛兼運転手である。
「初めまして、お噂はかねがねうかがって降ります。鋼の錬金術師殿と弟様方」
軍人青年はぴしりと敬礼し  ラッセルに   挨拶した。
「いや、鋼の錬金術師は」
あっちだと言いかけたラッセルの言葉を蹴飛ばして、エドが叫ぶ。
「俺が!鋼の錬金術エドワード・エルリックだ!!文句あっか!!!」
「へ、あの小猿が」
つい、本音を漏らした軍人青年。彼がこの後軍で出世できたか否かはご想像の通りである。

メモ代わり

2008-12-27 23:01:15 | Weblog
ブロッシュは手のかかる上司の髪を梳く。
ラッセルの髪は素直だ。本人の性格とは全然違って。(ちなみにラッセルにこれを言ったときその後10日間もむくれていたので完全に禁句である)
入浴を手伝うようになったのはいつからだったか、最初は激しく抵抗されたが、2回目からはあたかも当然のように要求された。ラッセルには一度懐いた相手には警戒心が働かないところがある。そして一度誰かがしてくれるとそれを規定の当然としてしまう。だから、ブロッシュは一度したことはずっと続けている。
 ラッセルのお気に入りは濡れた髪を漉いてもらうとき。重くまとわりつく髪がくしけずられるたびに軽く、乾いていく。落ちていく水分と共に心の滓が落ちていく。

上海事変12

2008-12-23 04:33:46 | コードギアス
上海事変12

星刻が残月に連れて行かれてから1日後の洛陽である。洪古准将率いる軍団が凱旋した。

「中央軍所属准将洪古が、報告に参っております。」
取次ぎの宦官が特有のかん高い声で伝える。
《星刻は確かに大宦官たちを処分したが、すべての宦官を処分したわけではない。そんな事をしたら、たちどころに政治が滞り中華連邦が崩壊してしまう》
「洪が、」(洪なら、何があったのか全部知っているはず)
彼は星刻と一緒に上海戦に行ったのだから。


事情がわかるはずという香凜の期待はあっさりはずれた。洪古は星刻と共に進軍したが途中で渓谷の橋が落ちていた。重要な街道の橋が落ちたまま、しかも中央政府に報告さえされていないのは、中華の政治的弱体化や、経済的混乱を示すものだった。
ガンルゥは空を飛べない。しかし、上海の暴動はすぐに取り押さえねば全土に飛び火しかねない。やむを得ず星刻ひとりが神虎で飛んだ。黒の騎士団に応援を頼めないかとの洪古の言葉に星刻は首を振る。今回のことは純粋に中華のお家の事情だ。「うかつに借りをつくるのは得策ではない」
もちろん洪古も単にそのまま帰るような無能な男ではない。上海と呼応するならここが一番先に動くだろう自治都市を山賊退治の名目で締め上げた。このおかげで上海は孤立し、ただ、1戦のみで鎮圧できた。

洪古は形式的な報告を終え、いったん洛陽市内の館に戻った。すると珍しい事に南部の高級保養地でのんびりしているはずの父が館に帰っていた。父は帰ってきたばかりの息子に軍装を解く暇も与えず奥の部屋に引っ張り込んだ。人払いをし、回りを警戒し、ようやく父は話した。「星刻が軍法予備会議にかけられ抹殺されかけている」
軍法予備会議とは本来なら軍法会議の前の証拠探しのための委員会にすぎない。しかし、政治腐敗のなか、それは公認されたリンチになっていた。どんな軍人も一度これにかけられれば将来は無い。それどころか生命すら事故を装って奪われかねない。下級役人の息子に過ぎなかった星刻には政治的な後見がいない。(高亥が生きていた間は実質的に後見であった)
そのために陰謀への対処が遅れた。不幸中の幸い、予備会議が公式に召集される前に洪古の父の所に密告があった。

輝きの兄弟の旅日記より

2008-12-22 21:09:12 | Weblog
輝きの兄弟の旅日記より



旅疲れ(本当は喧嘩疲れ)から熱を出した「兄」は昨日から眠ったきりだ。
不安と不満で息苦しいほどだ。
少しは頼ってくれていいのに。
僕は、そんなに頼りないかな。
兄にとっては「弟」は守るだけの者?

