金属中毒

心体お金の健康を中心に。
あなたはあなたの専門家、私は私の専門家。

読書歴 テンプル騎士団

2012-07-27 22:06:37 | 読書暦 音聴歴
テンプル騎士団
レジーヌ・ペルヌー作
白水社
1977年発行
当時の値段550円


ユーグと8人の仲間たちが作った世界最初の修道騎士団。悪の帝国から平和な巡礼たちを守るため彼らは戦い続ける。なんとなく初期のサイボーグ009を思い出した私は年より世代。
ただ、哀れな同胞を助けるために動いたユーグ達は約200年後、テンプル騎士団がキリストを裏切り、悪魔崇拝の罪で、廃止されるなどとは想像すらしなかっただろう。
あの聖女は名誉回復されたが、テンプル騎士団に対してはいまだに名誉回復されていない。


教皇イノケンティウス2世はテンプル騎士団にさまざまな特権を与えた。その一つが10分の1税の免除。
テンプル騎士団以外に10分の1税の免除特権を持っているのはシトー修道会だけである。
これは所領経営にすさまじく有利で、他の聖俗諸侯のねたみや恨みのもとになった。


という事はヨハネ騎士団やドイツ騎士団も10分の1税免除特権は持っていなかった。
さて、話はいきなり現代のドイツであるが、教会税というものがある。
ドイツには税金申告書に信仰を書く欄がある。 ここにカトリック、プロテスタントなどと書くと所得税の8から9パーセントが源泉徴収される。
教会税の前身は10分の1税である。昔は物納だったが、金納に変わった。
1980年代以降不景気で支出を減らそうとして教会を離れる人が増えたが、最近になって教会に戻る人が増えている。聞くところではキリスト社会では日本でいう御付き合いやコミュニテイの役をキリスト教会がしている。どの教会に所属するかはその人のステータスを示すのだ。

ドイツやプロイセンも国民の中に混じって暮らす以上、どこかの教会に通っているのだろうか。

読書歴 聖騎士団その光と影

2012-07-27 16:17:00 | 読書暦 音聴歴
聖騎士団その光と影
テレンス・ワイズ著
新紀元社
2001年発行
1000円



この本は内容もいいがなによりも図版がいい。百聞は1見というやつで、見ただけでわかる。
ただ、もともとが翻訳ものなので日本人にとっては説明不足の観がある。
他の本、嗜好に合わせて異なるが、に付属して欲しい1冊である。

ひげづらの修道騎士の絵がもさかわいい。
十字軍のころの修道騎士はヨハネもテンプルもドイツもひげを生やすのが義務とされていた。修道騎士たちは自分達の乱雑な容姿をたいへん誇りにしていた。と図の説明がある。

APH的にはひげのキャラは少ない。これは読者層を意識したのだろう。騎士団時代のギルはごついおっさんばかりの中で幼い姿。あたかも小鳥のようにかわいがられていたのだろう。

読書歴 ドイツ現代史の正しい見方

2012-07-27 15:05:50 | 読書暦 音聴歴
ドイツ現代史の正しい見方
セバスチャン・ハフナー
 作者名を見ただけで、なぜこの本がAPH分類に入っているか完全にわかると思う。そう、あのプロイセンの歴史のハフナー様である。
草思社
2006年発行
1600円

内容についてはプロイセンがらみの部分があついのはもう当然である。
そのほかには
ヨーロッパという言葉にはわれわれの琴線に触れる何かがある。そこにはアメリカとの同盟関係では一種独特の響きがある。ヨーロッパ人のあいだには時として自国への愛国心すら圧倒するような、何か共通のものが通いあっていて、その感情はアメリカ人相手ではわいてこないもの。
この何か共通もモノをたどってゆくとローマの遺産に行きつく。

今の東西ヨーロッパを分ける境界線ももともとローマのもの。

国民国家の誕生がローマを殺した。


人工国家プロイセン。だれでも自国民のままでプロイセン人になれる。
みな自分の流儀で幸福にくらすがいい。
ユダヤ人がくればシナゴクをイスラム教徒がくればモスクを建ててやる。

好きでプロイセン人になったわけではないが、なってしまえばありがたいもんだ。

前の国のときよりもいい暮らしさせてやるぜ。

人こそは最大の宝。











そして今、あたかもローマのむくろに花を咲かせるようにヨーロッパ連合がいる。その中核をなすのがゲルマンドイツとフランクの子フランス。
ただし、ギリシアやらのどたばたでちょつと足元がゆらいでいたりするヨーロッパ連合である。



APH的発想では御国様がいない国家はすぐ滅びる。逆に言えば御国様がいれば生き残る可能性がある。
大事な弟が作ったEUが揺れているのに、兄は自分の無力をかみしめているのではないか。国で無くなった自分には何もしてやれない。
ところが、ここで発想の転換がある。むしろ国で無いからできることがある。そのことについてすでに自分(ギル)には実績がある。
東ドイツと言う国をまやかしのように言う人もいるが、たしかにあの国は存在したのだ。ではなぜ東ドイツ本人はうまれなかったのか。それは自分がいたからだ。
自分には何かになることはできなくても何かに代理することはできる。EUが産まれるまでの時間を稼ぐことはできる。
で、ギルがEUに就任する話を誰か書いてくれませんか。尻尾を振って読みにまいります。

