金属中毒

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すあし7

2012-05-27 21:57:43 | APH
 すあし7
 納得できない人は山ほどいるが、やはりダントツでドイツをあげるべきだろう。なぜ急に帰国したのか?自分が寝ている間に何かあったのか、まさかとは思うがなにしろあの場には世界の愛欲担当たるフランシスがいた。当人は愛の国とかほざいているようだが、もしや桜に不埒なまねをしたのではないか。そんなことがあっては自分を信頼して妹を預けてくれた日本に顔向けができない。いや、兄がいたのだしそういう事態は無いと思うが。
 しかし、それではまさか、兄が桜に不純異性行為を働いたのではないか?
考えると同時にそれだけは無いとドイツの理性が否定する。愛弟子の妹たる桜は兄にとっては妹も同然である。
 だが兄も酔っていただろう。そして桜はかよわい少女だ。兄がその気になれば簡単に取り押さえ意のままにできる。ドイツは考えてしまった。ついまじめに考えてしまった。
 桜は小さい。細い。淡い。手首なぞドイツの半分も無いだろう。兄好みのさらさらでふわふわで。兄にかまわれてちょっと困ったようにでも楽しそうに笑っている顔を思い出す。
 
 桜がドイツに来てから1年もたっていない、それも桜はベルリンではなくボンにいたため顔を合わす機会もそう多くない。その多くない記憶のなか桜はいつも兄にかまわれていた。
 いつもは兄からかまわれている愛犬たちがさみしそうにするほど、兄は桜から離れなかった。それはまわりへの牽制もあるようだが、兄自身が桜を離したくないようなのだ。溺愛という言葉が自然にうかんでくる。
 その割には桜の帰国に対して兄は落ち着いている。電話はしているようだがとくに問い詰めたりもしていない。電話の内容も相変わらずの童話の読み聞かせであるらしい。
 よくわからないなとドイツは思う。兄が桜を好んでいるのは理解できるが、それはどういう領域なのか。
そんなことを深く考えているせいか夢を見た。夢の中の桜は白い着物姿で、兄はもう袖を通すことの無いプロイセンブルーの軍服だった。