僕は一緒に戦うものになれないの?
弟だから
それとも僕だから?


兄がゆっくりと目を開く
「兄さま」
太陽を映しこんだ光の瞳。
僕の大事な兄さま
黄金のエドワード


いっしょに寝てよ
甘えた声でねだると、兄はとろけそうな瞳になる。それでも声だけはチョツト意地悪を言う。
「やれやれ。誰に似たんだろ」
「僕が甘ったれなのは兄さまが育てたからだよ」
僕、フレッチャーは、うそはついていない。
この半年兄さまと一緒にいた。
どんなことも兄さまに教えてもらった。
そうして僕はこの人の弟になった。
この世界から解脱した友の代わりに

クララ・ハボック・ナナリー 共通点と相違点

2008-12-21 18:19:47 | Weblog
クララ・ハボック・ナナリー
この3キャラの共通点・相違点を述べよ
共通点・・・車椅子キャラである。主役ではないが主役の近辺に存在する。物語を大きく転換させるコロの役を果たす。戦時の生まれである。
クララが20代になるころ大戦が激しくなった。ハボックはアメストリス軍人だった。ナナリーは成長期全てが戦場下であった。(物語終了後についてはコメント不可能)
相違点・・・
名作といわれるハイジのなかでも特に秀逸とうたわれるシーン、『クララが立った』
長い間使っていなかった筋肉でどうやって立ったのか、医学的に疑問をあげるむきもあるが、そこはアニメ特有の理由、描かれていないシーンもある、という事でスルーしよう。
クララについては精神的な問題で立てなかった。つまり、神経系は正常だった。
ナナリーは幼少時、銃で撃たれた事が原因で足が動かなくなった。アニメの映像を見る限り脊椎は無事である。
つまりこの2人は下半身の感覚はある。
対するハボックはホモンクルスのラストに脊椎を損傷された。すなわち損傷部以下の感覚は全て失われている。
歩けない事に違いは無いのにそれが問題なのかと思う方も居るだろう。しかし、感覚が有るか無いかは大変な違いがある。それは、排泄をコントロールできるか否かである。単純に言い切ると、ハボックは失禁する(可能性が高い)。なぜなら排泄を感じる神経が断ち切られているからである。

R2小説版

2008-12-10 22:16:33 | コードギアス
さて、とっくに話題になっていると思ったのに意外にでていない角川スニーカー文庫R2第3巻。
小説版全般に言えることですが、アニメででたエピソードはストーリーに必要最低限だけでさらりと流し(それでもあの密度のアニメですから相当の量です)なるべく別の視点から、例えばナナリーの視点、あるいは中華の視点から、物語を再構築しています。
第3巻では中華ファンは132ページから137ページ、146ページから155ページをお読みください。アニメには無かった政治家としての星刻が読めます。
132ページでは星刻と藤堂さんとの会話があります。話題はゼロのギアス響団虐殺の件です。
数ヶ月間戦場を共にした藤堂さんに愚痴をこぼすという形で、ゼロに対する疑念と不信をさりげなく示し、「諌言せよ」と求めています。この時点で星刻の信頼度は、共同戦略を一方的に破棄したゼロよりも『同じ釜の飯を食った』藤堂に対して高くなっています。
 それに対して藤堂の返答は苦しい。藤堂自身もゼロに不信を持っており、またギアス響団虐殺の件は藤堂に対してさえも一切伝えられていないからです。
こういうシーンがアニメでは放送されていないから、扇・藤堂達がゼロを排除した事に対して星刻がいきなり同意したように見えるのですね。
146ページでは合衆国憲章17条が主な話題です。ゼロの星刻の会話になっています。
合衆国憲法17条「合衆国憲章を批准した国家は、固有の軍事力を放棄する。また、各国家の安全保障については、いかなる国家にも属さない戦闘集団、黒の騎士団との契約によってこれを保持する」
ゼロに対して疑念を持つ星刻は公式の権利として、ゼロの権限に制限を付ける事を要求します。つまり、暴走した場合の首輪を用意しようというわけです。首輪の鎖は星刻が持つことになる。
内心舌打ちしながらもルルーシュは要求を受けます。受けざるを得ないから。中華の軍事力無しでは話が始まらないので。
ところで、この安全保障ですが他国との戦いを前提にしているようです。では内戦はどういう扱いになるのか?中華がチベットに対して行なっているような民族消滅政策はどうなるのか?正義が決められないような場合はどうするのか?合衆国連合のなかで意見が割れたら?合衆国連合の国同士で戦ったらどうするのか?
アニメではその辺りが問題になるまえになにもかもフレイアでふっとびましたが、たとえ勝利していてもこの合衆国連合は、対ブリタニアだけを限定しての一時的連合に終わりそうです。
各国代表はその辺りまで計算してこの連合に参加しているのでしょう。もっともゼロのギアスで操られていなければの話ですが。