読書歴 ヒトラー第4帝国の野望

2012-07-27 14:38:14 | 読書暦 音聴歴
ヒトラー第4帝国の野望
シドニー・D・カークパーク
講談社
1900円
2010年11月24日発行

題名からして仮想物語・・・ヒットラーがキョンシー・・・か何かになって復活し、アメリカンヒーローが美女を片手に悪の帝国をぶちのめす・・・と思った人もいただろう。実は最初は私もそう思った。
実際には歴史ものでした。
ちなみに図書区分は332でした。
これたしか歴史は2で始まるはず、図書館の人は歴史に分類するのは早すぎると思ったのか。単なる勘違いか。

帯のあおりがすごく熱いんです。
期限は3週間!消えた神聖ローマ帝国の秘宝を捜し出せ!
隠したのはナチ残党か、ドイツ騎士団か!?
インディ・ジョーンズとダン・ブラウンの小説を彷彿させるミステリー・ノンフィクションの傑作!
「ニュルンベルグ城の地下壕に隠された財宝があります。」
「ハインリヒ・ヒムラー?SS(親衛隊)の?」
ドイツ人捕虜が訊問で漏らした一言から始まる追跡劇。瓦礫の山と化したナチス・ドイツの”精神的聖地”ニュルンベルグを舞台に、蠢く元ナチ党員、ドイツ騎士団の影。
第4帝国復興のための行方不明の財宝を捜し、若き米国陸軍中尉であり美術史学者のホーンが大活躍。



このホーン中尉はアメリカ軍人ですがドイツ系なんです。それも兄や母はまだドイツに暮らしている。こういう立場の軍人はアメリカ軍には多かったそうです。




内容的にもすごく熱く感じる部分がある。

ロンギヌスのやり
神聖ローマ帝国の戴冠用帝冠

聖槍や戴冠用宝冠を含む宝玉やらをドイツ騎士団が守っていた。これは史実です。


APHマニアには大いにお勧めする1冊です。


今はウィーン王宮宝物館に神聖ローマ帝国の戴冠用宝冠はあります。
ちなみにドイツ騎士団の本部もウイーンにあります。
今は慈善団体として残っています。公式のホームページがあります。残念なことに日本語版は無いです。
ヨハネ騎士団の弟として、商人たちの寄付でつくられたマリア病院としてあるべき姿に戻れたわけです。
ギルとの関係については、たぶん本編ではでないでしょうね。

ドイツ騎士団についての説明があるんですが、これがすごくわかりやすい。
「ドイツ騎士団は戴冠用宝玉を守る役目を果たしていた。3大騎士団と言われてはいるが、テンプル騎士団やヨハネ騎士団のような同時代のその他の騎士団とは大きな違いがある。いずれも十字軍のさなかにパレスチナで産まれ中世ヨーロッパで1時期栄えた。
 しかしドイツ騎士団は、パレスチナ奪回と巡礼の保護は重要な任務ではあるが、その一部にすぎないと考えていた。このゲルマン騎士修道士の同朋意識は、神聖ローマ帝国がヨーロッパでその版図を広げるのを支援し、ポーランド、ハンガリー、ロシアに侵攻する先駆けとなった。まさにヒムラーのSSが第3帝国を支援したように。また、テンプル騎士団やヨハネ騎士団は、ドイツ騎士団とは違い、多国籍だった。ドイツ騎士団に入団するには、3世代以上遡れるゲルマンの血筋でなければならなかった。ちょうど、純粋なアーリア人のみがSS入隊を許されたのと同じように。」


参考にいうとテンプルもヨハネも多国籍でしたが、その中核はフランスラテンで、ドイツゲルマンはいつも不憫な扱いを受けていました。また、ドイツ騎士団も北ドイツのゲルマンが中心で、特にブランデンブルグ産まれの騎士が多かった。この辺りから、将来の同君連合の気配があったのでしょう。

この本誰か映像化してくれないかな。2次でもいいし。とつぶやいてみよう。

APHとくに東西を愛する人、その中でも歴史系を好む人ならストライクな1冊です。

下書き代わり

2012-07-24 03:01:03 | Weblog
後で考えると事の起こりはなんとかって映画だった。確か海賊映画のなんとかパイレーツ。美系の役者が出たとかで、ちょうど大手少年漫画にて長年人気掲載しているワンピースだったか、スーツだったか、そういう漫画。で、日本人は大人になっても漫画離れしないというわけで青年誌でもそういう漢字の漫画がスタート。
そのひとつがソロモンの隠し財宝をめぐるシリーズ。
昔人気のあった作家が再生を目指して原作して、絵は若い人が交代で描いてた。ネタはいいんだけど絵が毎回変わって、女の子描くのがうまい人ヘタな人で毎回登場人物が代わって、その点は評価が分かれた。同じヒロインのバストサイズがSから3Lまであった。

