金属中毒

心体お金の健康を中心に。
あなたはあなたの専門家、私は私の専門家。

プロポーズ小作戦115

2009-12-28 21:39:14 | コードギアス
プロポーズ小作戦115

2021/2/11
1000万人、決して少ない数ではない。まして、それがただ一人の意思で殺された人数と聞けばたいていの人は驚くだろう。しかし、この時代の歴史書をひもといているとこの数字が小さく見えてくる。悪逆皇帝が殺害した数、公式に調べが付いただけで8千万人、かの裏切り騎士が撃ったフレイアで死んだ数3500万人。
 殺すも殺したり。ここまでいくともはや個々人の固有名詞など何の意味もない。

似たような状況は何時の戦争でもあるらしく、1909年に歴史に残る名言が記されている。少し引用しよう。
≪一人の命はその者一人分の価値しかなく、それ以上にもそれ以下にもならん≫
この時代は大きな戦乱が続き、またその後もアエルゴ熱(1918~1919年)の大流行により情報が混乱。これがどういう場面でどんな人物が言ったのかは伝わっていない。

さて、それではどのような死にかたであろうと死は同等かと言うと、必ずしもそうではない。
残された利害関係者(遺族含む)の気持ちや都合の問題がある。
死刑囚1000万人、その遺族達の恨みを星刻はただ一人で背負っていた。

プロポーズ小作戦114

2009-12-22 23:33:28 | コードギアス
プロポーズ小作戦114


その日の朝、星刻は来なかった。秘書長に訊くと星刻は今朝少し遅れて出仕し、すでに政務に就いているという。
天子はもう子供ではない。そこに男の複雑な思いを想像することぐらいはできた。
昨日のことを星刻も気にしてくれている。
そう思うだけで天子の心はタップダンスを踊りだす。
気にしているということは、星刻は自分を好きでいてくれているのだと。
この時点で天子の心の中では、『処刑命令』のことはすっかりすみっこに押しやられていた。

プロポーズ小作戦113

2009-12-21 02:28:40 | コードギアス
プロポーズ小作戦113

天子様を傷つけてしまった。
そう信じている星刻にもしも真実を伝える人がいたら・・・「天子様はむしろ喜んでいますよ」と。
星刻は安心するどころか、ショックで寝込むだろう。なぜなら星刻の中の天子様は純粋で幼い姿、あの誓いの夜のままであるから。

天子がほよほよと喜んでいたのを伝える者はいなかった。



さて、翌朝の朝食時、天子は星刻を待った。
『星刻と一緒に食べたいの』
自分がそう言ったから、星刻は来てくれる。
自分のわがままをあの優しい笑みで受け入れてくれる。
小さい頃から。
自分は外に出てみたいと言い、星刻はかなえてくれた。
絵本を読んでと言い、眠るまでお話ししてと言い、外のお花が欲しいと言い、いつも星刻がかなえてくれた。
それなら、もしも私が。
(昨日みたいにぎゅっと抱っこしてと言ったら、星刻はかなえてくれるかしら)
肉体の恋をいまだ知らぬ天子の心は、自分の空想だけで舞い上がってしまった。