12月に

2008-12-07 21:36:04 | Weblog

カレンダーも最後の1枚になりました。今年はギアスサイト巡りで暮れて、来年は鋼のサイト巡りで明ける。そう思えばいい年です。失業者だけど。


 昨年12月号のガンガン付録のカレンダー、とりを飾るのはもちろん鋼!
主役エドの象徴たるオートメールの腕を背景に左上からスカー、メイチャン、シャオメイ、ウィンリィ、オリビエ様、うつろな表情のアル(プライドに支配されているアル)のラインナップ。つまり、いまの展開は遅くとも昨年の11月ごろにはできていたわけです。たぶんもう最終回までのラインもできているのでしょうね。


星天サイトで知って、アスカ1月号を買ってきました。ほぼ、9話10話の内容ですが、アニメの密度が高すぎるために、カットされたエピソードの多い事。でも最も大切なポイントである星天の永続調和の契りはしっかりページを使っておられました。
 神楽耶に結婚への不安を訴える天子様の下がり眉に思わず守ってあげたくなります。また、アニメでは出番も少なく凡庸以外の形容詞が付けられなかった第一皇子ですが、アスカ版では立ったひとコマでやさしさと善良さが表現されてます。結婚への不安と絶望に震える天子様、その手にそっと触れる。「大丈夫」この一言で。
もし、この出会いが結婚でなければ、父親のような存在として天子様も第一皇子に懐いたかもしれない。そう思えるほど。


 アスカを読んだ同居人が一言。ルルーシュと星刻は兄弟。
確かに似ている。特に23ページの一コマ目の星刻はルルーシュに見えます。
頭脳といい、顔立ちといい、星刻がマリアンヌ様の隠し息子でルルーシュの異父兄であっても納得する。だとしたら父親は玄武。あのスザクと並ぶ身体能力はそれで納得がいく。
 どなたかこのネタで書いて下さらないかなー。
ルルーシュが悪逆皇帝として死んだ後、なんとディートハルトの隠し動画が部下の手で流される。
『衝撃の真実が今明かされる。中華の黎星刻は、弟たちを利用して世界をのっとろうとした!』



さて、アスカの天子様はアニメの天子様よりも天子としての自覚と責任感をお持ちです。
・・・この結婚は民の幸福のため。わがままを言ってはいけない・・・。
ただ、この幼い少女のけなげな想いを民が知っているとは思えないのが、中華の不幸なのでしょう。


ルルーシュ(ゼロ)が天子様に銃を突きつけたところで、1月号は終わりです。2月号は星刻の『我が想いに迷い無し』が中心になると嬉しいですね。