すあし12

2012-07-06 11:13:59 | APH
「私は何を間違えたのでしょうね。ポチくんはわかりますか」
くーん
夕日を写した瞳でポチくんは菊を見上げた。

思い出すのはあの日、ようやく戦乱が終わる気配が感じられる頃、迎えに行った幼い妹。
自分に妹がいるなど知らなかった。どういう存在なのか想像もつかなかった。

権力者の意向を背景に菊はむりやり神奥を開けさせた。
その手には戦乱の時代をともに生き抜いた愛刀。
もしも、自分にとって危険な存在なら、この国を混乱させるような存在なら。

そして、開いた扉の奥に彼女はいた。

外見はせいぜい3歳。ちょこんと座って、ただ見上げてくる。
国の言葉で名を尋ねても答えない。
「桜さんは「国」ではありません」
では何であるのかについて、菊は答えを持たない。
調べた限りでは桜はずっと前からそこにいた。
へたすると自分より昔から。それ以上は調べようがなくて今も分からない。

菊は彼女を妹と呼び名を与え、大切に守りぬいた。それはあの戦争の時期でさえ一切の悪いものを近づけないほどに。
ことりがヒナを育てるように国の言葉を教え、自分と同じものとして歴代の上司に認識させた。

桜は完全に菊の妹になった。



すあし11

2012-07-06 10:48:02 | Weblog
どうして?
問う桜に兄はにこやかに答える。
ぽちくん達もさみしそうですし、そろそろ良い頃でしょう。
え、

え、と言葉を切った桜はちょうど入ってきた秘書官に次の言葉を妨害された。
もし、秘書が入ってこなければ桜は言っただろう。私の意思は無いのですかと。

仕事も忙しくなったので手伝っていただけたいのですよ。
兄は言葉を人の言葉に変えて続けた。
人のいるところで国の言葉を使わないのは国人の常識である。

その場で秘書を紹介され、数日休んだ後お国様の仕事を始めた。
しかし、桜に回される仕事はあまり必要が無いものばかり。

そんな折、ドイツから使者が来ることになり、それがギルベルトだという事を桜は聞いた。
会えると思いウキウキしている桜にその前日、兄は言った。

神奥の様子を見てきてください。
そこは江戸時代の少し前まで桜がずっといたところ。
兄が迎えに来てくれたあの日まで、桜は名も無いままにそこで生きていた。
自分がどういう存在なのか知らないままに。

そして、桜は神奥に来た。ここは何も変わらない。千年経っても変わらない。
兄からはギルベルトが帰国してすぐ、家に帰っていらっしゃいと連絡があった。
桜は答えた。
「帰りません」
驚く兄に桜は続けた。
「私がここで安定しているのが、一番お兄さまの役にたちます。」
ですから、帰りませんと言い切り、桜は電話を切った。

グリム童話の家はここにいるという意思の表明のように造られ、報告を受けた兄を大層嘆かせた。

すあし10

2012-07-06 10:45:44 | Weblog
 なにひとつ聞かされないまま帰国させられた。
随従の外交官に尋ねても何も答えてくれない。
(こんなに急に帰国・・・、まさかお兄さまになにかあったのでは)
外交官は暗い表情のままうつむいている。
機内は十分に明るいのに外交官の目にも、桜の目にも真っ暗にしか感じられない。

 実のところ、外交官は単に何も知らなかっただけである。ある場所にいるある女性を連れ帰るように総理に命令されただけ。スペインという国は昔は大国だったが、今は・・・、まあ輝かしい歴史と情熱の国である。そこの外交官ということは、それなりに高い評価を受けている証拠である。 それなのに理由すら無く帰国命令。外交官は自分の将来を悲観して青くなった。

 さて、不運な外交官の運命はともかくとして、日本到着後すぐに桜は兄の職場に駆け込んだ。最悪の事態をも覚悟していた桜に兄はにこやかな姿を見せた。

すあし9

2012-07-02 22:56:29 | APH
すあし9

 歩き方が変わられました。
ゆっくりした口調で巫女が話しかける。
「そうですか」
桜はさらりと答えた。そのまま巫女を待たずにすたすたと本殿に入る。
巫女は口中にため息を漏らす。
宝珠様はどうかしてしまったのだろうか。
ほんの少し前、あの敗戦の前あたりまでは宝珠様はほとんどここにいらっしゃれたのに。やはり、江戸などに行かれたのが良くなかったのだろう。

巫女の嘆きを無いものとして、桜は本殿に入るとそのまま奥に抜けた。

そこには神社にしてはふしぎな物がある。真新しいレンガの家。グリム童話の挿絵にがそのまま置かれたような小さな家。